最終更新日:2020/05/09
「つきましては」は 「○○につきましては」という言い方と、「つきましては~」という2つの言い方があります。
それぞれで正しい使い方をしなければなりません。
また、対象によっては「つきましては」というよりもふさわしい言い方が存在します。
「つきましては」の正しい意味や使い方を、例文を踏まえてわかりやすく解説します。
1.「つきましては」の漢字と2つの意味
「つきましては」は、漢字で「 就きましては」と書きます。
このように漢字表記もありますが、一般的には平仮名で「つきましては」と表記することが多いです。
「つきましては」は、ビジネスにおけるメールや目上の人への対応で頻繁に使う機会があります。
文中で使う「○○につきましては」と文頭で用いる「つきましては、~」の2つの意味や使い方が存在するのでしっかり覚えておきましょう。
使う場所 | 意味・表現 | |
○○につきましては | 文中 |
「○○に関しては/○○については」 を丁寧に言い換えた表現 |
つきましては、~ | 文頭 |
接続詞的な働きをする 「そこで/従いましては/そういうわけで」 |
ここからは、それぞれの「つきましては」の正しい使い方について確認していきます。
2.「○○につきましては」の使い方
「○○につきましては」では、 直前の○○のことを指したり、○○ついて説明したりする時に使われます。
「○○に関しては」「○○については」の丁寧表現なので、目上の人や取引先の方にも失礼なく使うことができる表現です。
実際の使い方は以下に例文で紹介していますので確認しましょう。
- ご依頼の件につきましては、現在業者と確認中でござます。
- 設定方法につきましては、ホームページの方でご確認ください。
- 出欠につきましては、20日までに私の方までご連絡いただければと思います。
このように相手に対して丁寧な表現をしたい時に使います。
一方、家族や友人などの親しい関係の人に対しては「つきましては」の表現は丁寧すぎて不自然に聞こえるので、「○○については」などにしましょう。
2-1.「○○につきましては」の類語・言い換え
目上の人などにも多用しやすい「○○につきましては」ですが、何度も同じ言葉を使うのは不自然に感じてしまうこともありますよね。
そんな時は以下で紹介する類語を場面に合わせて使い分けてみてください。
・類語1.「○○に関しましては」
「○○に関しましては」は「つきましては」と同様、 「○○に関しては/○○については」を丁寧に言い換えた表現ですので、目上の人にも類語として使うことができます。
例文:予算の件に関しましては、明日中に提出させていただきます。
類語2.「○○するにあたりましては」
これは「○○するにあたって」を丁寧に言い換えた表現で、「つきましては」の類語ではありますが、ニュアンスに差が出る場合がありますので 文脈に注意して使うようにしましょう。
例文:その調査をするにあたりましては、細心の注意を払われてください。
意味としては「その調査につきましては、細心の注意が必要です。」となりますが、「するにあたりましては」を使うことでやや複雑に聞こえてしまいます。
2-2.間違いやすい「つきましては」と「おかれましては」の使い分け
「○○につきましては」と「おかれましては」の意味は同じです。
しかし○○の部分に入る対象によって使い分けが必要になります。
- 「○○につきましては」:話の内容そのものや事柄を指す時に用いる
- 「○○におかれましては」:人や場所、会社などを指す時に用いる
では、「につきましては」と「におかれましては」の実際のフレーズを例文で確認しましょう。
このように、対象になるものが人名などの場合は「おかれましては」が正しく、「つきましては」は失礼になってしまうことがあります。
3.「つきましては、~」の使い方
次は、文頭で用いる「つきましては、~」の使い方について確認しておきましょう。
接続詞として「従って」「ですので」などを丁寧に表したい時に使いやすい用語です。
「○○につきましては」と同じく、ビジネスにおいて目上の人や取引先の方に使うことができます。
以下に例文フレーズを紹介します。
- この度○○さんがご結婚のため退社されることとなりました。つきましては、送別会を開催したいと思っておりますのでぜひご参加ください。
- 先月の売り上げデータがでました。つきましては、明日会議を開くことになりました。
- 今回のご依頼に関しては見送らせていただくことになりました。つきましては、担当から連絡させていただきます。
3-1.「つきましては、~」の類語・言い換え
接続詞としての「つきましては」は、 「従いましては」「以上より」「そういうわけで」などの類語があります。
- このような企画を受けました。従いましては、明日の会議にて詳細を説明させていただきます。
- このような結果となりました。以上より、今回の提案は見送らせていただきたく思います。
- 台風が接近しています。そういうわけで、交通機関の情報はこまめに確認するようにしましょう。
類語の中では 「従いましては」や「以上より」は、ビジネスなどの場面でも使用することができます。
一方、「そういうわけなので」はややフランクな言い方でフォーマルな場面では違和感を感じる表現になりかねません。
目上の方に使用するのは避けた方がよさそうですね。
3-2.「つきましては」をメール・文書で書くときは
文頭の「つきましては」は、口頭でも文章でも使うことができる用語ですが、メールや文書として使う場合は、 改行してから用いるのが望ましいです。
前の文章に続けてそのまま使うことも間違いではありませんが、改行した方が相手にも読みやすくより丁寧に表現することができます。
4.「つきましては」を英語で表したい
ビジネスでは、英語でやりとりする場面もあり、「つきましては」を英文で使いたいという人も多いでしょう。
そこでここからは英語で「つきましては」を表現する方法を紹介しています。
4-1.「○○につきましては」の英語
文中の「○○につきましては」と言いたい時には、 about, regarding, concerning などを使うことが多いです。
- about:~について、~に関して
- regarding:~の点では、~に関して
- concerning:~に関して
どれも「に関して」という意味ではありますが、regarding は about と比較すると、よりフォーマルな言い方ですので目上の人への対応フレーズなどで使う表現です。
- I’ll tell you about the detail tomorrow. (詳細につきましては明日お伝えします。)
- Please ask me anything regarding that matter. (その件につきましては、私の方に何でも聞いてください。)
- Concerning this matter, I have some questions. (この件につきまして、いくつか質問があるのですが。)
4-2.「つきましては、~」の英語
続いて文頭で用いる「つきましては、」は、 so, therefore, thus などの英語で表されることが多いです。
- so:だから、それ故、なので
- therefore:それ故、従って
- thus:だから、従って、
これらもニュアンスとしては「従って」というワードですが、so という場合はフランクな場面で使うことが多いので、フォーマルな文章などではできるだけ控えるようにしましょう。
- It had an accident. So, we cannot drive this road today. (事故があった。従って今日はこの道は通れない。)
- I heard that you had some troubles. Therefore, I’ll visit you to fix them. (いくつか問題があったとお聞きしました。つきましては、明日私の方がうかがいます。)
- He studied all day. Thus, he succeed the math test. (彼は1日中勉強した。従って、数学のテストはうまくいった。)
まとめ
「つきましては」には「○○につきましては」と「つきましては、~」といった2つの使い方があります。
「○○につきましては」は「○○に関しては/○○においては」、「つきましては、~」は「従いまして/そういうわけで」という意味です。
それぞれ別の使い方をする「つきましては」ですが、ビジネス場面では頻繁に使う機会があるため、正しい使い方をマスターしておきたいですね。
「つきましては」の使い分けがしっかりできると、目上の人や取引先の方からの信頼もぐんとアップするでしょう。