最終更新日:2020/06/07
「収斂」は「しゅうれん」と読み、「縮んで引き締まること」「1つにまとまること」を意味する言葉です。
ただし、「収斂」は学術用語として使用されているため、文脈によって使い方が異なります。
また、「収斂」には「収束」という類語があるので、間違うことがないようしっかり使い分けられるようになりましょう。
そこで今回は、「収斂」の意味・読み方を説明し、「収斂進化」「収斂作用」などの使い方も解説してします。
1.「収斂」の意味・読み方
収斂
読み:しゅうれん
- 縮んで引き締まる。
- 1つにまとまること。
縮んでひきしまること
「収斂」は「縮んで引き締まること」を意味し、「収斂作用」「収斂性」などと使用される言葉です。
「収斂作用」は主に医薬・美容業界において、「肌の傷・毛穴を縮めて引き締める効果」として利用されています。
例文
- 収斂作用のある化粧水は、肌を引き締めてダメージを抑える効果がある。
- 昔から緑茶は収斂性を感じるため苦手だ。
1つにまとまること
「収斂」は「1つにまとまること」の意で使用することもでき、学術用語として「収斂進化」が代表的な言葉です。
「収斂進化」とは、「複数の異なるグループが同等の生態的地位に着いた時、身体的特徴が似通った進化をすること」を指します。
簡単に言うと、別々の物事が同じ結果をもたらす際に、「~に収斂する」と表現することができるのです。
例文
- 砂漠で生き続ける生物は皆、水をあまり必要としない体に収斂進化する。
- バラバラだった意見を結果的に収斂させた。
2.「収斂」の使い方と例文
「収斂」は学術用語として使用されることが多いため、 日常会話より各業界の専門用語として利用されています。
身近な物事に対してもニュースなどで使用されるケースがあるため、しっかりチェックしておきましょう。
「収斂」の使い方を、以下の5つのシーンに分けて説明していきます。
それぞれの例文を紹介し、使い方を解説していきます。
収斂進化・収斂現象
「収斂進化」「収斂現象」は生物学用語として、「複数の異なるグループが同等の生態的地位に着いた時、身体的特徴が似通った進化をすること」として使用されます。
具体例を挙げると、サメは魚類、イルカは哺乳類ですが、姿・形が似通っているため「収斂進化」「収斂現象」と言えます。
例文
- 捕食者が鋭い牙をもっているのは、収斂進化の賜物である。
- 異なる種類の虫が一斉に迷彩色を発現する、収斂現象が起きた。
収斂効果・収斂作用
「収斂効果」「収斂作用」は化粧品業界において、「肌を引き締める成分」によってもたらされる効果・作用です。
毛穴を引き締め、皮脂を抑制する作用・効果があるため、女性だけでなく男性にも推奨されています。
例文
- 顔のたるみをなくすために、収斂効果のある化粧品を使う。
- 顔の脂に困っているなら、洗顔後に収斂効果のある化粧品がオススメです。
収斂火災
「収斂火災」は、「凸レンズなどの反射物による太陽光の収束・発火」を原因とする火災です。
水が入ったペットボトル・調理用のボウルなどで収斂発火の原因となるので、太陽光には気をつけましょう。
例文
- あの火事は、小学生が虫眼鏡で新聞紙を燃やしたことによる、収斂火災が原因らしい。
- ビルの窓を通った太陽光が書類に集まり、収斂火災を起こした。
収斂薬・収斂剤
「収斂薬」「収斂剤」は医薬業界で、「傷口を縮めて引き締める効果」がある薬剤を指します。
傷を縮めて引き締めるため、バイ菌の侵入をふせいだり、早く傷口を治す効果が期待されるのです。
例文
- 擦り傷・切り傷には、収斂薬として消毒液を使うと早く治る。
- 収斂剤を使って被膜を形成し、バイ菌の侵入を防ぐ。
収斂味・収斂性
「収斂味」「収斂性」は飲料業界で、「口に含んだときに感じる渋み」を指します。
主に、清酒・ワイン・お茶など、口の中を締め付けられるような感覚になる飲み物に対して使用されます。
例文
- 安い赤ワインは、口をすぼめたくなるような収斂味を感じることが多い。
- 清酒は収斂性がなく、口当たりがよい物の方が評価が高い。
3.「収斂」の類語と例文
「収斂」は学術用語のため、相手によっては意味が伝わりづらいかもしれません。
多様な場面・文脈に対応できるように、「収斂」の類語もチェックしておきましょう。
「収斂」の類語は、以下の通りです。
それぞれ類語について、例文を紹介してきます。
類語1.収束(しゅうそく)
収束
読み:しゅうそく
意味:分裂・混乱していたものが、まとまって収まること。
「収束」は「分裂・混乱していたものが、まとまって収まること」を意味し、「収束性」「事態を収束する」などと使用される言葉です。
「収斂」と異なり、「収束」は人為的な事件・出来事に対しても使用することができます。
例文
芸能人の炎上発言について、事態を収束する必要がある。
類語2.輻輳(ふくそう)
輻輳
読み:ふくそう
意味:物が一か所に集まって、混雑すること。
「輻輳」は「物が一か所に集まって、混雑すること」を意味し、「輻輳する」「輻輳現象」などと使用される言葉です。
「輻輳現象」とは、「通信量が多くなり、インターネット・電話回線がつながりづらくなること」を意味する電気通信用語を指します。
例文
大地震によって一時的に通信量が多くなり、電話回線が輻輳する事態に発展した。
4.「収斂」の対義語と例文
「収斂」には2通りの意味があるため、対義語もそれぞれ使い分ける必要があります。
学術用語として使用できるフォーマルな言葉を紹介するので、しっかり社会人としてチェックしておきましょう。
「収斂」の対義語は、以下の2つです。
それぞれの対義語について、例文と一緒に意味を解説していきます。
対義語1.拡張(かくちょう)
拡張
読み:かくちょう
意味:規模や範囲を広げて、大きくすること。
「拡張」は「規模や範囲を広げて、大きくすること」を意味し、「縮んで引き締まる」の対義語に当たる言葉です。
「拡張性」「~を拡張する」などと表現され、フォーマル・日常的なシーンどちらでも使用することができます。
例文
無料ソフトから有料ソフトに変えて、機能を拡張した。
対義語2.離散(りさん)
離散
読み:りさん
意味:まとまっていた人や数値が、ちりぢりになること。
「離散」は「まとまっていた人や数値が、ちりぢりになること」を意味し、「1つにまとまること」の対義語に当たる言葉です。
「数値が離散する」「人々が離散する」などと表現され、「ばらばらになる」「とびとびになる」と言い換えることができます。
例文
急にクマが現れ、集まっていた人々は勢いよく離散した。
5.「収斂」の英語表現と例文
「収斂」の英語表現は、物理・数学用語また医療・美容用語の2つに大きく分けられます。
それぞれに対応する英語表現を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「収斂」の英語は、以下の2つです。
それぞれについて、例文と合わせて解説していきます。
よく使用されるのは「convergent」
「convergent」は「収束する・収斂性の」を意味し、主に学術用語として使用される英語表現です。
数学用語としての「convergent」は、「収束・収斂」から転じて「近似」の意で使用されるので注意しましょう。
例文
The government executed a monetary tightening for convergent inflation.
(インフレ収束のために、政府は金融引き締めを行った)
「astringent」も使用することができる
「astringent」は「収斂性の」を意味し、主に医薬・美容業界で使用される言葉です。
「astringent lotion」と表記することで、「収斂性の化粧水」を表現することができます。
例文
If you worry darkening of pores, I recommend astringent lotion.
(毛穴の黒ずみをきにしているなら、収斂性の化粧水がおすすめだよ。)
まとめ
「収斂」は「しゅうれん」と読み、「縮んで引き締まること」「1つにまとまること」を意味する言葉です。
「集束」との違いは、「まとまるのではなく、縮むこと」と覚えましょう。
「収斂効果」「収斂剤」などは、化粧品・医薬品など身近に使用される言葉なので、社会人としてしっかり確認してください。