最終更新日:2020/06/07
「フェーズ」は英語の「phase」を由来とするカタカナ語であり、 「段階、局面、時期」を意味する言葉です。
日本のビジネスでは、IT業界でシステム開発の際や、医療業界で治験などで、長期的な目標を細かく区切って段階を分ける際に使用します。
また、英語の「phase」には、「段階」という意味の他にも様々な意味があり、使う業界やシーンによっても意味合いが変わってきます。
そこで今回は、「フェーズ」の意味・類語をはじめ、業界別の使い方も解説します。
1.「フェーズ」の意味
意味は「段階・局面」
フェーズ
読み:ふぇーず
- 変化する過程の一区切り。段階。局面。
- 物事のありさま。相。
「フェーズ」は英語の「phase」を由来とするカタカナ語であり、「段階、局面、時期」を意味する言葉です。
本来は、ギリシャ語で月の見え方を表す言葉や「現れること」を意味する言葉であったと言われています。
ビジネス用語の「フェーズ」は、長期的なプロジェクトでの区切り(段階)を意味します。
プロジェクト全体や事業全体、企業全体の成長・発展規模を期間・規模で区切り、その成長・発展段階をあらわす単位として使われます。
例文
- 本プロジェクトをフェーズに区切ってご説明します。
- 第1フェーズ終了後にクライアントの要望を再度まとめてから第2フェーズに移行します。
- 開発フェーズの後に単体試験を行います。
「フェーズ」は単体で使用することもあれば、「第1フェーズ」「第2フェーズ」と番号を振って表現することもあります。
また「設計フェーズ」「開発フェーズ」など、具体的にどのような段階なのか表現する場合もあります。
フェーズ?それともフェイズ?
英語の「phase」は、「フェーズ」というよりは、どちらかと言えば「フェイズ」と発音されます。
ただし、 日本語の「段階」の意味で使われている「phase」の場合には「フェーズ」と表記するのが一般的です。
ビジネスシーンで文字にする際は「フェーズ」とした方が相手に伝わりやすいでしょう。
2.「フェーズ」の使い方・例文
変化や発達、進化していく物事の中には単位で表現できないものも多くあります。
例えばプロジェクトや事業の進捗、感染症の感染レベル、世代やライフサイクルなどです。
それらをある期間・規模で区切ってフェーズという単位で見てみると、それらがどのくらい変化・発達・成長を遂げているかを把握しやすくなります。
そのためビジネスシーンでは、 本来単位などがないものの変化段階をあらわす言葉として使われます。
大きく分けて使い方は以下の3つです。
それぞれ見ていきましょう。
「フェーズ」を単体で使う場合
「フェーズ」を単体で使う場合は、 日本語の「段階」を入れ替えても意味の伝わる文章になることが多いです。
例文
- 本プロジェクトは取り返しのつかないフェーズまで来ている。
- 現在開発している製品についてはクライアント確認の最終的なフェーズに入っています。
「フェーズ」に番号を振って使う場合
長期的なプロジェクトなどを分けて実施する場合や、区切って説明した方がわかりやすい場合に番号を振って使用します。
どのように番号を振るかは、その業界によって異なります。
例文
- フェーズ1.0の反省を生かして、次フェーズに進もう。
- 本プロジェクトは長期開発になるので、第1フェーズから第4フェーズに区切って試験を行います。
「フェーズ」が含まれる用語
ここでは一般的にも使われるものを二つ紹介します。
フェーズフリー
「フェーズフリー」または「フェイズフリー」(Phase Free)とは、平常時でも災害時でも有効に利用できる商品、サービス、およびそれらが実現する価値のことを言います。
バリアフリーは、高齢者や障害者などの要援護者への空間的な自由を提案しています。
一方、「フェーズフリー」は全ての人への時間的な自由を提案しています。
「フェーズフリー社会」「フェーズフリー設計」「フェーズフリーな住まい」といった形で使われます。
フェーズゲート
フェーズゲートとは、 各「フェーズ」の関所(せきしょ)のような存在です。
ビジネスにおいては、各フェーズの終了基準を前もって明確に定義し、その基準(条件)を満たさないと次に進むことができないようにします。
それによって早期に問題点やリスクを把握して、対策することが可能となります。
3.【業界別】「フェーズ」の使い方
業界によっても使われるシチュエーションによって意味やその規模が異なります。
ここでは主に使われている3つの業界での使われ方を紹介します。
IT業界における「フェーズ」の使い方
IT業界でのシステム開発は、半年以上の長期プロジェクトが多いため、「フェーズ」を「区切り」の意味で使用することがあります。
設計や開発といった工程でフェーズを分けたり、大規模な開発の場合はいくつかのフェーズに区切って開発を進めていきます。
例文
- フェーズ1.0とフェーズ2.0の間にフェーズ1.5を挟むことで、クライアントの要求を受け入れることにした。
- 設計フェーズは順調に進んだので、開発フェーズでのスケジューリングも期待している。
医療業界における「フェーズ」の使い方
医療業界では、治験の試験を「フェーズ」で区切ったり、 パンデミックの警戒段階を「フェーズで」表したりします。
例文
- 新薬は治験においてフェーズ1からフェーズ3の三段階の試験を通過することで承認される。
- WHOはインフルエンザのパンデミック警戒レベルとして6つのフェーズを使用している。
建築業界における「フェーズ」の使い方
建築業界でもIT業界同様に、 建築物の完成までの工程をフェーズで区切ったり、近年で広まった用語「フェーズフリー」を使用したりします。
例文
- 今回のコンペではフェーズフリー建築を提案する。
- 建物性能の8割は、企画設計フェーズで決定する。
4.「フェーズ」の類語
「フェーズ」の類語としては、以下の3つが挙げられます。
類語1.段階
段階
読み方:だんかい
- 物事の順序。
- 物事が進行していく途中で区切られた一つの状態。
「段階」は「フェーズ」の一番多く使われている言い換え表現と言えるでしょう。
ほとんどの文章で、「フェーズ」と「段階」を置き換えても違和感のない文章になります。
例文
今回のプロジェクトは最終的な段階まで来ているので、新たな要望は次回の会議でまとめます。
類語2.工程
工程
読み方:こうてい
意味:仕事や作業を進めていく順序・段階。また、その進み具合。
「工程」は、作業の進捗状況を表す意味が強いです。
「工程」は、IT業界や建築業界で使われる「フェーズ」の言い換え表現として考えると良いです。
医療業界で使う「フェーズ」と言い換えて使おうとすると違和感を感じるので注意しましょう。
例文
今回は全作業工程が的確な指示のおかげでスムーズに進んだ。
類語3.ステップ
ステップ
読み方:すてっぷ
意味:物事の進行上の段階。
「ステップ」は「段階」とも訳されるので、「フェーズ」や「段階」が使われている文章を「ステップ」に置き換えても違和感がないことが多いです。
ただし、「ステップ」は、「ステップアップ」という表現もあるように、「一歩一歩の段階を踏んでいく」というイメージのある言葉です。
業界によっても違いますが、「フェーズ」よりももっと細かい期間を区切る際に使うと良いでしょう。
例文
- 本プロジェクトは新規のクライアントなので、一つ一つのステップをいつも以上に慎重に進めるようにしてください。
5.「フェーズ」の英語表現
英語「phase」には様々な意味がある
「フェーズ」の英語表現である「phase」には、様々な意味があります。
phase
読み方:フェイズ
- (変化・発達・進行などの)段階、局面
- (変化するものに現れる)様相、位相
- (問題・人の性格などの)面、相
- (月などの)満ち欠けの状態
②の「位相」という意味は、物理学や数学などの領域で使われています。
「位相」とは、振動や波動など周期的に繰り返される事象の中の「一つの局面」という意味があります。
また、言語学における「phase」の意味には、その言葉が使われる集団や場面の分類が含まれます。
「phase」の使い方には、大きく分けてビジネスを含めた日常生活で使う意味と、学術領域で使う意味の二種類あると言えるでしょう。
「段階」を表す場合は「phase」
「フェーズ」の「段階」や「局面」という意味を表す際には、やはり「phase」を用います。
例文
- This project will lead into a difficult phase.(本プロジェクトは厳しい局面を迎えるだろう。)
- The negotiation has entered upon a serious phase.(交渉は大事な局面を迎えた。)
まとめ
英語の「phase」を由来とする「フェーズ」は主に、 「段階、局面、時期」を意味するカタカナ語としてIT業界や建築業界で多く使用されています。
「最終的なフェーズ」というように単体で使うことも出来ますし、「第1フェーズ」と番号を振って使用されることもあります。
類語で言い換える際には、その状況に合わせて「段階」「工程」「ステップ」などを用いましょう。
ビジネスシーンでは、長期にわたるプロジェクトや事業の進捗状況を「フェーズ」で区切って名前をつけることで、説明がしやすくなったり、作業が進めやすくなります。
ただし、業界によっては微妙にニュアンスが違うことがあるため、事前に確認をして使うと良いでしょう。