最終更新日:2020/06/30
「早起きは三文の徳」は、「早く起きると良いことがある」を意味することわざです。
耳馴染みのあることわざですが、「徳」と「得」どちらが正しい漢字か、分からない人もいるのではないでしょうか。
漢字の意味を知ることで、ことわざに対する理解が一層深まり、しっかり知識として定着させることもできますよ。
そこで今回は、「早起きは三文の徳」の意味・由来を解説し、「徳」と「得」の使い方についても説明していきます。
類語や英語表現も紹介しますので、ぜひ最後までご覧になってください。
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1.「早起きは三文の徳」の意味
「早く起きると良いことがある」という意味
早起きは三文の徳
読み:はやおきはさんもんのとく
意味:早く起きると良いことがある
「早起きは三文の徳」は、「早く起きると良いことがある」という意味を持つことわざです。
寝坊・夜更かしをしている人に対して、「早起きは三文の徳がある」と指摘することで、注意喚起として利用することもできます。
「早起きは三文の徳」の由来・語源は「中国の『宋樓鑰詩』」
「早起きは三文の徳」の由来・語源は、中国の『宋樓鑰詩』という書物にあります。
『宋樓鑰詩』では、「早起三朝當一工」という記述が残されており、「3日早起きすれば、一人前の仕事になる」という意味でした。
しかし、「三朝」という言葉から、なぜ「三文」に変わったのか分かりませんよね。
この理由は、日本に伝わってきた時に変化したものですので、次に「徳」と「得」の違いも含めて、歴史を紹介していきます。
「三文の得」「三文の徳」はどちらも正しい
「早起きは三文の徳」は中国に由来しますが、日本では2つの説が言い伝えられています。
- 堤防の土を朝早くに踏み固めたことから(高知説)
- 鹿の死体を朝早くに片づけたことから(奈良説)
高知説によれば、「堤防の土を朝早く踏み固めることで、三文のお金をもらえる」というお触れが由来とされています。
また、奈良説によれば、「鹿が家の前で死んでいると、三文の罰金になる」という江戸時代の「生類憐みの令(しょうるいあわれみのれい)」が由来とされているのです。
どちらの説が正しいのか明確ではないですが、中国と異なり、「三文の得」という意味が共通して用いられています。
そのため、「三文の得」と表現する時は日本がベースであり、「三文の徳」と表現するときは中国をベースにしているため、どちらも間違いではないのです。
「三文」は現在の「三百円」
「早起きは三文の徳」に使われている「三文」は、現在の 「三百円」ほどとされています。
ただし、江戸時代は約260年も続いており、その間に一文10円~1000円の振れ幅があるため、あくまで平均金額であることに注意してください。
また、上記の金額に由来して、「三文」には「取るに足らない価値」という意味合いが含まれているのです。
2.「早起きは三文の徳」の使い方と例文
「早起きは三文の徳」の意味を確認しましたが、実際にどのような「徳」があるか気になりますよね。
健康や成長など、 老若男女を問わないたくさんのメリットがありますので、例文と一緒に確認していきましょう。
「早起きは三文の徳」の例文を、以下の4つのシーンに分けて説明していきます。
- 美容・健康に良い
- 活動時間が増え、精神的に余裕ができる
- 記憶力が向上する
- 自律神経と基礎代謝が鍛えられ、ダイエットにつながる
それぞれの例文を紹介し、使い方を解説していきます。
2-1.「美容・健康に良い」
「早起きは三文の徳」は、「美容・健康の向上」をたとえに取ることができます。
人間は太陽の光を浴びることで、成長ホルモン・幸せホルモンが分泌されるのが分かっています。
成長ホルモンは「肌の再生を活性化」させ、幸せホルモンは「免疫向上による気分障害を防ぐ」ことにつながるため、「美容・健康に良い」とされるのです。
<例文>
早起きするだけで美容・健康につながるなんて、まさに早起きは三文の徳だ。
2-2.「活動時間が増え、精神的に余裕ができる」
「早起きは三文の徳」は、「活動時間が増え、精神的に余裕ができる」をたとえに取ることができます。
忙しいときほど、迷ったり悩んだりする時間が多いため、予定よりたくさんの時間を取られがちです。
早起きをして、計画や手順を整理する時間を取ることができれば、少しの時間でも大きな精神的余裕を得ることができますよ。
<例文>
早起きは三文の徳を意識して、朝にやるべきことをリスト化したら、日中慌てずに課題を進めることが出来た。
2-3.「記憶力が向上する」
「早起きは三文の徳」は、「記憶力の向上」をたとえに取ることができます。
一般的に、人間の脳が最も活性化する時間帯は朝のため、体を動かすのではなく、頭を動かす時間に最適なのです。
そのため、朝に勉強の暗記・忘れてはならない物事を確認しておくことで、後々失敗することが少なくなるでしょう。
<例文>
夜の勉強から、朝の勉強に変えただけで、テストの成績が上がった。早起きは三文の徳だと言わざるを得ない。
2-4.「自律神経と基礎代謝が鍛えられ、ダイエットにつながる」
「早起きは三文の徳」は、「自律神経と基礎代謝が鍛えられ、ダイエットにつながる」をたとえに取ることができます。
人間は日中に生活する生き物であり、夜遅くに活動した場合、自律神経や基礎代謝が異常をきたしてしまう可能性があるのです。
そのため、ダイエットを考えている人は、自律神経と基礎代謝を活発化させるためにも、早寝早起きを心がける必要があるでしょう。
<例文>
朝早く起きることで、日中の活動時間が増え、知らず知らずの内にダイエットに成功していた。早起きは三文の徳とはこのことだ。
3.「早起きは三文の徳」の類語と例文
「早起きは三文の徳」は、文字通り「三文」ですので、ありがたさが薄いと感じるかもしれません。
そのような人のために、 大きなお金を使った「早起きは三文の徳」の類語も紹介していきます。
「早起きは三文の徳」の類語は、以下の通りです。
- 朝起き千両夜起き百両(はやおきせんりょうねおきひゃくりょう)
- 早起き三両倹約五両(はやおきさんりょうけんやくごりょう)
- 朝の一時は晩の二時に当たる(あさのいちじはばんのにじにあたる)
- 宵寝朝起き長者の基(よいねあさおきちょうじゃのもと)
- 早起き三両始末五両(はやおきさんりょうしまつごりょう)
次に、よく使われる類語の意味と例文をご紹介しますので、参考にしてください
3-1.「朝起き千両夜起き百両(はやおきせんりょうねおきひゃくりょう)」
朝起き千両夜起き百両
読み:はやおきせんりょうねおきひゃくりょう
意味:夜遅くに仕事するより、朝早く起きて仕事をした方がよい
「朝起き千両、夜起き百両」は、「夜遅くに仕事をするより、朝早く起きて仕事をした方がよい」と意味していることわざです。
「早起きは三文の徳」と異なり、夜遅くに仕事するのを注意しながら早起きを促すことを指摘しています。
<例文>
朝起き千両夜起き百両の精神で、今日は残業せずに明日の朝がんばろう。
3-2.「早起き三両倹約五両(はやおきさんりょうけんやくごりょう)」
早起き三両倹約五両
読み:はやおきさんりょうけんやくごりょう
意味:早起きと同じように、節約することにも利益がある
「早起き三両倹約五両」は、「早起きと同じように、節約することにも利益がある」を意味することわざです。
「早起きより節約の方が良い」という意味ではなく、「早起きと節約はどちらも利益がある」ですので注意してください。
<例文>
彼は毎日お菓子を食べながら、夜更かしするらしい。早起き三両倹約五両という言葉を教えたいものだ。
4.「早起きは三文の徳」の対義語と例文
「早起きは三文の徳」には、しっかり対義語に当たることわざがあります。
「夜なべ・長寝」を注意・叱ることができることわざであり、 教訓としてとても使いやすいので、ぜひ一緒に覚えましょう。
「早起きは三文の徳」の対義語は、以下の2つがあります。
- 夜なべは十両の損(よなべはじゅうりょうのそん)
- 長寝は三百の損(ながねはさんびゃくのそん)
それぞれの対義語について、例文と一緒に意味を解説していきます。
4-1.「夜なべは十両の損(よなべはじゅうりょうのそん)」
夜なべは十両の損
読み:よなべはじゅうりょうのそん
意味:夜まで仕事をすると、大きな損をすること。
「夜なべは十両の損」は、「夜まで仕事をすると、大きな損をすること」を意味することわざです。
「早起きは三文の徳」の対句として、「早起きは三文の徳、夜なべは十両の損」と使うことができます。
<例文>
昨日遅くまで残業したため、今朝寝坊して会社に遅刻してしまった。夜なべは十両の損とはこのことだ。
4-2.「長寝は三百の損(ながねはさんびゃくのそん)」
長寝は三百の損
読み:ながねはさんびゃくのそん
意味:長時間睡眠をとりすぎると、大きな損をすること。
「長寝は三百の損」は、「長時間睡眠をとりすぎると、大きな損をすること」を意味することわざです。
「夜なべは十両の損」と同じように、「早起きは三文の徳」の対句として、「早起きは三文の徳、長寝は三百の損」と使うことができます。
<例文>
彼は遅刻で怒られたただけでなく、生活のリズムを崩して風を引いてしまった。まさに、長寝は三百の損である。
5.「早起きは三文の徳」の英語表現と例文
「早起きは三文の徳」は以下の英語で言い表すことができます。
- An early bird catches the worm(朝早い鳥は獲物にありつく)
- The cow that’s first up, gets the first of the dew(最初に起きる牛は、最初の朝露を吸う)
英語圏では、お金ではなく動物をたとえにしたことわざが利用されているのです。
それぞれについて、例文と合わせて解説していきます。
5-1.「An early bird catches the worm」
「An early bird catches the worm」は、直訳で「早起きの鳥は虫をつかまえる」を意味する英語です。
日本の「早起きは三文の得」と同じ意味合いで使われる、アメリカのことわざを指します。
<例文>
It’s already noon, don’t you know an early bird catches the worm?
(もうお昼だよ。早起きの鳥は虫をつかまえるということを知らないのかい)
5-2.「The cow that’s first up, gets the first of the dew」
「The cow that’s first up, gets the first of the dew」は、「最初に起きる牛は、最初の朝露を得る」を意味する英語です。
朝露は消えやすく、少量しか取れないため、最初に起きた牛しか得られないことから、「早起きは良いこと」を指します。
<例文>
By learnig from The cow that’s first up, gets the first of the dew, I try to wake up early.
(最初に起きる牛は、最初の朝露を得るにならって、早起きをしてみよう。)
まとめ
「早起きは三文の徳」は、「早く起きると良いことがある」を意味することわざです。
「徳」は中国に由来し、「得」は日本に由来する漢字と考えられているため、どちらを使っても間違いではありませんが、特別な事情がない限り「得」を使うとよいでしょう。
時間に余裕を持つだけでも、日々の生活が良い方向に向かうこともあるので、ぜひ「早起きは三文の徳」を実行してみてください。