最終更新日:2020/06/30
「邁進」は、 「ひるむことなく突き進むこと」「まっしぐらに進んでいくこと」 という意味です。
「邁進」と似た表現に「精進」がありますが、厳密にはニュアンスが異なります。
この記事では、「邁進」の意味や使い方を確認して、「精進」との違いや類語、英語表現を紹介していきます。
新年の挨拶やビジネススピーチなど、フォーマルな場所で使用されることが多い表現のため、失礼のないように正しい使い方を覚えましょう。
1.「邁進」の意味と語源
意味|ひるむことなく突き進むこと
邁進
読み:まいしん
意味:ひるむことなく突き進む。まっしぐらに進んでいく。
「邁進」は、 「目的・目標に向かう態度」を肯定的な意味合いで表現することができます。
ただし、「邁進」は堅苦しい表現なので日常会話ではなく、ビジネスシーンなどのフォーマルな場面で使用されることが多いです。
また、「邁」から部首を除いた「萬」の読み方は、「まん」と呼びます。
そのため、「邁進(まいしん)」を「まんしん」と読み間違えないようにしましょう。
例文
- 両親の期待を背に自分の目的に向かって邁進します。
- ついに新プロジェクト立ち上げに向けて邁進できます。
- 今後も皆様のご期待に添えるよう邁進して参ります。
語源|「邁」も「進」も”行く”を強調した表現
「邁」と「進」には、それぞれ以下の由来があります。
- 「邁」は、「行く」「過ぎゆく」「努める」の意味
- 「進」は、「跡を踏みながら前に行くこと」「鳥のように速く進むこと」の意味
「邁」と「進」には、どちらも「行く」という意味合いがあるため、「邁進」は 「 ひるむことなく突き進む」や「まっしぐらに進んでいく」のように、「行く」を強調する表現になります。
2.「邁進」の使い方と例文
以下の3つのシーン別に「邁進」の使い方を紹介します。
1つずつ見ていきましょう。
新年・暑中見舞いのときに使う場合
「邁進」は、新年の挨拶や暑中見舞いで使用することができます。
下記の例文で用いている「いたす(致す)」という言葉は、「する」の謙譲語ですので、より相手に対してへりくだった態度を表現します。
例文
(新年の挨拶)
- 本年もより一層仕事に邁進いたしますので、ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
(暑中見舞いの挨拶)
- 厳しい暑さが続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。私は新天地で与えられた業務に、日々邁進しております。
目上の人に使う場合
「邁進」は、目上の人に対して使用することができます。
下記の例文で用いた「所存(しょぞん)」という言葉は、「考えや意見」の意味を持つ敬語ですので、フォーマルな場面に適した表現だと言えます。
例文
- これからも、社業発展のために邁進していく所存です。
- 今後も、皆様のご期待に添えるよう邁進して参ります。
謝罪やお詫びのときに使う場合
「邁進」は、 謝罪やお詫びで使うことができます。
「邁進」は、日常会話ではあまり使われない堅苦しい表現ですので、相手に「誠意」を示す際に使用することができるのです。
例文
- 今後はこのようなことがないよう、サービスの改善・向上に邁進して参ります。
- みなさまからの信頼を取り戻せるよう、邁進して参ります。
3.「邁進」と「精進」の違い
「邁進」と似た言葉に「精進」という言葉があるので、ニュアンスの違いを解説していきます。
- 「邁進」は、「恐れずに突き進むこと」
- 「精進」は、「一つのことに精神を集中して励むこと」
元々「精進」は、「ひたすら仏道修行に励むこと」を意味し、 「苦しみから解放するために精神を集中させる」というのが本来の使い方です。
そのため、「邁進」の場合は「目標に向かって邁進する」、「精進」の場合は「同じ過ちを犯さないように精進する」というように使い分けることが出来ます。
つまり、「邁進」は「目標・目的」が具体的に説明される一方で、「精進」は「失敗・誤り」が具体的に説明されることが多いのです。
例文
- 今月も目標達成に向けて邁進します。(「目標・目的」が具体的に説明されている)
- 同じ過ちを繰り返さないように精進します。(「失敗・誤り」が具体的に説明されている)
4.「邁進」の類語
「邁進」の類語は、以下の3つです。
- 「尽力(じんりょく)」
- 「専心(せんしん)」
- 「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」
1つずつ見ていきましょう。
類語1.「尽力(じんりょく)」
「尽力」には、 「ある目的のために、力を尽くすこと」という意味があります。
「邁進」は自分の意思表明によく使われますが、「尽力」は相手の協力に対して使用されることが多いため、セットにして覚えておくとよいでしょう。
例文
- この度のプロジェクトの成功に伴い、皆様のご尽力に心から感謝を申し上げます。
- この度はご尽力いただき誠にありがとうございます。
類語2.「専心(せんしん)」
「専心」には、 「一つのことに集中する」という意味があります。
四字熟語に「一意専心(いちいせんしん)」という言葉があり、「他に心を動かされることなく、一つのことに集中する」という意味があるので、さらに「専心」していることを相手に伝えることできます。
例文
- 何事にも専心する気持ちを忘れないでおこうと思います。
- プロジェクトリーダーに選ばれたからには、一意専心で仕事に取り組んでいきたいと思います。
類語3.「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」
「勇往邁進」には、 「目標に向かって恐れることなく進むこと」「困難を恐れることなく、勇んで前進すること」という意味があります。
「邁進」と「勇往」は、似た意味を持つ言葉ですので、「勇往邁進」は「強く邁進していくこと」を強調する四字熟語です。
例文
- 脇目も振らず、柔道に勇往邁進する所存です。
- 新人には勇往邁進の姿勢を持って欲しいですね。
5.「邁進」の英語表現と例文
「邁進」の英語表現は以下の2つです。
それぞれについて、例文と合わせて詳しく解説していきます。
よく使うのは「work toward」
「work toward」は、 「~に向かって努力する」「~に向かって邁進する」という意味を持つ英語です。
「邁進していきます」のように、意思表明を行う文章を構成する場合は「will」と合わせてご活用ください。
例文
I will work toward a goal.
(目標に向かって、邁進していきます。)
「push forward」を使うこともある
「push forward」は、直訳で 「押しのけて前へ進む」「推進する」を意味する英語です。
「work toward」と比較してみましょう。
「forward」は「前の方へ」を意味する一方で、「toward」は「前に向かって」を意味するため、「push forward」は「邁進すること」をより強調した表現です。
例文
That politician pushed forward structural reforms.
(あの政治家は、構造改革を邁進した。)
まとめ
「邁進」は、「ひるむことなく突き進むこと」「まっしぐらに進んでいくこと」 という意味です。
「邁進」は、ビジネスシーンや新年の挨拶などで使われるため、敬語表現と一緒に使用するのがよいでしょう。
前向きに取り組んでいく旨の意思表明ですので、物事の節目などで挨拶を求められた際に、ぜひご活用ください。