最終更新日:2020/06/08
「イノベーション」とは「革新」という意味の言葉です。
新たなものを創造し、変革を起こすことで経済や社会に価値を生み出すことをいいます。
また、「イノベーション(innovation)」は外来語であり、「技術革新」「新機軸」と日本語で訳されます。
この記事では、「イノベーション」を例文や事例を用いてわかりやすく解説していきます。
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1.「イノベーション(innovation)」の意味
「イノベーション」とは「革新」
「イノベーション」とは 経済や社会に影響するほどの変革によって「革新」を起こす事を指します。
よく「技術革新」と訳されるために誤解されますが、技術の進歩だけに限った事ではありません。
社会に革新をもたらすような「新たな創造」全般を指し、イノベーションはとても広義な意味で使われます。
例文
- Facebookは世界中の人と個人間で簡単に繋がることができるネットワーク社会を作り、イノベーションに成功した。
- Amazonは独自の販売戦略と物流システムを構築し、ネット販売業界にイノベーションを起こした。
- 新たなイノベーションを生み出すことで、新事業を開拓する。
2.「イノベーション」の定義
ヨーゼフ・シュンペーターの5つの理論
言葉の起源の1912年までさかのぼると、オーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターが著書「経済発展の理論」を発表し、そこでイノベーションには5つの理論があることを定義しています。
初期の著書では「イノベーション(innovation)」ではなく「新結合(new combination)」という言葉を使っていますが本質は同じで「新結合」の理論全体を総称して「イノベーション」という言葉が現在では定着しています。
そして著書の中で「イノベーション」の中心概念と5つの理論を定義しています。
下記の5つの理論1つ1つが「イノベーション」です。
- 新しい財貨の生産:新たな消費者を生む新技術や新製品などの開発。
- 新しい生産方法の導入:新たな生産効率、生産スピード、生産方式などを導入。
- 新しい販売先の開拓:企業、店舗、ネット販売などの新たなマーケットの開拓。
- 新しい供給源の獲得:資源、原料、製品の新たな買い付け先を開拓。
- 新しい組織の実現:新たなシステム構築で組織を創出。
それでは次に、これらの5つの「イノベーション」を具体例を用いて解説していきます。
3.5つの「イノベーション」をわかりやすく解説
ここからはハンバーガー店を題材にして5つの「イノベーション」を説明します。
1.新しい財貨の生産
パンとハンバーグを挟んで食べることがなかった時代に、ある人がパンにハンバーグを挟んで食べると美味しいということに気づき、それをハンバーガーという商品名をつけてお店で売り出した。
このように、新たなものを発明したり開発したりすることをプロダクション・イノベーションと言います。
2.新しい生産方法の導入
お店のハンバーガーは美味しいと評判になり町一番の繁盛店になりましたが、作るのに時間がかかり繁盛すればするほど生産が追いつきません。
そこで、もっと多く作れるように人員を増やして役割分担をし、作り方をマニュアル化することで誰でも同じクオリティのハンバーガーが作れるようになり生産効率が上がりました。
このように、画期的な方法で生産スピードの向上、生産工程の簡略化などを実現することをプロセス・イノベーションと言います。
3.新しい販売先の開拓
売り上げを順調に増やしていったハンバーガー店は商品をもっと多くの人に知ってもらうため、世界中にお店を展開しているコンビニエンスストアに売り込みをしました。
そして、コンビニでの商品化に成功し、販売先を広げました。
このように、社外販売をしたり、代理店に委託販売してもらったりして新しい販売先を開拓することをマーケット・イノベーションと言います。
4.新しい供給源の開拓
お店では国産の高くて良いお肉を使っていました。
あるとき外国産の安くて美味しいお肉があるのをみつけ、コストパフォーマンスが良い外国産のお肉に買い付け先を変更しました。
このように、商品を作るための原材料の買い付け先や仕入れ方法などを新たに開拓することをサプライチェーン・イノベーションと言います。
5.新しい組織の実現
有名になったハンバーガー店は事業の拡大を計画し、フランチャイズチェーン展開を始めました。
そして飲料メーカー会社と契約を結び協力することでさらに組織の拡大に成功しました。
このように、他の会社と契約したりして新たな組織を作ったりすることをオルガニゼーション・イノベーションと言います。
4.あなたも使っているイノベーション事例
今現在、あなたも使っているイノベーション事例をご紹介します。
ケータイ電話
社会人であれば必ず持っている ケータイ電話はイノベーションの集大成です。
ケータイ電話の元となる発想はモールス符号(無線電信機)にまでさかのぼります。
その後、軍事目的でトランシーバーが開発され無線で会話ができるようになり、その技術を一般向けのサービスに展開するために開発が進められます。
1990年代に本格的にケータイ電話が普及し始め、より持ち運びしやすいように小型化や通信回線の向上など、今のスマートフォンに到るまでに幾重にもイノベーションが繰り返されて来ました。
インターネット
今の情報社会を支えている イノベーションの一つがインターネットです。
インターネットが普及し始めたのはまだ最近の話で、初期のパケット通信(インターネットのベースとなる技術)の開発が1960年代から始まり進められました。
その後、1982年に世界規模でインターネットという概念が提唱され、営利目的でインターネットプロバイダのサービスがスタート。
以来徐々にインターネット環境が整い始め、一般利用できるようになりました。
インターネットの普及でメール、チャット、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、ブログ、電話など、イノベーションは多岐に渡ります。
お金
日々、何気なく使っている お金もイノベーションで進化してきました。
そもそもお金(貨幣)で決済する概念が始まる前は物々交換で売り買いをしていました。
しかし、物の価値は人それぞれ違いますし、物々交換というシステムには限界があるわけです。
そこで、お金というシステムを作る事で人の価値観を一定にしようという働きが生まれました。
近年ではIT産業が飛躍的に伸びたおかげでクレジット決済や電子マネー決済が主流になりつつあります。
そのイノベーションのおかげで今では現金を持ち歩かなくても物を買うことができる時代になりました。
5.覚えておきたいイノベーション関連用語
オープンイノベーション
オープンイノベーションとは、自社開発や自社研究だけに限らず、異業種の企業、団体、地方自治体、大学、起業家などの多方面で連帯し、そのアイデアやデータ、知識やサービスなどを組み合わせることによって新たなビジネスモデルを創造することです。
共同開発や共同研究することで企業同士の強みが合理的に活かされ、利益に繋がることからオープンイノベーションを積極的に取り入れる企業が増えています。
クローズドイノベーション
クローズドイノベーションとは、オープンイノベーションとは逆のことを指します。
自社の製品やサービス、研究開発にいたるまでの全てを自社内でおこなう自前主義の企業のことです。
近年、グローバル化が飛躍的に進むにつれ、企業に求める顧客のニーズが多様化したために既存のサービスや製品では満足に応えることが難しくなってきています。
このような閉鎖的なクローズドイノベーションの会社は日本企業に多い傾向ですが、 徐々に自前主義の考えが改め直されオープンイノベーションに注目が集まっています。
まとめ
「イノベーション」とは、「 新たなものを創造し、変革を起こすことで経済や社会に価値を生み出す」という意味です。
また、ヨーゼフ・シュンペーターの5つの理論の「イノベーション」というのもあります。
世の中により良いものを残したいという気持ちがイノベーションに繋がり、今ある「モノ」「サービス」などはイノベーションが繰り返されたことで存在しているのだと言えます。