最終更新日:2020/06/02
「 お酒に関係する言葉だと何となくは理解できるけれど、詳しくは分からない」という人も多いのではないでしょうか?
今回は、「酩酊」とは?という用語の解説から、体に起きてくる症状はどんなものなのか、そして、お酒を飲んでいなくても「酩酊」と同じような症状になる病気がある事も説明していきます。
更にはお酒の席で「酩酊」状態にならないための注意点なども詳しく紐解いていきます。
これを知れば、あなたも今よりお酒と上手に付き合えるようになるかもしれません。
気になる項目をクリック
1. 「酩酊(めいてい)」とは?詳しい意味を確認
1-1. 「酩酊」とはお酒を飲んで酔っ払った状態
「酩酊」とは簡単に言うと、 お酒を飲んで酔っ払った状態の事を言います。
一般的に酔いの状態は6段階に分類する事ができます。
酔いの状態 | 主な症状 |
爽快期 | 陽気になる |
ほろ酔い期 | ほろ酔い気分になる |
酩酊初期 | 気が大きくなる |
酩酊期 | 千鳥足になる |
泥酔期 | 上手に立てない |
昏睡期 | ぐったりとしてゆすっても起きない |
表を見ると分かる通り、「酩酊」は酔いの度合の中で4段階目の状態です。
体に起こってくる具体的な症状としては
- 正常に歩行ができず、千鳥足になる
- 同じことを何回も言う
- 吐き気がする
- 呼吸が早くなる
などです。
飲酒量の目安は、個人差はありますが、一般的には
- 日本酒だと4~6合分
- ビール中瓶だと4~6本分
- ウイスキー・ダブルだと5杯分
この位の量を飲むと「酩酊」の状態になると言われています。
「酩酊歩行」とは?
お酒はその麻酔作用によって、脳を麻痺させてしまいます。
「酩酊」状態まで酔いが進むと小脳が麻痺し、運動機能が低下します。そうなると、正常に歩く事ができなくなりヨロヨロと千鳥足になってしまいます。
この状態を「酩酊歩行」の状態と言います。
2. 「酩酊」と「泥酔」の違いは?
それでは「泥酔」とはどのようなものなのでしょうか。「酩酊」と「泥酔」の違いについても、表で比べながら細かく見ていきましょう。
2-1. 「泥酔」とは
「泥酔」という言葉もよく耳にします。
これは、 「訳が分からなくなるくらいまで酔った状態」 の事で、「酩酊」よりも酔いが進んだ状態です。
- 歩行どころかまともに立つことができない
- 意識がもうろうとする
- 言っていることが支離滅裂になる
等の症状が起きます。アルコールの脳への麻痺が記憶をコントロールする部分まで達するので、記憶が無くなってしまうこともあります。
また、ここまでくると生命にかかわるリスクも高まってくるので注意が必要です。
2-2. 「泥酔」の方が「酩酊」より酔っ払っている
それでは「酩酊」と「泥酔」は具体的にどのように違うのでしょうか。表にして比べてみましょう。
酩酊 | 泥酔 | |
血中アルコール濃度(%) | 0.15以上0.30未満 | 0.30以上0.40未満 |
酒量 |
・ビール(4~6本) ・日本酒(4~6合) ・ウィスキー・ダブル(5杯) |
・ビール(7~10本) ・日本酒(7合~1升) ・ウイスキー・ボトル(1本) |
全身症状 |
・フラフラと千鳥足になる ・何度も同じことを言う ・呼吸が速くなる ・吐き気、嘔吐がおこる |
・立つことができない ・意識がもうろうとする ・言葉が支離滅裂になる |
脳の麻痺の状態 |
小脳まで、麻痺が広がる |
記憶を司る部分(海馬)が麻痺し、記憶がなくなる |
これを見ると、 酩酊状態よりも飲酒量が増える事によって、脳の麻痺の範囲が広り、全身症状が重くなる事が分かります。
3. 【衝撃】お酒を飲まなくても「酩酊」になる!
お酒を飲んでいなくても、「酩酊」と同じ状態になることがあります。それはどんなもので、何が原因なのでしょうか?
酩酊症とは?
お酒を飲んでいないのに、「酩酊」と同じ状態にになってしまう事があります。それが「酩酊症」です。
「酩酊症」は、胃や腸に棲みつく「カンジダ」という酵母菌が活性化する事により、 食べ物に含まれる糖分を分解して、体の中でアルコールを作ってしまいます。
そのため、お酒を飲んでいないのに「酩酊」状態になってしまうのです。
とても珍しい病気なのですが、食事の後に原因不明のめまいや吐き気などの症状が起こる場合は、もしかしたら「酩酊症」かもしれません。
睡眠酩酊(すいみんめいてい)とは?
「睡眠酩酊」とは睡眠障害の1つです。これも酩酊と同じような状態になるのですが、飲酒とは関係ありません。
多忙等の理由で睡眠時間が短い日が連日続いたりすると、アルコールを飲んだ時のように脳が麻痺します。
脳がうまく働かないので、朝起きた時に頭が混乱したり、ぼんやりしたり、精神的に不安定になります。
この「睡眠酩酊」の状態は、起床時だけではなくその後数時間続く事もあり、日中注意力や集中力がなくなってしまう事があります。作業中や運転中にこの状態になると事故のリスクも上がり、非常に危険です。
4.酩酊状態にならないために注意するポイント
「酩酊」状態になるリスクを減らすために気を付けるポイントについてご紹介しましょう。
ポイント1. イッキ飲みはしない
お酒の席でよくある「イッキ飲み」は想像以上に危険な行為です。
大量のお酒が短時間で体の中に入ると、肝臓のアルコール分解が追いつかなくなり、一気に血液中のアルコール濃度が高くなります。
そうなると「酩酊」や「泥酔」の状態を通り越して、意識が混濁したり、呼吸が麻痺したりする「昏睡」の状態になり、急性アルコール中毒になってしまいます。
お酒の席でのイッキは「しない」、「させない」というルールを徹底させましょう。
ポイント2. 若い時と同じ勢いで酒を飲まない
加齢と共に「昔は今よりももっとガンガン飲めたのに」と、お酒の弱さを実感している人も多いのではないでしょうか。
肝臓の機能のピークは30代とも言われていて、年と共に弱くなります。その分、アルコールを分解するスピードも遅くなるので、酔いやすくなるのです。
また、アルコールを分解するには体の中の水分も必要となりますが、体内の水分率も加齢と共に下がってきます。そのため、若い時よりもアルコールを分解できず、アルコール濃度が高くなりやすいのです。
年齢に応じた飲み方で「酩酊」状態になるリスクを避ける事が大切です。
ポイント3. 薬と一緒に飲む
薬とお酒を一緒に飲む事も控えましょう。
お酒と同じく薬も肝臓で分解されるので、 一緒に飲むと肝臓に2倍の負担がかかってしまいます。そうすると、アルコールを分解するスピードも遅くなってしまうので、酔いが進むリスクが高まってしまいます。
また、薬も長く体の中に留まってしまうので、体調不良になったり、場合によっては命に関わる場合もあるので、注意しましょう。
また、薬によってはそれ自体が、アルコールの分解を弱めてしまうものもあるので、薬と一緒にお酒を飲む事は控えた方が良いでしょう。
まとめ
「酩酊」とは、 お酒を飲んで酔いが進んだ状態の事を言います。よく知られる「泥酔」よりは症状が軽い時に用いられる事が多いです。
また、お酒を飲む時に「酩酊」状態にならないために注意すべきポイントも解説しました。
お酒は上手に飲めば、人間関係を円滑にする大切なコミュニケーションツールになります。でも一歩間違えれば、トラブルの元にもなってしまいます。
程よく飲んで、健康的に、そして円滑な人間関係を築きましょう。