最終更新日:2020/06/05
「貴賎」についてお調べですね。
「貴賎」は、身分の高い人と低い人を表す言葉です。
たとえば、 人を職業によって差別すべきでないという意味で、「職業に貴賎なし」という使われ方をします。
あまり聞きなれない言葉ですが、目上の人との会話で使われることも多いので、覚えておいた方がよいでしょう。
今回は、そんな「貴賎」の意味や正しい使い方をわかりやすく解説していきます。
間違った使い方で恥をかくことがないよう、ぜひチェックしてください。
気になる項目をクリック
1. 「貴賎(きせん)」の意味
「貴賎(きせん)」には、主に以下の二つの意味があります。
- 身分の高い人と低い人
- 尊いことと卑しいこと
「尊(とうと)い」とは、「敬うべきこと」や「大切にすべきこと」という意味を表しています。また、「卑(いや)しい」とは、「品が悪いこと」や「粗末であること」という意味を表しています。
つまり、 「貴賎(きせん)」とは、身分の高低差や物事の品位差を意味する言葉になります。
1-1. 「貴賎」という言葉の由来
「貴賎」という言葉は、江戸時代以前からすでに存在していました。
というのも、江戸時代に活躍した思想家、石田梅岩(いしだばいがん)によって、「貴賎」を用いた代表的な表現である「職業に貴賎なし」という言葉が、すでに社会に向けて発信されていたからです。
梅岩は士農工商社会において、その当時、身分の低かった商人を擁護するために、この「貴賎」を用いた言葉を作り上げたと言われています。
「貴賎」という言葉は、職業に身分の差があった江戸時代から、すでに存在していたのです。
2. 「貴賎」の使い方
では、次に「貴賎」の具体的な使い方について、解説していきます。
ここでは、「貴賎」という言葉を用いたよく使われる表現として、以下の三つの例を挙げています。
実際のシチュエーションに応じた例文を挙げていますので、参考までにご覧ください。
例文1. 職業に貴賎なし
「貴賎」という言葉が用いられる表現の中で、最も使用頻度の高いのが、この「職業に貴賎なし」という表現です。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
「職業に貴賎なし」の意味や使い方について、さらに詳しく見ていきましょう。
「職業に貴賎なし」の本当の意味
「職業に貴賎なし」とは、職業に価値の差はないという意味です。
言い換えれば、全ての職業はその職務内容や職務待遇に関わらず尊いこと、すなわち、命を救う仕事も金を貸す仕事も同等の価値があることを表しています。
ただし、ここでいう職業とは、あくまでも社会にとって必要性のある仕事に限られています。そのため、法律に触れる犯罪行為のような、社会にとって有害な仕事は含まれません。
「職業に貴賎なし」とは、人間を職業によって差別すべきではない、という意味合いが込められた表現なのです。
「職業に貴賎なし」の具体的な使い方
「職業に貴賎なし」の具体的な使い方としては、次のようになるでしょう。
例文2. 人生には貴賎がある
また、職業以外にも単語を組み合わせることによって、「貴賎」という言葉の意味を活用することができます。
「人生には貴賎がある」とは、人生という人間の生き方によって、尊くも卑しくもなるという意味を表しています。
例:職業に貴賎はないが、人生には貴賎がある。
例文3. 貴賎上下の区別がない
「貴賎上下」とは、身分の高い人と低い人を区別することを意味しています。また、ここでいう「上下」とは身分や階級のことを指しています。
すなわち、「 貴賎上下の区別がない」とは、身分や階級による高低差がないことを表現しています。
例:この会議では、貴賎上下の区別なく、お互い感じたことを正直に議論してください。
3. 「貴賎」の類語
最後に「貴賎」の類語について、確認してみましょう。
代表的な二つの類語「優劣」と「序列」について紹介していきます。
3-1. 優劣
「優劣」とは、文字通り、 「優れていること」と「劣っていること」を意味しています。
「優れていること」と「劣っていること」という言葉は、対極にある二つの差を表していることから、高低差を表す「貴賎」の類語となります。
例:あの二人の能力に優劣はない。
3-2. 序列
序列とは、 一定の基準に基づいて並べた順序を意味しています。
順序を付けて並べることによって、必然的に大なり小なりの差ができるため、「貴賎」の類語となります。
例:テストの成績によって、序列をつけられる。
まとめ
「貴賎(きせん)」の意味や使い方について、ご理解いただけたのではないでしょうか。
「貴賎」には、身分の高低差や品位差を意味として含んでいます。
そのため、よく使われる「職業に貴賎なし」という表現は、全ての職業に優劣の差はなく、立派で平等であるという概念を表しているのです。