最終更新日:2020/06/04
「大丈夫です」は 目上の人に対する言葉としては失礼です。
賛成や肯定であれば「はい、お願いします」、了解なら「かしこまりました」などの言い方のほうが適しています。
今まで当然のように「大丈夫です」と言ってきたという方は、丁寧な返事の仕方を覚えましょう。
この記事では、「大丈夫です」は敬語として使えない理由、状況別の「大丈夫です」の敬語表現などを詳しく解説していきます。
気になる項目をクリック
1.「大丈夫です」は敬語として使えないので注意
「大丈夫です」は目上の人には使えない
大前提として、「大丈夫です」は上司や得意先の相手に使うべきではありません。
何故なら、 「大丈夫です」は敬語ではなく、対等かそれ以下の相手に使う言葉だから です。
さらに、「大丈夫です」には 肯定としても否定として受け取れるため、誤解を招く可能性が高い表現でもあります。
そこで、まずは「大丈夫です」の意味を1つずつ詳しく確認していきましょう。
それぞれの意味を理解すれば、状況に応じて適切な言い換えをすることもできるようになりますよ。
「大丈夫です」の意味
大丈夫です
読み方:だいじょうぶです
- 賛成です・肯定します
- 了解です・
- お断りします
- 問題ないです
このように、数多くの意味が存在する「大丈夫です」という言葉ですが、特に注意して欲しいのが3番の意味で使うときです。
断るつもりで使った「大丈夫です」が「問題ない」という肯定の意味で伝わることはビジネス以外の場でもよくあります。
このような事態を避けるためにも、「大丈夫です」を状況に応じて適切に敬語に変換できることが大切です。
そこで、次は「大丈夫です」の状況ごとの敬語表現を確認していきましょう。
2.状況別:目上の人に使える「大丈夫です」の敬語表現
つい「大丈夫です」と使ってしまう場面ってありますよね。
ですが、敬語としてはふさわしくない表現です。
そこで、 「大丈夫です」のかわりに目上の人に使える敬語表現を、以下の4つの場面から紹介します。
- 賛成・肯定する時
- 了解する時
- 誘いを断る時
- 問題ないと示すとき
それぞれ解説していきますね。
賛成・肯定する:「はい、お願いします(いたします)」
目上の相手に賛成または肯定の意味で「大丈夫です」と言いたいときは、はっきりと「はい、お願いします」と伝えるのがベストです。
そうすることで、 相手に確認の手間をとらせずスムーズに仕事を進めることができます。
次の例のように使ってみましょう。
では、来週の月曜日までに結果をご報告させて頂きますね。
はい、よろしくお願い致します。
了解する:「承知しました」
「了解」の意味でも「大丈夫です」を使う場面がありますが、 そのときは「承知しました」を使います。
例えば次のように使いっていきましょう。
では、明日までに報告書をまとめておいてね。
はい、承知致しました。
ちなみに、「了解です」は、目上の人に対し使うべき言葉ではありません。
何故なら、 「了解です」は自分と同格あるいは格下の相手に用いる表現だからです。
もし、これまで目上に対して、了解の意味で「大丈夫です」や「了解です」を使っていたという人は、これを機に「承知しました」と言い換えるようにしてくださいね。
誘いを断る:「遠慮しておきます」「お気持ちだけ頂戴します」
上司や取引先からの誘いを断る場合は、多少言いにくくても「遠慮しておきます」とはっきりとお断りの意志を示しましょう。
なぜなら、「大丈夫です」を「OK」といった肯定の意味と捉える人もいるからです。
相手がそう受け止めってしまっては、「先日は大丈夫と言ったじゃないか!」といったような入れ違いが起きる可能性があります。
とはいえ、目上の相手や得意先に対して、はっきりとお断りの言葉を口にするのはなかなか難しいですよね。
そういうときは、「申し訳ありませんが」や「恐れ入りますが」などの クッション言葉から切り出すと表現がかなり柔らかくなります。
次のように使っていきましょう。
先日ご案内した件はご検討頂けましたでしょうか?
申し訳ありませんが、今回はお気持ちだけ頂戴します。
問題ないと示す:「問題ございません」
「問題ない」と目上の相手に伝えたいときは、「大丈夫」ではなく「問題ございません」とはっきり言うのがベストです。
何も問題がないとはっきり伝えることで、自信が感じられ、また意味の取り違えが起きる可能性も減らすことができます。
次の例文を参考にしてください。
明日のプレゼンの準備は滞りなく進んでいるね?
はい、問題ございません。
ここで合わせて確認しておきたいのが、「大丈夫です」と同じぐらいよく使われる 「結構です」「構いません」という言葉の使い方です。
一見丁寧に感じるこの2つの言葉は、実は両方とも目上の相手に使うべき言葉ではありません。
3.目上の人に対して「結構です」「構いません」は不適切
「結構です」と「構いません」は 目上の相手に使うのは不適切です。
何故なら、この2つの言葉には次のようなニュアンスが含まれているからです。
- 結構です(「余計なお世話です」という強い拒絶のニュアンス)
- 構いません(「別にどちらでも構いません」と曖昧かつ上から目線なニュアンス)
それぞれ確認していきましょう。
「結構です」は強い拒絶のニュアンスを持つ失礼な表現
「結構です」は目上の人に対して使うのは失礼とされています。
何故なら、「結構です」は強い拒絶を示す言葉だからです。
例えば、相手の行為に対して、遠慮の意味で「結構です」と言えば、 それが「余計なお世話です」という意味で伝わる可能性があります。
他にも、冷たい印象を与えてしまい、いずれにせよ、ビジネスで目上の相手に使うには偉そうな態度に見えてしまいます。
そのため、目上の人に「結構です」を使うのは不適切なのです。
「結構です」と言いたいときは次のように言い換えてみてください。
×:その話はもう結構です。
○:申し訳ありませんが、そのお話についてはお断りさせて頂きたく存じます。
「構いません」はあいまいで上から目線な失礼な表現
「構いません」も目上相手に使うには失礼な言葉です。
なぜなら、「大丈夫です(問題ないです)」という意味で使う「構いません」には、 どちらでも構わないという曖昧で上から目線なニュアンスが含まれています。
こちらが心を込めてお願いしているのに、「どちらでもいいよ」と返されたら誰だっていい気はしませんよね。
先方にそんな不快な思いをさせないためにも、「構いません」は次のように言い換えていきましょう。
×:その日程で構いません。
○:2月9日ですね。はい、問題ございません。
では、次に「大丈夫じゃないです」と敬語で言いたいときに使える表現をみていきましょう。
4.目上の人に使える「大丈夫じゃないです」の敬語表現
「~かねます」の意味
「大丈夫じゃないです」と敬語で言いたいときは、 「~かねます」と言うのが適切です。
「~かねます」は次のように使います。
<例文>
お客様のご要望は弊社では承りかねます。
「~かねます」は「~できません」の遠回しな表現で、ビジネスで目上相手に使える言葉です。
しかし、便利な反面、次で説明するようなニュアンスを含むことに気をつけてください。
「~かねます」には曖昧なニュアンスも
「~かねます」は「~できません」というお断りに使える表現です。
しかし、婉曲的な言い方であることから、相手に「もしかしたらできるかもしれないけど~」と期待をさせてしまう恐れもあります。
そこで、どうしても無理な場合は、はっきりと「お受けできません」と伝えることが大切です。
厳しく感じられる場合は、次のように頭にクッション言葉を入れて、 表現を柔らかくしましょう。
<例文>
申し訳ありませんが、そのご依頼はお受けできません。
やや曖昧なニュアンスを持つ「~かねます」ですが、使いどころさえ間違えなければ敬語表現の幅が広がりますよ。
5.「大丈夫です」の英語表現
取引先が外国人の方だった場合、「大丈夫です」はどう言えばいいのでしょう。
英語で「大丈夫です」に相当する表現には以下のようなものがあります。
- I’m okay(結構です・(健康的に)大丈夫です)
- I’m fine(問題ないです・結構です)
- I’m all right(大丈夫です)
- all set(準備は整っている)
いずれも「大丈夫です」という意味ですが、 それぞれに使うべきタイミングやニュアンスが異なります。
順に見ていきましょう。
英語1.「I’m okay」
「I’m okay」には、「(健康的に)大丈夫です」という意味と「結構です」という意味があります。
体調を訊ねられたときや、何かを勧められたときに使える表現です。
例文で見ておきましょう。
英語2.「I’m fine」
「I’m fine」には、 「結構です」という意味と「問題ないです」という意味があります。
例文で確認しましょう。
<例文>
・I’m fine with something simple.
(簡単なもので結構です。)
・I’m fine for now.
(今のところ大丈夫です。/今のところ問題ありません。)
英語3.「I’m all right」
「I’m all right」も「(健康的に)大丈夫です」という意味で使われます。
ネイティブの人はしばしば「I’m alright.」という短縮系(スラング)を使いますが、 正式な使い方ではないので注意してください。
例文を見ておきましょう。
英語4.「all set」
「all set」は「(準備は全て整っているので)大丈夫です」という意味で使われます。
ビジネスの場面で 「これで完了しました」と相手に保証するような場面で使われます。
例文を見ておきましょう。
<例文>
We are all set.
(全ての手続きが完了致しました。)
6.「大丈夫です」の韓国語表現: 괜찮습니다(ケンチャンスムニダ)
韓国語で「大丈夫です」は「괜찮아요(ケンチャナヨ)」と言います。
「大丈夫ですか?」と訊ねる場合は「괜찮아요?(ケンチャナヨ?」と語尾を上げて言いましょう。
以下のように表現することで、丁寧語や過去系になります。
- 괜찮습니까?(ケンチャンスムニッカ?):大丈夫でいらっしゃいますか?
- 괜찮았습니다(ケンチャナッスムニダ):大丈夫でした
どちらもビジネスで使ってもよい、丁寧な言いまわしです。
順番に見ていきましょう。
韓国語1.(大丈夫でいらっしゃいますか?:괜찮습니까?(ケンチャンスムニッカ?)
괜찮습니까?(ケンチャンスムニッカ?)は、「大丈夫ですか?」を意味する 「괜찮아요?(ケンチャナヨ?」の丁寧な表現です。
例えば、次のように使います。
<例文>
약속 시간을 조금 늦춰도 괜찮습니까?
(約束のお時間を遅らせても大丈夫(よろしい)でしょうか?)
相手先に時間の変更をお願いするときなどにも使える便利な表現です。
韓国語2.大丈夫でした: 괜찮았습니다(ケンチャナッスムニダ)」)
「大丈夫でした」は韓国語で、「괜찮았습니다」と言います。
日本語の「大丈夫でした」のように、 「問題ありませんでした」という意味でも使うことが可能です。
次の例文のように使ってみましょう。
<例文>
전체적으로 괜찮았습니다.
(全体的に良い感じでした(問題ありませんでした)。)
まとめ
「大丈夫です」は目上の相手に使うには相応しくない言葉です。
「大丈夫です」には「賛成です」という意味から「お断りします」という意味まで様々な使い方があります。
ですから、敬語や英語で「大丈夫です」と言いたいときには、 意味に応じて適切な表現を選ぶようにしましょう。
この記事を読んで、ビジネスの場面でも正しく「大丈夫です」を使えるようになってくださいね。