最終更新日:2020/05/09
鋭意(えいい)は、「 一生懸命に」「集中して」という意味です。
「鋭意」の意味を知らずとも何となく文脈からニュアンスは判断できるものの、社会人として「鋭意」は理解しておいた方が、表現の幅が広がります。
また、上司などに「鋭意」を使ってやる気を見せることで、さらに期待されるなんてこともありえますよ。
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1.「鋭意」の意味
まず「鋭意」の読み方と意味を解説します。
鋭意
読み方:えいい
(副詞)一生懸命に、集中して
「鋭い意思」と書いて鋭意です。
自分の意思や気持ちを鋭くし、ことにあたることを意味します。
「気持ちを鋭くする」というのは、 「中途半端な気持ちではなく、自分を律して取りかかる様子」を表します。
2.「鋭意」の使い方
「鋭意」は、自分の心情や気持ちの強さを強調したい時に使います。
以下のような言葉をビジネスシーンで、耳にする機会がある人も多いのではないでしょうか。
- 鋭意努力
- 鋭意製作中
それぞれの意味を見ていきましょう。
2-1.「鋭意努力」
「鋭意努力」=「一生懸命努力する」という意味です。
「頑張ります」だと子供っぽいので、ビジネスシーンでは「鋭意努力」を使った方がいいでしょう。
中途半端な気持ちではなく、やるべきことをしっかりやるという意味込みを感じさせることができます。
例文で使い方を確認してみましょう。
<例>
- ご期待に沿えるよう、鋭意努力してまいります。
- イベントが成功しますよう、鋭意努力します。
「一生懸命」との違い
新しいことに挑戦する際にその情熱を伝えたい時などは、「鋭意」を使う方がより気持ちの強さが伝わりやすいです。
「一生懸命やる」と「鋭意努力する」は同じような意味で使いますが、一生懸命の方は後ろ向きな気持ちの時にも使うからです。
意味 | 違い | |
---|---|---|
一生懸命 | 頑張る | 嫌だけど、できるかわからないけど、という心情でも使う |
鋭意 | やり遂げるという前向きな気持ちの気持ちのときに使う |
「一生懸命やる」は頑張る時にも使いますが、「嫌だけど、できるかわからないけれど、しぶしぶやる」という後ろ向きな気持ちのときにも使います。
一方、「鋭意努力します」は「しぶしぶやる」ではなく、「やるぞ!」「成功させるぞ」という気持ちのときだけ使う言葉です。
微妙な違いですが、相手に気持ちの強さを伝えたいなら「一生懸命」よりも「鋭意努力」を使うのが適しています。
2-2.「鋭意製作中」
「鋭意制作中」は、前向きな姿勢で何かを制作している様子を表す言葉です。
ビジネスでの「鋭意制作中」を使ったフレーズを、「一生懸命制作しています」を使ったフレーズと比較しながら見てみましょう。
<例>
- 先日の企画書ですが、現在鋭意制作中です。
- 先日の企画書ですが、現在一生懸命制作中です。
言っていることは同じですが、下の例文は「今やっていますよ」と、人によっては嫌々ながらいっている感じに聞こえる可能性があります。
しかし、「鋭意制作中です」と言えば、「成功させるぞ!」「いいものを作り上げるぞ!」という 非常にポジティブに頑張っている様子を伝えることができます。
相手に「いいものを作ってくれそうだな」と感じさせたいときは、「鋭意制作中」を使うことをおすすめします。
2-3.その他の「鋭意」を使った例文
「鋭意」は 対応するときや、期待に応える、ときにも使えます。
<例>
先日いただいたリクエストですが、鋭意対応させていただきます。
もらったリクエストをその通り実現できるように全力で対応します、という気持ちの強さを表れています。
「対応できるか分からないけど、やってみますね。」のようなその場しのぎの回答ではなく、 前向きな気持ちを伝えることができます。
<例>
励ましのお言葉ありがとうございます。鋭意邁進(まいしん)してまいります。
これから頑張っていくぞという気持ちで周りの期待に応えようとする態度が現れています。
「頑張ってくださいね」と言われた時に「鋭意邁進します」と答えたら、「この人はやってくれそうだ」と期待されることでしょう。
【注意】「鋭意」は自分(身内)に対してしか使えない
「鋭意」は 自分側の意思や頑張りにしか使えません。
相手の努力や頑張りに対して使うと、まるで「期待していなかったけど」「不安だったけど」と受け取られ失礼になるのでNGです。
なぜなら、「鋭意」には「 集中して頑張ったらできる」のようなニュアンスがあるからです。
以下のように相手の努力や頑張りに対しては使わないようにしましょう。
<NG例>
貴社の鋭意努力のおかげで、無事にイベントが大成功となりました。
相手の努力や頑張りを評価したいときは、 「尽力のおかげで」などが適しています。
3.「鋭意」の類語表現
鋭意の類語表現には以下のような言葉があります。
- ひたむきに
- 誠心誠意(せいしんせいい)
- 熱心に
①ひたむきに
「ひたむきに」は「 忍耐強く、よそ見もせず一心に」という意味です。
目標に向かって一直線に集中している様子を表現することができます。
例えばこんな風に使います。
<例>
- 志望大学の合格を夢見て、ひたむきに勉強し続ける。
- 企画の成功に向け、ひたむきに準備を進めましょう。
「鋭意」と比べると若い世代の人にも意味の分かりやすい言葉なので、年下の人との会話に使えます。
②誠心誠意(せいしんせいい)
「誠心誠意」は、「誠心」と「誠意」2つの言葉から成り立っています。
- 誠心:偽りのない気持ち、心
- 誠意:自分の考えに正直に、前向きに
嘘偽りない気持ちや、前向きな心の様子を表すことができます。
<例>
お役に立てますよう、誠心誠意尽くしてまいります。
このように、全力で前向きに取り組む様子を表すほか、心の底から反省している様子を伝えるときにも使います。
<例>
この度は、誠心誠意お詫び申し上げます。
③熱心に
「熱心に」は「 熱い心で、真剣に」という意味で使います。
以下の例文のように、熱い気持ちで目的に突き進んでいる様子を表現することができます
<例>
- 早く昇進するために、熱心に仕事に取り組んできた。
- 熱心な営業の結果、ノルマを達成したみたいだ。
「誠心誠意」の場合は、「誠心誠意お詫び申し上げます」のように謝罪の言葉にもつかえましたが、「熱心に」の場合は基本的に使えません。
熱心に謝罪するだと、「心の底から」というニュアンスではなく、「 何度も、しつこく」という悪い意味が含まれるので、使わないようにしましょう。
4.「鋭意」の英語表現
「鋭意」を英語で表現したい時は、 do my best(全力を尽くす)、hard(懸命に)、 concentrate(集中する)といった単語を使います。
それぞれの例文を紹介しますので、使い方を確認しながらチェックしてみましょう。
- I’ll do my best for succeeding this party.
(今回のパーティが成功しますように、鋭意努力します。(全力を尽くします。) - I am creating the next application very hard.
次のアプリを鋭意制作中です。 - I will concentrate on your requests.
リクエストに鋭意対応させていただきます。
まとめ
「鋭意(えいい)」は、 「一生懸命、集中して」という意味です。
「頑張ります」よりも、「鋭意努力します」の方がビジネス向けで、意気込みを強調できるので相手へも熱意が伝わりやすいです。
「鋭意努力します」と使えるようになれば、きっとあなたのやる気を周囲に伝えることができるでしょう。