最終更新日:2020/06/26
「天網恢恢疎にして漏らさず」は「てんもうかいかいそにしてもらさず」と読み、「 悪事をすれば必ず天罰が下ること」を意味しています。
日常的にはあまり使う機会はないかもしれませんが、ビジネス用語としては政治家や会社の役員の汚職事件などで使う機会があるのです。
そこで本記事では「天網恢恢疎にして漏らさず」の意味や類語、使い方や例文、英語表現などを解説していきます。
この記事を読んでいただければ、「天網恢恢疎にして漏らさず」を的確な場面で使うことができるようになりますよ。
ぜひ、最後までご覧ください。
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1.「天網恢恢疎にして漏らさず」の意味は「悪事をすれば必ず天罰が下ること」
天網恢恢疎にして漏らさず
読み:てんもうかいかいそにしてもらさず
悪いことをしたら必捕らえられ、天罰を被ること。
「天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)」とは、「 悪いことをしたら必ず捕らえられ、天罰を被ること」を意味します。
それぞれの言葉の意味もみていきましょう。
- 「天網(てんもう)」…「神様が悪人をとらえるための網」
- 「恢恢(かいかい)」…「大きく包み入れる様」
- 「疎にして」…「粗い」という意味。ここでは「天の網が粗い」を指す
つまり、「天網恢恢疎にして漏らさず」を噛み砕いて言うと、「 神様が悪人を捕らえるための網は、粗いようでいて大きく広いので、悪人を漏らすことなく捕まえることができる」となるのです。
1-1.「天網恢恢疎にして漏らさず」の由来と原文は中国から
「天網恢恢疎にして漏らさず」は 中国の思想家である老子の格言です。
以下が『老子』に記された原文です。
<原文>
天之道、不争而善勝、不言而善応、不招而自来、繟然而善謀。天網恢恢疏而不失。(天の道は、争わずして善く勝ち、言わずして善く応じ、招かずして自ずから来たり、繟然(せんぜん)としてよく謀る。天網恢々疎にして失わず)
ここから、「天網恢恢疎にして漏らさず」ということわざが生まれたのです。
2.「天網恢恢疎にして漏らさず」の使い方と例文
「天網恢恢疎にして漏らさず」は悪いことをした人は必ず捕る、と言うときに使われます。
悪いことをした人が実際に罰せられたときや、まだ罰せられていないけど、いずれ罰せられるだろうと言うときにも使うことができます。
以下では例文をご紹介します。
<例文>
- あの政治家もずっと責任逃れをしていたが、ついに捕まったようだ。「天網恢恢疎にして漏らさず」だね。
- 彼はまだ捕まってはいないが、「天網恢恢疎にして漏らさず」だ。いずれ捕まるだろう。
- 完全犯罪なんてありえない。いつかは警察に捕まるのだから、「天網恢恢疎にして漏らさず」は間違っていない。
3.「天網恢恢疎にして漏らさず」の類語:「当たる罰は薦着ても当たる」「天罰覿面」
「天網恢恢疎にして漏らさず」の類語として以下の2つをご紹介します。
- 当たる罰は薦着ても当たる(あたるばつはこもきてもあたる)
- 天罰覿面(てんばつてきめん)
それぞれ見ていきましょう。
3-1.当たる罰は薦着ても当たる(あたるばつはこもきてもあたる)
「当たる罰は薦着ても当たる」とは、「 悪事を働いたものが薦を着て身を隠しても、神は見逃さず罰を当てること」を意味します。
「薦(こも)」は植物の名前で、「菰(こも)」とも書きます。
「薦(菰)」は編むことで笠を作ったり樽を作ったりすることができるものです。
例えば以下のように使われます。
<例文>
- 彼はお金を盗んで隠れていたが、捕まった。「当たる罰は薦着ても当たる」ということだ。
- 「当たる罰は薦着ても当たる」の言葉通り、ずっと隠れていた犯人が見つかった。
- 悪いことをどんなに隠れてたとしても、「当たる罰は薦着ても当たる」のだから、無駄だと思いなさい。
3-2天罰覿面(てんばつてきめん)
「天罰覿面(てんばつてきめん)」は、「 悪いことをしてもすぐに罰が下る」ということです。
「覿面(てきめん)」とは、「あることの効果や報いがすぐにはっきりと現れるさま」を意味しています。
例えば以下のように使われます。
<例文>
- 彼は書類の数字を誤魔化しても見つからないと言っていたが、すぐに見つかって処分を受けた。天罰覿面だ。
- 不祥事を起こした政治家は選挙に落選し、天罰覿面だと思った。
- うちの会社は不倫に厳しく、天罰覿面でバレたらすぐにクビになる。
4.「天網恢恢疎にして漏らさず」の3つの反対語
「天網恢恢疎にして漏らさず」の反対語として、以下の3つを解説します。
- 網吞舟の魚を漏らす(あみどんしゅうのうおをもらす)
- 大魚は網を破る(たいぎょはあみをやぶる)
- 天に目無し(てんにめなし)
それぞれ見ていきましょう。
4-1.網呑舟の魚を漏らす(あみどんしゅうのうおをもらす)
「網吞舟の魚を漏らす(あみどんしゅうのうおをもらす)」とは、「 法律が大まかであるため大罪人を逃してしまう」ということです。
「網の目が荒いため、船を呑むほどの大魚を逃してしまう」ということを表しています。
例えば以下のように使われます。
<例文>
- 法改正が追いついていないせいで、網呑舟の魚を漏らした。
- 網呑舟の魚を漏らしたのは、法律の穴をつかれたせいだ。
- あれだけの犯罪をしたのに捕まえられないのは、網呑舟の魚を漏らすような法律のせいだ。
4-2.大魚は網を破る(たいぎょはあみをやぶる)
「大魚は網を破る(たいぎょはあみをやぶる)」は、「網呑舟の魚を漏らす」と同じく「 法律が大まかであるため大罪人を逃してしまう」という意味です。
例えば以下のように使われます。
<例文>
- 大魚は網を破るのだから、できるだけ法律の抜け道はなくしたほうがいい。
- 大魚は網を破るの言葉どうり、大犯罪者ほど法律の穴をついてくる。
- 法律を作るときは、大魚は網を破るのだと覚えておいたほうがいい。
4-3.天に目なし(てんにめなし)
「天に目なし(てんにめなし)」とは「 天に目があるわけではないので、多少の悪事を働いても心配する必要はない」ということです。
例えば以下のように使われます。
<例文>
- 少しくらい書類を誤魔化しても、天に目なしだよ。大丈夫だろう。
- 天に目なしといえども、悪いことはしたくない。
- あらゆる悪人が捕まっているわけではないし、やはり天に目なしなのだろう。
5.「天網恢恢疎にして漏らさず」の英語表現
「天網恢恢疎にして漏らさず」の英語表現は以下の2通りあります。
- Heaven’s vengeance is slow but sure.
- The mills of God grind slowly.
「Heaven’s vengeance is slow but sure」を直訳すると「 神の復讐は遅いが、しかし確実にやってくる」となります。
対して、「The mills of God grind slowly」を直訳すると「 神の製粉所はゆっくり挽く」という意味になります。
それぞれの例文をご紹介します。
<例文>
- For words of Heaven’s vengeance is slow but sure, he was caught by police.(天網恢恢疎にして漏らさずの言葉どうり、彼は捕まった)
- It says that the mills of God grind slowly, and bad things should not be done.(天網恢恢疎にして漏らさずと言うし、悪いことはするべきではない)
まとめ
「天網恢恢疎にして漏らさず」は、「悪いことをしても必ず天罰が下る」という意味です。
ビジネスシーンでも、会社で悪いことをした人が罰を受けたりしたときに使うことができます。
また、まだ罰せられてはいないけど、いつかは罰せられるだろうと言う意味で「天網恢恢疎にして漏らさず」を使うこともできます。
「天網恢恢疎にして漏らさず」の言葉通り、 ビジネスの中で 悪いことをしても「天の網」は大きく広いので、いつかは露見してしまいます。
仕事は正直に誠実に行うことを心がけましょう。