
「考える」という表現が連発してしまう。「考える」という言葉を使わずにこの気持ちを表現できないだろうか。
「考える」は、 「論理的に道筋をたどって答えを出そうとする」という意味です。
「考える」という言葉は、文章を書く上では非常に便利な言葉ですよね。
しかし、使いすぎると相手に響かない文章になってしまいます。
本記事では、「考える」の類語や「考える」を使わずに表現する方法を解説していきます。
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1.「考える」の意味:論理的に道筋をたどって答えを出そうとすること
考える
読み方:かんがえる
意味:
- 論理的に道筋をたどって答えをだそうとすること
- 様々な要素をもとに、結論・判断・評価などを導き出そうとする
- それが…である、という感情や評価をもつ
- 結論を出すための要因の一つと仮定する
- 計画する
- 工夫して新しいものを作り出す
「考える」は、 「論理的に道筋をたどって答えをだそうとする」という意味です。
また、その他にも②〜⑥の意味があります。
「考える」は、普段何気なく使う言葉ですが、いろいろな意味があるということですね。
こんなにたくさんの意味があるの?知らなかった。
と思うでしょうが、私達は普段から、これらのニュアンスの「考える」を、感覚的に使っているのです。
以下の例文で確認してみましょう。
<例文>
① 問題の原因を考える。
(論理的に道筋をたどって答えをだそうとする)
② その件については、少し考えさせてください。
(様々な要素をもとに、結論・判断・評価などを導き出そうとする)
③ あまり深く考えないでください。
(それが…である、という感情や評価をもつ)
④ リストラを考えている。
(計画する、意図する)
⑤ 相手のことを考えると、あまり強くは言えない。
(結論を出すための要因の一つと仮定する)
⑥ アイディアを考える。
(工夫して新しいものを作り出す)
それぞれの例文を見てみると、 普段何気なく、いろんなニュアンスの「考える」を使っていることが分かりますよね。
2.「考える」の類語を意味ごとに紹介!
「考える」と同じ様な意味を持つ類語を、以下の意味ごとに紹介していきます。
- 問題、解決方法などについて「考える」
- 自分や他人の気持ちなどを「考える」
- 計画する、意図する意味を持つ「考える」
- 深く「考える」
- (〜を〜と)考える
順に紹介していきます。
① 問題・解決方法などについて「考える」
語句 | 意味 |
考察する | 物事を明らかにするために考える |
考量する | いろんなことを考え合わせて判断する |
考究(こうきゅう)する | 深く考えて、研究する |
探求する | 物事を手に入れようとして探し求める |
検討する | よいかどうかを調べて考える |
模索(もさく)する | 手探りでさがす |
考え合わせる | 複数のことを視野に入れて考える |
計算する | 結果を予測する |
考え抜く | 十分に考える |
思案する | 考えをめぐらす |
構想する | これからやることについて、考えを組み立てること |
知恵を絞る | 懸命に考えて、よい意見を出そうとする |
② 自分や他人の気持ちなどを「考える」
語句 | 意味 |
振り返る | 過去のことを考える |
反省する | 過去に間違いがなかったかどうかを考える |
内省(ないせい)する | 自分自身の気持ちの状態を振り返る |
顧(かえり)みる | 過去のこと振り返って考える |
静思(せいし)する | 静かに思う、静かに考える |
心がける | 忘れないようにする |
改める | 悪い点を治して、より良いものにする |
考え直す | 今までの考えを変える |
思う | 物事に対して、意識や感情をもつ |
物思う | あれこれと考えること |
思い描く | 情景などを想像して頭の中に描く |
考慮する | いろいろな要素を考え合わせること |
慮(おもんばか)る | あれこれ思うを巡らす。考慮する |
思いやる | 人の身になって考える |
(気持ちを)汲(く)む | 相手の気持を好意的に解釈する |
推察する | 物事の事情や、他人の心中を考えて思いやる |
(〜と)見受ける | 見て、判断する |
位置づける | 物事の程度・能力などを見極めるて階級を付けること |
(〜であると)にらむ | 見当をつける |
思念する | 心に思うこと |
③ 計画する、意図する意味を持つ「考える」
語句 | 意味 |
たくらむ | (悪事を)計画する |
企(くわだ)てる | 始める前に、手順を考えたり、計画したりする |
巡らす | 各方面から考える |
画策する | (悪事の)計画を立てて、行動しようとすること |
目論(もくろ)む | くわだてる |
算段(さんだん)する | あれこれと手段・方法を考えること |
④ 深く「考える」
-
語句 意味 熟慮する 十分に考えをめぐらせる 熟考する 十分に考える 突き詰める 徹底的に調べたり、考えたりする 思索する 筋道を立てて深く考える 考え抜く 頭を絞って考える 見据える 本質を見定める 頭を絞る あれこれ苦心して考える (頭を)酷使する 頭を使って考える 見定める はっきりと見届けて判断する
⑤ (〜を〜と)考える
語句 | 意味 |
(〜を〜と)みなす | 見て、判断したり仮定したりする |
(〜と)仮定する | 仮にそうであると想定する |
(〜だと)思う | 〜であると予想する |
(〜を〜として)扱う | 〜を〜として考える |
3.「考える」という言葉を使わずに表現する方法
「考える」という言葉が連続する時は、類語を使って、連発を防ぎましょう。
また、よく使われる言葉で 「考える」に近い意味を持つものとして、「感じる」や「思う」があります。
「考える」と「感じる」「思う」との違いが分かりますか?
感覚的にはなんとなく分かるけど、言葉で説明するのは難しいですよね。
そこで、「考える」と「感じる」や「思う」との違いを、簡単に解説します。
3-1.「考える」「感じる」「思う」の違い
それぞれの意味を以下にまとめます。
- 考える:(論理的に)頭を使って考える
- 感じる:(実体験を元に)自然と気持ちや感情が生じること
- 思う:(考えた結果、または感じた結果)想像する。思うこと
※ 感情:心の動き、気分など。喜んだり、怒ったり、悲しんだりすること。
例文をもとに確認していきます。
<例文>
- ○ 問題の原因を考える。
- ✕ 問題の原因はこうだと感じる。
- ○ 問題の原因はこうだと思う。
この例文の場合、「感じる」は少し違和感がありますよね。
「考える」は、原因をあれやこれやと推測しているのに対して、「思う」は考えた結果こうである、と想像しています。
次の例文を見てみましょう。
<例文>
- △ 北海道は寒いと考える。(データを元に)
- ○ 北海道は寒いと感じる。(実体験)
- ○ 北海道は寒いと思う。(想像)
この場合「考える」は、間違ってはいませんが、少し違和感がありますよね。
「湿度や過去のデータの傾向から、今は寒いと考えられる」と捉えれば、おかしくはないですが、あまり使いませんよね。
「感じる」は、実際に北海道に行って感じたことであり、「思う」は、まだ北海道に行ってないけど寒そうだな、と想像していることが分かります。
再度、「考える」「感じる」「思う」の違いをまとめます。
- 考える:(論理的に)頭を使って考える
- 感じる:(実体験を元に)自然と気持ちや感情が生じること
- 思う:(考えた結果、または感じた結果)想像する。思うこと
「考える」が連続してしまう時は、適度に「感じる」や「思う」を使うと良いですね。
しかし、「感じる」や「思う」「考える」は、とても主観的な表現です。
主観的な表現も時には大事ですが、文章は読み手に読んでもらうものなので、客観性も大事です。
そこで、次では「考える」や「思う」「感じる」という言葉を使わずに表現する方法を解説します。
3-2.「考える」や「思う」「感じる」を使わずに表現する方法
同じ様な意味を表現する場合は、類語を使えば良いのですが、 類語を使わずに表現する方法があります。
難しい類語であれば、読み手にも負担を与えてしまいますからね。
ここでは、例文を元に解説していきます。
例文1.「考える」を使わずに表現する
<例文>
- 道の混雑を考えて、早めに出発する。
→ 道は混雑しそうだから、早めに出発する。 - アイディアを考える。
→ アイディアを出そうとする。
例文2.「思う」を使わずに表現する
<例文>
- 明日は晴れると思う
→ 明日は晴れるだろう。 - テレビを見ようと思った。
→ テレビを見ようとした。
例文3.「感じる」を使わずに表現する
<例文>
- 桜が綺麗だと感じた。
→ 桜は綺麗だった。 - 足が冷たいと感じた。
→ 足は冷たかった。
このように、類語を使わずに、それぞれを表現することができます。
もちろん 無理に言い換えようとして意味が変わってしまってはNGなので、あくまで自然な形で言い換えましょう。
言い換えができそうにない場合は、類語を使うか、そのまま「考える」「思う」「感じる」を使うのが良いですね。
4.「考える」の敬語:「考えます」「お考えになる」「拝察する」
「考える」の敬語(丁寧語、尊敬語、謙譲語)について解説していきます。
- 丁寧語:考えます
- 尊敬語:お考えになる
- 謙譲語:拝察する
順に解説していきます。
4-1.「考える」の丁寧語:考えます
「考える」の丁寧語は、「考えます」です。
丁寧語は聞き手に対して、丁寧に述べる時に使う敬語です。
社長やお客様などに対しては、少し失礼にあたる言葉ですが、部下や同僚、親しい上司などには使っても問題はありません。
また、じっくり考えたい時は「検討します」という言葉を使うことが多いです。
「考えます」と「検討します」の例文を紹介します。
<例文>
- その件に付きましては、少々考えさせてください。
- 前向きに検討させていただきます。
4-2.「考える」の尊敬語:お考えになる
「考える」の尊敬語は、「お考えになる」です。
尊敬語の主語は相手で、相手の立場を高める働きをします。
「考える」という行為をする人物が、自分より上の立場であるならば「お考えになる」を使いましょう。
「お考えになる」の例文を紹介します。
<例文>
- 部長が新規戦略をお考えになります。
- 来月行うスピーチの内容はお考えになりましたか?
4-3.「考える」の謙譲語:拝察する
「考える」の謙譲語は、「拝察(はいさつ)する」です。
謙譲語の主語は自分です。自分の立場を低め、相手の立場を高める働きがあります。
「拝察する」は、謙譲語であるため、ビジネスシーンやスピーチ、式典の挨拶、お礼状などで、よく使われる言葉です。
自分を下げることで、相手を立てたい時に使いましょう。
「拝察する」の例文を紹介します。
<例文>
- お客様から頂いた貴重な意見から拝察しますと〜です。
- ご多忙のことと拝察申し上げます。
まとめ
「考える」とは、 「論理的に道筋をたどって答えを出そうとすること」です。
文章を書く時には便利な言葉なので、つい何回も書いてしまいがちですが、そういった時は、類語や言い換えを使うようにしましょう。
「考える」や「感じる」「思う」といった言葉は、主観的な表現になりやすいので、類語や適度な言い換えで客観的な表現ができると良いですね。