
「示唆(しさ)」は、 「それとなく知らせること」や「ほのめかすこと」を意味する言葉です。
何かを伝えたい時に「示唆」することで、相手にヒントを与えたり、角を立てずに伝えることができます。
ビジネスシーンでは、相手に失礼のないよう「示唆」する機会も多いかもしれません。
本記事では、そんな「示唆」の意味や使い方について、例文を用いながらわかりやすく解説しています。
言葉の意味を取り違えないように、ぜひチェックしましょう。
「示唆(しさ)」
一覧表
忙しい人のために、内容が一目でわかる一覧表を用意しました。
▼各項目をクリックすると詳しい解説を読むことができます。
意味 | ①それとなく知らせること ②ほのめかすこと |
使い方 | ・示唆する ・示唆に富む ・示唆を与える など |
類語 | ・暗示 ・糸口 ・手蔓 |
英語表現 | ・suggestion ・implication など |
1.「示唆(しさ)」の意味
読み:しさ
- それとなく知らせること
- ほのめかすこと
「示唆」とは、 相手に対してある物事を遠回しに知らせたり、ほのめかすときに用いられる表現です。
何かを知らせる間接的な表現として、ニュースや新聞でしばしば使用されます。
1−1.「示唆」の漢字の意味
「示唆」の読み方は、 「しさ」あるいは「じさ」と読み、それぞれの漢字には以下のような意味があります。
漢字 | 音読み | 訓読み |
示 | シ・ジ・キ・ギ | しめ(す) |
唆 | サ | そそのか(す) |
漢字は、訓読みでは「漢字そのものの意味」を表しています。
したがって、2つの漢字を合わせると「しさ」という読み方になるのと同時に、訓読みの意味を合わせる事で「そそのかすことをしめす」という意味になるのです。
2.「示唆」の使い方と例文
「示唆」には、2種類の使い方があります。
1つ目は、そのまま名詞として使用するパターンです。
「示唆に富む」や「示唆を与える」ように、後に動詞が続く形で使用されます。
2つ目は、「示唆する」のように動詞として使用するパターンです。
「◯◯を示唆する」のように「◯◯」に入る名詞を目的語に取る形で使用されます。
これら2種類のパターンを使うことで、 「相手に対してある物事や主張などをはっきり伝えたくないが、それとなく知らせたいこと」を表現するのです。
2−2.「示唆」の例文
「示唆」の例文として、頻繁に使用される以下の3つの表現について説明します。
それぞれ解説します。
例文1.「示唆する」
「示唆する」は、「示唆」を動詞として使用するパターンです。
「示唆する」の前には、聞き手が類推したり解釈できる内容がきます。
そのため、「◯◯を示唆する」と言う時には、 話し手が「◯◯」を明言してはいないが、聞き手にそれとなく伝える表現になるのです。
<例文>
彼の発言は、昨晩の事件を示唆するものであった。
例文2.「示唆に富む」
「示唆に富む」は、言葉からもわかる通り、遠回しにそれとなく知らせることが豊富であるという意味を含んでいます。
そのことから、「示唆に富む」とは、 いろいろと教えられることが多いという表現になるのです。
<例文>
ある教授の講義が示唆に富んでいたため、聞き入ってしまった。
例文3. 「示唆を与える」
「示唆を与える」は、それとなくヒントや手がかりを与えるという意味です。
間接的に相手が成功するための手がかりを与える表現になります。
<例文>
彼女のある発言が、私に新たな示唆を与えた。
3.「示唆」の類義語
「示唆」には、似たような意味を含んだ類義語がいくつか存在します。
「示唆」と同様、ほのめかすという意味では同じではあるのですが、言葉に含まれる表現には細かな違いがあるのです。
3ー1.「示唆」の類義語
「示唆」の代表的な類義語として、以下の3つの言葉について説明します。
類義語1.暗示(あんじ)
「暗示」には、以下の2つの意味があります。
- 手がかりを与えて、それとなく知らせること
- 相手が信じ込むようにそれとなく仕向けること
「暗示」は「示唆」と同じく、それとなく知らせるという意味があります。
しかしながら、「示唆」が意識的かつ間接的に指し示すのに対して、 「暗示」は意識することなく、漠然と知らせるという点で、表現に若干の違いがあるのです。
<例文>
彼の態度は、のちに起こりうることを暗示していた。
類義語2.糸口(いとぐち)
「糸口」には、以下の2つの意味があります。
- 糸巻き
- 物事を始める手がかりとなるもの
「示唆」の類義語としては、2つ目の意味になります。
「糸口」にはそれとなく間接的に知らせるという表現はありませんが、 手がかりやヒントを与えるという意味で「示唆」と同じように使われるのです。
<例文>
私はある一冊の本から、解決の糸口をつかんだ。
類義語3.手蔓(てづる)
「手蔓」には、以下の2つの意味があります。
- 頼りにできる特別な関係
- 頼りになる人や手がかりとなる縁故
「手蔓」は、手がかりという意味があります。
ただ、あくまでも依頼や交渉などの、 人との縁においてヒントになる手がかりという表現で、「示唆」の類義語として使用可能です。
<例文>
テレビ局で働くために、彼は手蔓を求めている。
4.「示唆」の英語表現
「示唆」の英語表現は、動詞や名詞、イディオムのそれぞれのパターンによって、扱う英単語が異なります。
また、動詞の後に来る目的語がどのような名詞なのかによって、使用する英単語が異なることがありますので、注意が必要です。
そこで、「示唆」の英語表現を以下の3つに分けて紹介します。
それぞれ解説します。
4-1.「示唆」の英単語
「示唆」を表す英単語は、以下の2つがあります。
- suggestion
- implication
どちらの英単語も「示唆」そのものを意味する名刺です。
主語や目的語、補語として使用されます。
<例文>
The score is a suggestion of his ability.
(そのスコアは彼の能力を示唆したものだ。)
<例文>
Implications for Japan.
(我が国に対する示唆)
4-2.「示唆する」の英単語
「示唆する」を表す英単語は、以下の2つです。
- suggest
- indicate
どの英単語も動詞として、「示唆する」を表しますが、「何」を「示唆する」かによって動詞の使い分けが行われます。
具体的には、 名前や表現を示唆する場合には「suggest」を、対策や必要性を示唆する場合には「indicate」を使用するのです。
動詞の後に来る目的語に応じて、動詞を使い分けるようにしましょう。
<例文>
He suggests who my boss is.
(彼は私の意見が間違っていることを示唆する。)
<例文>
This book indicates how to solve the problem.
(この本は、問題の解き方を示唆しています。)
4-3.「示唆に富む」の英単語
「示唆に富む」を表す英単語は、以下のようなものです。
- be highly suggestive
- thought-provoking
どちらの英単語も、 後ろに名詞を伴うことで形容詞的に使用されます。
<例文>
That was highly suggestive content.
(それは示唆に富む内容だった。)
<例文>
It was thought-provoking article.
(それは示唆に富む記事だった。)
まとめ
「示唆」とは、 「それとなく示すこと」を意味する言葉です。
例えば上司にそれとなく気が付いて欲しいことがあれば、あなたが「示唆」することで、上司を立てる結果になるかもしれません。
このようにビジネスシーンにおいては、相手に対して遠回しに何かを知らせる時に使用すると良いでしょう。