最終更新日:2020/06/26
「ボトルネック」は、「物事の進行の妨げとなる要因」や「仕事がうまく進まない原因がある部分」という意味があります。
今回は、「ボトルネック」の意味を具体的な例を踏まえ、使い方から類語までわかりやすく解説していきます。
プロジェクトを推進する中で、必ず出てくる言葉なので知っておくと安心する言葉です。
ぜひ参考にしてください。
気になる項目をクリック
1.「ボトルネック」の意味
仕事がうまく進まない原因がある場を示す
ボトルネック
読み方:ぼとるねっく
- 物事の進行の妨げとなる要因
- 仕事がうまく進まない原因がある部分を示す
- 瓶の口の部分のように途中で幅が細くなっている形
「ボトルネック」は物事の一部が狭くなり、流れが滞る様子を、瓶の首の部分になぞらえた言葉です。
例えば、ホースなどが何かにひっかかってしまい、途中が細くなっているとします。
すると、引っ掛かりが原因で水が想定よりスムーズにでません。
このように、このひっかかりの部分が「ボトルネック」と言われます。
「ボトルネック」は英語「bottleneck」が語源
「ボトルネック」の語源は英語の「bottleneck」です。
「bottle」(ボトル・瓶)と「neck」(首)を組み合わせた言葉で、直訳そのままに、瓶の首にあたる細い部分を指しています。
英語の「bottoleneck」は日本語の「ボトルネック」と同じく、「物事がうまく進まない部分や要因」という意味で使われています。
2.ビジネスでの「ボトルネック」の使い方と例文
「ボトルネック」の意味が分かってきたところで、具体的な例文を見て、どのような場合に使うか見ていきましょう。
工場の生産ラインに「ボトルネック」がある場合
物事の数量や人員などが数的に足りないようなことで、全体の流れを妨げているような場合に「ボトルネック」を使います。
例えば、テレビなどの家電を生産する工場を想定します。
テレビの部品を組み立てるラインがあるとし、組み立ての作業員が9人います。
その現場に対し、3人しかいないとなると、検品する人が足りないため、組み立ての人が効率を上げても、仕事ははかどりませんよね。
この「検品する人が足りない」ことを「ボトルネック」と言い、「〜が原因でボトルネックが発生しています」などと使います。
下記のような例文で使われます。
<例文>
- 検品する人員が少ないことがボトルネックとなり、納品に間に合わない可能性があります。
- 検品の工程がボトルネックです、改善案を練る必要があります。
システム開発の工程に「ボトルネック」がある場合
数量的な要因だけでなく、能力などが物事の流れを妨げている様も「ボトルネック」と言われます。
システム開発の工程で、人員配置の数は適正に配置したが、遅れが発生する場合があったとします。
その遅れの発生の原因が「設計担当が新人であること」によるものがとしたら、その「新人の配置」が「ボトルネック」となり、全体の進捗が遅れてしまうのです。
例えば下記のように使われます。
<例文>
- 設計担当がボトルネックになってしまっているので、設計担当をベテランに変えて進めてみましょう。
- 設計の遅れがボトルネックとなり全体が遅れています。
書籍の編集に「ボトルネック」がある場合
上記までのような数量や能力以外でも、物事の工程に障害となることを「ボトルネック」と呼び使います。
「校閲」という言葉がありますよね。
書籍の出版では、文章に誤字脱字や用法に間違いがないかを、チェックする工程を「校閲」といいます。
この「校閲」を作業するパソコンが、動作が遅くて出版に時間がかかってしまう場合、「ボトルネック」は作業するパソコンが遅いことです。
以下のように使われます。
<例文>
- 校閲部のパソコンの遅さがボトルネックで、出版までに時間がかかりすぎてしまう。
- 校閲用のソフトが変わり、操作方法が変わったことがボトルネックとなり、出版までに間に合わない。
3.ビジネス以外での「ボトルネック」の使い方
このようにビジネスの場での「ボトルネック」は、 「仕事がうまく進まない原因がある場を示す」意味で使います。
しかし、下記の3つの場面では「ボトルネック」の使われ方が異なります。
- アパレル
- 音楽
- 遺伝子学
それぞれ、どんな使われ方をしているのか、見ていきましょう。
アパレルでは服の形を示すときに使う
アパレル業界では、その単語の意味の通り使われています。
ボトルの首の部分のようなデザインの洋服を「ボトルネック」と呼びます。
アパレルでの「ボトルネック」は、洋服の首の部分のデザインが、瓶の口のように立ち上がったデザインを指します。
「タートルネック」と「ハイネック」は同様に、首の部分が立ち上がったデザインを指しますが、それぞれ少し違います。
・タートルネック
直訳である、亀の首のように首の部分が立ち上がっているデザインを指します。
折り返しがあるような、少し首周りにゆとりがあるようなデザイン。
・ハイネック
タートルネックのようにゆとりはなく、首全体を覆うようなぴったりとしたデザイン。
・ボトルネック
首の高さが、ハイネックより短いデザインを指します。
まさに、瓶の口の部分のように、飲み口を切り取ったようなデザイン。
ギターにはボトルネック奏法という演奏方法を指すときに使う
演奏方法では「ボトルネック奏法」という「ボトルネック」の使い方があります。
「ボトルネック奏法」と呼ばれる理由は、ギターの弦を上から押さえる時に「瓶の口の部分」のような筒状の金具を使うからです。
この奏法では、例えば、ブルースなどで耳にする、音階が切れ目なく上下する音をだすことができます。
もともとは、本当の「瓶の口の部分」を切り取って使っていたことから「ボトルネック奏法」と言うようになったのです。
ボトルネック効果という遺伝子学上の言葉で使う
遺伝子学では、似たような遺伝子の集団が出来上がる現象に、「ボトルネック」という言葉を使います。
ある種族が、天候不良や外敵の攻撃などにより、一時的に、激減したとしましょう。
その後、その種族は、再び繁殖を繰り返し、個体数が元に戻ります。
激減した時期に生き残っていた遺伝子が、その後の個体に引き継がれるため、似たような集団が出来上がるのです。
種族の人口が一時的に減っている時期が「ボトルネック」のように見えたため、似たような遺伝子を持つ集団が生まれていく様を「ボトルネック効果」と言うようになりました。
世界の大陸や国家に、血液型の方よりが見られるのも、「ボトルネック効果」の名残と言われています。
4.「ボトルネック」の類語・言い換え
「ボトルネック」には以下のような類語があります。
- 遅延要因
- 隘路
- 難点
- 支障
それぞれの違いを、例文を交えて見ていきましょう。
類語1.「遅延要因」
遅延要因
読み方:ちえんよういん
意味:物事が遅れる要因
「遅延要因」は物事が時間的に遅れたことの要因という意味です。
主に突発的な事故が起きた時など、再現性が低い要因を示すときに使います。
「ボトルネック」と同じく、「物事の進行の妨げとなる要因」として使える言葉です。
<例文>
- 電車の遅延要因は、信号機の故障による安全確認のためです。
類語2.「隘路」
隘路
読み方:あいろ
- 意味:物事の進行が困難となる問題。
- 道幅が狭くなっている道路、通路。
「隘路」の直接の意味は、幅が狭くなっている通路、道です。
この様子が、「ボトルネック」のように物事の進行を困難にしている問題という意味で使われます。
<例文>
- 運転資金が隘路となってしまい、事業方針を変えた。
- この交差点の先が隘路になっている、そのためよく交通渋滞が起こる。
類語3.「難点」
難点
読み方:なんてん
意味:解決が難しい箇所。欠点。
仕事上、解決することが難しい問題点の事や、 何かを評価するときに、欠点という意味で「難点」は使われます。
「難点」により仕事が遅れたりするという意味で、「ボトルネック」と同様に使うことができるのです。
<例文>
- このプロジェクトは、お客様の需要を見極めることが最大の難点である。
- このオフィスは、駅から遠すぎることが難点だ。
類語4.「支障」
支障
読み方:ししょう
意味:物事が何かの進行を妨げていること。
「支障」は何かが、物事の進行を妨げている事を示します。
「ボトルネック」同様の意味を持つ言葉として使える言葉ですね。
<例文>
- インフルエンザがはやり、業務に支障がではじめている。
5.英語「bottleneck」の使い方
うまくいかない原因を指すときに使う
語源でも説明しましたが、「ボトルネック」は「bottleneck」という英語をカタカナ読みした言葉です。
bottleneck
- 仕事がうまく進まない原因がある場。
- 道幅が狭くなっている箇所、通路。
冒頭でも説明しましたが、英語の「bottleneck」は、日本語での「ボトルネック」とほとんど同じ使い方をされています。
しかし、英語の「bottleneck」には、日本語の「隘路(あいろ)」の意味でもある、「道幅が狭くなっている箇所」という意味も含みます。
上記の点だけが、日本語と英語での使い方の違いです。
<例文>
- The shortage of skilled engineer is a bottleneck in development.
「熟練エンジニアの不足が、開発のうまくいかない要因である」 - There’s always going to be a bottleneck because only three people check all products.
「すべての製品を、たった3人でチェックしていることが、常に仕事がうまくいかない原因になっています。」
6.まとめ
「ボトルネック」は物事の進行が困難となる要因を示す言葉です。
プロジェクト全体を管理する会議や打ち合わせでは、とてもよく使われます。
ひとつの「ボトルネック」が解消すると、違うボトルネックが見えるのです。
常に、ボトルネックを意識することで、どんどん仕事をスムーズにしていけるとよいですね。