最終更新日:2020/06/30
「玉石混合」「玉石混交」どちらが正しいんだろう?
正しくは「玉石混交」であり「良いことや悪いことが混在する」を意味する四字熟語になります。
「玉石混交」の正しい意味や使い方を把握することで、「玉石混合」と使い方を間違えずに済みます。
さらに本記事では「玉石混交」の誤用表現や四字熟語、英語表現も紹介します。
正誤含めた様々な表現が存在することに気が付き、表現の幅が広がりますよ。
是非、参考にしてみてくださいね。
1.「玉石混交」の意味:良いものや悪いものが混在する
最初に「玉石混交」の意味や読み方を紹介します。
玉石混交/玉石混淆
読み:ぎょくせきこんこう
意味:良いものや悪いものが混在する
「玉石混交」とは 「良いものや悪いものが混在する」を意味する四字熟語です。
「玉石」とは、一般的には以下の意味を例えています。
- 「玉」:良いことや優れたもの
- 「石」:悪いことや劣るもの
また「混交」の意味とは「異種のものが入り混じる」です。
「玉石」と「混交」の意味を繋げると「良いものや悪いものが混在する」となり、つまり「カオス」な状態を意味しているともいえます。
また「玉石混交」の読み方も「ぎょくせきこんごう」と読み間違えやすいですが、正しくは「ぎょくせきこんこう」なので注意が必要です。
1-1.「玉石混交」の正しい表現は「玉石混淆」
「玉石混交」の正しい表記は「玉石混淆」です。
しかし「玉石混交」は、正確には「玉石混淆」の誤用表現ではありません。
双方とも「ぎょくせきこんこう」と読み方も同じであり、「良いものや悪いものが混在する」を意味する四字熟語です。
さらに 「混淆」の「淆」が常用漢字ではない上に、記載しやすさと読みやすさ、そして意味をイメージしやすさから「混交」が用いられることが多いとされています。
そのため「玉石混交」は「玉石混淆」の誤用表現ではないのです。
1-2.「玉石混交」の言語由来は古代中国の漢文から
「玉石混交」の由来は、古代中国の漢文「抱朴子(ほうぼくし)」内の章のひとつ「尚博」に記載されている「 眞僞顚倒し、玉石混淆す」という一文から、とされています。
眞僞顚倒し、玉石混淆す
読み:しんぎてんとうし、ぎょくせきこんこうす
- 本物と偽者を取り違えることで、玉と石を混在させる
この一文に記載されている「玉石混淆」が抜かれ、転じて「玉石混交」が単体の言葉として使われるようになりました。
2.「玉石混交」の使い方と例文
次に「玉石混交」の3つの使い方とその例文を紹介します。
- 「良いものと悪いものが同じ場に存在する」を評価する時
- カオスな状況を表す時
- その他「玉石混交」の具体的例文
それぞれ説明します。
2-1.「良いものと悪いものが同じ場に存在する場」を評価する時
商品や製品、サービスそのものを指すのではなく、会社や店舗など 「良いものと悪いものが同じ場に存在する場」を評価する時に「玉石混交」を使います。
この時の「玉石混交」は「良いものが多い会社や店舗」の意味で使うことが可能です。
しかし「扱っている商品や製品が玉石混交である会社や店舗」は「悪いもの」も存在するため、総じてあまりいい評価はされません。
<例文>
- このセレクトショップでは、様々な作家や職人からの「玉石混交」な作品がセンス良くディスプレイされているから、非常に興味がある。
- 昔からあのショッピングモールは「玉石混交」な商品を多く扱っていたからなぁ、今も変わらないとはね。
2-2.カオスな状況を表す時
「良いものと悪いものが同じ場に存在する状況」を説明する時にも「玉石混交」が用いられる場合があります。
つまり「カオスな状況」を表す時に「玉石混交」が使われるのです。
<例文>
- インターネットのおけるマーケティング情報は「玉石混交」であり、情報精査スキルが必要なのは言うまでもない。
- あのトップ企業のサービス内容は、担当者や企業の方針によってカラーが全く変わるので「玉石混交」と言えるかもしれない。
2-3.その他「玉石混交」の具体的例文
その他「玉石混交」の例文を見ていきましょう。
<例文>
- あのパティスリーでリリースされている各種スイーツは正直「玉石混交」と思う。
- 結婚式の披露宴参加の為にあのレンタル屋で衣装を借りたけど、衣装のラインナップが「玉石混交」過ぎて正直笑ってしまった。
- 部下の「玉石混交」である報告書を見て、どう修正するべきか部長に相談した
- この企業はサービス内容が「玉石混交」である
3.「玉石混交」を使う時の注意点
様々なものごとの、正誤、正邪、優劣などの決定や評価する時に使う言葉なため、使う状況によっては注意しなければいけない点もあります。
以下の2つを解説していきますね。
- 人物に対して使う場合
- 「石」という漢字を使う言葉なので対象は「モノ」
- 「玉石混交」「玉石混合」「玉石混同」はそれぞれ意味が違う
- 「珠玉混合」とは意味が違う
それぞれ見ていきましょう。
3-1.人物に対して使う場合「批判」になる可能性があるので注意
人物に対して「玉石混交」を使う際は、「批判」になる可能性があります。
「玉石混交」の意味は「良いものや悪いものが混在する」です。
解釈によっては「優秀で使える人材」や「良いもので優れたサービス」等を「玉(良)」、「愚かで使えない人材」や「悪く劣悪なサービス」等を「石(劣)」とされることもあります。
ビジネスの場では、 何気ない発言から「評価」「判断」「絶賛」「批判」として周囲に伝わりやすいので「玉石混交」を使う際は、言葉を選びましょう。
3-2.「石」が使われているため、使う相手は「モノ」を対象にした方が良い
前述の通り「玉石混交」はサービスや人材にも使える四字熟語になります。
しかし言葉そのものに「石」が使われている以上、本来は商品や製品、作品などの「モノ」に対して用いる言葉です。
人によっては、 正誤、正邪、優劣などの決定や評価を気にするタイプも存在するので「玉石混交」を使って話しをする際は注意しましょう。
3-3.「玉石混交」「玉石混合」「玉石混同」は意味がそれぞれ違うので誤用に注意
次に、「玉石混交」の2つの誤用表現を紹介します。
- 玉石混合(ぎょくせきこんごう)
- 玉石混同(ぎょくせきこんどう)
一見四字熟語が存在するようにも感じますが、 「玉石混合」や「玉石混同」は実は「玉石混交」の誤用表現になります。
「玉石混交」「玉石混合」「玉石混同」「混交」、それぞれの意味の違いは次の通りです。
- 玉石混交:良いものや悪いものも形は残っている
- 玉石混合:良いものや悪いものも形は無く混ざり合って砂のようになる
- 玉石混同:良いものや悪いものを、同一のものと間違える
漢字が似ているだけあって、誤用として使われがちですが意味が違うため、それぞれ意味を理解して使う必要があります。
3-4.「珠玉混合」とは意味が違う
「玉石混交(玉石混淆)」とよく比較される「珠玉混合」がありますが、この2つは全く意味が違います。
「珠玉」の意味は次の通りです。
「玉石」と「珠玉」を比較すると次の通りです。
- 「玉石」:良いものや悪いもの
- 「珠玉」:美しく優れたもの
「玉と石」が混じり合った「玉石」と、「珠(真珠など)や玉(宝石など)」と美しいモノしかない「珠玉」を比べると、意味や使い方が違うことがわかりますよね。
「珠玉混合」は、 「珠玉」と「玉石混交(玉石混淆)」が混ざって作られた言葉でもあります。
「玉石」と「珠玉」は意味が違うので、曖昧に使わないようにしましょう。
4.「玉石混交」の類語四字熟語
次に「玉石混交」の5つの類語である四字熟語表現を紹介します。
- 玉石同架(ぎょくせきどうか)
⇒ 価値がある物と無い物が入り混じる
- 玉石雑糅(ぎょくせきざつじゅう)
⇒ 良くて優れた物と粗悪な物が混在
- 玉石同匱(ぎょくせきどうき)
⇒ 優れている物も、劣る物も同様に扱う - 種種雑多(しゅしゅざった)
⇒ 異質の物が多く入り交じっている - 魚目混珠(ぎょもくこんしゅ)
⇒ 本物と偽物が混在し区別できない
それぞれの四字熟語を使った例文は以下の通りです。
<玉石同架を使った例文>
- A社が扱う商品がここまで玉石同架なら、取引することも大変だ。
- 天文学的な数の玉石同架なデータベースから、最適なデータ群を見つけるのは大変だ。
<玉石雑糅を使った例文>
<玉石同匱を使った例文>
- コネで役員の親戚が入社しますが、玉石同匱で他の社員と同じ扱いでOKです。
- あのブックショップは、玉石同匱様々な書籍が販売されている。
<種種雑多を使った例文>
- 企業というのは得てして種種雑多な社員が集まるものだ。
- 冷静に考えると、種種雑多な情報ばか収集していたような気がする。
<魚目混珠を使った例文>
- 彼女の発言は全くの魚目混珠、正論の中に地味に嘘を混ぜるから信用できない。
- あの会社の製品群は魚目混珠と言われているから、なかなか手が出しにくい。
いずれも「玉石混交」の類語だけあり、 「玉石混交」と入れ替えでも違和を感じないことが特徴的です。
5.「玉石混交」の英語表現
最後に「玉石混交」の2つの英語表現を紹介します。
- Mixed cobblestone
- Mixture of wheat and chaff
それぞれ説明します。
5-1.Mixed cobblestone
「Mixed cobblestone」とは「玉石混交」を意味する英語慣用句です。
「Mixed」は様々な意味がある中「いろいろな物が混ざった」とされ、「Cobblestone」は「玉石」を意味します。
2つの言葉を繋げると 「玉石がいろいろ混ざった」となり、転じて「玉石混交」と解釈されるのです。
また「Cobblestone」のみでも「玉石混交」と解釈される場合があります。
<例文>
- The proposal submitted by A’s director is evaluated as mixed cobblestone.
⇒ A主任が提出した提案書は玉石混交と評価されている。 - The staff involved in that project feels like mixed cobblestone.
⇒ あのプロジェクトに関わっているスタッフは、玉石混交のような気がする。
5-2.Mixture of wheat and chaff
「Mixture of wheat and chaff」は「玉石混交」を意味する英語慣用句です。
「Wheat and chaff」は「小麦ともみ殻」を意味し、食材(小麦=「玉」)と肥料(もみ殻=石)を表しています。
また「Mixture」は「混合」を意味し、意味を繋げると 「小麦ともみ殻の混合」となり、転じて「玉石混交」と解釈されるのです。
<例文>
- Her work may a mixture of wheat and chaff.
⇒ 彼女の作品は玉石混交だ。 - It is a core product of that company, which is mixture of wheat and chaff.
⇒玉石混交である,あの会社の主力商品。
まとめ
「玉石混交(ぎょくせきこんこう)」は 「良いものや悪いものが混在する」を意味する四字熟語です。
「玉石混交」の使い方を知れば、相手への評価を正しく伝えられますよ。
ぜひ「玉石混交」を使いこなせるようになってください。