最終更新日:2020/06/30
「係(かかり)」と「御中(おんちゅう)」と「様」は、どちらもはがきや手紙や封筒の宛名を記載するときに使用する言葉です。
「係」は専門的に担当する部署や担当者、「御中」は会社名や部署名に対して使います。
それぞれの役割も違いますので、注意が必要です。
意味だけわかっても、実際に手紙ではこの漢字を使ってどのように宛名を書けばいいのか困ってしまいますよね。
そこで、「係」や「御中」の意味を正しく理解して、相手に不快感を与えない正しい宛名の書き方を一緒に学びましょう。
1.一目で分かる宛名のマナー
はがきや手紙や封筒を相手に送るとき、「宛名はなんて書けばいいんだろう」と悩んでしまいますよね。
「係」「御中」「様」など、宛名が多すぎて、どれが正しいのか迷ってしまうかと思います。
そこで、宛名の使い分けが一目でわかるよう、一覧にしてまとめましたので、以下の表を確認してみてください。
言葉 | 対象 | 使い方 |
係 | 専門的に担当する部署や担当者 | (会社名)〇〇課〇〇係 |
御中 | 会社名や部署名 | (会社名)〇〇課〇〇係 御中 |
様 | 個人名 | (会社名)〇〇課〇〇係 〇〇様 |
この表の通りに宛名をかけば、宛名の間違いで恥を書くことはありません。
注意点は、係は担当する部署に対して○○係と記載するので、御中を付けましょう。
ただ、もっと詳しく知りたい人に向けて、ここからは宛名の意味や使い方をさらに詳しく解説していきます。
宛名の使い方に不安がある人は、ぜひこの機会に、完璧に覚えてしまいましょう。
2.「係」の意味と使い方
まずは、手紙などでよく目にする「係」の意味や使い方を解説します。
「係」は使い方に悩みやすい言葉でもありますので、しっかりとその使い方を身に着けましょう。
2-1.「係」の意味は「専門的に担当する部署、担当者」へ
宛名などで使用する「係」は、 専門的に担当する部署や担当者を表しています。
そのため、個人名の後や会社の後に「係」を使用することはできません。
ただし、会社によっては「係」ではなく「課」を部署名に使用していることもありますので、「係」を使用しない場合があります。
では、どのように「係」を使用するのでしょうか?
2-2.「係」の使い方
- (会社名)〇〇係
- (会社名)〇〇課〇〇係
「係」を使用する際には上記のように宛名を記載します。
また、「〇〇係行」という返信用封筒をもらった場合には 「行」を二重線で消しておくことが必要です。
そして、「行」の下部や隣に「御中」を付け足して返信します。
さて、この「御中」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか?
3.「御中」の意味と使い方
ビジネスメールなどで目にすることが非常に多い「御中」。
この言葉にはどのような意味があり、どのように使用するのが正しいのでしょうか?
3-1.「御中」の意味は「◯会社、△部署」へ
「御中」とは、 会社名や部署名などにつける言葉です。
「係」と同じように見えますが、「御中」は宛先が誰か分からない場合に使用する宛名です。
つまり、「御中」自体が宛名になっていますので、単に部署などを表す「係」とは明確な違いがあるのです。
3-2.「御中」の使い方
「御中」を使用する場合、 必ず宛先の最後に記載します。
そのため、上記のように会社名や部署名の後に「御中」を記載するのが正しい使い方となります。
また、「係」と併用する場合には以下のように使用します。
このように「係」を付けた後に「御中」を記載します。
実は、「係」を最後に付けて宛名とするのは間違った使用方法となります。
したがって、 「係」を使用する場合には「御中」を添えて使用しなければいけません。
また、宛名を記載する場合には「御中」と同じように「様」を使用する機会があります。
4.「様」の使い方と使い分ける方法
宛名でよく見かける「様」は、深く考えずに使用している人が多いかもしれません。
では、どのような場合に「様」を使用するのでしょうか?
4-1.「様」は送付相手の名前がわかるときに使う
「様」は 送付する相手の名前が分かる場合に使用します。
つまり、個人名の後に「様」を記載するのが正しい使い方となります。
- (会社名)〇〇様
- (会社名)〇〇課 〇〇様
また、「様」と同じように宛名に「殿」を使用する場合があります。
同じ意味のように感じてしまいますが、「殿」は目下の人に使用します。
そのため、「殿」を使用する機会は非常に限られており、一般的には使いません。
4-2.使い分ける方法は?
さて、宛名には「係」「様」「御中」と3つの異なる言葉を使用しますが、それぞれどのように使い分ければ良いのでしょうか?
まず、この3つの中で「係」は部署を表す言葉となりますので、他の2つと併用して使うことができます。
注意が必要なのは、「御中」と「様」を使い分ける場合です。
それぞれの言葉の意味を比較すると以下のようになります。
- 御中:宛先の個人名が分からない場合に使用する
- 様:宛先の個人名がが分かる場合に使用する
つまり、特定の誰かに手紙を送付する場合には「様」を使用し、担当者が分からない場合に「御中」を使用します。
そのため、 「様」と「御中」は併用できず、どちらかのみを使用するのが正しい使い方となります。
- (会社名)〇〇係 〇〇様
- (会社名)〇〇係 御中
上記の例のように、 個人名を付ける場合は「様」、部署で終わる場合には「御中」と覚えておくと分かりやすいかもしれません。
また、「担当者」という言葉を使用する際にも「様」を付けます。 個人名ではありませんが、部署や団体ではなく特定した誰かに送付するためです。
そのため、「担当者御中」や「担当者様御中」としないように気をつけましょう。
5.メールの場合の場合は?
さて、近年では手紙よりもメールを使用する機会が増えていますが、手紙のように「様」や「御中」を使用するのでしょうか?
5-1.メールでも「係」「御中」を使うのがマナー
基本的に ビジネスメールの場合にも使用するのがマナーとなっています。
そして、メールで使用する場合、タイトルではなくメールの文頭に宛名を記載します。
ただし、メールの場合には個人のメールアドレスか、部署で共有しているのメールアドレスかで「様」か「御中」どちらを使うのかが変わります。
一般的には、 個人のメールアドレスの場合は「様」、共有しているメールアドレスには「御中」を使用することがマナーとなっています。
また、やり取りを行っている最中には、部署のアドレスであっても特定の誰かに送付します。
そのため、「御中」ではなく「様」を使用し、連絡を送りたい個人名を入れておきましょう。
5-2.複数の人へ送る場合は「各位」を使う
手紙と違ってメールの場合には1人だけでなく複数の人へ一斉送信する場合があります。
この場合、特定の誰かに送る訳ではありませんが「御中」は使わずに 「各位」を使用します。
- (会社名)〇〇係各位
- 取引先各位
また、個人名を記載する場合には、送りたい人の名前の後に「様」を付けて、横または縦に並べて記載します。
ただし、この場合は役職が高い人を上に記載することに注意が必要です。
基本的には 役職のある人を上に記載していきますので、年齢順ではないことに注意しながら記載しましょう。
さらに、複数の会社へ個人名を記載して送付する場合には、会社ごとに分けて名前を記載します。
□□株式会社 □□様
会社名を並べる場合は、上下関係などを気にする必要はありませんが、もし送り先の人が気にする場合には同じ内容を個別に送りましょう。
まとめ
「係」「御中」「様」はどれも手紙の宛名に記載する言葉です。
「係」は専門的に担当する部署や担当者、「御中」は会社名や部署名、「様」は個人名に対して使います。
こうした宛名に使用する言葉はメールでも使いますので、現代でもきちんと覚えておき正しく使えると非常に便利です。
特に、メールの場合は言葉以外にも役職による名前の表記順なども気にしなければいけません。
正しいマナーをきちんと学び、相手を不快にさせずに円滑にビジネスを進めましょう。