「アンチテーゼ」は完全否定する言葉?正しい意味と使い方

アンチテーゼの意味とは ビジネス用語

「アンチテーゼ(Antithese)」とは 「反定立」と「ある程度肯定意見を認めつつも、否定する」を意味する、哲学用語を由来とする言葉です。

「アンチテーゼ」の正しい意味を知ることで、実は常に使っていることに気が付きます。

そして本記事を読み「アンチテーゼ」の正しい使い方を掴むことで、様々な側面で物事を検証できるようになりますよ。

1.「アンチテーゼ(Antithese)」の意味

意味は「ある程度肯定意見を認めつつも、否定する」

アンチテーゼ(Antithese)

読み:あんちてーぜ

  1. 反定立
  2. ある程度肯定意見を認めつつも、否定する

「アンチテーゼ」とは 「反定立」や「ある程度肯定意見を認めつつも、否定する」の2つの意味がある言葉です。

最近は一般的には②(後者)の意味で用いられることが多く、「反定立」を意味する場合は「哲学用語」として用いられます。

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  • 「アンチテーゼ」の言語由来:ドイツ語であり哲学用語

    「アンチテーゼ」は英語ではなく ドイツ語「antithese」からきている哲学用語です。

    また「アンチテーゼ」は「アンチ」と「テーゼ」と分けることができ、それぞれに意味を持っています。

    そこで「アンチ」と「テーゼ」の意味をみてみましょう。

    • テーゼ:定立
    • アンチ:反対する、敵対、対抗、排斥

    2つの意味を繋げると「反対する定立」となります

    ちなみに「定立」の意味は次の通りです。

    • 定立:何事かを「それでいい」同意するように主張すること

    転じて「アンチテーゼ」は「反定立」の意味を含むので「ある程度肯定意見を認めつつも否定する意見」と解釈されるのです。

    2.「アンチテーゼ」は「ヘーゲルの弁証法」で使われる

    「アンチテーゼ」は「ヘーゲルの弁証法」で用いられる要素の意味がある哲学用語です。

    「アンチテーゼ」を深く知る意味でも、この「ヘーゲルの弁証法」を知っておくと良いでしょう。

    そこで、次に「ヘーゲルの弁証法」について紹介します。

    「ヘーゲルの弁証法」とは、西暦1770~1831年に実在した哲学者「ヘーゲル」が確立した「弁証法」です。

    ある主張とそれに矛盾する主張を繋げ、双方の主張を否定しない状態で更に高いレベルの結果に導くこと」を意味する「弁証法」のひとつになります。

    次の4個の要素で弁証する流れです。

    1. テーゼ(定立:ていりつ)
    2. アンチテーゼ(反定立:はんていりつ)
    3. アウフヘーベン(止揚:しよう)
    4. ジンテーゼ(総合:そうごう)

    それぞれの意味や流れを順番にみていきましょう。

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  • 2-1.テーゼとは「定立」「綱領」

    テーゼ(These)

    読み:てーぜ

    1. 定立
    2. 綱領

    「ヘーゲルの弁証法」における「テーゼ」は①の意味が使われることが多く、 例えば「あの名所は日本人が好きな桜が楽しめる」といった「定立」が「テーゼ」なのです。

    2-2.アンチテーゼとは「反定立」「肯定意見を認めつつも否定する意見」

    アンチテーゼ(Antithese)

    読み:あんちてーぜ

    1. 反定立
    2. ある程度肯定意見を認めつつも否定する意見

    「ヘーゲルの弁証法」における「アンチテーゼ」は①の意味が使われます。

    例えば「しかし桜が嫌いな日本人も一定数存在する」といった「反定立」が「アンチテーゼ」なのです。

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  • 2-3.アウフヘーベンとは「止揚」

    アウフヘーベン(Antithese)

    読み:あうふへーべん

    1. 止揚
    2. 対立する主張がある場合の問題解決の手段

    「ヘーゲルの弁証法」における「アウフヘーベン」の意味は①です。

    「止揚」とは「ある物事自体は否定するが、きっかけとして維持しながら、より高い段階で意味を持たせること」の意味があります。

    例えば「桜が嫌いな日本人も楽しめる名所がある?」といった「止揚」が「アウフヘーベン」です。

    また、折衷案ではない点がポイントになります。

    2-4.ジンテーゼとは「総合」

    ジンテーゼ(Synthese)

    読み:じんてーぜ

    1. 総合
    2. 新たな高次の概念による矛盾の解決

    「ヘーゲルの弁証法」における「ジンテーゼ」の意味は①です。

    「総合」とは「お互いに矛盾する、定立と反定立のきっかけを統一すること」を意味します。

    例えば「 桜が嫌いな日本人も楽しめる花の名所が○○に存在する」がシンテーゼです。

    このように「テーゼ」と「アンチテーゼ」を照らし合わせ「アウフヘーベン」した結果が「ジンテーゼ」になります。

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  • 2-5.ヘーゲルの弁証法に沿った具体例

    「ヘーゲルの弁証法」に沿った「アンチテーゼ」などの具体例を紹介します。

    ヘーゲルの弁証法に沿った例文1

    • テーゼ:少子高齢化がかなりの速度で進んでいる今の日本では、若い世代の政治参加促進が急務だ。
    • アンチテーゼ:しかし若い世代は総じて社会経験が少ない。
      だから、社会においての政治的利害対立を責任もって対処することができない。
    • アウフヘーベン:社会経験が少ない若い世代が、政治参加に興味を持つ方法とは?
    • ジンテーゼ:若い世代の社会参加意識を促すためにも、教育制度整備による社会健全化することが課題であり急務である。

    ヘーゲルの弁証法に沿った例文2

    • テーゼ:キレイな桜が好きな日本人は多い
    • アンチテーゼ:しかし、桜が嫌いな日本人もいる
    • アウフヘーベン:双方が楽しめる方法がないのか?
    • ジンテーゼ:ファームパークや植物園へ遊びに行く方法が考えられる。
      桜以外にも多くの草花木や施設があることが理由。

    個々の言葉の具体例を並べてみると、 意外に解りやすいことが確認できます。

    3.「アンチテーゼ」の使い方と例文

    次に「アンチテーゼ」の使い方を説明します。

    ここで説明するのは、以下の2つの使い方です。

    1. 「アンチテーゼ」の「肯定意見を認めつつも否定する」する意見
    2. 「アンチテーゼ」そのものの使い方

    それぞれ解説しますね。

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  • 3-1.「アンチテーゼ」の「肯定意見を認めつつも否定」する意見

    「アンチテーゼ」とは「肯定意見を認めつつも否定する」を意味します。

    例えば「Aという意見は合っているかもしれません。しかし、違う面もありますよね」など、 1度その意見を認めた上で意見することが「アンチテーゼ」です。

    しかし「肯定意見を認めつつも否定する」と提示されても…今ひとつ解り辛いですよね?

    そこで、次のように具体例をまとめてみました。

    まずは「アンチテーゼ」と「テーゼ」のセットで使う方法を紹介します。

    1. テーマ:桜について
      <テーゼ> キレイな桜が好きな日本人は多い。
      <アンチテーゼ> しかし、桜がキレイなのは認めるが嫌いな日本人もいる。
    2. テーマ:東京について
      <テーゼ> 世界的においても東京は「先進的な都市」として有名。
      <アンチテーゼ> いや、そうとも言えない部分もある。
      意外に寺社仏閣や江戸気質や情緒が体感できるスポットも多く、むしろ「古都」に近いのではないか?
    3. テーマ:花について
      <テーゼ> 花やこの時期の花は可憐で美しい。
      <アンチテーゼ> いや案外そうではない。
      いずれ枯れてしまうから、儚くて悲しいのではと思う。
    4. テーマ:忍者の挙動について
      <テーゼ> 忍者の様々な挙動は機敏だし、キレもある上にかなり特徴的だ。
      <アンチテーゼ> 決してそうとも言い切れないかも。
      忍者といっても人間だから、屋根から落下することあるし相手にやられることもある。

    このようにテーゼ(定立)の部分を先に提示した上で、アンチテーゼを提示した方が解りやすい具体例ですね。

    「アンチテーゼ」は「定立」 つまり「そのとおりと判断できる要素」ありきで提示できる意見です。

    3-2.「アンチテーゼ」そのものの使い方

    次に「アンチテーゼ」そのものを使った5個の例文を紹介します。

    1. どんな主張にもアンチテーゼは存在する、アンチテーゼはつまり反対理論ともいえる。
      意味 ⇒どんな主張にも反命題は存在する、アンチテーゼはつまり反対理論ともいえる。
    1. 昔の大量生産消費の時代へのアンチテーゼなのか、ミニマリストが流行っている.
      意味 ⇒ 昔の大量生産消費の時代への反定立なのか、ミニマリストが流行っている.
    1. 社会へのアンチテーゼを提唱した映画で、あの監督はメジャーデビューを果たした。
      意味 ⇒社会への反命題を提唱した映画で、あの監督はメジャーデビューを果たした。
    2. 好き嫌いで物事を意見するだけでは、アンチテーゼは成立しない。
      意味 ⇒ 好き嫌いで物事を意見するだけでは、反定立は成立しない。
    3. 残業前提の就業方法のアンチテーゼとしてフレックスタイム制を導入する。
      意味 ⇒ 残業前提の就業方法の反定立としてフレックスタイム制を導入する。

    「反定立」「反命題」の他に 「反対意見」「反対論」などの言葉に置き換えても成り立つことが特徴的です。

    3-2.「アンチテーゼ」の使い方の注意

    「アンチテーゼ」を使う時の注意点が3つあります。

    その注意点をまとめました。

    誹謗中傷、個人情報掲載は絶対に避ける

    SNS等で「アンチテーゼ」を使って持論展開する際は、 特定人物や団体の誹謗中傷は元より、個人が特定できる情報掲載は絶対に避けましょう。

    「ヘーゼルの弁証法」に沿って反論することと、誹謗中傷は全く意味が違います。

    個人情報が特定できるような情報を流すやり方も同様です。

    「アンチテーゼ」だからと、何でも許されるわけではないことを知る必要があります。

    誹謗中傷、個人情報掲載は絶対に避けた上で「アンチテーゼ」な意見を提示しましょう。

    「アンチテーゼ」は端から否定する言葉ではない

    例えば「白米は日本人の主食です」という主張に対し、「白米は日本人の主食ではない。その理由は、特に最近はパンを主食にしている人が増えているから。」など、 「ある程度認めている主張」前提ありきで否定的な意見をするのが「アンチテーゼ」です。

    「白米は日本人の主食であるはずがない」と端から否定する言葉ではない、完全否定する言葉ではありません。

    自身の「アンチテーゼ」に対する「批判」も必ず現れる

    自身が提案した「アンチテーゼ」に対する「批判的な意見」も現れます。

    しかし、誹謗中傷もなく完全否定でもない「アンチテーゼ」に対する「批判的な意見」であるなら、その「アンチテーゼ」は成立しているので気にする必要もありません。

    どのような意見でも主張でも、一定数「アンチテーゼ」は存在するので「アンチテーゼ」するときは、そのことを留意しておきましょう。

    4.「アンチテーゼ」の類語「反対意見」「反定立」「正反合」「対称」

    次に「アンチテーゼ」の類語表現を紹介します。

    1. 反対意見(はんたいいけん)
      ⇒ 物事を否定する意見
    2. 反定立(はんていりつ)
      ⇒ 肯定的に意見する定立に対し、それを否定する意見
    3. 正反合(せいはんごう)
      ⇒ 「ヘーゲルの弁証法(These-Antithese-Synthese)」のこと
      「定立・定立・総合」の省略形。
    1. 対称(たいしょう)
      ⇒ 左右の釣り合いが取れている(シンメトリー)

    それぞれの例文は以下の通りです。

    • 反対意見
      例文 ⇒ 私の意見に対し、なぜ君はことごとく反対意見を出すのかね?
    • 反定立
      例文 ⇒ わが社のこの商品は、大手企業のヒット商品の反定立コンセプトにしており、今や主力の一端を担っています。
    • 正反合
      例文 ⇒ 君のその証明方法はまるで、D先輩の意見に対する「正反合」だな。
    • 対称
      例文 ⇒ あのF先輩の意見とと君の意見はまさに対照的だ。

    類語表現のこともあり、 漢字の「反」が使われている言葉が多いことが特徴的です。

    5.「アンチテーゼ(Antithese)」の英語表現

    最後に「アンチテーゼ(Antithese)」の英語表現を紹介します。

    5-1.「Antithesis」

    「アンチテーゼ(Antithesis)」は元々ドイツ語である「アンチテーゼ(Antithese)」が英語表記になっているのです。

    ちなみに意味も「アンチテーゼ(Antithese)」と同じく「反命題」ですが、次のような意味も含まれます。

    • 正反対
    • 対照
    • 対句法

    「Antithesis」は「アンチテーゼ」よりも 「正反対」の意味として使われることが多い言葉です。

    例文

    1. Her assertion is the antithesis of my
      意味 ⇒ 彼女の主張は私の意見のアンチテーゼです。
    1. He keeps the antithesis position of A senior.
      意味 ⇒ 彼はA先輩のアンチテーゼな立場を取り続ける。

    まとめ

    「アンチテーゼ」とは「反定立」と「ある程度肯定意見を認めつつも、否定する」を意味する、哲学用語を由来とする言葉です。

    一見難解に感じる言葉ですが、今回「アンチテーゼ」の正しい意味や使い方を知り、言葉に直結していないだけで常に使っている考え方だと知りました。

    物事には様々な側面があることに留意し、社会人らしく多方面で物事を検証できるようになりましょう。

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