最終更新日:2020/06/30
「三々五々」とは、『あっちに三人、こっちに五人が散らばっているさま』という意味があり、『三々五々帰っていく』というように使います。
「三々五々」は小説などでよく使われ、見聞きしたことは多くても正確な意味を答えられる人は案外少ないものです。
本記事では、そんな「三々五々」の意味や使い方をわかりやすく解説します。
意外と使われる場面も多く、知っておきたい言葉の一つなので、ぜひ参考にしてください。
1.「三々五々」の本来の意味
あっちに三人こっちに五人というように人(もの)が行動している様子
三々五々
読み:さんさんごご
意味:あっちに三人こっちに五人というように人(もの)が行動している様子
漢字表記では「三々五々」という表記が多いですが、「三三五五」と書いても同じ意味になります。
意味のポイントは、『 あまりはっきりとした時間を定めず、ばらばらに集まったり離れたるする』という点です。
詳しく説明すると、時間を確認しなくても暗黙の了解でそれぞれが動いているというニュアンスがあります。
スマホがある今の時代には、時間が決まっていることが当然なので、この感覚は慣れないかもしれません。
「三々五々」は、スマホや時計がない古くからの言葉なので、「(時間がなくても)自然に人が集まったり離れたりするという」意味があります。
「三々五々」は、日本人らしい、おおらかで寛容的な意味の言葉なのです。
「三々五々」の由来
「三々五々」の由来は、 中国・盛唐期の詩人李白(りはく)の漢詩「採蓮曲(さいれんきょく)」の中にあるそうです。
「採蓮曲」の一部に、「三三五五垂楊(すいよう)に映ず」というフレーズが出てきます。
このフレーズは、「あちらに三人、こちらに五人の人が柳の影に見え隠れしている」という意味です。
漢詩が中国から日本に伝わり、「三々五々」が日本の四字熟語として定着したということです。
「三々五々」はどうして”三”と”五”なのか?
「三々五々」は、なぜ「二々四々」や「四々六々」でなく、「三々五々」なのでしょうか?
「三」という数字は、日本が古くから使ってきた神聖な数字のためです。
例えば、
- 天皇が皇位継承の際に継承されていく「三種の神器」
- 江戸時代の徳川家臣を「御三家」
- 結婚式などで三つの杯で酒を三度ずつ飲む儀式「三々九度」
など、「三」という数字は、昔から日本で好まれて使われています。
また、三は奇数であり、 平安時代に流行した陰陽思想ではキリの良い、縁起の良い数字と言われています。
ことわざでも「三度目の正直」「仏の顔も三度まで」「三人寄れば文殊の知恵」などがあり、どれも「三」を使った言葉です。
「三々五々」は、そういった日本人の古くからの思想や習慣から、受け継がれ残っていった言葉ということです。
2.「三々五々」の使い方と例文
人やものが「集まってくる」もしくは「離れていく」に使える
「三々五々」の例文は以下の通りです。
- 仕事は定時に終わり、社員は三々五々に帰っていった
- カリキュラム通り、部下たちは三々五々仕事に取り掛かった
- 子供たちは、先生に質問を三々五々投げかけた。
- メンバーたちは、パーティーの時間になると三々五々集まってきた。
「三々五々」は、 人 やものが「集まってくる」もしくは「行ってしまう(離れていく)」とき、どちらにも使えます。
また、あまり精密に時間を定めておらず、暗黙の了解でばらばらと自然に集まり、別れていくさまを表現するときに使います。
また、「質問を三々五々投げかけた」というように、人ではなく、ものにも使うことができます。
3.「三々五々」の類義語・対義語
「三々五々」には、「人やものが時間を決めず、暗黙の了解で自然に集まったり離れたりする」といったニュアンスがあります。
独特のニュアンスがあるため 明確な類義語は対義語はないと言われています。
その中でも、意味が似ている言葉、反対の意味の言葉を紹介していきます。
「三々五々」の類義語
「三々五々」の類義語は以下の通りです。
- 三々両々(あちらこちらに散在している様子)
- ちらほら(少しずつまばらにあるさま)
- まちまち(数や動きにまとまりがないこと)
- てんでばらばら(まとまりがないさま)
「三々五々」に最も近い意味は「三々両々」だと言われています。
「散り散りになっているさま」「まとまりがないさま」といった意味の言葉はありますが、少しずつ違った意味になっています。
「三々五々」の対義語
「三々五々」の対義語は、以下の通りです。
- 一斉に(みんなで揃って同じ行いをするさま)
- 勢ぞろいして(ある目的で一か所に集まること)
- 一様に(全部同じ様子であること)
- 一同に(一緒に)
ただ、 「みんなが(時間通り)揃っている様子」といった意味が「三々五々」とは言えないので、反対の意味になります。
4.「三々五々」の英語表記は?
『by twos and threes』または、『in groups (of twos and threes)』
また、群れを意味する「knot」を使って「gater in knots of twos and threes」(群れが集まる)という風に使うこともできます。
まとめ
「三々五々」の意味や由来、使い方を紹介しました。
ただの漢数字ですが、細かいニュアンスがあり、奥深い言葉だということが分かります。
「三々五々」は小説などでよく見かけ、実際に使う機会は少ないかもしれません。
だからこそ、意味を尋ねられてすんなり答えられたり、ビジネスシーンで使用できると、周りからも一目置かれるようになります。
ぜひ、この記事で意味をしっかり確認して使えるようにしてくださいね。