最終更新日:2020/06/30
「応酬」には「応答して返すこと」という意味があり、 相手からされたことへの返事を指して使われます。
ただ、表現方法によってどのようなことをやり取りしているのかが変化するため、適切な表現方法や使い方をマスターしておく必要があります。
本記事では「応酬」の意味や使い方、類語などを解説していきます。
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1.「応酬」の意味
意味は、応答して返すこと
応酬
読み方:おうしゅう
意味:応答して返すこと、お互いにやり取りすること。
「応酬」は相手とのやり取りを表し、相手から何かされたことに対する返事を指しています。
そのため、「 応酬」は一人では成立せず、必ず相手からの行動をもとに使われる言葉です。
2.「応酬」の3つの使い方と例文
応酬には次の3つの使い方があります。
それぞれの使い方について、しっかりと解説していきます。
使い方1.議論などをやりとりすること
「やりとりをする」という意味で「応酬」を使用する場合、 議論などが白熱している場合に使用されます。
応酬は相手の意見に対して言い返すという意味が含まれているので、意見が一致していたり、スムーズに進行していたりする場合に「応酬」を使用して表現すると誤解を招いてしまいます。
<例文>
- 今回の議論は会話の応酬が激しかった。
- 非難の応酬によって、議論が進まなかった。
使い方2.手紙などへの返事
手紙などの返事が続いていくことなどを「応酬」で表す場合があります。
この場合の「応酬」は「終わりがない」など、 やり取りが長期間続いていくことを表しています。
そのため、2~3回のやり取りで終わる場合には「応酬」を使用すると、大げさな表現になってしまうため注意が必要です。
<例文>
- 彼とのメールの応酬が今でも続いている。
- 店員との応酬が続いているが、まだ値下げしてくれない。
使い方3.やり返すこと
「応酬」はこちらからの返事があることを表すため、相手へ「やり返すこと」を表す使い方もできます。
特に、「応酬」は 暴力的な行為によるやり取りを表すことが多いため、ボクシングの解説などで使用されています。
<例文>
- 相手とのパンチの応酬が続いています。
- 激しい攻撃の応酬が止まりません。
「応酬」は前後に続く言葉などで、やり取りの性質が変化します。
文章の意味や内容を考えながら、過大な表現にならないように気を付けてくださいね。
3.「応酬話法」とは基本的なセールストーク
お客さんの質問や意見などに対して、応答するための基本的なセールストークとなる「応酬話法」という方法があります。
「応酬話法」には、中心となる次の4つの方法があります。
それでは、それぞれどのように会話を展開していくのか解説していきます。
応酬話法1.ブーメラン法
相手が断ったり否定的な言葉を言ったりした時に、「だからこそ~なんです。」という会話法を「ブーメラン法」と呼びます。
相手が断る理由を無くし、重要な内容を際立たせるために使用する話法です。
また、なぜ必要なのか、という興味を駆り立てるため、こちらの説明を受けてくれる場を設けるためにも有効です。
<例文>
- 今お金が無いので必要ありません。
→だからこそ、投資が必要なんです。 - 困っていないから要りません。
→必要ない時に準備しておくことが大切ですよ。
応酬話法2.例話法
例え話を展開しながら、商品やサービスを提案する技術が「例話法」です。
「例えば~だから」と実際に使っている状況を説明することで、 相手は自分が使用している姿を想像するため、商品やサービスのことを具体的に考えるようになります。
<例文>
- 例えば、震災の時に水道や電気が泊まったときには、1台あると避難中でも快適になりますよ。
- 買い物の荷物が多くて持ちづらいときに、活躍するのがこのサービスです。
応酬話法3.肯定法
相手の意見に一度肯定してから解説を続ける話法が「肯定法」です。
同意することで「話をよく聞いてくれる人」と思わせて、 相手からの警戒を解くことで営業が成功しやすくなるのです。
また、一度肯定してから否定をする「逆転法」という話法もあります。
どちらも肯定することでこちらの意見を受け入れやすくなるため、状況に応じてどちらも使用できるように準備しておきましょう。
<例文>
- 肯定法:おっしゃる通りです。確かに今は余裕が無いですよね。余裕のない状況だからこそ、より使いやすいのがこちらのプランです。
- 逆転法:今は必要ない、確かにその通りです。しかし、必要になってからでは間に合わないこともあるため、こちらのサービスがおすすめです。
応酬話法4.質問法
相手が断る理由の本音を聞き出すために使用されるのが「質問法」です。
相手が断る理由を全て話すことは稀なため、こちらが魅力を話してもまだ話していない理由によって断られてしまいます。
そこで、 相手が断る理由について詳しく聞き出すことで、その中で問題点を見つけられ、その問題点を指摘することで「買わない理由」を封じ込めていきます。
<例文>
- 今は不満が無いので必要ありません。
→そうですか。ちなみに、どのような点に満足しているのでしょうか? - 必要ありませんので、お引取り願います。
→かしこまりました。では、どうして必要ないのか、その理由を教えてもらえないでしょうか?
4.「応酬」の類語:「交換」「受け答え」
「応酬」には次の2つの類語があります。
それぞれの言葉の意味や使い方を、例文と併せて解説していきます。
類語1.「交換」
「応酬」の類語として考えられるのが「交換」です。
「交換」には 「相手と互いにやり取りする」という意味があり、「応酬」と同様に使用できます。
ただ、「応酬」よりも激しいやり取りではありませんので、使い分けて表現できるようにしておきましょう。
<例文>
- 意見交換会を開催します。
- お互いの考え方を交換して、より良いものを作りましょう。
類語2.「受け答え」
相手への返事や応答を表す「受け答え」も「応酬」の類語として使用できます。
「受け答え」の場合は、 「応酬」よりもやり取りの頻度が少ない場合や、行動自体を指して使われることが多いです。
そのため、「応酬」の言い換えとして使う場合には、文意全体の意味や表現方法に注意が必要です。
<例文>
- 彼は質問に対する受け答えが完璧でした。
- 受け答えがはっきりとしているほど好印象を与える。
5.「応酬」の英語表現:「reply」「respond」「debate」
「応酬」を表現する場合、返事を意味する 「reply」「respond」を使用することで、シンプルに表現できます。
また、議論でのやり取りを表す場合には「debate」などを使用することで、よりこちらの意味を伝えやすくなりますよ。
<例文>
- I reply to this letter.(手紙の返事を書く。)
- I’ll respond to him.(彼に返答する。)
- I debate an issue.(問題を議論する。)
まとめ
「応酬」は 「相手からの行動に応答すること」を意味しています。
特に、白熱したやり取りを表現する言葉として使用されています。
また、相手の言葉に対してこちらの言葉を変える「応酬話法」は、いつでも使えるセールストークの基本となります。
相手の対応や反応を細かくチェックしながら、適切な「応酬」ができるようにスキルを磨いていきましょう。