最終更新日:2020/06/30
「苦渋の決断」とは、苦しく辛い思いをして決めることです。
テレビや小説などでたまに見聞きする言葉ですが、詳しい意味や正しい使い方については分からないのではないでしょうか。
そこで、この記事では「苦渋の決断」の詳しい意味や使い方、類語やことわざ、また英語表現や「苦渋の決断」をする際のポイントについてもお伝えします。
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1.「苦渋の決断」の意味:苦しく辛い思いをして決めること
苦渋の決断
読み:くじゅうのけつだん
意味:苦しく辛い思いをして決めること。
「苦渋」とは、物事がうまく行かずに苦しんだり悩んだりすることです。
一方、「決断」とは「決めて断ち切る」という意味で、その道に決めたら他の全ての道を断ち切るというイメージです。
「苦渋の決断」には、何を決断したとしても苦痛やデメリットが生じるため思い悩み、また大きな覚悟が求められるというニュアンスがあります。
2.「苦渋の決断」の使い方と例文
「苦渋の決断」の意味が分かったところで、具体的な使い方をマスターしていきましょう。
間違った使い方についても解説するので参考にしてください。
2-1.辛い思いや苦しみを伴う決断を下す際に使う
「苦渋の決断」は、辛い思いや苦しみを伴う決断を下す際に使います。
何かの中から一つに決めなければいけない時、どれを選んでも痛みや苦しみ、またデメリットが伴うような場合に使っていきましょう。
以下、「苦渋の決断」を使った例文を紹介します。
<例文>
- 苦渋の決断だったが、会社を辞めることにした。
- 10年付き合ってきた恋人の浮気が発覚したので、苦渋の決断だが別れることにした。
2-2.軽い決断には使わない
「苦渋の決断」は、軽い決断には使わない言葉です。
「夕食を中華にしようかインド料理にしようか、苦渋の決断に迫られた」のように、軽い選択をする際には適していないので使わないようにしましょう。
3.「苦渋の決断」の類語・言い換え表現
続いて「苦渋の決断」の類語や言い換え表現を、以下5つお伝えします。
- 苦渋の判断
- 苦渋の選択
- 熟慮断行(じゅくりょだんこう)
- 断腸(だんちょう)の思い
- やむを得ない決断
別の表現方法を知っておくことで、その場に合わせた言い方が出来るようになります。
間違って使って恥ずかしい思いをしないためにも、一つずつ見ていきましょう。
3-1.苦渋の判断
苦渋の判断
読み:くじゅうのはんだん
意味:苦しみ悩んで考えを定めること。
「苦渋の判断」とは、苦しみ悩んで自分の考えを定めるという意味です。
「判断」とはある物事について見極めて自分の考えを定めるという意味で、「実行する」というニュアンスは含まれていません。
一方、「苦渋の決断」には決めて断ち切るという意味があるように、実行するというニュアンスが含まれます。
以下、「苦渋の判断」の例文を紹介します。
<例文>
大きな含み損を抱えた株価は、もう上がることはないと苦渋の判断を下した。なので、損切をすることにした。
3-2.苦渋の選択
苦渋の選択
読み:くじゅうのせんたく
意味:苦しみ悩んで選ぶこと。
「苦渋の選択」とは、苦しく大変な思いをして選ぶことです。
「選択」とは、複数の物事から選ぶことです。
一方、「決断」とは一つの物事以外は全て捨てて断つというニュアンスが含まれます。
より物事が深刻な場合や、求められる覚悟が大きい場合は「苦渋の決断」を使いましょう。
以下、「苦渋の選択」の例文を紹介します。
<例文>
上司から、会社を辞めるか減給を受け入れるかの苦渋の選択を迫られた。
3-3.熟慮断行
「熟慮断行」とは、十分に考えた上で思い切って実行するという意味です。
「熟慮」にはよく考える、深く考える、じっくり考えるという意味が含まれますが、「苦しみ悩む」というニュアンスは含まれません。
また「熟慮断行」には、複数の物事から一つを選んで断ち切るというニュアンスも含まれません。
以下、「熟慮断行」の例文を紹介します。
<例文>
- 経営者には、熟慮断行の姿勢が求められる。
- 投資で成功するには入念なリサーチと度胸が必要。まさに熟慮断行が重要だ。
3-4.断腸の思い
「断腸の思い」とは、腸がちぎれるほど悲しくて、辛く苦しい思いという例えです。
断腸というと物理的で痛そうなイメージがありますが、「断腸の思い」は精神的な苦しみを表現する言葉です。
命を懸けてでも手放したくないものを手放す時の悲しみや、命の次に大事なものを捨てる時の精神的な苦しみなどを表現する際に使われます。
以下、「断腸の思い」の例文を紹介します。
<例文>
- 断腸の思いで、大切な人に別れを告げた。
- 断腸の思いで、家族で長年生活してきた家を売り払った。
3-5.やむを得ない決断
やむを得ない決断
読み:やむをえないけつだん
意味:これ以上どうすることもできず、他に選択肢がない状況で決めること。
「やむを得ない決断」とは、自分の力ではこれ以上どうすることもできず、他に選択肢がない状況で物事を決めることを意味します。
諦めて決断するというニュアンスが含まれます。
一方、「苦渋の決断」には「諦める」というニュアンスは含まれていません。
以下、「やむを得ない決断」の例文を紹介します。
<例文>
赤字が膨らむ新規事業を撤退させたことは、やむを得ない決断だった。
4.「苦渋の決断」に似たことわざ
「苦渋の決断」に似たことわざを、以下2つ紹介します。
- 泣いて馬謖を斬る
- 清水の舞台から飛び降り
表現の幅が広がるので、ぜひこの機会に知っておきましょう。
4-1.泣いて馬謖を斬る
「泣いて馬謖を斬る」とは、規律やルールを守ることを優先するために、たとえ愛する者であっても、自分の気持ちを殺して処分するという意味のことわざです。
例えば、自分の愛する部下が不祥事を働いてしまった時に、自分の感情や気持ちは無視して処罰するといようなシーンで使われたりします。
以下、「泣いて馬謖を斬る」の例文を紹介します。
<例文>
泣いて馬謖を斬るようだが、会社存続のために大切な社員のリストラを決めた。
4-2.清水の舞台から飛び降りる
清水の舞台から飛び降りる
読み:しみずのぶたいからとびおりる
意味:死を覚悟するほどの決断をすることのたとえ。
「清水の舞台から飛び降りる」とは、清水寺から飛び降りるがのごとく、死を覚悟するほどの決断をすることを例えたことわざです。
ただ、日常会話では非常に高い買い物をする際に使われることがあります。
以下、「清水の舞台から飛び降りる」の例文を紹介します。
<例文>
清水の舞台から飛び降りる覚悟で、給料3ヶ月分以上の価格の結婚指輪を買った。
5.「苦渋の決断」の英語表現と例文
続いて「苦渋の決断」の英語表現と例文を紹介します。
5-1.「an agonizing decision」
「苦渋の決断」は「an agonizing decision」という英語で表現することが出来ます。
「agonizing」には、肉体的にも精神的にも苦しい、苦痛といった意味があります。
以下、「an agonizing decision」を使った例文を紹介します。
<例文>
It was an agonizing decision, but I have no regret.
(苦渋の決断だったが、後悔はない)
5-2.「make a painful decision」
「苦渋の決断」は、「make a painful decision」という英語を使っても表現することが出来ます。
「painful」には物理的に痛い、精神的に苦しいという意味があります。
以下、「make a painful decision」を使った例文を紹介します。
<例文>
I made a painful decision.
(私は苦渋の決断をした)
【補足】「苦渋の決断」をする時の2つのポイント
最後に補足として、苦渋の決断をする際のポイントとして、以下の2つをお伝えします。
- 決断を覆さない
- 決断を後悔しない
このポイントを知っておくことで、苦渋の決断を迫られた時にどうすればいいかが分かります。
一つずつお伝えします。
1.決断を覆さない
また 苦渋の決断を下した際は、その決断を覆さないようにしましょう。
なぜなら、人としての信頼や信用を失ってしまうからです。
苦しくて辛い思いをして下した決断をコロッと変えてしまったら、周りからは「信念がない人」と思われてしまうかもしれません。
そして人望を失い、あなたの元から人が去ってしまうことだって考えられます。
なので、一度下した決断は覆さないようにしましょう。
2.決断を後悔しない
そして 苦渋の決断を下したら、その決断を後悔しないようにしましょう。
なぜなら後悔したままだと、後の行動に迷いが生じてしまうからです。
決断とは決めて断ち切ることです。
それはつまり一度決断を下したならば、後になって「あの決断は正しかったんだ」と思えるように、全身全霊を込めてやりきることが大事だということです。
「苦渋の決断」を正しい決断にするためにも、後悔せずに全力で突き進んでみて下さい。
まとめ
「苦渋の決断」は、苦しくて辛い思いをして決めるという意味です。
何を選んでも苦痛や苦悩、またはデメリットが生じてしまうようことを決めなければいけない時に使われる言葉です。
軽い決断には適していないため、状況が深刻な場合や、大きな覚悟が求められる場合にのみ使っていきましょう。