最終更新日:2020/05/09
「生き急ぐような生き方」という表現を聞いたことがある人も多いと思いますが、どのような生き方を指しているのか正しく理解できていますか?
「生き急ぐ」とは、漢字の通り「急いで生きている」様子を表します。
一見ネガティブなニュアンスに聞こえますが、実はポジティブな印象も表すことができる用語なのです。
今回は、「生き急ぐ」の正しい意味や、使い方、「死に急ぐ」との違いや類語、英語表現まで詳しく解説していきます。
1.「生き急ぐ」とは
まず「生き急ぐ」の読み方と意味の説明をします。
生き急ぐ
読み:いきいそぐ
- 生き方が駆け足である
- 生き方が性急である
「急いで生きる」と書き、休む暇なくどんどん前に進んでいくような生き方というニュアンスです。
余裕のない生き方という言い方もでき、「生き急ぐ」人は、寿命が短く感じられると言われます。
1-1.【注意】「死に急ぐ」は自ら寿命を縮めること!
「生き急ぐ」と誤用されやすい言葉が「死に急ぐ」で、「死に急ぐ」には以下のような意味が含まれています。
- 自ら寿命を縮めるようなことをすること
- 時期ではないのに死のうとすること
非常にネガティブな印象を受けますね。
以下の表では、「生き急ぐ」と「死に急ぐ」の違いについてまとめていますので、確認してみましょう。
「生き急ぐ」 | 「死に急ぐ」 | |
---|---|---|
意味 | 生き方が性急であること | 自ら寿命を縮めること |
ニュアンス | ポジティブまたはネガティブ | ネガティブ |
興味の方向 | やりたいこと・仕事・目標 | 死 |
「生き急ぐ」も「死に急ぐ」も、寿命をすり減らすという方向性は一緒です。
しかし、「生き急ぐ」は「死ぬ前にやりたいことを全てやる」という意気込みで生きているニュアンスがあります。
一方、「死に急ぐ」には「必要がないのに死の可能性のある行動をとる・命を無駄にする」というニュアンスです。
2.「生き急ぐ」の使い方
「生き急ぐ」は、寿命を短くするというニュアンスで捉えられるためネガティブな使い方をされることが多いです。
しかし、「生き急ぐ」は、文脈によってはポジティブな意味で使うことができます。
以下では「生き急ぐ」のネガティブなニュアンス・ポジティブなニュアンスそれぞれで、使い方を詳しく解説していきます。
2-1.「生き急ぐ」をネガティブに使う
「生き急ぐ」は、 生き方が急性であるが故、落ち着きのない様子を表すことがあります。
毎日をせかせかと進む「生き急ぐ」生き方をする人の中には、途中で疲れを感じてしまうことだってあるでしょう。
また、やりたいことをやろうと必死になるあまり、実力が追い付いていないとされることもあります。
それでは「生き急ぐ」をネガティブに使う場合は、どのようなフレーズがあるのか見ていきましょう。
- 彼はまるで生き急いでるかのように落ち着きがない。
- 父は生き急ぐかのようにせっかちだ。
- 生き急いで全てこなそうとした結果、疲れてしまった。
2-2.「生き急ぐ」をポジティブに使う
せっかちな印象を持たれる「生き急ぐ」は、一方でポジティブな使い方もできます。
この場合、「生き急ぐ」人は 人生に多くの目標があったり、仕事熱心であったり、いろいろなことに挑戦する前向きな気持ちが強い人という印象があります。
それでは、ポジティブな「生き急ぐ」はどのように使うのかを以下の例文で確認してみましょう。
- 彼女は生き急いでるかのように、なんでもすぐにこなす。
- 生き急いでるかのように毎日が充実している。
- 母は生き急ぐかのように、いろんなことに挑戦している。
3.「生き急いでいる」人の特徴とは
「生き急ぐ」人は、周りからの味方によって、良くも悪くも思われます。
そこで、「生き急いでいる」人が周りからどのように見えているのかを、良い面・悪い面にわけて確認してみましょう。
3-1.悪く見える「生き急いでいる」人
悪く見える「生き急いでいる」人は、以下の特徴があります。
それでは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
①いつも焦っていてせっかち
常に何かをやろうとしている人は、目の前にある事をたくさんこなそうとするあまり 後ろを顧みない傾向があります。
その結果、何かをする過程でせっかちと思われがちです。
集団行動の中などでは、自分だけどんどんと進んでいこうとすると、周りにストレスを感じさせてしまう場合もあります。
せっかちと言われやすい人や、先に先に物事を終わらせたいと感じてしまう人は、注意しましょう。
②ストレスでイライラしがち
やる事が多く休む暇なく動いている人は、ストレスや疲れを感じやすくイライラしていることが多いです。
イライラは、時に 周りの人へ態度がでてしまったり、つい思ってもいない言葉で人を傷つけてしまったりします。
やりたい事が多く、忙しく過ごすのは決して悪い事ではありません。
しかし、疲れが溜まった・最近イライラしているかもと感じる時は少しリラックスする時間を設けてみましょう。
3-2.良く見える「生き急いでいる」人
良く見える「生き急いでいる」人は以下のような特徴があります。
それでは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
①無駄な時間がなく生き生きしている
「生き急ぐ」ように生活している人は、 人生を充実させたいと感じている人も多いです。
そのため、少しの空き時間があれば何かしようと試みます。
やる事を詰め込み過ぎて自分を追いつめてしまうとストレスになりがちです。
しかし、時間を有効活用できる人は周りから見ると、「いつも活発に活動していて生き生きしている」と思われてやすいでしょう。
②率先してやってくれるので頼もしい
「生き急ぐ」傾向のある人は、 人に任せるより自分でやってしまおうという精神が強いです。
そのため、何に対しても率先して物事を引っ張り、リーダーシップを発揮します。
これは、周りから見ると、非常に頼もしいですよね。
周りのペースに合わせられず、他人に自分のペースを強要するのはいけません。
しかし周りを上手に引っ張っていけるとグループのヒーロー的存在として尊敬されやすいです。
4.「生き急ぐ」の類語
「生き急ぐ」には、以下のような言い換え表現があります。
どちらもどんどん前に進んでいくニュアンスが感じられますよね。
では、それぞれの言葉を詳しく見ていきましょう。
2-1.忙しく生きる
「忙しく生きる」は、文字通り「 生き方が忙しい・慌ただしい様子」です。
良いニュアンスでは、充実したような生き方が感じられる一方、せかせかして焦ったように生きている、という悪いニュアンスでも受け取れます。
それでは、「忙しく生きる」を使った例文で使い方を確認してみましょう。
- 彼女は毎日忙しく生きていて、いつもキラキラしている。
- 彼は忙しく生きており、落ち着きがない。
1つ目の例文はポジティブな使い方ですが、2つ目の例文ではマイナスなニュアンスが受け取れますね。
2-2.前のめりに生きる
「前のめりに生きる」は、 足が追い付かないほど前につんのめって生きている様子です。
「忙しく生きる」よりもさらに、転倒しそうなほど前方向に傾いているニュアンスが受け取れますね。
「前のめりに生きる」も、前向きに人生を充実させるというポジティブ表現ができる一方、ネガティブにせっかちな様子を表すこともできます。
それでは、「前のめりに生きる」を使った例文を見ていきましょう。
- 彼の自分の夢を全て達成するように前のめりに生きる姿勢は、尊敬できる。
- 君は前のめりに生きていて、過去のことを振り返らない。
5.「生き急ぐ」の英語表現
「生き急ぐ」を英語で表現したい時には、以下のワードが多用されます。
- live fast and recklessly(向こう見ずに生き急ぐ)
- live fast and die young(太く短く生きる)
recklessly には「 向こう見ず」という意味があり色々と考える前に行動を起こしてしまうニュアンスです。
live fast and die young は、直訳すると「 急いで生きて若くして死ぬ」という意味ですが、ことわざとして「太く短く生きる」「生き急ぐ」と訳されます。
それでは、それぞれの例文でフレーズを確認してみましょう。
- I’m worried about him, because he lives fast and recklessly. (彼は生き急いでるから、私は心配よ。)
- She seems to love her life to live fast and die young.(彼女は生き急いでいるような人生が好きみたいだ。)
まとめ
「生き急ぐ」には、「生き方が急性である」「生き方が駆け足である」という意味があります。
「生き急ぐ」と「死に急ぐ」とでは、「寿命をすり減らす」ような方向性であることは変わりません。
しかし、興味の対象が「やりたい事」なのか「死」なのかで大きな違いがあります。
ネガティブな表現で使われることが多い言葉ですが、人生を充実させているというポジティブなニュアンスで使うこともできます。
他人への振る舞い方、他人から見える生き方によっては、相手にとって正反対の印象となるでしょう。
自分が「生き急いでいる」と感じる人は、周りにネガティブな印象を与える「生き急ぎ」方ではないかを気にしたいですね。