最終更新日:2020/06/30
「窮鼠猫を噛む」は、「追いつめられると、弱い者でも強い者に反撃することがある」を意味することわざです。
最近では、「窮鼠猫を噛む」をモチーフにした、「キューソネコカミ」というアーティストが人気ですよね。
元となっている「窮鼠猫を噛む」を知らないと、知らず知らずのうちに恥をかくかもしれませんよ。
そこで今回は、「窮鼠猫を噛む」の意味・使い方を説明し、類語・例文・英文も合わせて紹介していきます。
ぜひ参考にしてください。
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1.「窮鼠猫を噛む」の意味:弱者でも追いつめられると反撃する
窮鼠猫を噛む
読み:きゅうそねこをかむ
意味:追いつめられると、弱い者でも強い者に反撃することがある
「窮鼠猫を噛む」は、 「追いつめられると、弱い者でも強い者に反撃することがある」を意味することわざです。
転じて、「強者は弱者に反撃を受けないように、注意をしなければならない」という意味合いをもつ教訓として活用できます。
1-1.「窮鼠猫を噛む」の由来・語源は「中国の書物『塩鉄論』」
「窮鼠猫を噛む」の由来・語源は、中国前漢時代の 『塩鉄論(えんてつろん)』という書物で登場しています。
具体的に言うと、「死すれば再びは生きず、窮鼠も狸を噛む」という記述が『塩鉄論』に残されており、「死んだら生き返ることができないので、鼠でも猫を噛もうとする」と訳されるのです。
原文では「狸(たぬき)」と書かれていますが、昔の中国で「狸」は「猫」を指しているので、「窮鼠猫を噛む」と同じ意味を持ちます。
後に「狸」は「猫」に変換され、現在の「窮鼠猫を噛む」として伝わっているのです。
2.「窮鼠猫を噛む」の使い方と例文
ことわざは例え話ですので、「窮鼠猫を噛む」の意味だけ覚えても、実際に使えるかどうか不安になりますよね。
ことわざの意味を鵜呑みにせずに、教訓としての使い方も覚えていきましょう。
「窮鼠猫を噛む」の例文を、以下の2つのシーンに分けて説明していきます。
- 「追いつめてはならないこと」を注意する。
- 「油断してはならないこと」を注意する。
それぞれの例文を紹介し、使い方を解説していきます。
2-1.「追いつめてはならないこと」を注意する
「窮鼠猫を噛む」は、「追いつめてはならないこと」を注意する際に使用することができます。
「窮鼠猫を噛む」には、「強いものでも弱い者に反撃される」という意味があることを確認しました。
転じて、「不必要に相手を追い詰め、反撃を食らうのはダメである」ことを指摘する際に、教訓として使用できるのです。
<例文>
- 窮鼠猫を噛むというように、いくら自分が正しくても、不必要に相手を糾弾してはダメだ。
- 窮鼠猫を噛むにならないよう、相手の逃げ道を準備しておくのも一つの方法だ。
2-2.「油断してはならないこと」を注意する
「窮鼠猫を噛む」は、「油断してはならないこと」を注意する際に使用することができます。
自分が優位に立っていたり、強者の立場である時ほど、油断が生じますよね。
その際は、「油断して反撃を受けてはならない」という意味で、「窮鼠猫を噛む」が教訓として用いられるのです。
<例文>
- 自分が優位だと思っている時こそ、窮鼠猫を噛むを思い出し、準備万端にしておこう。
- 窮鼠猫に噛まれるにならないように、最後まで気を引き締めて頑張ろう。
3.「窮鼠猫を噛む」と「背水の陣」の違い
「追いつめられる」を意味することわざとして、「背水の陣」があります。
「窮鼠猫を噛む」と「背水の陣」では使い方が異なるので、この機会にしっかり覚えましょう。
背水の陣
読み方:はいすいのじん
意味:決死の覚悟で挑むこと
「窮鼠猫を噛む」と「背水の陣」の違いは、以下の通りです。
- 「窮鼠猫を噛む」は、追いつめている側の視点から注意を促す。
- 「背水の陣」は、追いつめられている側の視点から喚起を促す。
「窮鼠猫を噛む」は、「追いつめている側の様子」を表現する際に使用され、「反撃されること」に対して注意を促すことができます。
一方で、「背水の陣」は、「追い詰められている側の様子」を表現する際に使用され、「決死の覚悟で挑むこと」を促すために使用されるのです。
細かい違いですが、追い詰めている側・追いつめられている側のどちらを表現するか使い分けて、相手によりよく意図を伝えるよう心がけましょう。
<例文>
この試合に負けたら引退だから、背水の陣で全力を尽くしていこう。
4.「窮鼠猫を噛む」の類語と例文
「窮鼠猫を噛む」は、動物をモチーフにしたことわざのため、フォーマルな場所では使いづらいかもしれません。
ビジネスシーンに備えて、動物以外のたとえを用いた類語を紹介します。
「窮鼠猫を噛む」の類語は、以下の通りです。
- 窮寇は追うことなかれ(きゅうこうはおうことなかれ)
- 火事場の馬鹿力(かじばのばかぢから)
- 窮寇は迫る勿れ(きゅうこうはせまるなかれ)
- 獣窮まれば即ち噛む(けものきわまればすなわちかむ)
次に、よく使われる類語の意味と例文をご紹介しますので、参考にしてください
4-1.「窮寇は追うことなかれ(きゅうこうはおうことなかれ)」
窮寇は追うことなかれ
読み:きゅうこうはおうことなかれ
意味:追い詰められた敵は必死に抵抗するので、不必要に追い詰めてはいけない
「窮寇は追うことなかれ」は、「追い詰められた敵は必死に抵抗するので、不必要に追い詰めてはいけない」を意味する言葉です。
「窮寇(きゅうこう)」は「追い詰められた敵」を意味し、「窮鼠猫を噛む」と同じように使用することができます。
<例文>
手痛いしっぺ返しを食らわないように、窮寇は追うことなかれの精神で、試合に向かおう。
4-2.「火事場の馬鹿力(かじばのばかぢから)」
火事場の馬鹿力
読み:かじばのばかぢから
意味:切迫した状況におかれると、無意識に想像以上の力を発揮できる
「火事場の馬鹿力」は、「切迫した状況におかれると、無意識に想像以上の力を発揮できる」を意味することわざです。
「追い詰められてから力を発揮する」という意味ですので、「窮鼠猫を噛む」を鼠側の方から見る時に使います。
<例文>
試合に負けると思われたが、火事場の馬鹿力で逆転することができた。
5.「窮鼠猫を噛む」の英語表現と例文
「窮鼠猫を噛む」は以下の英語で言い表すことができます。
- A baited cat may grow as fierce as a lion(いじめられた猫はライオンのようにうなりを上げる)
- Despair makes cowards courageous(絶望は臆病者に勇気を与える)
猫側の視点ではなく、 鼠側の視点から教訓を論じている英語表現ですので注意してください。
それぞれについて、例文と合わせて解説していきます。
5-1.「A baited cat may grow as fierce as a lion」
「A baited cat may grow as fierce as a lion」は、「いじめられた猫はライオンのようにうなりを上げる」を意味する英語です。
「bait」という英語は「餌」を意味しますが、「baited+人物・動物」と使用することによって、「からかわれた・いじめられた」を意味するスラングを指します。
<例文>
Be careful, it is said that a baited cat may grow as fierce as a lion.
(注意しなさい、いじめられた猫はライオンのようにうなりを上げると言われているからね。)
5-2.「Despair makes cowards courageous」
「Despair makes cowards courageous」は、「絶望は臆病者に勇気を与える」を意味する英語です。
「窮鼠猫を噛む」と異なり、「弱者側」に対して教訓を与えることわざを指します。
<例文>
The motto of his team is that despair makes cowards courageous.
(彼のチームのモットーは、絶望は臆病者にも勇気を与えるである。)
まとめ
「窮鼠猫を噛む」は、「追いつめられると、弱い者でも強い者に反撃することがある」を意味することわざです。
「諦めるな」という意で使用するのは間違いなので、注意してください。
教訓として重要なことわざですので、実生活で経験してしまわないように、知恵を学んでいきましょう。