最終更新日:2020/06/26
「意趣返し」には、「復讐をすること」という意味があります。
ネットや新聞でたまに見かける言葉ですが、日常会話では使わないので、詳しい意味や使い方が分からないという人も多いでしょう。
「意趣返し」と似た言葉で「仕返し」という言葉があります。
「意趣返し」は「仕返し」とは違い、 恨みが積もっている場合に使用されることが多いです。
この記事では「意趣返し」の意味や使い方などを例文を踏まえながら分かりやすく解説します。
1.「意趣返し」の意味
意趣返し
読み方:いしゅがえし
意味:復讐すること
「意趣返し」には、「復讐すること」「恨みを晴らすこと」という意味があるので 「復讐をする」は「意趣返しを行う」と言い換えることができます。
「意趣」には「恨み」や「遺恨」という意味があり、それを相手に返すので「復讐すること」という意味になります。
一見、味わいがあるような表現ですが、復讐といったマイナスのイメージで使う場合が多く、主に小説で使用されます。
例文
- もううんざりだ。意趣返しをしたくなる。
- A国への経済制裁は意趣返しだと言える。
- 意趣返ししていては何も解決しない。
語源は古代中国の言葉
「意趣返し」の語源は、古代中国にまでさかのぼります。
古代中国では、「意趣」は「自身の心の趣」「雰囲気」という意味で使っていました
日本には中世以降にこの表現が伝わり、「理由」「原因」といった意味で使用されています。
さらに、それ以降の時代に「恨みを晴らす」といった意味で使用されるようになり、現在に至ります。
2.「意趣返し」の使い方と例文
復讐するときに使う場合
「意趣返し」は「復讐をする」という意思表示を行う文章に使います。
普段の会話などで使用される表現ではありませんが、文学作品などで使用される表現です。
「意趣返し」には「恨みや憎しみを返す」といったニュアンスがあるため、恨みの感情をより強調することができます。
「意趣返し」が使用されている場合には、強い感情が生じていることを覚えておきましょう。
さらに、「意趣返し」は芸能界や政治・会社といった大きな集まり・組織の中で使用されることが多く、「仕返し」といった表現よりもスケールが大きい場合に使用します。
そのため、ニュースになるような話題に使用されることがあることを覚えておくと良いでしょう。
例文
- Aさんの昇進はB課長に対しての意趣返しだと思う。
- 今回のスキャンダルはマネージャーによる意趣返しだ。
3.「意趣返し」と「仕返し」の違い
「意趣返し」と似た表現に「仕返し」という表現があります。
「仕返し」には、「報復すること」「復讐すること」という意味があります。
「意趣返し」と「仕返し」には以下のような違いがあります。
復讐のスケールの大きさ | 日常会話で使うか | |
意趣返し | 大きい | 使わない |
仕返し | 小さい | 使う |
「意趣返し」は「仕返し」とは違い、 恨みが積もっている場合に使用されることが多いです。
芸能界のスキャンダルや社内での出世争いといった、スケールが大きい・恨みが生じやすい場合に使われます。
また、「仕返し」は「いたずらへの仕返し」「やられた仕返し」というように、日常的に使用されることが多い言葉です。
4.「意趣返し」の類語
「意趣返し」の類語は以下の通りです。
- 復讐(ふくしゅう)
- 雪辱(せつじょく)
- リベンジ
1つずつ見ていきましょう。
類語1.「復讐(ふくしゅう)」
「復讐」には 「敵討ちをする」「仕返しをする」という意味があります。
何か嫌なことをされたときに悔しさや恨みを晴らすためにとる行動に対して使います。
「意趣返し」の意味を知らなさそうな場合には、「復讐」を使って言い換えると分かりやすく伝わります。
例文
- 彼への復讐を決行する。
- 復讐したい気持ちになった。
類語2.「雪辱(せつじょく)」
「雪辱」には 「恥をすすぐこと」「負けた相手に勝つことで名誉を取り戻すこと」という意味があります。
「雪辱を果たす」と形で使用されることが多いこの表現ですが、「意趣返し」とは違い、スポーツやゲームといった勝負事に負けたときに使うことが多いです。
恨みや復讐といった意味合いがある「意趣返し」とは、この点で違います。
例文
- 昨年度の負け試合の雪辱を果たす。
- 雪辱を果たすために練習を積み重ねてきた。
類語3.「リベンジ」
「リベンジ」には 「復讐」「報復」「一度負けた相手を打ち負かすこと」という意味があります。
「リベンジ」は英語圏では「意趣返し」のようなマイナスの意味で使用されることが多い表現ですが、日本では「雪辱を果たす」のように再挑戦といった意味でも使用することができます。
国によって、プラス・マイナスが逆になる珍しい表現です。
例文
- 過去の失敗にリベンジをする。
- 彼に勝ってリベンジしたい。
5.「意趣返し」の対義語
「意趣返し」の対義語は以下の通りです。
- 許容(きょよう)
- 堪忍(かんにん)
- 辛抱(しんぼう)
1つずつ見ていきましょう。
対義語1.「許容(きょよう)」
「許容」には 「許して受け入れること」という意味があります。
「意趣返し」は「相手を憎んでいる」つまり、許していない状態であるため、「許容」は対義語として成り立ちます。
例文
- 相手の間違いを許容する。
- 許容範囲を超えてしまっています。
対義語2.「堪忍(かんにん)」
「堪忍」には「人の過ちを我慢して許すこと」「堪え忍ぶこと」という意味があります。
「許容」とは違い、「心の底から許している訳ではない」「我慢している」という意味があるため、文章によって使い分けが必要です。
例文
- 今回だけは堪忍しておく。
- もう許してください。堪忍してください。
対義語3.「辛抱(しんぼう)」
「辛抱」には 「耐え忍ぶこと」「じっと我慢すること」という意味があります。
怒りや恨みを解放する・解き放つといった意味を持つ「意趣返し」とは反対の意味を持ちます。
例文
- 課長の嫌味を辛抱した。
- きっと辛抱すれば良くなるだろう。
6.「意趣返し」の英語表現
「意趣返し」を直接意味する英語表現はありません。
ただし “revenge”という英単語で代用できます。
先ほど類語として「リベンジ」を紹介しましたが、英語では「意趣返し」のようにマイナスな意味で使うことが多いです。
例文
I will get my revenge.
⇒意趣返ししてやるぞ。
まとめ
「意趣返し」には、「復讐すること」「恨みを晴らすこと」という意味があります。
「仕返し」とは少しニュアンスが異なるので使い分けるようにしましょう。
「意趣返し」が聞きなれない人には「復讐」「雪辱」「リベンジ」といった類語と置き換えると良いですよ。