最終更新日:2020/05/09
「所為」の読み方は、 「しょい」「せい」で、ある物事を起こした原因や理由」という意味で使われる言葉です。
日常会話の中では「君の所為で…」なんて表現をよく聞きますよね。
何気なく使っている「所為」ですが、実は知らない使い方がまだまだあります。
そこで今回は「所為」の意味や由来、使い方、類語、さらに英語表現まで詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.「所為」の意味
「所為」は 「しょい」「せい」と読みます。
昔は「しょい」と読んでいましたが、現代ではこれが転じて「せい」と読むことが多くなりました。
しかし、現在でも「しょい」と「せい」で 意味を区別する場合もあります。
【意味】
- 所為(しょい・せい)⇒行い・しわざ
- 所為(せい)⇒その結果を生んだ原因・理由
例えば「自分の所為(しょい)の責任をとる」なら、「自分の行いの責任をとる」。
一方「彼の所為(せい)で」などと表す時には、「彼が原因で」という意味です。
それぞれの読み方による意味の違いを、例文で確認してみてください。
- 自分で決めたことなんだから、自分の所為(しょい)の責任は取った方がいいよ。
- 彼の所為(せい)で、コンサートに遅れた。
1-1.「所為」の由来は漢文から
もともと「所為」は漢文で使われていた言葉で、漢文中では「しょい」や「そい」と呼ばれていました。
何年も使い続けているうちに訛って「しょい」や「そい」が「せい」と呼ばれるようになりました。
漢文風に読むと所為は「為せる所」=「したこと」、つまり 「しわざ・行い」といった意味です。
このような「所」+動詞or形容詞の形がくる文字は「所字単語」と呼ばれていて、他には理由や原因を表す「所以(ゆえん)」などがあります。
- 所字短語:「所」+動詞or形容詞
- 所為:「所」+為
- 所以:「所」+以
漢文では所為が所以(ゆえん)と訓読みされることがあり、この場合は所為(しょい、そい)ではなく、所為(ゆえん)と読みます。
ビジネスでは漢文の知識までは不要ですが、由来まで理解していると知識が深まりますよ。
2.「所為」の使い方
以下の例文で「所為」の意味ごとに使い方を確認しておきましょう。
①「しわざ・行い」という意味
この場合の「所為」は、 「しょい」とも 「せい」とも読む場合があります。
- 悪いことが起こったのは悪魔の所為(せい)である、と村人は口を揃えて言った。
- 自分の所為(しょい)に責任をもって行動しなければならない。
②「ある事が起こった原因・理由」という意味
この場合の「所為」は、多くの場合 「せい」と読みます。
- 帰りが遅くなったのは友達の所為(せい)だ。
- 君が試験に合格しなかったのはしっかり勉強をしなかった所為(せい)だ。
2-1.「所為」はネガティブな表現
「所為」は、「これ(悪い事・良くない事)が起こったのは○○が原因だ」と言うように、 悪いことが起きてしまった場合に使います。
意味だけ理解していると、「○○のおかげで(良いことが起こった)」というポジティブなニュアンスでも使えそうに感じますよね。
しかし、「所為」はネガティブな表現となるので注意しましょう。
2-2.ビジネスでは使いにくい?
ビジネスシーンにおいては、「○○の所為」でのように「事が起こった原因」という意味で使うのは避けた方がよいかもしれません。
なぜなら「○○の所為で」という表現は、 ○○の部分を責めているようなニュアンスが感じられるためです。
言い逃れや責任転嫁と思われる可能性もあります。
ビジネス上で、悪いことが起こりその原因を伝えたい時には、代わりに以下の表現を使うようにしましょう。
○○の影響で⇒【例文】台風の影響で出荷が遅れております。
○○のため⇒【例文】会議が延長になったため、開始時間が遅れます。
こちらの方がよりフォーマルな表現で印象もよくなります。
2-3.「所為」と「所以」の違い
「所為」と似た漢字に「所以(ゆえん)」という言葉があり、意味は 「理由・わけ」です。
「所以」の場合はネガティブだけではなく、ポジティブな使われ方もします。
以下に例文と意味を紹介しますので、「所為」との違いを確認してみましょう。
- 彼が人気者である所以は、その性格にある。(彼が人気者である理由は、その性格にある。)
- 彼女が鬼嫁と言われる所以は、過度な節約癖があるからだ。(彼女が鬼嫁といわれるわけは、過度な節約癖があるからだ。)
このように「所為」とはややニュアンスが異なった使われ方をします。
2-4.「所為」と「所謂」の違い
「所謂」の読み方は「 いわゆる」で意味は、 「俗に言う・いうところの」です。
以下の例文のように、「一般的に言われていること」を言う際に使います。
- 彼は所謂、愛妻家というものだ。(彼は俗に言う、愛妻家というものだ。)
- 彼女は理系学部に進学した。所謂「リケジョ」というものだ。(彼女は理系学部に進学した。世間で言われている「リケジョ」というものだ。)
このように「所為」と似ている漢字でも全く意味が違うので、間違って混同しないように注意しましょう。
3.「所為」の言い換え表現
「所為」の類語を、「しわざ・行い」と「事が起こった原因」のそれぞれの意味ごとに分けて紹介していきます。
3-1.「しわざ・行い」という意味での類語
「しわざ・行い」という意味の「所為」には、以下のような類語があります。
- 所業(しょぎょう):行い・しわざ・振る舞い(悪い事に対して用いる)
- 行為(こうい):行い・振る舞い
意味の通り、ほとんど 「所為」と同じような意味で使うことができます。
以下にそれぞれの類語を用いた例文を紹介しますので確認してみてください。
- 君がしたことは許しがたい所業だよ。
- 彼は自分の行為に責任を持つ必要がありそうだ。
3-2.「事が起こった原因」という意味での類語
この場合は、以下のような類語が使われることが多いです。
- ~が理由で
- ~が影響して
どちらも何かが起こった際の原因を指す言葉として、以下の例文のように使うことができます。
- 私が遅刻したのは電車の遅れが理由です。
- 台風が影響して今週末の旅行がキャンセルとなった。
それぞれ、 「電車の遅れの所為」「台風の所為」のように「所為」と置き換えても一緒の意味で通じますね。
4.「所為」の英語表現
「しわざ・行い」と「事が起こった原因」のそれぞれの意味で、英語表現は異なります。
4-1.「しわざ・行い」という意味の場合
この意味で「所為」を用いる場合には 「act」「do」を使います。
- act(行動)
- do(~を行う)
それぞれの単語を使った例文を確認してみましょう。
- Who’s acting such a bad thing?(こんな(悪い事)しているのは誰の所為だ?)
- It must be a devil doing this.(悪魔の所為に違いない。)
4-2.「事が起こった原因・理由」という意味の場合
「人の所為にする」など、原因や理由のニュアンスを英語で表現する場合には以下の単語がよく使われます。
- because (of) (~が原因で)
- due to (~のため)
それぞれの単語は以下の例文のように使用されますので確認してみましょう。
- I could not sleep last night because the dog was barking.(昨晩犬が吠えていた所為で眠れなかった。)
- Doe to rain, the game was canceled.(雨の所為で試合が中止となった。)
また、他にも「Aの所為だ!」などという時に “ I blame at A!(Aを責める)” という表現があります。
しかし、これはかなり強めの言い方でやや怒ったような感じがするので、できれば例文で紹介した表現を使ったほうが良いでしょう。
まとめ
「所為」は「行い・しわざ」「その結果を生んだ原因・理由」という意味があります。
場面や文脈によって、読み方や意味が変わる「所為」は初めはやや混乱しやすい用語の1つかもれません。
しかし、社会人として使い方、読み方を間違えると恥ずかしい思いをしてしまうこともあります。
今回解説した「所為」をしっかりマスターし、自信をもって使えるようにしましょう。