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「早起きは三文の徳」は、「早く起きると良いことがある」を意味することわざです。
馴染みのあることわざですが、「徳」と「得」どちらが正しい漢字か迷ってしまう人も多いでしょう。
漢字の意味を知ることで、ことわざに対する理解が一層深まり、しっかり知識として定着させることもできますよ。
そこで今回は、「早起きは三文の徳」の意味・由来を解説し、「徳」と「得」の使い方についても説明していきます。
類語も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
1.「早起きは三文の徳」の意味
「早く起きると良いことがある」という意味
「早起きは三文の徳」は、「早く起きると良いことがある」という意味を持つことわざです。
寝坊・夜更かしをしている人に対して、「早起きは三文の徳がある」と指摘することで、注意喚起として利用することもできます。
「早起きは三文の徳」の由来・語源は「中国の『宋樓鑰詩』」
「早起きは三文の徳」の由来・語源は、中国の『宋樓鑰詩』という書物にあります。
『宋樓鑰詩』では、「早起三朝當一工」という記述が残されており、「3日早起きすれば、一人前の仕事になる」という意味でした。
「三朝」という言葉から、なぜ「三文」に変わったのか、この理由は、日本に伝わってきた時に変化したと言われています。
「三文の得」「三文の徳」はどちらも正しい
「早起きは三文の徳」は中国に由来しますが、日本では2つの説が言い伝えられています。
- 「堤防の土を朝早く踏み固めた者には三文を与える」(高知説)
- 「軒先に鹿の死骸がないかどうかを確かめた」(奈良説)
高知説によれば、「堤防の土を朝早く踏み固めることで、三文のお金をもらえる」というお触れが由来とされています。
また、奈良説によれば、「鹿が家の前で死んでいると、三文の罰金になる」という江戸時代の「生類憐みの令(しょうるいあわれみのれい)」が由来とされているのです。
どちらの説が正しいのか明確ではないですが、中国と異なり、「三文の得」という意味が共通して用いられています。
そのため、「三文の得」と表現する時は日本がベースであり、「三文の徳」と表現するときは中国をベースにしているため、どちらも間違いではないのです。
「三文」は現在の「三百円」
「早起きは三文の徳」に使われている「三文」は、現在の 「三百円」ほどとされています。
ただし、江戸時代は約260年も続いており、その間に一文10円~1,000円の振れ幅があるため、あくまで平均金額であることに注意してください。
また、上記の金額に由来して、「三文」には「取るに足らない価値」という意味合いが含まれています。
2.「早起きは三文の徳」の類語と例文
「早起きは三文の徳」は、文字通り「三文」なので、ありがたさが薄いと感じるかもしれません。
そのような人のために、 大きなお金を使った「早起きは三文の徳」の類語も紹介していきます。
「早起きは三文の徳」の類語は、以下の通りです。
- 朝起き千両夜起き百両(はやおきせんりょうねおきひゃくりょう)
- 早起き三両倹約五両(はやおきさんりょうけんやくごりょう)
- 朝の一時は晩の二時に当たる(あさのいちじはばんのにじにあたる)
- 宵寝朝起き長者の基(よいねあさおきちょうじゃのもと)
- 早起き三両始末五両(はやおきさんりょうしまつごりょう)
朝起き千両夜起き百両(はやおきせんりょうねおきひゃくりょう)
「朝起き千両、夜起き百両」は、「夜遅くに仕事をするより、朝早く起きて仕事をした方がよい」と意味していることわざです。
「早起きは三文の徳」と異なり、夜遅くに仕事するのを注意しながら、早起きを促しています。
<例文>
朝起き千両夜起き百両の精神で、今日は残業せずに明日の朝がんばろう。
早起き三両倹五両(はやおきさんりょうけんやくごりょう)
「早起き三両倹約五両」は、「早起きと同じように、節約することにも利益がある」を意味することわざです。
「早起きより節約の方が良い」という意味ではなく、「早起きと節約はどちらも利益がある」という意味なので注意してください。
<例文>
彼は毎日お菓子を食べながら、夜更かしするらしい。早起き三両倹約五両という言葉を教えたいものだ。
3.「早起きは三文の徳」の対義語と例文
「早起きは三文の徳」には、対義語に当たることわざもあります。
「夜なべ・長寝」を注意する教訓としてとても使いやすいので、ぜひ一緒に覚えましょう。
「早起きは三文の徳」の対義語は、以下の2つがあります。
- 夜なべは十両の損(よなべはじゅうりょうのそん)
- 長寝は三百の損(ながねはさんびゃくのそん)
夜なべは十両の損(よなべはじゅうりょうのそん)
「夜なべは十両の損」は、「夜まで仕事をすると、大きな損をすること」を意味することわざです。
「早起きは三文の徳」の対句として、「早起きは三文の徳、夜なべは十両の損」と使うことができます。
<例文>
昨日遅くまで残業したため、今朝寝坊して会社に遅刻してしまった。夜なべは十両の損とはこのことだ。
長寝は三百の損(ながねはさんびゃくのそん)
「長寝は三百の損」は、「長時間睡眠をとりすぎると、大きな損をすること」を意味することわざです。
「夜なべは十両の損」と同じように、「早起きは三文の徳」の対句として、「早起きは三文の徳、長寝は三百の損」と使うことができます。
<例文>
彼は遅刻で怒られたただけでなく、生活のリズムを崩して風を引いてしまった。まさに、長寝は三百の損である。
まとめ
「早起きは三文の徳」は、「早く起きると良いことがある」を意味することわざです。
「徳」は中国に由来し、「得」は日本に由来する漢字と考えられているため、どちらを使っても間違いではありませんが、特別な事情がない限り「得」を使うとよいでしょう。
時間に余裕を持つだけでも、日々の生活が良い方向に向かうこともあるので、ぜひ「早起きは三文の徳」を実行してみてください。