
履歴書の送付やビジネスシーンでも使われる「朱書き」。
「朱書き」は、「目立たせて注目してもらう」ことが目的であり、「開封しなくても中身が一目で相手に分かるようにする」ために用いられます。
便利な「朱書き」ですが、間違った使い方をしてしまうと意図が伝わらなかったり、悪い印象を与えてしまうこともあるため注意が必要です。
今回は、 ビジネスシーンや様々な場面で用いられる「朱書き」の意味や書き方について詳しくお伝えします。
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1.「朱書き」の意味は「目立たせること」
朱書き
読み:しゅがき、しゅしょ
意味:朱で書き目立たせること
「朱書き」は、 「朱で書き目立たせること」という意味です。
封筒などの宛名に「請求書在中」と赤色で書かれているものを、「朱書き」と言います。
読み方は「しゅがき」ですが「しゅしょ」と読む場合もあるため、覚えておきましょう。
1-1.「朱書き」の語源
ボールペンなどの筆記用具が一般的になる前は赤色に近い朱液と墨汁が使われていました。
この時のように、朱液を用いて文字を書いていたことが「朱書き」の語源です。
現在は、朱液の代わりに赤色が使われており、赤色のボールペンなどを用いて表記されることもあります。
2.「朱書き」の使い方と例
「朱書き」を使う場面としては、次のようなものが挙げられます。
- 「〇〇在中」
- 「親展」
- 「重要」
- 「至急」
それぞれの 「朱書き」の意味や使い方の違いなどについて、詳しく見ていきましょう。
①「〇〇在中」は「大切な書類」
履歴書の送付や取引先に書類を送る際に使われる、「〇〇在中」という表記。
これは、 「大切な書類である」ことを意味しています。
他の郵送物に紛れてしまわないように、「朱書き」で表記するのが一般的です。
「朱書き」で表記される例には、次のようなものがあります。
- 履歴書在中
- 請求書在中
- 重要書類在中
- 申込書在中
- 応募書類在中
「履歴書在中」はよく使われる表記であり、書類のトラブルを防ぐためにも必要なマナーの一つです。
②「親展(しんてん)」は「本人以外の開封は禁止」
封筒に記載された「親展」の文字は、 「宛名に書かれている本人が封筒を開封するように」という意味です。
「親展」と書かれている封筒を、本人以外が開封してしまうと法律に触れてしまうことがあるため注意しましょう。
宛名に記載された本人以外が開封した場合、刑法第133条の「信書開封罪」と呼ばれる罪に該当します。
また、「親展」と書かれた封筒の封の部分には、「締」や「緘(かん)」、「封」と封印されており、他人が封を開けたことが分かるようになっていることが特徴です。
③「重要」は「重要文書」
「朱書き」で封筒に書かれた「重要」は、 「重要な書類が入っていること」を意味します。
重要書類などを送付する際には、送付先に分かるよう「朱書き」で「重要」と記載しましょう。
「重要」の他に、次のような表記も用いられます。
- 重要書類在中
- 重要書類
④「至急」は「すぐに開封して迅速に対処してください」
「至急」は、 「すぐに開封して迅速に対処してください」という意味で使われます。
手紙への返信を急ぎで求める場合などに用いられる表現です。
ビジネスシーンでは「至急」以外に、「拝答」という言葉も使われます。
「拝答」も「至急」と同様に返信を急ぐ時に用いられる言葉です。
3.封筒における「朱書き」の書き方
封筒における「朱書き」の書き方には、次のようなポイントがあります。
- 「朱書き」は赤いボールペンやペンで書く
- 「朱書き」は封筒の左下に書く
- 「朱書き」は定規を使って四角形に囲む
「朱書き」の正しい書き方やルールなどを詳しく見ていきましょう。
ポイント①「朱書き」は赤いボールペンやペンで書く
「朱書き」を書くときは、 赤いボールペンやペンを使って書きます。
細字のボールペンで目立ちにくい場合は、サインペンを使って書く方が良いでしょう。
ただし、水性のサインペンは雨などに濡れて滲んでしまうこともあるため、油性で裏移りしにくいものを選ぶことがポイントです。
ポイント②封筒での「朱書き」の位置は左下
封筒における「朱書き」は、 書く位置が決まっています。
封筒の縦書きや横書きなどの位置の違いは、次の通りです。
- 縦書きの場合
⇒左下 - 横書きの場合
⇒右下
「朱書き」を書く場所は決まっていますが、宛名など全体のバランスを考えて書くようにしましょう。
宛名が縦書きなら「朱書き」も縦書き、などのように合わせて書くことがポイントです。
ポイント③「朱書き」は定規を使って四角形に囲む
「朱書き」は、 伝えたい文字を四角の枠で囲むことで完成します。
ただ文字を赤いボールペンで書いただけでは「朱書き」とは言えないので、注意しましょう。
「朱書き」の枠は、定規を使って綺麗に書くことがポイントです。
丁寧に「朱書き」を書くことで、誠意を伝えることにもつながります。
4.文書の訂正で用いる二重線も「朱書き」
「朱書き」は、「履歴書在中」や「速達」などを伝えるだけのものではありません。
書類の訂正のために使う、 赤の二重線を引くことも「朱書き」です。
ビジネス文書や重要な文書の場合、訂正したい部分に赤色で二重線を引き、その上に訂正印の印鑑を押すこともあります。
訂正の二重線には、赤色と黒色を使う場合がありますが、それぞれの違いは次の通りです。
- 赤色の二重線
⇒訂正、取り消し - 黒色の二重線
⇒削除
使用するインクの色で意味が大きく異なるため、間違えないように注意しましょう。
また、会社によって訂正の二重線のルールに違いがあるため、入社後に確認しておくことが大切です。
次は、「朱書き」を書くときに注意するポイントについて見ていきましょう。
5.「朱書き」を書く時の注意点
様々なシーンで用いられる「朱書き」ですが、使用する際には注意する点があります。
「朱書き」の使い方によっては、 相手に悪い印象を与えてしまうこともあるため、注意点を理解しておきましょう。
5-1.人名は「朱書き」で書かない
人の名前に対して「朱書き」をしてはいけない、というルールがあります。
その理由としては、下記のようなものが挙げられます。
- 縁起が悪い
- 死を連想させるため
- 昔は罪人の名前を赤で書いていたから
「朱書き」を人名に使ってはいけないと言われる理由は様々ですが、良いイメージを持つ人は少なく、常識がなっていないと思われることもあります。
相手への気遣いとして、人名を「朱書き」で書くことは避けましょう。
5-2.「朱書き」はスタンプでもOK
「朱書き」は手書きで書かなければならない、という決まりはありません。
「履歴書在中」や「重要」などはスタンプが売っているので、 スタンプを利用しても良いでしょう。
ただし、手書きで書く場合は、先ほどお伝えした通り、定規で四角に囲って書くルールを守って書く必要があります。
6.「朱書き」の英語を使った表現
「朱書き」を表す英語表現は、 「print in red」や「mark in red」などがあります。
「朱書き」そのものを表す英単語はないので、「赤色で書いた」「赤い部分」などの言葉を使うことが多いです。
<例文>
「Envelopes written by red writing are generally treated as important documents.」
( 朱書きされた封筒の郵便物は、重要書類として扱われる。)
まとめ
「朱書き」は、 「朱色で書くことで、目立つようにすること」という意味です。
封筒などに記載される「朱書き」には、「受け取った人が開封しなくても中身が一目でわかるようにするため」という目的があり、様々な場面で用いられます。
ボールペンやペンなどの筆記具の決まりはありませんが、封筒の「朱書き」は、赤い四角い枠で囲むことがルールです。
ただし、人の名前などに対しては「朱書き」は使わないことが常識となっているため、ビジネスマナーとして覚えておきましょう。