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こんな風に、「させていただきます」を使いすぎていませんか?
「させていただきます」は「する」の謙譲表現で、へりくだって「する」という気持ちを伝える時に使います。
「させていただきます」は丁寧な言葉なので使いやすいですが、使うには2つの条件が必要です。
場合によっては「いたします」を使った方がいいケースもあります。
「知らずに使っていた」「させていただきますを使いすぎていた」という人は注意しましょう。
そこで今回は、「させていただきます」の正しい意味や使い方、「いたします」との使い分けについて解説します。
1.「させていただきます」の意味
「させていただきます」という言葉を使うには、2つの条件が必要です。
2つの条件とは、「相手の許可を受けている」「恩恵を受けている」ということです。
「する」の謙譲表現
「させていただきます」は「する」の謙譲表現です。
謙譲表現とは、 自分の立場を低くして、相手の立場を高くする敬語表現のことです。
例えば部下が上司に対して「〜させていただきます」という場合、部下が自分の立場を低くして、上司の立場を高くすることで、上司に対して敬意を表すことができます。
「させて頂きます」という漢字は間違い
「させていただきます」を漢字で「させて頂きます」と書くのは間違いです。
この場合は、「頂く」つまり「頂戴する」という意味が含まれていないからです。
- 頂く:「食べる」「飲む」「もらう」の謙譲語。
- いただく:「頼んで手に入れる」「何かをしてもらう」という意味
「いただく」は「何かをしてもらう」という意味の「補助動詞」として使います。
「補助動詞」とは、「動詞としての本来の意味が失われている、もしくはほとんど失っている動詞」のことです。
これに対して、本来の意味をそのまま持っている動詞は「本動詞」と言います。
上記①の「頂く」は本動詞です。
以下の例文は、「ある」の本動詞と補助動詞の違いを表したものです。
<例文>「ある」の本動詞と補助動詞の違い
- りんごが3個ある。
「ある」は「存在」を表す本動詞 - りんごは食べ物である。
「ある」は「肯定(食べ物だ)」を表す補助動詞
②の「りんごは食べ物である」の「ある」には、①のような「存在」の意味はありません。
りんごは食べ物で「ある(◯肯定)」or「ない(×否定)」の「◯肯定」の意味を添えているだけです。
「ある」は本来は①のように「存在」を表す動詞ですが、②のように本来持っている意味を失って、「肯定の意味を加える」だけになっている動詞が「補助動詞」です。
「させていただく」は、「させてもらう+いただく(何かを〜してもらう)」という意味なので、「させていただく」とひらがなで書くのが正解です。
- ×:スケジュールを変更させて頂きます(させてもらう+頂く)
- ◯:スケジュールを変更させていただきます(させてもらう+いただく)
本来の動詞の意味で使わない場合は、「いただく」はひらがなで書きましょう。
「頂く」を使うのは、「お酒を頂く(食べる、飲む)」「お言葉を頂く(もらう)」時だけです。
「させていただきます」の場合は肯定の意味を添えるだけなので、「いただきます」とひらがなで書くようにしましょう。
2.「させていただきます」が使える2つの条件
「相手の許可を受けて行う」「恩恵を受けている」
冒頭でも簡単に説明しましたが、「させていただきます」を使うには2つの条件があります。
文化庁が平成19年(2007年)2月にまとめた「敬語の指針(P40〜41)」では、 「させていただく」は以下の2つの条件を満たすときに使うと定義されています。
- 相手の許可を受けて行うこと
- 恩恵を受けているという事実や気持ちがあること
①相手の許可を受けて行うこと
「させていただきます」を使う1つ目の条件は、 「相手の許可をもらってから行動に移すこと」です。
例えば、以下のような場面では相手の許可をもらってから行動に移ります。
- 書類を処分する許可をもらっている→処分させていただきます
- スケジュールを確認する許可をもらっている→スケジュールを確認させていただきます
「書類を処分させてもらうよ」「スケジュールを確認させてもらうよ」は、いずれも相手の許可をもらってから行動に移すことです。
②恩恵を受けているという事実や気持ちのあること
「させていただきます」を使うためのもう2つ目の条件は、 「恩恵を受けているという事実や気持ちがあること」です。
例えば以下の例文は、どれも「させていただく」ことによって何らかの恩恵を受けているケースです。
- 相手の申し出をよく考えてから決めたい
→検討させていただきます(よく考えて良い判断ができる恩恵) - 風邪をひいたので会社を休みたい
→お休みさせていただきます(休んで回復できる恩恵) - 事情があって会議を欠席したい
→欠席させていただきます(自分の用事を優先させられる恩恵)
「させていただきます」を使うのがふさわしいのは、①の「相手の許可を受けて行うこと」と②の「恩恵を受けているという事実や気持ちのあること」をどちらも満たしている場合です。
3.「させていただきます」の間違った使い方
「させていただきます」が使えるのは、 「相手の許可を受けている」「相手からの恩恵を受けている」という2つの条件が揃ったときです。
この条件が欠けているのに「させていただきます」を使うと、相手に対して失礼になったり、回りくどく感じさせてしまう可能性があります。
ここでは、よくある誤用シーンを紹介しながら、間違った使い方を説明します。
- 許可を得ていない場合
- 許可を得る必要がない場合
- 二重敬語になる場合
許可を得ていない場合
相手から許可を得ていないのに「させていただきます」を使うのは適切ではありません。
例えば、休む許可を得ていないのに「休ませていただきます」というのは、「休ませてもらうよ」という自分勝手な言い方です。
この場合は、 許可を求める表現に変えて「お休みをいただくことは可能でしょうか?」にしましょう。
例えば以下のような相手に迷惑がかかる場合では、許可を求める表現を追加した方がいいです。
<例文>
「会社を辞めたい」
- ×:会社を辞めさせていただきます。(低姿勢でありながら、「辞めさせてもらうよ。もう決めたから」という気持ちが入っている)
- ◯:会社を辞めさせていただけないでしょうか?(失礼であることを理解して、相手の許可を求めている)
「納期を延期してもらいたい」
- ×:納期を延期させていただきます。(低姿勢でありながら、「間に合わないから。納期延期するから」という気持ちが入っている)
- ◯:納期を延期させていただけないでしょうか?(相手に迷惑がかかるでことを詫びて、相手の許可を求めている)
「させていただきます」は自分を低めて相手の立場を高める謙譲表現です。
しかし、「もう決めたからあなたの意見は関係ない」という一方的な押し付けにならないように注意しましょう。
許可を得ていない場合は、まずは許可を求めるために「〜させていただけないでしょうか?」などとお伺いを立ててください。
許可を得る必要がない場合
相手から許可を得る必要がないのに「させていただきます」を使うのは不自然です。
例えば自分宛に届いたメールに対して、「メールを確認させていただきます(させてもらうよ)」というのは、回りくどい感じがします。
この場合は「メールを確認いたします」で十分です。
以下のような相手から頼まれていたときや、役職を述べるときも相手の許可は必要ないので、「させていただきます」は使わない方が自然です。
<例文>
- 「修理を依頼されたとき」
✖:修理させていただきます(依頼されたのだから、許可は必要ない)
〇:修理いたします - 「あとで連絡するようにお願いされたとき」
✖:連絡させていただきます(お願いされたのだから、許可は必要ない)
〇:連絡いたします - 「役職を述べるとき」
✖:部長を務めさせていただいております(自分の紹介をするのに、相手の許可は必要ない)
〇:部長を務めております
相手に対して丁寧な態度を取ろうと、「許可をもらう必要がある」という気持ちが働いて「させていただきます」を使いたくなることもあるかもしれません。
どんなことにも許可を求める気持ちは「丁寧さの現れ」ですが、 どんなことにでも「させていただきます」を使うと、「別にそこまで丁寧に言わなくてもいいよ」と思われてしまう可能性があります。
相手に依頼されたことを実行するときや、役職を述べるときなどは基本的に使わない方が自然と覚えておきましょう。
二重敬語になる場合
「させていただきます」は「する」の謙譲語なので、もう一つ謙譲語が加わると「二重敬語」になってしまいます。
「二重敬語」とは、同じ種類の敬語を重ねて使った敬語表現のことです。
具体的には、「謙譲語+謙譲語」「尊敬語+尊敬語」のことです。
例えば以下のような敬語は二重敬語です。
<二重敬語の例>
- 拝見させていただきます:拝見(見るの謙譲語)+させていただきます(するの謙譲語)
- 頂戴させていただきます:頂戴(もらうの謙譲語)+させていただきます(するの謙譲語)
「二重敬語」は日本語として間違いであり、回りくどく聞こえるため、相手を不快にさせてしまう可能性があります。
「いたす」も謙譲語のため、「拝見いたします」「頂戴いたします」も二重敬語です。
もし「拝見(見る)」「頂戴(もらう)」を丁寧に言いたい場合は、「拝見します」「頂戴します」と言いましょう。
4.単に自分がすることなら「いたします」でOK
「いたします」は「する」の謙譲語である「いたす」に丁寧語の「ます」を付けた形です。
いたします:いたす(「する」の謙譲語)+ます(丁寧語)
自分が「〜する」時に、へりくだって相手の立場を高める効果があります。
簡単に言えば、「〜するよ」を丁寧に表現した言葉です。
自分が率先して行動するときに使う
「いたします」は「〜するよ」をへりくだって言う時の表現です。
謙譲語は自分を低めるための敬語なので、相手に行為に使うのは失礼に当たります。
「いたします」は、以下の例文のように 自分から進んでする行為に対して使います。
<例文>
- (自ら進んで)ご連絡いたします
- (自ら進んで)ご案内いたします
「させていただきます」と「いたします」の使い分け
「させていただきます」と「いたします」の違いを、表で説明します。
意味 | 違い | |
---|---|---|
させていただきます | させてもらうよ | 相手からOKをもらうことを前提に「させてもらう」と言い切っている |
いたします | するよ | 相手の許可を求めているわけではない |
例えば同じように「資料を送る」ことを相手に伝える場合、「させていただきます」と「いたします」では、以下のようにニュアンスが変わります。
<例文>
- 資料をお送りさせていただきます(資料を送らせてもらうよ)
→相手が欲しがっている場合に使える - 資料をお送りいたします(資料を送るよ)
→相手が欲しがっていても、いなくても使える
相手が求めていることに対しては「させていただきます」を使うと良いでしょう。
まとめ
「させていただきます」は「させてもらう」の謙譲表現で、へりくだって「させてもらう」という気持ちを伝える時に使います。
「させていただきます」を使うには、「相手の許可を受けている」「恩恵を受けている」という2つの条件が必要です。
そのため、許可や恩恵を受けていないシーンで使うと、相手に失礼になったり、回りくどく感じさせてしまう可能性があります。
単に自分が「〜する」ということを丁寧に伝えたいならば、「いたします」を使った方がいいです。
「させていただきます」は便利な言葉ですが、使いすぎには注意しましょう。