
ビジネスシーンで登場することが多い「ご用命」という言葉。
「ご用命」は、「ご用を承る」ことを表しており、目上の方に対して使う表現です。
ビジネスシーンでは取引先などに対して、「ご用命を賜ります」などのように用いられます。
目下の人には使わず、自分より目上の方やお客様に対して使われる言葉なので使い方に注意しましょう。
今回は、 「ご用命」の意味やビジネスシーンで失敗しない使い方などを詳しく解説していきます。
1. 「ご用命」の意味は「ご用を承る」
ご用命
読み:ごようめい
意味:要件や注文を承る
「ご用命」は、 「要件や注文を承る」という意味です。
「用命」という言葉に、丁寧さや尊敬の意を表す接頭辞の「ご」をつけて、丁寧な表現として使われます。
ビジネスシーンなどでは、取引先や目上の方に対して「ご用命がございましたら遠慮なくお申し付けください」などのように用いることが多いです。
2. 「ご用命」の使い方と例文
「ご用命」は ビジネスシーンで使われることが多い言葉です。
「ご用命」を使った言葉は意味や使用場面、ニュアンスの違いなどがあるので、詳しく見ていきましょう。
2-1.「ご用命」を使った言葉と意味
「ご用命」を使った言葉としては、次のようなものがあります。
- ご用命ください
- ご用命の際は
- ご用命賜る
- ご用命いただき
同じ「ご用命」でも 使用場面によって使い方が異なるので、使い方について解説します。
①ご用命ください
「ご用命ください」は、 「用事を申し付けてください」という意味です。
ビジネスシーンでは、「またのご用命を心よりお待ちしています」などように使われることが一般的です。
上記のフレーズは、主にお客さんに対して使うことができる表現になります。
例文:「ご用命くださいますよう、よろしくお願いいたします。」
②ご用命の際は
「ご用命の際は」とは、 「相手のニーズが把握できていない時に、必要な時に手伝うことを意味する表現」です。
主に目下の者が目上の人への心遣いを表す表現として用いられます。
例文:「また新しいパンフレットをご用意いたしますので、ご用命の際はお声がけください。」
③ご用命賜る
「ご用命賜る」は、 「ご用命ください」を丁寧に表現した言葉です。
ビジネスシーンでは社長や会長、組織の代表など、特別な地位や立場の人に退位して使います。
目上の立場の人に、さらに丁寧にお願いをする場合に用いると効果的です。
例文:「サービスに関することでしたら弊社にご用命賜りますよう、よろしくお願いいたします。」
④ご用命いただき
「ご用命いただき」は、 「目上の人に感謝を述べるとき」に使われる表現です。
ビジネスシーンでは、購入してもらう側が購入する相手に対して使う言葉になります。
「ご用命いただき」は過去形を表す表現なので、購入や注文してもらった相手に感謝を伝える意味も込めて使うことが多いでしょう。
例文:「このたびは当社の商品をご用命いただき、誠にありがとうございます。」
2-2. 「ご用命」を使ったビジネスメールでの例文
「ご用命」はビジネスメールの中でも使われることが多い言葉です。
「ご用命」を使ったビジネスメールの例文は、次の通りです。
「ご用命」の後に続く言葉は、 「申し上げる」「承る」などの謙譲語を使うことで、丁寧さや敬意を伝えることができるでしょう。
2-3.「ご用命」を使う際の注意点
「ご用命」は様々な丁寧さを伝える便利な言葉ですが、次のような注意点があります。
- 受け身で使う言葉
- 目上の人に対して使う
「ご用命」は相手の動作に対して、受け身で使います。
「ご用命させていただきます」などにように、 自分から能動的な行動に対しては使われないので注意が必要です。
使用する相手は目上の人であり、目下の人や同僚などには使わないため覚えておきましょう。
次に、「ご用命」の類語や言い換え表現について見ていきましょう。
3. 「ご用命」の類語と言い換え表現
「ご用命」の類語や言い換え表現には、次のようなものがあります。
- ご注文
- ご所望
- ご要望
- ご請求
- ご下命(ごかめい)
「ご用命」とは 意味やニュアンスが異なるので、違いや使い方について見ていきましょう。
①ご注文
ご注文
読み:ごちゅうもん
意味:希望の条件などを伝えて依頼する
「ご注文」は、 「希望の条件などを伝えて依頼する」という意味です。
「注文」に「ご」をつけることで、丁寧な表現として使われます。
「ご用命」と同じ意味で使われますが、ビジネスシーンよりは飲食店やお店などで使われることが多いです。
例文:「ご注文はお決まりでしょうか?」
②ご所望(ごしょもう)
「ご所望(ごしょもう)」は、「何かをしてほしいと望むこと」という意味です。
「水を一杯ご所望したい」などのように、自分の動作に対しても使うことができます。
読み方は「ごしょもう」であり、「ごしょうぼう」ではないので注意しましょう。
例文:「ご所望品がありましたら、いつでもお申し付けくださいませ。」
「ご所望」については、「ご所望(ごしょもう)」の意味と使い方!「ご要望」との違いは?」の記事で詳しく解説しています。ご確認ください。
③ご要望
ご要望
読み:ごようぼう
意味:「物事の実現を強く求める」
「ご要望」は、「物事の実現を強く求める」ことの意味です。
「ご用命」に最も近い表現であり、「目上の方が何かを求めているのではないか」というニュアンスも込めて使います。
ビジネスシーンの話し言葉としては、「ご用命」よりも「ご要望」の方が使われることも多いでしょう。
例文:「ご要望にお応えできず、申し訳ございません。」
④ご請求
ご請求
読み:ごせいきゅう
意味:「相手に要求をすること」
「ご請求」は、「相手に要求をすること」という意味であり、主に金銭や品物の受け渡しで用いられる言葉です。
「請求」に「ご」をつけることで丁寧な表現となりますが、相手の行動に対して使うことを覚えておきましょう。
「弊社がお送りした請求書は〜」などのように、自分の行動に対して、「ご請求」とは表記しないため、使い方での注意が必要です。
例文:「ご請求書の内容をご確認ください。」
⑤ご下命(ごかめい)
ご下命
読み:ごかめい
意味:命令・注文を承ること
「ご下命(ごかめい)」は、「ご用命」と同じ意味を持つ言葉です。
「ご用命」よりも、より一層丁寧な表現であり、 かなり格上の相手に対して使うことが一般的です。
「ご用命」と同様に、自分の行動に対して使うことはできません。
例文:「当社の商品をご下命いただきありがとうございます。」
4.「ご用命」の英語表現
「ご用命」は英語で 「order」と表記することができます。
英文の中では、「〜の注文」を表すために「for」や「with」、「to」などと合わせて表記することが多いです。
<例文>
「Please favor us with your orders.」
(ご用命のほどお願いします。)
上記の例文はかしこまった表現になりますが、もっとカジュアルに伝えたいときは下記のように表現できます。
<例文>
「Please give us your orders.」
まとめ
「ご用命」は、「ご用を承る」という意味で使われます。
ビジネスシーンなどで使われる「ご用命」は、 相手の注文に対して受け身で使うのが正しい使い方です。
目上の相手やお客様に向けて使う言葉であり、目下の人や同僚などには使いません。
ビジネスシーンで失敗しないためにも、「ご用命」の正しい使い方をマスターしておきましょう。