最終更新日:2020/06/08
「閑話休題」という言葉は、余談から本題へ戻る時に使う言葉です。
しかし、逆の意味で使ってしまう事が多々見られます。
その理由は、「閑話休題」を「余談ですが」という意味で理解してしまうことにあります。
「閑話休題」の意味や正しい使用方法、例文を知って、是非言葉を正しく使いましょう。
1.「閑話休題」の意味
閑話休題
読み:かんわきゅうだい
意味:話を元に戻すと
「閑話休題」は、横道にそれていた話を本筋に戻すという意味です。
「閑話休題」が使われる場面と「閑話休題」の語源を解説します。
余談から本題に戻すときに使う四字熟語
「閑話休題」は、話が横道にそれているときに本筋に戻すために使う四字熟語です。
元々は書き言葉として小説などで使われる言葉でしたが、現在では、話し言葉としても使われています。
例文
- あそこのラーメン屋はなかなかおすすですよ。閑話休題、資料の表1に戻ります。
- すみません、閑話休題です。それをきっかけに私は退職を決意しました。
- 閑話休題、今までのところで質問があったら、お願いします。
「閑話休題」の語源
「閑話休題」は、中国の明時代に書かれた『水滸伝』(すいこでん)に由来します。
『水滸伝』の第10章に「しばらく閑話を把(と)りて休題し、ただし正話(セイワ)を説(い)わんや。」(雑談をやめて、本題に戻ろう)という文章があり、それが閑話休題という言葉が使われるようになった始まりとされています。
「閑話」は、役に立たない話という意味です。「閑」には「のどかな」という意味のほかに「役に立たない」という意味もあります。
「休題」は、話するのをやめるという意味があります。「題」には「タイトル」という意味のほかに「問題」や「宿題」といった風に「答えが必要なこと」という意味もあります。
「答えが必要なこと」とはつまり説明することですが、説明する、すなわち話すことという解釈になっています。
この2つを合わせて、「閑話休題」は役に立たない話をやめるということを意味しています。
2.「閑話休題」の誤用表現
本題から余談にそれること
横道にそれていた話を元々していた話に戻すのが「閑話休題」の正しい使い方ですが、逆の使い方をしてしまうケースがあります。
つまり、本筋から話がそれるときに使うのは「閑話休題」の間違った使い方です。
本筋から話が脱線するときは、「話がそれますが」「余談になりますが」などを話が横道にそれる前の前置きとして使います。
例文
- ×:閑話休題、現在建設中のビルには、つばめの巣が3つできています。
- ◯:話がそれますが、現在建設中のビルには、つばめの巣が3つできています。
3.閑話休題の使い方と例文
「閑話休題」という言葉は聞いたことがあるけれど、どう使えばいいのか分からないという方のために、使い方と例文を紹介します。
余談から本題に戻る場合
「閑話休題」は、ミーティングやセミナーなどで話が本筋から横道にそれたときに、本来の話に戻る前の前置きとして使います。
話を聞いている側の人は「閑話休題」という言葉を聞いて、脱線していた話が、これから元々の話に戻るんだなと理解します。
例文
閑話休題、来年度事業計画の根拠については、下のグラフをご覧ください。
次の話へ移る場合
例えば、テキストの順番通りに講義をしていて、第2章までの説明が終わり、第3章へ移るとときにも「閑話休題」は使われます。
つまり、 話の本筋のなかで次の話に移る場合にも「閑話休題」は使用可能ということになります。
例文
このような消費者の要望に基づき新商品は開発されました。閑話休題、ここからは新製品の特長について説明させてください。
4.「閑話休題」の類語と例文
「閑話休題」には、以下に挙げる類語があります。例文とともに紹介するので、参考にしてください。
類語1.それはさておき
「それはさておき」も「閑話休題」と同じように、横道にそれた話を元の話に戻すときに使います。
「さておき」には「別にして」「保留にして」という意味があります。
「それはさておき」は、「今までの話は別にして、次の話に行きます」という意味になります。
例文
- それはさておき、今年度の売上目標を達成するためには何が必要だと思いますか。
- それはさておき、今回のプロジェクトの主担当を発表します。
類語2.それはそうと
「それはそうと」は、話題を変えるときに使う言葉です。
「閑話休題」は脱線した話から元の話に戻るときにしか使えませんが、「それはそうと」は、反対に本筋から話が横道にそれるときにも使えます。
例文
- それはそうと、次回の会議の予定を決めませんか。
- それはそうと、あの工場の跡地にはスーパーができるようですよ。
類語3.それはともかく
それはともかくの「ともかく」は「さておき」と同じく「別にして」という意味があります。
「閑話休題」と同じく、横道にそれた話を元の話に戻すときに使います。
例文
- それはともかく、予算の割り振りを決めよう。
- それはともかく、静岡支所の住所を教えてほしい。
類語4.話を戻します
「話を戻します」も「閑話休題」と同じ意味で、横道にそれた話を本筋に戻すときに使われます。
他の類語よりもやや堅い言い方になります。
改まったフォーマルな場面で使われることが多い言葉です。
例文
- 話を戻します。私が言いたいのは、親しき仲にも礼儀ありということです。
- 話を戻しますと、縄文時代は約1万年続いたとされています。
5.「閑話休題」の対義語と例文
「閑話休題」の対義語と、対義語を用いた例文を紹介します。
対義語1.余談ですが
「余談ですが」は本筋から話が横道にそれるときに使う表現です。
本筋から話がそれるときに使い、聞き手のなかで混乱が起こるのを防ぎます。
例文
- 余談ですが、先日娘に還暦のお祝いをしてもらいました。
- 余談ですが、明日は春分の日です。
対義語2.余談ながら
「余談ながら」の「ながら」は、名詞などの後ろにつく接続助詞です。
「けれども」「~ではあるが」という意味です。
「余談ながら」は「余談ですが」と同じ意味で、話が本筋から脱線する際に使います。
例文
- 余談ながら、私の転機について少しお話させていただきます。
- 余談ながら、私の妻はこの建物の隣の病院で看護師をしています。
対義語3.ついでに
「ついでに」は漢字では「序でに」と書きます。
「ついで」は「順番」「順序」という意味のほかに「よい機会」という意味もあります。
「ついで」には「横道に話がそれるが、この機会を使ってお話しします」という意味です。
例文
- ついでに、この言葉の語源にも触れておきましょう。
- ついでに、私の経歴について少しお話いたします。
4.閑話休題の英語表現
「閑話休題」の英語表現には、「now」や「well」があります。
それぞれの使い方を、例文とともに紹介します。
よく使われるのは「now」
「閑話休題」と同じように、横道にそれた話を本筋に戻す際によく使われるのが「now」です。
「now」の意味は「今」というのは広く知られているところですが、「now」は「さて」「ところで」と話を切り出す際に使われることも多くあります。
例文
Now, let me introduce myself.
(さて、自己紹介をさせてください。)
「well」を使うこともある
「well」には様々な意味があります。
動詞の後ろに置かれて「上手に」「立派に」という意味になるのが「well」の一般的なよく知られた使い方です。
一方、話を変えるときや、言葉を切り出す際の間投詞として「閑話休題」と同じ意味で「well」が使われることがあります。
言いずらいことを遠慮して言うときの「ええと」という意味のほかに「さて」「では」という意味で使われる「well」があることを覚えておきましょう。
例文
Well, let’s go to the next step.
(では、次のステップに行きましょう。)
まとめ
「閑話休題」は、横道にそれた話から本談に戻るときに使う四字熟語です。
「閑話休題」の元々の意味は、役に立たない話をやめるというものでした。
そのため、本題から横道に話がそれるときに使うのは「閑話休題」の間違った使い方です。
元の話から横道にそれるときは、「余談ですが」や「ついでに」が使われます。
また、「閑話休題」の類語には「それはそうと」「それはともかく」などがあります。
「閑話休題」の類語、対義語、英語表現を覚えると、さらに表現の幅が広がりますね。
日本語への理解を深めて、ビジネスに生かしていきましょう。
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