
IT業界は過酷な職場が多く、うつ病にかかってしまう方も少なくありません。
うつ病になってしまうと、「早く治さなくては」「転職するなら早く行動しなきゃ」など、焦ってしまいますよね。
この記事は、上記のような方の助けになれるように、転職の際の注意点や働きやすい職場選びについてまとめました。
長期間休んでしまい焦っている方や、将来の見通しが立たなくて不安になっているITエンジニアが具体的に何をすればいいかについて説明しています。
自力で転職を考えるのは難しいという方のために、転職をサポートしてくれるサービスも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事が、うつ病とつきあいながら仕事を続ける際の助けになれば幸いです。
気になる項目をクリック
1.ITエンジニアのうつ病体験談
真面目で几帳面な人に多いとされるうつ病ですが、特にITエンジニアは職場環境の影響もあり、うつ病予備軍が多いといわれています。
ここではエンジニア向け情報サイト「リクナビNEXT」で紹介された、ITエンジニアのうつ病体験談をご紹介します。
体験談1.激務とパワハラでうつ病に
オーバーワークとパワハラで心身共に追い詰められていた高橋さん(仮名)。
体の不調を感じていたものの、ストレスが原因と自分で認められず限界状態で倒れてしまいました。
うつ病はすぐ治るものだと思っていた高橋さんは、早期に復帰したものの逆に悪化して再び休職を余儀なくされます。
結果的に2回の休職で1年近く休養することになりましたが、自分の働き方や仕事への意識だけでなく家庭のことも考えられるようになったそうです。
疲れやすくなった、めまいがひどくなったなど、いつもと違う状態になっていた時から、すでに高橋さんにうつ病の予兆はあったと考えられます。
ただ、治療が遅くなるとその分悪化してしまうのがうつ病の怖いところです。
体験談2.失敗できないプレッシャーで気づいたら限界を超えていた
野々村さん(仮名)は新卒で入社して半年後、家から出られなくなりました。
その1ヶ月前から吐き気や頭痛といった体調不良はあったそうですが、いきなり体が限界に来てしまったのです。
元々ため込んでしまう性格だったため、「社会人として働き始めたばかりで慣れていないだけだ」と判断してしまったことも原因と考えられます。
休職に後ろめたさを感じ、どうしていいか分からないまま引きこもっていた高橋さん。
3ヶ月経ってからカウンセリングに通い、服薬を始めたことで少しずつ症状は快方に向かったそうです。
休職している間に職場環境の変化や人の入れ替えなどもあったことで、復職はスムーズにできたとのこと。
上司の理解があり、復職を職場が待ってくれていたことも大きな後押しになったといえます。
高橋さんと野々村さん、どちらも真面目に仕事に取り組んでいたゆえにうつ病になってしまったと考えられます。
ただ、うつ病になってしまうとお二人のように症状が好転するまで時間がかかってしまいます。
ここで焦って仕事を辞めたり、また転職してしまうことはおすすめできません。
その理由について、次で詳しくご紹介します。
2.うつ病ITエンジニアが転職するときに注意したいこと
うつ病になったことで「休職しなければならない」「仕事を休むことで周りに迷惑がかかる」と焦る人は少なくありません。
うつ病はきちんと治療をすることが必要なことに加え、原因を究明し取り除かなければ再発する可能性もあります。
そのため「休職して治療する」「思い切って職場環境を変える」ことも必要です。
ここでは、うつ病になり「今後どうすればいいのか」悩んでいる際に注意してもらいたいことをお伝えしていきます。
※自分1人で判断せず、まずは専門医や友人・家族など、信頼できる第三者に相談していただきたいです。
無料の相談窓口もありますので、1人で悩みを抱え込まないでください。
「こころの耳相談|厚生労働省委託事業」
注意点1.できる限り治療を優先する
うつ病になってしまったら、まずは治すことを最優先に考えましょう。
うつ病は、他の病気や怪我のように治ったことが判断しにくい病気です。
個人の症状の違いに加え、性格や職場環境など複数の原因が組み合わさっていることで、対処方法が変わってくることも理由の一つです。
そのため、自分では「もう大丈夫」と思っていても復帰してみたら思うように体が動かないといったことも起こり得ます。
うつ病も早期であれば短期間で治療が終わる可能性もありますので、自分の体の変化を見逃さず病院の診察を受けましょう。
注意点2.急がない
「休んだら迷惑がかかる」「早く復帰しないと居場所がなくなってしまう」そう考えて復帰を急ぐことは止めましょう。
先の体験談にあったように、「もう大丈夫」と思って復帰してみたら思うように動けず再度休職を余儀なくされる可能性もあります。
休職後復帰することは大きなストレスとなるため、体に負担がかかることが原因とも考えられています。
そのことを踏まえた上で、専門医などに相談しながら「今後どうするか」時間をかけて答えを出すようにしましょう。
注意点3.転職先にはうつ病のことを隠さない
うつ病で転職する場合、転職先に「うつ病になったことがある(治療中)」ということを隠さないことをおすすめします。
「うつ病になったことがあるとバレたら不利になるのではないか」と不安になるかもしれません。
しかし、うつ病であったことを隠しながら仕事をすると、周りからの理解をもらえず、後々辛い思いをすることも多いです。
正直に伝えることで「転職先の職場環境なら安心して働けると考えた」という転職理由につなげることもできます。
注意点4.うつ病でも働きやすい職場を探す
うつ病になる原因として、「無理を重ねる業務内容」や「人員が少なくハードな職場環境」が挙げられます。
そのため、同じような職場に転職してしまうと、再発するリスクも考えられます。
もしうつ病が再発してしまったとしても、休職に理解を示してくれる職場を探すことをおすすめします。
うつ病になった人でも働きやすい職場については、次で詳しくご紹介します。
3.うつ病でも働きやすいITの職場は?
うつ病は完治が難しいため、同じような職場環境だとまた再発する可能性があります。
だからといって再就職を諦めるのは、せっかく積み上げてきた経験を考えるともったいないですよね。。
精神的・肉体的に負担が少ない・無理をすることがない職場であれば、うつ病が再発する可能性も抑えられます。
そこで、うつ病でも働きやすいと考えられる職場の一例について紹介していきます。
では順番にお伝えしていきます。
※あくまでも一例ですので、転職先を決める際は、専門医や転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談しながら慎重に判断してください。
おすすめ①:残業が少なく負担が軽い職場
うつ病の原因の一つに、残業や休日出勤が多く体力が限界だったことが挙げられます。
一人に負担がかかることのないよう、誰かが休んでもカバーしてくれる人員がある職場やノー残業デーを設定している職場への転職がおすすめです。
おすすめ②:トラブル対応が少ない職場
精神的に大きな負担となるのがトラブル対応です。
特にITエンジニアは、開発からトラブル対応まで一貫して任されることが多く、常に仕事に追われることになりがちです。
トラブル対応は別部署で受け持っている職場を選ぶといいでしょう。
また、社内SEの場合は社内のシステム保守や相談が主な仕事なので、外部対応よりは負担が少ない点でおすすめです。
おすすめ③:派遣やバイトなど責任が軽くて済む職場
正社員としての責任が問われる状況に不安がある場合は、派遣やバイトから再スタートする方法もおすすめです。
派遣やバイトは、指示された仕事をこなすことがメインなので、正社員よりも責任が軽くて済むケースが多いです。
年収や保障が正社員より下がってしまうことがネックですが、経験やスキルを身につけるという点では派遣やバイトも変わらないので、今後のステップアップとして考えてみるのも一つの方法です。
4.転職の不安や負担を軽くしたいなら就職・転職エージェントを使おう
うつ病になり、職場環境を変えるために転職を考えている場合、治療をしながら転職活動をするのは大変ですよね。
職場探しや面接対策、提出書類の作成など、することが多岐にわたるだけに転職活動は健康な人でも疲れてしまいます。
「早く内定をもらわないと」と焦ることがかえって気持ちを追い詰めることにもなりかねません。
そうならないために、就職・転職エージェントを活用することをおすすめします。
エージェントは、求人の紹介に加えて面接対策や書類作成のアドバイスなどサポートをしてくれるサービスです。
うつ病の転職でエージェントを利用するメリットには、以下のようなことが挙げられます。
- アドバイザーに相談することで、転職活動の精神的負担を減らせる
- 書類添削や面接対策をしてもらえるので自信をつけられる
- うつ病を考慮した転職先を紹介してもらえる
- 無料なので安心して利用できる
ここでは、特にうつ病からの転職におすすめのエージェントを3つ紹介します。
【Cocorport(旧Melk)】 |
転職支援だけではなく、就労トレーニングも受けられる |
---|---|
【dodaチャレンジ】 |
うつ病に詳しいアドバイザーに相談できる |
【ワークポート】 |
IT業界に詳しいアドバイザーに相談できる |
※キャリアアドバイザーが合わないと感じたら、早めに変更を申し出てください。
転職を急かされた場合も、友人や他のキャリアアドバイザーにアドバイスを求めるなどして、じっくり考えながら転職活動を行っていただきたいです。
就労移行サービスを受けたいなら「Cocorport(旧Melk)」
(引用:Cocorport)
【Cocorportを利用するメリット】
- 転職に向けたトレーニングが受けられる
- マイペースにトレーニングに取り組めるようにセッティングしてくれる
- 転職活動のサポートが受けられる
「Cocorport」は、「統合失調症」「うつ病」「発達障害」「知的障害」「身体障害」などの障害を持つ方に向け就労移行支援サービスを行っています。
通常の転職エージェントと違い、再就職に向けたトレーニングなども提供しているのが特徴です。
(引用:Cocorport)
具体的には、以下のようなサービスを受けることが可能です。
- 転職に向けたトレーニングの計画・実施・振り返り
- 70種類以上の就労移行のためのプログラム提供
- 転職活動のサポート(自己分析、企業研究、応募書類添削、模擬面接)
- 就職後の定期面談・電話相談
Cocorportはブランクがある人でも、再就職を果たした実績が多数あります。
転職後のサポートも受けられるので、「職場になじめないのでは」と不安な方も最後まで安心して利用することが可能です。
運営会社 | 株式会社ココルポート(旧社名:Melk) |
---|---|
対応エリア | 東京・埼玉・神奈川・千葉・福岡 |
利用料 | 基本無料 前年の収入等によっては費用が発生することがあります |
公式サイト | https://www.cocorport.co.jp/ |
\スマホで簡単!3分以内で無料登録!/
うつ病に配慮した転職支援を受けたいなら「dodaチャレンジ」
(引用:dodaチャレンジ)
【dodaチャレンジを利用するメリット】
- カウンセリングの資格を持つアドバイザーが在籍している
- 症状に合わせたカウンセリングが受けられる
- 入社後にもアドバイザーから連絡があるので相談可能
dodaチャレンジは、精神障害や発達障害のある方への支援を行う転職エージェントです。
カウンセリング資格を持つアドバイザーが在籍しており、うつ病の状態に合わせたカウンセリングを受けることができます。
精神障害に対する知識が深く、症状や闘病履歴など細かくヒアリングしながら最適な職場を探してくれるので、安心して転職活動を進めることが可能です。
登録すると一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらうことができるので、選択肢も広げやすくなります。
拠点は東京・大阪・名古屋の3ヶ所ですが、求人は全国対応なので地方の方でも利用可能です。
精神障害のある方向けのオンラインセミナーも行っているので、余裕があればそちらも参加してみるといいでしょう。
運営会社 | パーソナルチャレンジ株式会社 |
---|---|
取り扱い求人 | 全業種 |
対応エリア | 全国 |
公開求人数 | 1,183件(2020年9月時点) |
非公開求人 | 非公表 |
利用料 | 無料 |
公式サイト | https://doda.jp/challenge/ |
\スマホで簡単!3分以内で無料登録!/
IT業界に詳しいアドバイザーに相談したいなら「ワークポート」
(引用:ワークポート)
【ワークポートを利用するメリット】
- IT業界に詳しいアドバイザーに相談できる
- 初めての転職でも丁寧にサポートしてくれる
- 登録が簡単
「うつ病専門のエージェントは使いにくい」という方は、IT専門のワークポートがおすすめです。
ワークポートをおすすめする理由は、「キャリアコンシェルジェ」というきめ細かいサポートをしてくれるアドバイザーがいるからです。
初めての転職でも丁寧にサポートしてくれるので、うまく頭が回らないという方も安心して転職活動を進めることができます。
登録も簡単で、名前と生年月日、メールアドレス、パスワードの設定だけですぐに利用できます。
「企業名など聞かれるのが面倒」という理由で転職エージェントの登録を先延ばしにされている方も、ワークポートなら簡単に登録できるので、ぜひ気軽に登録してみてください。
運営会社 | 株式会社ワークポート |
---|---|
公開求人数 | 約52,600件(2022年4月時点) |
非公開求人数 |
非公開 |
対応地域 | 全国+海外 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.workport.co.jp/ |
詳しい解説は以下を確認してください。 「ワークポートの評判・口コミは良い悪い?登録前の全注意点も解説」 |
\スマホで簡単!3分以内で無料登録!/
]5.うつ病の転職では選択肢をたくさん用意しておくことが大切
うつ病を治すためには、きちんと治療することに加え現状を改善することも必要です。
ITエンジニアとしての経験やスキルを手放したくない、企業で正社員としてしか働きたくないと選択肢をせばめてしまうと辛くなります。
ITエンジニアとして働いてきた経験は、たとえエンジニア以外の仕事に転職したとしても役立ちます。
色々な職場、色々な働きができる可能性が、今あなたのこれからの未来に広がっているのです。
まずは、うつ病でもあなたができる働き方の可能性を考えていきましょう。
可能性①:IT業界以外の仕事を選んでもいい
転職する場合、IT以外の業界を選ぶ方法もあります。
「せっかくITエンジニアとして働いてきたのに」と考えず、「エンジニアとして働いたことは他の人にはない強みだ」と切り替えましょう。
実際、IT業界で身につけたスキルは、他の業界でも重宝されることが多いです。
エンジニアになって鬱病になる人は少なくない印象
実際、バリバリやってた人も発病してる
プログラミング出来るからって必ずしもプログラマーにならなくても良い
例えば事務員としてプログラミングで効率アップできるので
エンジニアリング+何か
で働く事も考えよう😊#プログラミング初心者
— たけ@LOCO APPS / SIer,フリーランス経験からの情報発信 (@locoapps1) May 9, 2020
可能性②:派遣やバイトに切り替えてもいい
今は精神的にも体力的にもITエンジニアは無理だと思うなら、派遣やバイトとして働くこともおすすめです。
ITエンジニアとして働くなら、正社員のほうが給与や待遇面で有利だと考えてしまうかもしれません。
ただそれは健康な状態であればのこと。
正社員は責任も問われるので、今の状態が悪化する可能性もあります。
うつ病が落ち着くまでは、リハビリと割り切って働くことをおすすめします。
可能性③:フリーランスとして働くという手もある
弊社の優秀なエンジニアが、六本木某IT企業で開発チームのリーダーをやっていたが、鬱病になり退社。
これからフリーランスになるらしい
是非安定して欲しい。— 名前なし (@8EQnnNHituIfUrX) July 10, 2019
うつ病だと、出社して働くという一連の行動も負担になることがあります。
また通院をしながら働くことが難しいことも少なくないため、思い切ってフリーランスとして働く方法もあります。
エージェントには、「ギークスジョブ」などのようにフリーランス求人を専門的に紹介しているところもありますのでぜひ利用してみましょう。
まとめ
IT業界で働いていて、うつ病になってしまい「環境を変えたい・治療に専念したい」といった事情から転職活動を始める場合、いくつか注意が必要です。
- 治療を優先する
- 急がない
- 転職先にはうつ病のことを隠さない
- うつ病でも働きやすい職場を探す
うつ病はきちんと治療しないと再発の可能性が高くなります。
企業によっては、うつ病にならないよう会社で対策したりカウンセラーを置いているところもありますが、そうでない場合は転職して環境を変えたほうが安心だと言えます。
まずは信頼できる相手に相談し、心が落ち着いたら転職エージェントなどのサービスを活用して、焦らず転職活動を行ってください。
【Cocorport(旧Melk)】 |
転職支援だけではなく、就労トレーニングも受けられる |
---|---|
【dodaチャレンジ】 |
うつ病に詳しいアドバイザーに相談できる |
【ワークポート】 |
IT業界に詳しいアドバイザーに相談できる |
【参考サイト】
- 厚生労働省:知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス
- リクルートグループアビリティスタッフィング:うつ病からの社会復帰