最終更新日:2020/06/04
比喩は分かるけど、暗喩ってどういう意味だろう」
「暗喩(隠喩)」は、 「〜のような」という言葉を使わずに、物事に例える表現技法です。
※暗喩と隠喩は同じ意味です。
反対に、「〜のような」という言葉を使った表現を「直喩(明喩)」と言います。
直接的に物事に例えるのを直喩といい、例えをほのめかしているのが暗喩です。
そして比喩とは、「直喩」や「暗喩」などを総称した言葉です。
本記事では、「暗喩」や「直喩」の意味を詳しく解説しながら、例文も紹介していきます。
さらに、英語表現や、その他の比喩表現である「換喩(かんゆ)」や「提喩(ていゆ)」についても解説していきます。
気になる項目をクリック
1.「暗喩」の意味:「〜のような」を使わずに物事に例える表現技法
暗喩(隠喩)
読み方:あんゆ(いんゆ)
「〜のような」という言葉を使わずに、物事に例える表現技法
「暗喩」は比喩表現の一つで、 「〜のような」という言葉を使わずに、物事に例える表現技法です。
「暗喩」という言葉そのものを使った例文を紹介します。
<例文>
- 暗喩は相手に伝わらないこともある。
- 彼の暗喩は読解が難しい
1-1.「暗喩(隠喩)」の語源
「暗喩」は、「はっきりと表さずに、それとなく物事に喩(たと)えること」を表現する言葉として生まれました。
「暗喩」の「暗」は、「暗に」という言葉があり、「はっきりと表さない、それとなく」という意味があります。
そして「暗喩」の「喩」は、「喩える」という言葉があり、「物事を分かりやすく説明するために、似ていることや具体例に置き換えて話す」という意味があります。
(「例える」と同じ意味です。)
- 暗:はっきりと表さない、それとなく
- 喩:物事を説明するために、似ていることや具体例に置き換えて話す
この2つの言葉を合わせた言葉が「暗喩」ということですね。
1-2.暗喩(隠喩)の技法を用いた例文
「暗喩」の技法を用いた例文を紹介します。
<例文>
- 彼女は天使だ。
- 彼は現代の魔術師だ。
このように、「〜のような」という言葉を使わずに似ているものに置き換えて説明するのが「暗喩」です。
次は、「暗喩」の反対の比喩表現である「直喩」について説明します。
2.直喩(明喩)の意味:「〜のような」を使って、物事に例える表現技法
直喩(明喩)
読み方:ちょくゆ(めいゆ)
「〜のような」という言葉を使って、物事に例える表現技法
「直喩(明喩)」は比喩表現の一つで、 「〜のような」という言葉を使って、物事に例える表現技法です。
「〜のような」の他にも、「まるで〜だ」も「直喩」の表現ですね。
2-1.直喩(明喩)の語源
「直喩(明喩)」は、「喩(たとえ)が直接的で、はっきりしていること」を表現する言葉として生まれました。
「明喩」の「明」には、「はっきりしていること」という意味があります。
- 明:はっきりしていること、誰にも分かるように明白であること
- 喩:物事を説明するために似ていることや具体例に置き換えて話す
この2つの言葉を合わせた言葉が「明喩(直喩)」ということですね。
2-2.直喩(明喩)の技法を用いた例文
直喩を用いた例文を紹介します。
<例文>
- 彼の周りはいつも笑顔で溢れている。彼はまるで太陽のような存在だ。
- 彼が怒った時の顔はまるで鬼のようだ。
このように、「まるで〜のようだ」という表現を使ったのが「直喩」です。
3.「暗喩(隠喩)」と「直喩(明喩)」の英語:「metaphor」「simile」
「暗喩」と「直喩」の英語は、以下の通りです。
- 暗喩:metaphor(メタファー)
- 直喩:simile(シマリー)
今回は上記の単語ではなく、暗喩や直喩を英語で表現するにはどうすればいいか、について解説してきます。
「暗喩」の場合は、「He is a demon」のように、そのまま名詞と名詞を繋げればOKです。
「直喩」の場合は、「like」や「as」を使うことで、「〜のような」という表現ができます。
「暗喩」と「直喩」の表現を使った英文を紹介していきます。
3-1.「暗喩」の技法を用いた英文
「暗喩」の技法を英語で表現するには、そのまま名詞と名詞を繋げましょう。
「暗喩」の例文を紹介します。
<例文>
- She is an angel.
(彼女は天使だ。) - He is a modern magician.
(彼は現代の魔術師だ。)
3-2.「直喩」の技法を用いた英文:「like」「as」
「直喩」の技法を英語で表現するには「like」や「as」を使いましょう。
「as ~ as 」は「〜と同じくらい~」の意味を表すので、現実の比較だけではなく、「言葉の例え、比喩」として用いられることも多いです。
「直喩」の例文を紹介します。
- Your smile is like sunshine.
(君の笑顔はまるで太陽のようだ。) - I slept like a log last night
(昨日の夜は丸太のように眠ったよ。) - She is as cold as ice.
(彼女は氷のように(態度が)冷たい。) - I’m as free as a bird today.
(今日は鳥のように自由だ。)
4. その他の比喩表現の使い方と例文:擬人法、換喩、提喩
比喩表現は、「暗喩」や「直喩」の他にも以下の3つがあります。
- 擬人法(ぎじんほう)
- 換喩(かんゆ)
- 提喩(ていゆ)
「換喩」と「提喩」は、「暗喩」の一種です。
順に解説していきます。
① 擬人法(ぎじんほう)
擬人法
読み方:ぎじんほう
人間ではないものを、あたかも人間であるかのように表現すること
「擬人法」とは、 「人間ではないものを、あたかも人間であるかのように表現すること」です。
「喩」という言葉は付いていませんが、「擬人法」も比喩の一種です。
例えば、「笑う」や「歌う」という行動は、人間がするものですが、物事に使うこともありますよね。
「鳥が歌う」や「木が笑う」などといった言葉も耳にしたことがあるでしょう。
「擬人法」の例文を紹介します。
<例文>
- 空が泣いている。
(雨が降っている) - 今日は投手の球が走っている。
(投手の調子が良い。キレが良い)
空は泣きませんし、球そのものも走りませんよね。
このように人間以外のものを、あたかも人間のように表現することを「擬人法」といいます。
② 換喩(かんゆ)
換喩
読み方:かんゆ
英語:metonymy(メトミニー)
隣接するものを、それと関係の深いもので表現する方法
換喩は、 「隣接するものを、それと関係の深いもので表現する方法」で、「暗喩」の一種です。
隣接関係を紐付ける時に使います。
※隣接関係:近くにあるもの、またはその言葉を聞いて近くだと連想するもの
少しわかりにくいと思うので、例文をもとに解説していきます。
<例文>
- 一升瓶を飲み干した。
(一升瓶に入っているお酒を飲み干した。) - 自転車がパンクした。
(自転車のタイヤがパンクした。) - 黒板を消す。
(黒板に書いてある文字を消す。)
例文のように、 関係の深い隣接しているものに言い換える表現のことを「換喩」といいます。
3つ目の例文の場合、黒板そのものを消すことはできませんが、「黒板を消す」という言葉で「文字を消す」ことが分かりますよね。
このように「黒板=黒板に書いてある文字」というような関係を表す時に使います。
普段何気なく使っている言葉も、よく考えてみると「換喩」になっていることが分かりますよね。
③ 提喩(ていゆ)
「提喩」とは、 「部分的なことで全体を表す、またはその逆」を表す技法 で、「暗喩」の一種です。
「提喩」も少しわかりにくいので、例文をもとに解説していきます。
<例文>
例文のように、「上位概念(全体)を下位概念(部位)で表すこと、またはその逆のこと」を「提喩」といいます。
「提喩」と「換喩」はよく似ており、間違いやすいです。
そこで、以下に違いをまとめます。
- 換喩:隣接するものを表す時に使う。
例:一升瓶(に入っているお酒)を飲み干した。 - 提喩:上下関係を表す時に使う。
例:会場へ行く足(交通手段)はある?
「提喩」も、隣接しているものを表す時に使う表現ですが、上下関係がある場合に使うということですね。
まとめ
今回は「暗喩(隠喩)」や「直喩(明喩)」、その他の比喩表現について解説しました。
- 暗喩(隠喩): 「〜のような」という言葉を使わずに、物事に例える表現技法
- 直喩(明喩):「〜のような」という言葉を使って、物事に例える表現技法
- 換喩:隣接するものを、それと関係の深いもので表現する
- 提喩:部分的なことで全体を表す、またはその逆
それぞれ、普段何気なく使っている表現技法ですよね。
「直喩」は、「〜のような」という言葉を使っているので、ものに例えていることが相手に伝わりやすいです。
反対に「暗喩」の場合は、「〜のような」という言葉を使わないので、相手に伝わらない可能性もあります。
そのため、多用はせずに使い方には注意したいですね。