最終更新日:2020/06/04
「適宜」とは、 「その状況に応じて、適切に判断し行動すること」という意味の言葉です。
使い勝手のいい言葉なので、ビジネスシーンなどでも使われているのを目にすることが多いですよね。
しかし、似たような言葉で「適時」「随時」などがありますし、使い分けの方法で悩んでしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、「適宜」の詳しい意味や、類語との使い分けの方法などをわかりやすく解説していきます。
1.「適宜」の意味と読み方
適宜
読み:てきぎ
- 状況や場面によく合っていること。
- その時々に応じて、各自の判断で行動するさま。
意味1.「状況によく合っていること」
「適宜」は 「その状況に応じて、適切に判断し行動すること」という意味です。
言葉の成り立ちは以下の通りです。
- 「適」:ふさわしい。あてはまる。
- 「宜」:よい。都合がよい。
合わさって、「状況によく合っていること」が「適宜」の持つ意味にになります。
日常でよく使われる、和製英語でいうところの「ケースバイケース」の意味に近いです。
例文
- 取引先へは適宜訪問してコミュニケーションを図るようにしましょう。
- 何か不明点がありましたら、適宜ご連絡いたします。
- 資料を公開する範囲は適宜変更してまいります。
意味2.「各自の判断で行動するさま」
「適宜」は「自分なりに適していると考える行動をする」という意味です。
「適宜~する」という形で使います。
例文
- 効率を上げるため、適宜休憩をとってください。
- お昼休みは適宜とるようにしています。
- 適宜必要な物を持参してください。
2.「適宜」と「随時」「適時」の違い
「随時」には「いつでも」という意味が含まれている
「随時」には「適宜」の意味も含まれています。
違いとしては「好きなときにいつでも、何度も」というニュアンスが「随時」にはあることです。
例文
- 館内を随時、巡回しています。
- 何か不安なことがありましたら、随時ご連絡ください。
- 状況がどんどん変わっておりますので、随時ご報告いただけると幸いです。
「適時」には「適した時間に」という意味が含まれている
適時
読み:てきじ
ちょうどよいとき。
「適時」は「場面や状況にあった行動をする」というニュアンスを持った言葉です。
「適宜」は「宜」が「よい」という意味なので「ちょうどよい」という意味があります。
一方、「適時」は「とき」なので「ちょうどよいとき」ということになります。
つまり、「適宜」は「ちょうどよい」で「適時」は「ちょうどよいとき」です。
例文
- 適時、必要な書類をお持ちください。
- 適時ご質問ください。
- 口コミや評判を適時反映させてください。
3.「適宜」の類義語と言い換え表現
ここでは「適宜」の類義語と言い換え表現を紹介します。
1つずつ見ていきましょう。
類語1.「適切(てきせつ)」
適切
読み:てきせつ
状況・目的やその場面などにふさわしいこと。
「適切」は 「目的や状況にふさわしい行動をすること」という意味です。
「適宜」と意味が近く、「適宜」はより「状況にかなっている行動」のニュアンスが含まれます。
例文
- 適切な表現が見つからない。
- 状況に応じた適切な行動をとってください。
- プレゼン資料は適切な長さにしましょう。
類語2.「適当(てきとう)」
適当
読み:てきとう
- ある条件・目的・要求などに、うまくあてはまること。ほどよいこと。
- (悪い意味で)やり方などがいい加減であること。
「適当」は「適宜」に似たような意味ですが、違いとしては 「いい加減なやり方、行動」というニュアンスも含みます。
「適当にはぐらかす」というような、少しくだけたイメージがある言葉です。
ビジネスシーンで使用する際は、くだけた表現であることを踏まえて「適当」を使用するように気を付けましょう。
例文
- 与えられた業務を、時間がないので適当に済ませました。
- 適当な仕事をしてはいけません。
- 彼は忙しくなると適当な仕事をする傾向があります。
類語3.「必要に応じて」
必要に応じて
読み:ひつようにおうじて
必要であれば 、必要なときに。
「必要なときに」というニュアンスを含みます。
「適宜」とほぼ同じ意味で使用できます。
例文
- 必要に応じてパソコンを持参してください。
- 必要に応じた枚数のパンフレットをお持ちください。
- コストはあまりかけられませんが、必要に応じて視察を行いましょう。
4.「適宜」の対義語
対義語1.「常時(じょうじ)」
常時
読み:じょうじ
ふだん。いつも。
「適宜」が「その場面や状況に応じた行動」であることに対し、「常時」は「いつでも、どの状況でも」という意味になります。
よって「適宜」とは対義語となります。
例文
- 社用携帯は常時持ち歩くようにしてください。
- 常時、安全には気をつけましょう。
- 常時落ち着いた行動をとってください。
5.「適宜」の英語表現
「appropriate」がよく使われている
「適時」を英語で表現する場合は、 “appropriate”という単語を使います。
例文
- When you arrive there, take whatever action you think appropriate.
⇒現地へ着いたら適宜に行動してください。
- You may take a vacation at your own discretion during the winter.
⇒冬は適宜に休暇をとってよいですよ。
まとめ
「適宜」は 「その状況に応じて、適切に判断し行動すること」という意味です。
「随時」「適時」と似ていますがニュアンスに違いがあるので、きちんと使い分けるようにしましょう。
「適宜」を正しく使えると、ビジネスシーンで役に立ちます。
ぜひ今回の記事をお役立てくださいね。