「不肖」の意味と使い方!「不肖の息子」は誤りだった?【例文あり】

不肖の意味とは ビジネス用語

普段はあまり耳慣れない「不肖」という言葉ですが、冠婚葬祭や会社の飲み会でたまに使われることがあります。

不肖とは 「とるにたらないこと、未熟で劣ること」という意味です。

「不肖ながら」「不肖の息子ですが」といった言葉を、耳にしたこともあるのではないでしょうか?

実はその表現、気をつけないと失礼にあたることもあるので、要注意です。

本記事では、主に例文を用いながら、不肖の正しい使い方・類義語・対義語・英語表現まで解説します。

1.「不肖」の意味:「取るにたりない」

不肖

読み:ふしょう

取るに足りないこと。未熟で劣ること。父に、あるいは師に似ないで愚かなこと

不肖とは「不」と「肖」に分解でき、それぞれの漢字は、以下の意味です。

  • 【不(ふ)】:否定を表す語。…しない。…でない。よくない
  • 【肖(あやか)る】:影響を受けて同様の状態になる

つまりこれらを合わせると、影響を受けて同様の状態にならない、という意味になります。詳しく説明をしますね。

1-1.「肖る」の意味は「あやかる」

「あやかる(肖る)」は、あるものや人に似るようにする、という意味の動詞です。

尊敬したりあこがれたりするものについて、同じように自分もなる、ということを示します。

何かに感化され影響を受けて、それと同じ状態になることを表しますので、一般には良いこと、素晴らしいものについて使う言葉だといえます。

つまり、 不肖は、肖れていないため、その逆の「とるにたらない・未熟な」という意味になります。

  • スポンサーリンク

  • 1-2.「肖」には「似る」の意味もある

    「肖」は本来「似る」という意味を持つ漢字です。人の顔を描いた絵が「肖像画」と呼ばれるのは、そのためです。

    すなわち、「不肖」を文字通りに解釈すれば、その意味は「似ていない」ということになります。

    すると「不肖の息子」とは、単に「親に似ていない息子」という意味になるように思われますが、 比較対象である「親」が立派であるという、暗黙の前提があります。

    これは、親を敬うという、家制度の考え方が日本に残っているからです。

    そのため不肖とは、「立派な父や師に、似ていない」という意味への解釈ができます。

    こうした背景が理解できると、正しい使い方や誤った使い方が見えてきますね。

    2.「不肖」の正しい使い方・例文

    「不肖」は口語で使うよりも、文章語で多く使います。

    口語としては、冠婚葬祭やスピーチで使うことが多いです。どのようなシーンで、どのように使えるのか、例文を紹介していきます。

  • スポンサーリンク

  • 「不肖の身」

    <例文>
    不肖の身ながら、努力いたす所存です。(社内での自己紹介の挨拶)

    未熟者ですが、取るに足りない身ですが、という意味で使用します。

    ただし、 紹介された際の自己紹介では、紹介してくださった方を間接的に下げてしまうことになるので、注意してください。

    「不肖の息子」

    <例文>
    不肖の息子ですが、これからもよろしくおねがいします。(息子から父へのあいさつ)

    自分の父を褒め称えることになるので、家族以外の人がいるシーン(結婚式など)での発言は控えましょう。

    自分をへりくだり父をたてるので、身内で挨拶をするときなどに使うのはOKです。

  • スポンサーリンク

  • 「不肖ながら」

    <例文>
    不肖ながら、B社への就職が決まりました。大変お世話になりました。(元上司への転職の挨拶)

    転職の成功を、元上司に伝える際の例文です。

    自分の身分を上げることをせず謙遜し、上司に伝えるために「不肖」を使用します。

    「不肖、〜」

    <例文>
    不肖、渡辺が申し上げます。(社内での会議)

    あまり使用することは少ないですが、自らを名乗る際に使う例です。

    自分自身を紹介する時は、謙遜の意味合いとして取られるので、この例でも「社長は立派な人物ですが、自分は愚か者です」ということにはなりません。

    続いては、「不肖」の間違った使い方を解説していきます。

  • スポンサーリンク

  • 3.「不肖」の間違った使い方に注意

    「不肖な息子ではありますが」「不肖私が、●●を務めます」などの言葉は、場面によっては間違った使い方となりますので、注意が必要です。

    どのような場面で「不肖」を使わない方が良いのか、「不肖」の間違った使い方を紹介していきます。

    3-1.紹介された時の自己紹介では使わない

    「不肖」を会議や何かの席で紹介された際に、使うのは好ましくありません。

    例えば、結婚式の司会を新郎新婦から任されているのにも関わらず、「不肖私が、司会を務めます」と言ったらどうでしょうか?

    新郎新婦や参加者の立場を低げているように、意味を取られてしまいます。

    自分をへりくだる意味で謙遜表現を使っても、他人まで下げるニュアンスになりかねません。

  • スポンサーリンク

  • 3-2.他人を紹介するときには使わない

    他人を紹介するときに「不肖」を使用するのも、失礼に思われる可能性があります。こちらも例をあげていきます。

    結婚式の挨拶で、親が子に「不肖な息子ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします」とスピーチするのはどうでしょうか?

    これは、間違いではないですが、いささかおかしい表現です。

    不肖は本来「立派な親に似ず、取るにたりない」という意味ですから、これでは 自分が立派であることを証明している表現になります。

    同様に、上司が部下を紹介するときも同じ理由でおかしい表現になります。

    なお、自分の子を控えめに表現するのであれば、男性は「愚息(ぐそく)」、女性は「不束者(ふつつかもの)という表現が適切でしょう。

    3-3.読みが同じ言葉に気をつける:不承・不詳・不祥

    「不肖」は、同じ読み方の漢字がいくつかあり、時々間違えて使われることがあります。

    読み方が同じですが、意味は大きく違いますので、気をつけましょう。

    それぞれの意味は以下のとおりです。

    不詳・・・詳しくは分からないこと。はっきりしないこと
    例:「作者不詳」「年齢不詳」

    不祥・・・めでたくないこと。縁起の悪いこと。運の悪いこと
    例:「不祥事が起きる」「不祥な言葉を避ける」

    不承・・・不承知の略。承知しないこと。承知できないこと
    例:「不承の返事を出す」「ご不承とは存じますが」

    4.「不肖」の類義語

    不肖には、どのような類義語があるのでしょうか?

    「不肖」は、類語表現がいくつかあります。

    ここでは、その中でも使用頻度が高い3つの言葉を厳選して紹介していきます。

    • 拙い
    • 小生
    • 未熟

    では、順番に解説していきます。

    類語1.「拙い(つたない)」

    拙い

    読み:つたない

    能力が劣っている。ふつつかであること

    「拙い」とは、「能力が劣っている」「ふつつか」という意味です。

    こちらは、技術的に劣っているという意味で、 自分をへりくだる際に、ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですね。

    例:拙い説明で、申し訳ありません

    類語2.「小生(しょうせい)」

    小生

    読み:しょうせい

    一人称の人代名詞。男性が自分をへりくだっていう語

    「小生」とは、 「主に手紙で、男子が自分を指して使う謙称」「同等以下の相手に対して、自分をへりくだって指し示す語」と定義されています。

    立場が上の相手に対して使うと失礼にあたりますので、注意が必要です。

    例:小生相変わらず元気です。

    類語3.「未熟(みじゅく)」

    未熟

    読み:みじゅく

    学問や技術などの経験・修練がまだ十分でないこと

    「未熟」とは、技術・教養などが熟練していないことを意味します。自分がまだ一人前でないことを謙遜していう言葉です。

    そのため、新入社員など 本当に“未経験”な若者が使うと、慇懃無礼(いんぎんぶれい | 言葉や姿勢が丁寧すぎて、かえって無様なさま)になります。

    例:いえ、まだ未熟な身です。今後もご指導よろしくお願いいたします。(取引先にお礼をされての返事)

    5.「不肖」の対義語

    「不肖」の対義語には、どのようなものがあるでしょうか?

    「不肖」の対義語は、以下の3つです。

    • 貴公
    • 熟練
    • 精通

    「貴公」は、使う相手が「不肖」と対になっており、「熟練」「精通」は、技術や能力において「不肖」と対になっています。

    では、順番に解説していきます。

    対義語1.「貴公(きこう)」

    貴公

    読み:きこう

    二人称の人代名詞。男性が、対等または目下の男性に対して用いる言葉

    「貴公」は、男性が 対等または目下の男性に対して用いるので、目上の人にへりくだる「不肖」とは逆の意味になります。

    例文:貴公の成功を祈る。

    対義語2.「熟練(じゅくれん)」

    熟練

    読み:じゅくれん

    よく慣れていて、上手なこと

    「熟練」とは、 物事に慣れて、手際よくじょうずにできることを意味します。

    未熟で劣る意味を持つ「不肖」とは逆の意味となります。

    例文:彼は熟練した技能を持っている。

    対義語3.「精通(せいつう)」

    精通

    読み:せいつう

    物事によく通じていること。詳しく知っていること

    「精通」とは、 ある物事について「詳しく知っていること。物事によく通じていること」を意味します。こちらも未熟で劣る意味を持つ「不肖」とは逆の意味となります。

    例文:彼女は、科学の分野に精通している

    6.「不肖」の英語表現

    「不肖」の英語表現を見てみましょう。なお、 英米では、謙遜した言い方はありませんので「出来が悪い」「未熟である」という意味で使います。

    不肖は、unworthinessといいます。

    例文:a son who does not deserve his father(不肖の子)
    ※「…に値しない」は「do not deserve…」です。

    例文:Incompetent as I am, I’ll do my best.(不肖私が精一杯努めます)

    まとめ

    不肖とは、「取るに足りないこと。未熟で劣ること。父に、あるいは師に似ないで愚かなこと」という意味です。

    そのため、目上の人に使う言葉ですが、その際の微妙なニュアンスをご紹介しました。

    不肖という言葉は、現代ではあまり表現する場面が少ないです。

    しかし、ここぞ!という時に表現の幅を持っておくと、周囲から一目置かれる存在になりますから、ぜひ自身の辞書の中にストックしてみてくださいね。

  • 3分で分かる!転職サービス診断

    1. 希望の勤務地は?

    2. 現在の年収は?

    3. 転職サービス


    4. こだわり条件

    最適度0%