最終更新日:2020/06/02
取引先の会社からの手紙の末尾に「益々のご発展をお祈り申し上げます。」と書いてあるのを目にしたことがありますよね。
「益々」には、 「前よりも一層、もっと」といった意味があります。
そして、この「益々」という表現について、以下のような疑問を思うのではないでしょうか。
「益々」ではなく、「増々」ではないのか?
いっそ「ますます」とひらがなで書いた方が良いのでは?
今回は、あなたのそんな疑問にお答えすべく、「益々」という言葉について徹底解説!
記事を読み終わるころには、意味や使い方、類語、英語表現まで完璧に「益々」を理解できますよ。
1.「益々」の意味:前よりも一層
益々
読み:ますます
前よりも一層、もっと。
「益々」とは、 「前よりも一層、もっと」ということを表す言葉です。
1-1.「益々」と「増々」の違い
「益々」は「ますます」と読みますが、「増々」も「ますます」と読むことができる上に、同じ意味で用いられます。
そのため、「益々」と「増々」はどのように使い分けるべきなのか悩んでしまう人もいるでしょう。
しかし、実は「増々」と書かれることはほとんどありません。
「増々」は一種の慣用表現なので、ビジネスの場で「ますます」を使いたいときには「益々」と書いた方が良いですよ。
1-2.「益々」は「ますます」と表記するべき?
「益々」という言葉に使われている「益」という漢字は、「利益」という言葉に使われるように「儲け」を表す漢字です。
そのため、漢字で「益々」と書くのは少々がめつい印象を与えてしまうので、避けた方が良いと考える人もいるでしょう。
しかし、「益」は「儲け」という意味だけではなく、単純に「増える」という意味を持つ漢字でもあります。
このことから、「益々」と書くことは特に失礼にあたりません。
たしかに、ひらがなで「ますます」と書くと優しい印象にはなります。
しかし、 ビジネスシーンではむしろ「益々」と漢字で書いた方が、相手にキッチリとした印象を与えることができますよ。
2.「益々」の使い方・例文
ここでは、「益々」という言葉は具体的にどのようなときに使われるのかを詳しく見ていきましょう。
2-1.「益々」のよくある使い方
「益々」という言葉は、ビジネスレターでよく使われる言葉で、よくある使い方は以下の5つです。
- 益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます
- 益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
- 益々ご清祥のこととお慶び申し上げます
- 益々のご発展をお祈り申し上げます
- 益々のご活躍をお祈り申し上げます
それでは、1つずつ詳しく解説していきます。
益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます
ビジネスレターを 会社宛に送る際、 手紙の冒頭のあいさつとしてよく用いられるのが「益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます」です。
「御社の業績がさらに伸びていると聞き、自分のことのように嬉しいです」という意味で用いられます。
益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
ビジネスレターを 個人宛に送るとき、 手紙の冒頭のあいさつとして「益々ご健勝のこととお慶び申し上げます」という言葉が使われます。
「あなたが健康で過ごしていると聞いて、安心しています」という意味で用いられます。
益々ご清祥のこととお慶び申し上げます
ビジネスレターを 個人宛に送るとき、 手紙の冒頭のあいさつとして「益々ご清祥のこととお慶び申し上げます」という言葉が使われます。
「あなたが健康で幸せに暮らしていると聞いて、安心しています」という意味で用いられます。
益々のご発展をお祈り申し上げます
ビジネスレターを 会社宛に送るときには、 手紙の末尾に「益々のご発展をお祈り申し上げます」と書きましょう。
「御社の業績がさらに伸び広がることを願っています」という意味で用いられます。
益々のご活躍をお祈り申し上げます
ビジネスレターを 個人宛に送るときには、 手紙の末尾に「益々のご活躍をお祈り申し上げます」と書くことが多いです。
「あなたが第一線で更に活躍していくことを願っています」という意味の言葉です。
「活躍」という言葉がどことなく目下の相手に対する言葉のように感じられるため、目上の人には使えないと思われがちですが、目上の人に使っても特に問題はありません。
2-2.日常会話で「益々」を使う場面と例文
次に、日常会話で「益々」を使う場面を確認していきましょう。
場面1.友人の子どもと会ったとき
こんにちは。Aくん、益々大きくなったね。
「益々」は日常会話において 人の成長に気づいたときなどによく使われます。
特に、友人や知人の子どもの成長に気づいたとき、驚きと喜びを込めて用いられることが多いです。
場面2.ある物事に対して更に興味がわいてきたとき
昨日Bっていうお店でラーメンを食べたんだけど、益々Bのラーメンが好きになっちゃったよ。
ある物をさらに好きになったり、ある物事に対してさらに興味がわいたりしたときにも「益々」という言葉が使われます。
「元々好きだったけれど、更に好きになった」もしくは「元々興味があったけれど、更に興味がわいてきた」というニュアンスで用いられることが多いです。
2-3.ビジネスシーンで「益々」を使う場面と例文
続いて、ビジネスシーンで「益々」を使う場面を確認していきましょう。
場面1.取引先の会社に手紙を書くとき
<例文>
拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
例文に挙げたように、 ビジネスレターの冒頭のあいさつや末尾のあいさつとして「益々」という言葉が多々用いられます。
また、 改まった場でスピーチをする際にも「益々」という言葉を使ったあいさつをすることがよくありますよ。
「益々」を使った様々なあいさつの表現を覚えて、ビジネスの場で活用していきましょう。
場面2.天候について話すとき
今日は昨日よりも益々天気が悪くなりそうですね。
「益々」は 天候について話すときにもよく用いられます。
ビジネスの場で天候の話がされることは意外とたくさんありますから、「益々」という言葉を正しく使って話題を膨らませていきましょう。
場面3.更なる成長を期待していることを伝えるとき
あなたがこの先、益々活躍することを期待していますよ。
部下などの目下の人がこれからさらに成長していくことを期待していると伝えたいときにも、「益々」という言葉がよく用いられます。
「益々」という言葉を使うと、「今も活躍しているけれど、さらに活躍してくれることを期待している」という意味になります。
褒められるのと同時に期待されている意味も含むので、部下にとっても励みになりますよ。
あなたも後輩に対して期待している気持ちを伝えたいときには、「益々」という言葉を使ってみてくださいね。
3.「益々」の類語・言い換え表現・例文
「益々」の類語・言い換え表現は以下の3つです。
では、1つずつ見ていきましょう。
類語1.「更なる」
更なる
読み:さらなる
一層の。ますますの。
「更なる」は、「一層の」「ますますの」という意味を持つ言葉です。
「益々」と同じように使うことができますが、「更なる」は「益々」よりも 話し言葉で使われる機会が多いです。
<例文>
今後も君の更なる活躍を期待しているよ。
類語2.「より一層」
より一層
読み:よりいっそう
ひときわ。ますます。
「より一層」は、「ひときわ」「ますます」という意味を持つ言葉です。
スピーチをする際のあいさつの言葉や、自分の決意を表明する際によく用いられます。
<例文>
これからもより一層努力して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
類語3.「以前にも増して」
以前にも増して
読み:いぜんにもまして
今よりも前と比べて、いっそう程度が増すことを意味する表現。
「以前にも増して」は、「今よりも前と比べて、いっそう程度が増すさま」を意味する言葉です。
「以前に増して」と「も」を抜いて使われることもありますよ。
「益々」はビジネスシーンにおいてはプラスの表現をするときに用いられますが、「以前にも増して」は、プラスな表現のほかに、ひどくなった様子のときなどマイナスな表現をするときにも用いられます。
<例文>
多くの会社が以前にも増して効率の良さを重視するようになってきている。
4.「益々」の英語表現:more and more
「益々」は、 「more and more」と訳されます。
「more and more」が用いられた英文例としては次のようなものが挙げられます。
<例文>
- There were more and more regular customers.
(益々常連のお客様が増えました。)
- I bet she will be more and more successful from now on.
(彼はこれから益々活躍することでしょう。) - She became more and more famous.
(彼女は益々有名になりました。)
また、「益々」を意味する英語表現には次のようなものもありますよ。
- progressively
- increasingly
- still more (less)
「益々」に関する様々な英語表現を覚えてビジネスシーンで役立てましょう。
まとめ
「益々」は、「前よりも一層、もっと」という意味を指します。
「増々」という表記で用いられることもありますが、「増々」は慣用表現なので、ビジネスシーンでは「益々」という表現を用いるようにしましょう。
また、「益々」は「更なる」「より一層」「以前にも増して」など多くの類義語がある言葉です。
皆さんも「益々」やその類義語、英語表現をマスターしてビジネスシーンで役立ててくださいね。