最終更新日:2020/06/03
「及第点(きゅうだいてん)」とは、 合格に必要な最低限の基準をを満たしているギリギリの点数を意味します。
この記事では「及第点(きゅうだいてん)」の詳しい意味や語源、そして似た表現をする言葉や、対義語、使い方や注意点まで詳しく解説していきます。
実はこの言葉、目上の人に使う時には特に注意が必要な言葉です。
この記事を読めば、間違った使い方をしなくなりますよ。
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1. 「及第点(きゅうだいてん)」の意味
「合格に必要な最低限の基準を満たしたギリギリの点数」を指す
及第点
よみ:きゅうだいてん
意味:試験などの合格に必要な最低限の基準を満たしたギリギリの点数
合格したけれども、満足のいく結果ではない、まずますの成績だからそんなに喜べない。
そんな意味が含まれている言葉です。
「及第点」の具体的数字
では実際「及第点」はイコール何点の点数なのかというと、その時々によって変わります。
例えば「クラスの平均点を越えれば合格」と設定された試験に置いて、クラス平均が60点だった場合。
この時の「及第点」は60点〜63点あたりです。
59点だと不合格になってしまうので、それを少し超えたくらいが「及第点」でしょう。
- 100点満点中70点を取れば合格の試験では、70点〜73点が及第点
- 50問中、30問正解していたら合格の問題で、30問〜32問の正当が及第点
- Aさんの中で90点が良い点数だと思っているが80点を取った。この時Aさんにとっては80点は及第点。
このように「及第点」の具体的な点数に決まりはありません。
伝え手の感覚にもよるので、「及第点」と言われたら、「合格に必要なギリギリのラインの点数だったんだ」と思っておきましょう。
「及」「第」「点」それぞれの漢字の意味
- 「及」は「目的まで届く、追いつく・届かせる」
- 「第」は「なにかの順序を表す数字につける言葉」
- 「点」は「評価結果を数値で表すときの言葉・成績等の結果」
漢字の意味から見る「及第点」は 「目的まで届いた成績等の結果」「目的まで届いた点数」と汲み取ることができます。
「及」の「目的まで届く、追いつく・届かせる」が、「及第点」の「合格に必要な最低限のギリギリ」の部分を表していますよね。
語源は中国語の「及第」から
「及第点」の語源は 、中国語の「及第」という言葉から来ています。
中国語で「第」とは、「お屋敷」の事です。
「お屋敷」とは「家」という意味ではなく「政府」という意味があります。
中国の官僚試験を受けてそれに合格すると「第(政府)」で働くことができるのです。
「第(政府)」に「及ぶ」ので「及第」。
その時の試験に必要な基準を満たす点が「及第点」と言うようになったのです。
2. 「及第点」の使い方と例文
「及第点」の意味が分かったところで、「及第点」の具体的な使い方と例文を紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
可も不可もない点数である時に使われる
「及第点」は試験などをギリギリ合格した時の 「可も不可もない点数」を指す時に使います。
合格したからといって、褒め言葉のように「あなたの点数及第点ね!素晴らしいわ!」と使うことはありません。
ただ、合格はしているわけですから、「悪い」点数というわけでもないです。
褒め言葉でも、けなしている言葉でもない、中間の表現ですね。
例文
- 後輩の試合内容は及第点だ
- 会社の営業成績に及第点をもらった
- 何とか及第点を取って、試験にパスできた
自分に対しては、「こんなの及第点です」と言うことで「まだまだ満足いく結果ではないので、もっと頑張ろう」と謙遜の意味を込めて使うことも可能です。
目上の人には使わないので注意
「及第点」は目上の人に対しては使いません。
なぜなら、及第点には、以下のように上から目線な意味合いが含まれているからです。
- そこそこ
- 悪くない
- ギリギリ
- もう少し頑張りが必要
- それほど良くはない
そもそも目上の人や先輩に対して点数を付けるというのが失礼な事ですね。
特にこの「及第点」は 会社の上司や先輩などの目上の人に対して使うのは失礼にあたります。
「及第点」の代わりに目上に使う言葉
「及第点」の代わりに、目上の人や先輩に伝えられる言葉は「おめでとうございます」です。
ただ「及第点」は「ぎりぎり合格の点数」のことなので、「ぎりぎり」には触れず「合格したこと」に対してのみ触れる形で「おめでとう」を使います。
他にもお祝いや褒め言葉として「お見事です」「感服いたしました」「胸のつかえがおりました」なども。
しかし、どれも「及第点」をとった相手には、大げさすぎるくらいの褒め言葉です。
更に言えば、やはり目上の人対して、評価を投げかける言葉を使うこと自体良くありません。
そのため 「及第点」を使う場面で、目上に何かを伝えたい時は「特に何も言わないで良い」のが無難です。
3. 「及第点」と「次第点」「妥協点」「合格点」の違い
「及第点」と似た言葉で、以下の3つの言葉が間違えられやすい言葉とされています。
それぞれの「及第点」との違いを解説しますね。
「次第点」は存在しない言葉
「及第点」と同じ意味で、「次第点(しだいてん)」という言葉がよく使われますが、「次第点」と辞書を調べても載っていません。
間違って使われやすいのですが、実は存在しない言葉なのです。
「及第点」を「しだいてん」と読んでしまい、それが「次第点」という言葉になっただけの、意味のない言葉なので使わないようにしましょう。
「妥協点」は折り合いをつけること
「妥協点(だきょうてん)」は 「折り合いをつけること」という意味があります。
「及第点」と意味の違いは下記です。
- 及第点:あらかじめ基準が存在していて、そこに達したかどうかを判断する
- 妥協点:相手との話し合いで、お互い歩み寄って、丁度折り合いがつく所
このように「妥協点」は、我慢や諦めによって「ここまでなら許せる」という「妥協」できる「点」のことを言います。
例えば、「付き合う彼女の体重は50キロまでが許せる」「今日の晩御飯はカレーが食べたいけどシチューなら良い」といった場面。
この「体重が50キロであること」や「カレーじゃなくてシチュー」である部分が「妥協」できる「点」です。
「及第点」のよう な「点数」は「妥協点」にはないので、そこの違いを覚えておきましょう。
「妥協点」の例文
- 妻と妥協点を話あうこととにした。
「合格点」はポジティブな意味で使う
「合格点」は「及第点」とは違い、ポジティブな意味で使う言葉です。
- 「合格点」…合格した!と胸を張って喜べる
- 「及第点」…合格はしたけれど、可もなく不可もなく
このように「 合格点」の方がプラスのニュアンスで、合格した点数であることを伝えることができます。
「点数が基準を満たしている」ことをポジティブに伝えたいなら「合格点」で良いです。
ギリギリでもう少し頑張れ・そこそこ、などというニュアンスで伝えたいなら「妥協点」と使い分けましょう。
「合格点」の例文
- 今回のテストで、念願の合格点をもらえた
4. 「及第点」の類語
「及第点」の類語を、以下の2つ紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
好結果
好結果
よみ:こうけっか
意味:完璧ではないものの、おおむね良いと思う結果であること
「好結果」は、 完璧ではないものの、おおむね良いと思う結果であること、を言います。
「好結果」も「おおむね良い」「悪くない結果」というどこか控えめな表現です。
ただ「及第点」よりはポジティブな意味を伝えることができます。
例文
- スポーツの授業で好結果を生み出した
- 好結果を得たので、お母さんが褒めてくれた
合格水準
合格水準
よみ:ごうかくすいじゅん
意味:入学試験・採用試験に受かる点数のこと
「合格水準」は、 入学試験・採用試験に受かること点数のことを言います。
この水準を満たすことで、合格するから「合格水準」。
「合格水準を最低限満たした」だと、「及第点」のように「ギリギリ」の意味で使うことができます。
「合格水準を大幅に超えた」だと、「ギリギリ」ではないので、「及第点」のようなネガティブな使い方にはなりません。
例文
- 合格水準だったので、来年からは大学生だ。
5. 「及第点」の対義語
「及第点」の対義語は「落第点」です。
落第点
落第点
よみ:らくだいてん
意味: 一定の基準に達しない点数
「落第点」は「一定の基準に達しない点数」を指すし、「落第点」であれば試験などは「不合格」です。
だから「ギリギリだけど合格」の「及第点」とは対義語とされます。
例文
- 数学のテストで落第点を取ってしまった
- このままの状態では落第点を取ってしまう
6.「及第点」の英語
passing mark
「及第点」を英語で表現すると 「passing mark」です。
それぞれの単語の意味は、下記。
- passing(パスする)
- mark(望ましい基準を)
「望ましい基準」を「通す(パスする)」から、合わせて「及第点」の意味として使えるのです。
例文
- I took a passing mark in the tesut.
(私はテストで及第点を取った) - I think he gets a passing mark as foreign Minster.
(彼は外務大臣としてはまず及第点といえる)
まとめ
及第点は、 「合格ギリギリ」「あまり満足はできない」という、危なっかしくて、少しマイナスのニュアンスのある言葉です。
目上の人には使えない言葉ですので、使う際は注意しましょう。
しっかりと意味を理解して上手に使えば、相手を嫌な気持ちにさせる事無く、自分を謙遜したり、喝を入れる意味にも使う事が出来ますね。