最終更新日:2020/06/30
「ご教示」についてお調べですね。
「ご教示」は、「教えてください」を丁寧にした表現で、目上の人に助言を求める時などに使います。
ただ、実際に使おうと思うと「使い方はあってるかな?」「ご教示とご教授のどっちを使えばいいのな?」など、不安な点もたくさん出てきますよね。
そこで今回は、 「ご教示」の正しい意味や使い方を、例文を使いながらわかりやすく解説していきます。
間違った使い方で恥を書くことがないよう、ぜひチェックしておいてください。
1.「ご教示」の意味と使い方
「ご教示」は「知識や方法を教え示す」という意味です。
自分に必要な情報や知識、方法を聞き出したい時に使います。
目上の方(上司や先輩、クライアントなど)に「教えてください」と言いたい時の、丁寧な表現として使われています。
・申請や登録に必要な書面の書き方を知りたい
・詳しい内容や手順、状況、対処方法などを知りたい
・日程調整のため、相手のスケジュールを知りたい
ただし、やや堅苦しさのある表現ですので、 「ご教示」はメールや手紙の中で使われる書き言葉として使われることが多いです
会話では「お教えください」「教えていただけますか」「お知らせください」といったシンプルな表現や、下記にてご紹介する「類義語」を使う方が自然な場合もあります。
では、「ご教示」の使い方について、例文で確認していきましょう!
1-1.「ご教示」の正しい使い方【例文】
これから紹介します「ご教示ください」「ご教示願います」「ご教示いただけますでしょうか」は、どれも同じ意味であり、 社内外問わず目上の方への敬語表現として使うことができます。
ただし、少しだけ相手が受け取る印象が異なる言葉でもありますので、それぞれ例文で確認していきましょう。
「ご教示ください」
新しい労務管理システムの導入日時について、ご教示ください
自分が知らない予定や、方法を聞き出したい時に「ご教示ください」を使います。
実際には、書き言葉として使われることが多いです。
もちろん話し言葉として使うこともできますが、「〜ください」という表現は敬語表現の命令形にあたりますので、相手によっては少し違和感を感じる方もいらっしゃいます。
そのため、話し言葉で使うときには、 「ご教示ください」を命令口調だと感じさせないよう注意が必要です。
対策としては早口で言わない、強い口調で言わない、などが考えられますが、後述の「ご教示いただけますでしょうか」を使ったり、もしくは「お教えいただけますか」と言い換えてもよいでしょう。
「ご教示願います」
懇親会の開催にあたりまして、ご都合の良い日時をいくつかご教示願います。
例2:(先輩に対して/メールで)
お手すきの際に、出張申請の方法をご教示願います。
相手の予定や、何らかの方法を聞き出したい時に「ご教示願います」を使います。
少し堅苦しい印象になってしまうため、書き言葉として使われることが多いですが、話し言葉で使っても間違いではありません。
「ご教示いただけますでしょうか」
今月中で、○○様のご都合の良い日時を複数ご教示いただけますでしょうか。
上記と同じく、相手の予定や何らかの方法を聞き出したいときに使います。
「ご教示いただけますでしょうか」は話し言葉としても違和感のない、柔らかい表現です。
2.「ご教示」と「ご教授」の違い
「ご教示」に似た表現として、「ご教授」という言葉があります。
どちらも「教えてください」という意味を持ちますが、「ご教授」と「ご教示」では教えてもらう内容や教えてもらう期間が異なります。
これから説明いたしますが 「ご教授」の方はやや大げさな感じが出てしまうため、ビジネスシーンでは「ご教示」が使われることが多いです。
とはいえ、相手に応じて使い分けられるよう、意味をおさらいしていきましょう。
2-1.「ご教授」の意味
「ご教授」とは「学問や技能・技芸を伝達する・教える」という意味です。
学問や技能・技芸、専門的な知識を教わるのですから、簡単に1日で、というようにはいきません。
これから先、長期間にわたって知識や技能を教えてもらう必要があります。
そのような場合に使われるのが、「ご教授」です。
・高度な学問を長期間にわたって研究されている方(教授、研究者など)
・芸を長年にわたって究めようとしている方(俳優やダンサー、茶道家など)
・数年にわたって仕事を教えてくれる先輩社員や上司 等
2-2.「ご教示」と「ご教授」の使い分け
「ご教示」は、誰かのスケジュールや、会社の規則、簡単な内容や手順、方法、知識などを聞きたい時に使用します。
「ご教授」は、長期間・継続的に、かつ体系的に何かについて教えてもらいたいときに使用します。
また、長期間にわたって教わるのでなくとも、相手が長い時間をかけて身につけた知識や技能を教えてもらいたいというときに、相手を立てるために「ご教授」が使用されることもあります。
「ご教示」を使うべきところで「ご教授」を使ってしまうとやや大げさな印象となりますので、意味を理解し、注意して使うことが必要です。
2-3.「ご教授」の正しい使い方【例文】
「ご教授」の正しい使い方を、例文で学んでいきましょう。
取引先とのやりとりで使える例文
この例文では「相手が長い時間をかけて培ってきた技能を、これから継続して教えてもらいたい」という意図がありますので、「ご教示」ではなく「ご教授」が妥当です。
先輩とのやりとりで使える例文
この例文には「長期間、かつ継続的、体系的に仕事を教えてもらっていた」という背景がありますので「ご教授」を使います。
教授や研究者とのやりとりで使える例文
この例文は「相手が長い時間をかけて学んできたことを教えて欲しい」という意図と、相手を立てたいという意図があるため、「ご教授」が使われています。
2-4.「ご教示賜る」は間違い!「ご教授賜る」の誤用なので注意
「ご教示賜(たまわ)る」という日本語は残念ながらありません。
では、なぜ時々耳にするのかと言いますと「ご教授賜る」が誤まって使用されているからという説が有力です。
「ご教授賜りたく存じます」「ご教授賜り光栄です」は弟子入りした人や、秘書、カバン持ちなど、長期間にわたって何かを教わっている人が「教えていただく」という意味で使う表現です。
(なお、ここでの「賜る」とは、「もらう」の謙譲語の役割をしています)
「ご教示賜る」は間違った日本語です。誤って使用しないよう気をつけましょう。
3.「ご教示」の類語
「ご教示」は「教えてください」を丁寧にした表現ですが、やや固い印象があります。
そのため、他の言い方も合わせて使えるようにしておかれますと、ビジネスシーンで役立ちます。
3-1.「ご指導」
「指導」とは、 「ある目的・方向に向かって教え導く」という意味です。
そのため、何かを具体的に聞くのではなく、「(目的を達成するために)これから色々と教えてください」ですとか「今後もよろしくお願いします」という意味合いが強い言葉です。
別れ際に使う「今後ともご指導ご鞭撻(べんたつ)のほど宜しくお願い致します」という有名な定型文がありますので、覚えておきましょう。
3-2.「ご指南」
「指南」とは 「武道や芸能を教える」という意味です。
柔道や華道、将棋、チェスなど、教える内容が限定された人に対して、教えを請うために使います。
上司やクライアントといった目上の方と趣味を通じた交流がある場合や、習い事などで師匠をお持ちの方は「これからもどうぞご指南ください」という表現を覚えておかれるとよいでしょう。
また、余談ですが将棋などで格上の人と勝負するときには「一局、ご指南ください」と言ってから対戦が始まります。
4.「ご教示ください」を英語で言いたい
「ご教示」は簡潔にいいますと「(情報や方法を)教えてください」「(情報を)知らせてください」です。
英文にいたしますと、下記のような表現となります。
情報や方法を教えて欲しい 「share」
- It would be great if you could share 〜
「〜をご教示頂けますと幸いです」 - Would you please share〜?
「〜をご教示頂けますと幸いです」
情報を知らせて欲しい 「let me know」
- It would be great if you could let me know your thoughts on the following questions 〜
「下記の質問に関してご教示頂けますと幸いです」
5.まとめ
「聞くこと、教わることは上達への近道」とよく言われます。
目上の人に教えてもらうために、正しい聞き方を身につけましょう。
人から上手に教わったり、必要な情報を集めることができるようになれば、一流のビジネスパーソンに近づくことができるでしょう。
学びは実践してこそ力になります。早速、使ってみてくださいね!