
「周知(しゅうち)」には「広く知らせること」「広く知れ渡ること」の2通りの意味があります。
「周知させておく」「それは周知の事実」といった使われ方をするのを、日常でもよく耳にしますよね。
今回は、そんな周知の詳しい意味や使い方を、例文と合わせてわかりやすく解説していきます。
「周知」の一覧表
忙しい人のために、「周知」を一目で理解できる一覧表を用意しました。
▼各項目をクリックすると、それぞれの詳しい解説見出しに飛びます
意味 | 広く知らせること 広く知れ渡ること |
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使い方 | 周知する・周知させる |
類語 | 「案内」「伝達」「告知」「連絡」「認知」 |
英語表現 | 「make them known (周知させる)」など |
1.「周知」の意味
周知
読み:しゅうち
意味:広く知らせること・広く知れ渡ること
1-1.「意味は広く知らせること」「広く知れ渡ること」
「周知(しゅうち)」の意味は、主に以下の2つです。
- 「広く知らせること」
- 「広く知れ渡ること」
周知のそれぞれの漢字には、次のような意味があります。
- 「周(あまね)く」⇒「すみからすみまで広くゆきわたる様子」
- 「知(し)る」⇒「しる、しらせる」
つまり、周知はそれぞれの意味の意味の通り、隅から隅まで広く知らせることを意味します。
また、「広く知らせること」は「動詞」として活用され、「周知する」「周知させる」などが挙げられます。
一方、「広く知れわたること」は「状態」として活用され、「周知のとおり」などが挙げられます。
具体的に使い方と例文を見ていきましょう。
2.「周知」の使い方と例文
「周知」の意味を確認したところで、次に使い方と例文を説明していきます。
2-1.「周知する」「周知させる」が主な使い方
「周知」には、「周知する」「周知させる」という表現がありますが、どちらも使い方は間違いではありませんが、厳密には以下の違いがあります。
- 「周知する」⇒「自分を含んで情報を共有する」
- 「周知させる」⇒「相手に情報を共有させる」
ただし、「周知させる」の場合は、 使役・命令調の言葉として受け取られる可能性がありますので、注意が必要になります。
ビジネスシーンで注意が必要な使い方とは
周知の使い方の例として、 「周知のとおり」「言うまでもなく」という表現は 上から目線の文章として受け取られる可能性があります。
なぜなら、「周知のとおり」「言うまでもなく」は使役・命令調であり、「事前に知っていて当然ですが」の意味合いがあるのです。
そのため、ビジネスシーンにおいては、目下の人間が「周知」を使うのは失礼に当たってしまうため、使わないにしましょう。
次からは、具体的な例文とともに「周知」の使い方を紹介していきます。
2-2.「周知」の例文
「周知」の例文として、以下の使い方が挙げられます。
それぞれ、具体的な例文を通して説明していきます。
「周知する」
「周知する」を使用する場合は、特別に主語をとらず、 一般的に知れ渡っていることを確認する際に用いられることが多いです。
この場合は、「規則・ルール」のように堅苦しいものではなく、「常識・教養」のように「気を付けるべきこと」が例に挙がります。
<例文>
- 真夏の猛暑日に出かける際は、熱中症の危険性を周知する必要がある。
- たばこが社会問題になっているため、癌のリスクを周知するキャンペーン活動に参加した。
「周知させる・周知を図る」
「周知させる・周知を図る」の場合は、物事を知らせた人物を、文章中に含めることが多くあります。
なぜなら、「させる」という表現には 「使役・命令」調が含まれているため、「誰」の部分を明らかにするとスッキリするからです。
一方で、「使役・命令」調であるため、目上の人に対して使わない方がよいでしょう。
<例文>
「周知のとおり」「周知の事実」
「周知のとおり」「周知の事実」の場合は、 「事前に知られていること」を意味します。
そのため、短時間でスピーチをまとめる必要がある場合は、簡潔に物事の説明を省略する言葉です。
したがって、「事前に知っている」ことを前提にお話しする以上、初対面の人が多い場所では使用を控えるのがいいでしょう。
例文で用いたように、「周知の事実ですが~はご存知ですか?」という表現は、後に具体的な話を展開する際に重宝する表現になります。
「周知徹底する・させる」
「周知徹底する・させる」の場合は、「周知する・させる」を強調した表現になります。
「しなければならない」「当然すべきである」などの印象を与えることが可能です。
特に、「異常・危険」などのケースを通して、「周知徹底する・させる」は使われることが多いので、絶対にお知らせすべきことがある場合に活用できます。
<例文>
- 多数の食中毒が出たため、衛星管理を周知徹底する必要があるだろう。
- 大きな地震に備えて、避難場所を周知徹底させる。
3.「周知」の類義語!使い分けについて
「周知」の例文を説明しましたので、次に類義語の使い分けついて紹介していきます。
3-1.「周知」の類義語
「周知」の類義語は、以下の通りです。
それぞれの類義語について、「周知」と比較しながらご紹介します。
「案内」の意味
「案内」には、 「事情を説明し、知らせる」という意味があります。
また、「案内する」という言葉には「取り次ぐ」といった意味合いが含まれており、相手方を誘導する際に使われることが多いです。
「周知」と異なり、使役・命令調の言葉ではありませんので、日常的なコミュニケーションとして使用することが出来るのです。
<例文>
- 遠方の友人が遊びに来たので、地元の観光地を案内した。
「伝達」の意味
「伝達」には、 「次々に伝え届けること」という意味があります。
ポイントは「次々に」の部分であるため、複数の関係者に情報を取り次いでほしい旨を伝えることが出来るのです。
「周知」には、「全体に伝える」という意味合いがあるので、「伝達」とは明確に意味が異なります。
<例文>
- インターネットを利用したことがない人には、口頭で情報伝達の方お願い申し上げます。
「告知」の意味
「告知(こくち)」には、「告げ知らせる」という意味があります。
「告知」は、「告げる」という言葉の通りに、 情報を伝える相手が限定されている時に使用される言葉です。
そのため、「周り」という言葉を使った「周知」とは、明らかに意味合いが異なるので注意しましょう。
<例文>
- 契約違反があったため、次回の継続手続きを終了する旨の告知を送った。
「連絡」の意味
「連絡」には、「互いにつながり、関連があること」という意味があります。
「連絡」には「情報を伝える、知らせる」といった意味はなく、 「意思の確認」として用いられることが多いです。
そのため、特別に強調したい「情報」がない場合は、「連絡」を使った方がよいでしょう。
<例文>
- 対処できない問題に直面したため、まず上司に連絡を入れた。
「認知」の意味
「認知(にんち)」には、「ある事柄をはっきり認めること」という意味があります。
「認知」は「認めること、認識すること」がメインの言葉なので、「周知」とは意味が明らかに異なるのです。
<例文>
- 口頭ではよく理解できなかったが、文書化して問題を認知することが出来た。
4.「周知」の英語表現と例文
最後に、「周知」の英語表現を紹介します。
4‐1.「周知」の英語表現
「周知」の英語表現は、以下の通りです。
それぞれの使い方を、例文と一緒に紹介していきます。
「be well-known(周知の)」
「be well-known」は、「周知の」を意味する英語表現になります。
「be well-known for~」という表現を用いることによって、どのように「周知」されているか説明することが出来ます。
<例文>
- That place is well‐known for its beautiful scenery.
(そこは景色が美しいことでよく知られている。)
「make them known (周知させる)」
「 make them known」は、「周知させる」を意味する英語表現になります。
「make them known to~」という表現を用いることによって、「周知させる対象」を指示することができます。
<例文>
- Please make it known to the workers concerned.
(関係労働者に周知させてください。)
「as everybody knows(周知のとおり)」
「as everybody knows」は、「周知のとおり」を意味する英語表現になります。
「as everybody knows」は副詞の機能がありますので、文頭や文尾に用いることが出来ます。
<例文>
- It is an apple as everybody knows.
(周知のとおり、それはリンゴです。)
まとめ
「周知」には、「広く知らせること」「広く知れ渡ること」という意味があります。
一方で、「周知」の類似語・類義語は多く存在し、それぞれニュアンスが異なります。
相手に伝えたいニュアンスをよりよく表現するためにも、状況に応じて「周知」を使い分けていきましょう。