
「諸々(もろもろ)」はビジネスシーンではもちろんのこと、日常の会話でも出てくることがあるかと思います。
「諸々の事情」などのフレーズを耳にしたことがある方も、かなりいらっしゃるのではないでしょうか。
「諸々(もろもろ)」には、「色々なこと、多くのこと、多くの人、あらゆる種類のもの」という意味があります。
今回は「諸々(もろもろ)」の意味、そして日常やビジネスシーンにおいての実用的な例文を使って解説していきます。
この記事を読んで「諸々(もろもろ)」の正しい意味を知り、TPOに合わせた使い方を学んでいってください。
1.「諸々」の意味と読み方
諸々
読み:もろもろ
- 色々なこと、あらゆる種類のもの
- 多くのこと、多くの人
「諸々(もろもろ)」には、「色々なこと、多くのこと、多くの人、あらゆる種類のもの」という意味があります。
「諸説あります」といった表現を耳にしたことはないでしょうか。
これは「あらゆる種類の説があります」という意味を指し、「諸々の説があります」を簡略化した表現です。
「諸々(もろもろ)」の語源
「諸々」の読み方は「しょしょ」ではなく、「もろもろ」と読みます。
「諸諸」と書いてあることもあり、間違いではありませんがほぼ使いません。「諸々」が極一般的な書き方です。
「諸」は、訓読みだと「しょ」、音読みだと「もろ。もろもろ。これ。」と読みます。
2.「諸々」の使い方と例文
ちょとだけかしこまった日常生活の中だったり、ビジネスシーンの依頼や御礼のときだったり、会話のニュアンスを曖昧にして使うことのある「諸々」。
「なんとなく色々と」「ありとあらゆる種類のことが」のように、 物事をはっきりと断定しない、したくない言い回しに非常に便利な言葉です。
以下で「諸々」の使用例を挙げていきます。
2-1.「諸々」の使用例
日常生活で使える「諸々(もろもろ)」の例文を挙げていきます。
- 家事と仕事と、諸々やらなければならないことが多い。
家事と仕事と、やらなければならないことが多すぎることを相手に伝えるとき。(身内以外)
- 諸々のご連絡ありがとうございます。
日常でもかしこまった連絡事項を受けたとき。(PTAや自治会など)
- このたびは子供が諸々お世話になりました。
目上の方や公共施設に我が子を預かってもらった御礼を言うとき。
- 今日は諸々あってとても疲れたから早く寝ます。
こういうことがあって疲れた!とはっきりさせず、ちょっと濁して言う場合。
日常生活で使う「諸々」は、主に「ありとあらゆること」の意味合いが多いです。
「諸々」の箇所を「色々」にして使っても問題なく伝わりますが、「諸々」とすることで言葉のニュアンスが重い印象になります。
物事が大変な事態である、というようなイメージを相手に与えやすい表現です。
2-2.「諸々」を使ったビジネス例文
ビジネスシーンで使える「諸々(もろもろ)」の例文を挙げていきます。
上記の例文ですが、「諸々」の箇所に「色々」や「様々な」と置換してみてください。
しっくりこない文章になってしまいます。
色々な理由があるけれど、それを断定して伝えたくないときは「諸々」を使えば丁寧に伝えることができます。
3.「諸々」の間違った使い方
まず初めに、「諸々」はビジネスの謝罪場面では適さない、ということを覚えておいてください。
「諸々」ははっきりとした理由を明かしたくないときに、本来の中身を濁すニュアンスとして使います。
なので、 ビジネスシーンでの謝罪の時は、何についての謝罪であるかを明確に相手方に示さなければならないので「諸々」を使うべきではありません。
<NG例>
「この度は諸々の件でご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした」
<正しい謝罪の例>
「この度は〇〇の□□が確認不足だったためにご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした」
ビジネスシーンでの謝罪では、〇〇と□の部分にはっきりとした不手際の理由を述べるのが正解です。
4.「諸々」の類語
「諸々」の類語を意味と例文を使っていくつか挙げていきます。
どの類語も「諸々」と似ているようで使い方に違いがある場合もあります。
文章の内容によっては「諸々」と置き換えることが適さない場面も出てきます。
4-1.色んな(いろんな)
色んな
読み:いろんな
いろいろな種類。
【例文】
いろんなパンがたくさん売られていて迷っちゃう。
日常生活の場面では「いろんな」という言葉をよく使いますよね。
多くの種類を意味し、幅広い年齢層にも大変わかりやすい言葉です。
上記の例文の「いろんな」は種類の豊富さを意味し、種類の豊富なパンが数多く売られていて迷う、ということになります。
「諸々」はフォーマルな言葉なので目上の人に使う言葉、「色んな・色々な」は日常生活で使う言葉、という使い分けをします。
4-2.多種多様(たしゅたよう)
多種多様
読み:たしゅたよう
種類や性質がたくさんあること。
【例文】
アメリカには多種多様な国籍の人が集まってくる。
「多種多様」は物事の種類だけではなく、人種や生物に対しても使える言葉です。
上記の例文の「多種多様な国籍の人」を「諸々な国籍の人」とすると、相手に伝わりにくくなると思いませんか?
どちらも「いろいろな種類の人」を意味する言葉ではありますが、この例文の場合に「諸々」は適しません。
4-3.様々(さまざま)
様々
読み:さまざま
あれこれと異なっている様子。
【例文】
様々な視点から物事を比較してみよう。
「様々」は物事の一つ一つが異なっていることを意味します。
また、 多くの種類があることだけを意味しているのではなく、その多くの種類の物がそれぞれに違っているという意味もあります。
例文では、「一点集中ではなく、あらゆる角度から物事を見て比較してみましょう」という意味になるので、この例文には物の種類がたくさんあることを意味する「諸々」は適しません。
4-4.各般(かくはん)
各般
読み:かくはん
あれこれ。いろいろ。
【例文】
各般の手をつくして探し出す。
「各般」は「諸々」よりも日常的に使う言葉ではないかもしれません。
この例文を簡単に言うと、「ありとあらゆる手を尽くして探し出す」です。
「各般」は「諸々」よりも重いニュアンスを込めたい時に使います。
4-5.幅広い(はばひろい)
幅広い
読み:はばひろい
関係している範囲が広いこと。
【例文】
あの人の活動範囲は幅広くてアクティブだ。
「幅広い」は、数値、性質、関係している範囲、能力の範囲、距離感などにも使える非常に便利で使いやすい言葉です。
なので 物事の広範囲を示したり伝えたいときには「諸々」よりも「幅広い」を使うと相手が言葉の意味を想像しやすくなります。
4-6.選り取り見取り(よりどりみどり)
選り取り見取り(よりどりみどり)
読み:よりどりみどり
好きに選んで取ること。
【例文】
この中からどれを選ぶか、よりどりみどりですよ。
「選り取り見取り(よりどりみどり)」は、数や種類が多いこと、豊富な選択肢、の意味があるので「諸々」と類語です。
「選り取り見取り」はバラエティにとんだ広範囲な物事を指すので、「諸々」よりもさらに広い物事や分野を意味します。
5.「諸々」の英語表現
「諸々」の英語表現は以下の通りです。
- various things(多くのこと、色々なこと)
- all kinds of things(諸々、あらゆる種類のもの)
- large number of people(諸々、大人数)
それでは1つずつ例文にしてみます。
5-1.various things (多くのこと、色々なこと)
【例文】諸々の件、承知いたしました。
I understood various matters.
5-2.all kinds of things (諸々、あらゆる種類のもの)
【例文】彼はあらゆる種類のことに興味を持っている。
He is interested in all kinds of things.
5-3.large number of people (諸々、大人数)
【例文】大勢の人がイルミネーションを見に行く。
A large number of people go to watch illuminations.
まとめ
「諸々(もろもろ)」について、意味や例文、類語などをご紹介しました。
意味は「色々なこと、多くのこと、多くの人、あらゆる種類のもの」ということです。
「色々な」や「いろんな」を使うよりも、「諸々」を入れた文章にすることで、丁寧な感じに伝わるのではないでしょうか。
また、 ビジネスシーンでの謝罪のときは、何についての謝罪であるかを明確に相手方に示さなければならないので「諸々」を使うべきではありません。
正しい意味を理解し、ビジネスシーンで使うことができるとスマートな好印象を持たれると思います。