最終更新日:2020/06/30
「したたか」は、「ずる賢い」というネガティブな意味を持つ言葉です。
その一方で、「自立している」のように褒め言葉でも使われるのはご存知でしょうか?
このように複数の意味を持つ言葉なので、間違った解釈をしたり、相手に失礼な発言をしたりすることがないよう、正しい使い方を知っておかなければいけません。
そこで本記事では、「したたか」を完璧に理解できるよう、意味や使い方をわかりやすく解説していきます。
間違えた使い方で恥を書かないように、ぜひチェックしておいてください。
1.「したたか」の意味
強く、しっかりしているさまという意味が良く使われる
まず、「したたか」の元々の意味は何でしょうか。ここで挙げるのは3つです。
強か
読み方:したたか
- 粘り強くて、圧力をものともしないさま。しぶとい、一筋縄ではいかないさま。
- 強く、しっかりしているさま。強そうな。
- 程度がはなはだしい、大げさなさま。ひどく。散々に。
ちなみに、「したたか」は漢字では「強か」と表記します。
こうして見ると、「したたか」には思ったほどネガティブな意味合いが無くて意外ですね。
ただし、その派生形である「したたか者」には、「たやすく思い通りにはならない人」という意味があります。これなら「したたか」のイメージに違わず、厄介な感じがしますね。
「したたかな女性」とは
「したたかな女性」は、「他人の思い通りにならない強さのある女性」を指します。
しかし、現在では「自分の利益のために要領よく立ち回る女」というイメージが一般的ですね。
一方、「したたかな女性」は「他人に影響されず、自立した強い女性」といった肯定的な使い方も出来ます。
「したたか」がもともと「誉め言葉」として用いられてきただけはありますね。
「したたかな女」は、他人がどう捉えるかで善悪が変わる言葉だと言っていいでしょう。ですが、その意味は良くも悪くも同じです。
2.「したたか」の使い方を例文で解説
「したたか」の意味が「なかなか思い通りに出来ない強さがあるさま」であることは理解できました。
「したたか」は実際にはどう使うのか、ここでは例文で見ていきます。
2-1.「したたか」の肯定的な使われ方
まず、「自立した」という肯定的な意味での「したたか」の使い方を見ていきます。
- 「彼は逆境にもめげることなく立ち向かってきたしたたかな男だ」
- 「彼女は離婚してからも女手一つで子供を育てしたたかに生きてきた」
- 「もっと彼女のようにしたたかさを持って生きたい」
このように、「粘り強さ」「逆境に負けない強さ」という様子を感じさせる使い方が出来ます。
2-2.「したたか」の否定的な使われ方
一方、一般的に用いられる「ずる賢い」という否定的な意味での「したたか」にはこんな使い方があります。
- 「彼女は不況の中でも、あちこちの職場を渡り歩いてきたしたたか者だ」
- 「彼女のしたたかさには参ったよ」
- 「彼女のしたたかな所が安心できない」
実力や強さはあることは認めてはいるでしょう。しかし、こちらにはどこか恐れているようなニュアンスがありますね。
このように、「力があるのは分かっているが、それをよく思っていない」といった意味で使われます。
2-3.「したたか」のその他の使われ方
「したたか」は強調語としても使われます。このような表現です。
- 「昨日は飲みすぎてしたたかに酔った」
- 「したたかに打ちつける」
普段はめったに聞かないでしょう。しかし、「したたか」はこうして「ひどく」「散々に」のように言葉を強める意味もあるのです。
3.「したたか」の類語
「したたか」の類語も覚えておくと、会話や文章の幅が広がって便利です。
「したたか」は、以下の類語で言い換えることが出来ます。覚えておきましょう。
- しぶとい
意味:我慢強くへこたれない。粘り強く努めること。
- 気丈(きじょう)
意味:心がしっかりしているさま。気丈夫。
- 一筋縄ではいかない(ひとすじなわではいかない)
意味:普段通りのやり方では思い通りにならないさま。曲者であるさま。
- ずる賢い(ずるがしこい)
意味:ずるいやり方を、人より良く思いつくさま。悪い方向に知恵が回るさま。
まず、いい意味では「しぶとい」「気丈」などがその一例です。
一方、悪い意味でいえば「一筋縄ではいかない」「手強い」、更に悪く言えば「ずる賢い」もその類でしょう。
さて、これらの意味を例文で見てみましょう。
- 彼はしぶとく、何度失敗しても諦めなかった。
- 彼女は気丈な方で、働く傍ら子育てもこなしている。
- 一筋縄ではいかない個性の強い面々だ。
- ずる賢い彼は、他人の前では爽やかな印象を装う。
4.「したたか」の英語表現
最後は「したたか」の英語での表現を見ていきましょう。「したたか」の英語表現は以下の通りです。
- tough
屈強な、無頼の
- tough customer
手に負えない人
- cunning
狡猾な、ずるい、悪賢い
- wily old fox
したたか者、ずるいヤツ
「したたか」は英語では「tough(屈強な、無頼の)」が一般的に使われます。「tough customer(手に負えない人)」はその上位の言葉と言えるでしょう。
悪い意味では「cunning(狡猾な、ずるい、悪賢い)」、「wily old fox(したたか者、ずるいヤツ)」といった表現が適切ですね。
早速、例文で見てみましょう。
-
She is a tough woman.
彼女はしたたかな女性だ。
-
She is a tough customer.
彼女はかなりしたたかな女性だ。
-
cate is cunning woman
ケイトはしたたかな女だ。
-
judy is wily old fox
ジュディはずる賢いヤツだ。
例文では紹介できませんでしたが、「したたか」の表現としては「soundly」も適切です。
「sound」には「音」という意味もあります。
しかし、「sound」には「堅実、健全、徹底的」という意味もあり、「したたか」の英語表現として適切な表現だと言えるでしょう。
まとめ
「したたか」は、もともと肯定的な言葉でした。しかし、近年になって使われる否定的での使われ方もまた正しい言葉です。
「したたかさ」も悪くとれば「計算高い」「あくどい」でしょう。
しかし、「したたかさ」は良くとれば「しっかりした」「自立した」「強い」ということです。悪い意味であったにせよ、捉え方次第でプラスなニュアンスにもなります。
ぜひ両方とも意味を理解して、使いこなせるようになりましょう。