最終更新日:2020/11/21
「造詣が深い」とは、 「ぞうけいがふかい」と読み、何かの分野に対して知識などが優れている様を表す言葉です。
「造詣が深い」は相手を褒める時などに、よく使われます。
しかし、間違ったシーンで使うと、相手に不快感を与えてしまう可能性もあるため、しっかり使い方を理解しましょう。
そこで、今回は「造詣が深い」の意味や語源、使い方、類語や英語表現まで詳しく解説していきます。
「造詣が深い(ぞうけいがふかい)」
一覧表
忙しい人のために「造詣が深い」の一覧表を用意しました。
▼各項目をクリックすると詳しい解説を読むことができます。
意味 | 音楽や美術などといったある分野に対して知識や理解が深い |
使い方 | 普通では簡単に習得しにくい知識に対して使う |
類語 | ・通暁(つうぎょう)する ・博識(はくしき)である |
英語表現 | know about A very well(Aについて非常に良く知っている) など |
1.「造詣が深い」とは
まずは、「造詣が深い」の読み方と意味を説明します。
造詣が深い
読み:ぞうけいがふかい
音楽や美術などといったある分野に対して知識や理解が深い
音楽や美術以外に、学問に優れている様子も表します。
1-1.「造詣が深い」の語源
「造詣が深い」の 「造詣」は「ある地点まで行き着く」という意味があり、以下の漢字で成り立っています。
- 【造】⇒ある点まで届く・ある所まで至る
- 【詣】⇒高い地点まで到達する・至る
この「ある地点・高い地点」というのが、学問や芸術といった、簡単に到達できない水準を表すようになりました。
「造詣」だけでも知識に優れているニュアンスなので、「造詣がある」という表現もされます。
「造詣が深い」の場合は、より知識や理解に深さのあるニュアンスがでますね。
2.「造詣が深い」の使い方
「造詣が深い」は、特に専門的な知識や、普通では簡単に習得しにくい知識に対して使います。
「造詣が深い」を使う分野としては、 学問・音楽・美術・歴史・医療などです。
日常的なもの、例えば手芸などに対しては「母は手芸に造詣が深い」という表現はしません。
では、「造詣が深い」を使った正しい例文を以下で確認してみましょう。
- 彼はヨーロッパに留学していたため、西洋文化に造詣が深い。
- 母は音楽に造詣が深く、分からないことは何でも教えてくれる。
- 先端医療に造詣が深い田中先生を、講師にお招きした。
2-1.「造詣が深い」は自分には使わない
「造詣が深い」や「造詣がある」といった表現は、基本的には 人の紹介をする時や褒めたい時に使います。
自分自身の紹介などには使いません。
なぜなら、「造詣が深い」には尊敬のニュアンスが含まれているためです。
「私は○○に造詣が深いです」と言ってしまうと、相手は「自慢?」とやや不快な思いになるかもしれませんね。
2-2.目上の人に「造詣が深い」を使う時の敬語表現
「造詣が深い」は相手を尊敬しているニュアンスがあるため、 目上の人を相手にするフォーマルなシーンでも活躍する表現です。
「造詣が深いですね」ということも可能ですが、より丁寧な表現にしたい場合は以下のフレーズを使いましょう。
- 造詣が深くていらっしゃる
- 造詣がおあり
それでは、これらの表現をつかったフォーマルな例文を紹介します。
- 部長はITに関して造詣が深くていらっしゃいますね。
- 佐藤様は、ルネッサンス絵画について造詣がおありなんですね。
単に「よくお知りですね」「知識が豊富でいらっしゃいますね」と褒めるよりも、知的な漢字がしますね。
ただし、ちょっとやそっとのことで「造詣が深い」を多用してしまうとゴマを摺っているような印象になりかねます。
「造詣が深い」は普通では習得するのが難しい分野などに対して使われるため、使う場面をしっかり見極め、ここぞという時に使いましょう。
2-3.「精通している」は何にでも使える!
「造詣が深い」と似たニュアンスの言葉に「精通している」があります。
【精通している】⇒ある事柄についてよく知識があること・博識であること
意味だけ見ると「造詣が深い」と言い換えができそうですが、それぞれには以下の違いがあります。
意味 | 対象 | |
造詣が深い | 知識や理解・技術が優れている | 医療や音楽など専門的な分野 |
精通している | よく知識がある・博識である | 分野は問わない |
「精通している」は、分野に制限はありません。
また、「造詣が深い」のように技量があることは前提としていないため、日常的にも使いやすい言葉です。
「精通している」を使った例文を紹介します。
- 彼女は裁縫に精通している。
- 私の姉はピアノに精通している。
- 彼はテレビゲームに精通している。
3.「造詣が深い」の類語
「造詣が深い」には、以下のような類語があります。
では、それぞれの言葉のニュアンスや使い方を詳しく紹介します。
3-1.通暁(つうぎょう)する
「通暁する」は、以下の2つの意味があります。
「造詣が深い」の類語として用いるのは、2番の意味です。
- 徹夜すること。夜を通し、明け方になること。
- ある事柄にたいして非常に詳しく知っていること。
「通暁する」を使う場合は、「造詣が深い」ほど 専門的な分野だったり技量を求められているわではありません。
そのため、誰かをちょっとしたことで褒めたいという時は、活用しやすいですね。
ただし、「通暁する」という言葉は日常的に頻繁に耳にする言葉ではなく、年下の人は「通暁する」という言葉を知らない可能性があります。
そのため、目下の人などに対しては「精通する」を用いた方が良いでしょう。
では、以下で「通暁する」の例文を紹介します。
- 彼女は恋愛に対して通暁している。
- 先生は歴史だけでなく、料理にも通暁している。
3-2.博識(はくしき)である
「博識である」の意味は、「 広く物事を知っている・非常に知識が広い」です。
知識があるという意味では「造詣が深い」の類語ですが、以下のような違いがあります。
- 【造詣が深い】⇒ある分野にたいして深く掘り下げた知識をもっている
- 【博識である】⇒種々の分野にたいして広い知識をもっている
「博識である」は、1つの分野にたいして知識が深いというニュアンスでも使いますが、色々な分野に渡って豊富な知識を持っているという意味でも使うことができます。
そのため、「造詣が深い」よりも日常的な会話で活用しやすい言葉です。
それでは、「博識である」を含んだ例文を見ていきましょう。
- 彼女は教養があり色んな事に博識がある。
- 彼が美術に対して博識があるのには驚いたな。
4.「造詣が深い」の英語表現
「造詣が深い」を英語で表現したい場合には、以下の表現を使うことができます。
- know about A very well(Aについて非常に良く知っている)
- have a profound knowledge of A(Aの知識を深く持っている)
どちらも、「ある難しい分野に対して知識がある」という「造詣が深い」の細かいニュアンスを表すことはできず、どちらかと言うと 「精通している」の表現に近いです。
しかし、より「造詣が深い」といったニュアンスを出したければ、have a profound knowledge of A のフレーズがおすすめです。
では、それぞれのフレーズを使った例文を紹介していきます。
- My dad knows about electricity very well.
(父は電気に関して精通している。) - You have a profound knowledge of dental field.
(歯科に造詣が深くいらっしゃるんですね。)
まとめ
「造詣が深い」は、「ある分野に対して深く知識がある」という意味です。
「造詣が深い」は「普通では習得の難しいような限られた分野」を対象にしているのがポイントです。
そのため、小さい事で「造詣が深い」を使って褒めるのは、大げさに受け取られることもあります。
「造詣が深い」の正しい使い方や類語との使い分けをしっかり区別して、相手にも気持ちのいい使い方を心がけたいですね。