最終更新日:2021/03/07
発達障害は表に出にくい症状でもあるため、本人だけが辛い想いをしながら生活をしているということもしばしば。
周囲の人から理解されづらい症状と付き合っていくことは、非常に大変な負荷になりますよね。
症状を抱えた状態での転職は、大きな不安が付きまとってくるものだと思います。
そこで本記事では、「発達障害の転職状況」「症状別に見る仕事の選び方」「成功のコツ」「サポートの充実しているエージェント」をご紹介します。
この記事を通して転職に対する精神的ハードルを下げつつ、自分に合った方法を見つけて転職に役立ててもらえれば幸いです。
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1.発達障害とともに転職を成功させる5つのコツ
まずは転職を成功するために有利になるコツについて見ていきましょう。
押さえるべきポイントをあらかじめ知っておくことで、的確な対策を行いながら転職活動が可能です。
少しでも不安な気持ちを取り除きつつ、転職を進めていきましょう。
①就労環境を意識する
発達障害の方が良い転職をするには、ストレスのない就労環境が大切です。
ストレスを減らし自分らしく働くためにも、心身に負担のかからない就労環境を選択しましょう。
おすすめの就労環境は、出勤時間と退勤時間を自由に決めることができる、以下の働き方です。
- 裁量労働制:技術者やデザイナーなどの法律で定められた業種において、実務労働時間ではなく裁量にゆだねる「みなし労働時間」を労働時間とする制度
- フレックス制:指定の期間に定められた総労働時間の範囲内であれば、出勤と退勤時間を自由に決めることができる制度
(参考:厚生労働省|フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き,裁量労働制の概要)
これらの働き方は、フルタイムで会社に勤務する働き方に比べて、自由度の高い働き方となっています。
もし調子が悪い日や不調を感じる日でも、自分のペースに合わせて業務を中断しやすいです。
無理なく仕事を続けていくためにも、自分に合った就労環境が転職先にあるかどうかを意識してリサーチしてみましょう。
②転職先の発達障害への理解を確認する
転職後に重要となるのが、職場における発達障害に対する理解です。
どれだけ就労制度を意識し働きやすい環境が整っていたとしても、周囲から理解を得られなければストレスを感じてしまいます。
そのため、入社前に発達障害について理解があるかどうかのリサーチを行いましょう。
企業の担当者とコミュニケーションを取る機会があれば、早い段階で発達障害について相談してみることをおすすめします。
③障害者枠を検討する
障害者枠を検討することも、転職を成功させるために重要な選択肢です。
あらかじめ様々な症状について想定されている求人であることから、一般枠に比べて精神的な不安要素が少ない仕事内容や企業が多いです。
仕事を行っていく中でも支援を前提としていることから、無理して働くリスクも避けられますよ。
たとえ転職先が決まったとしても、重要なのは仕事を無理なく続けられるかどうかです。
自分に合った働き方を模索するためにも、障害者枠を1つの選択肢として考えてみてください。
④自分の興味や適性について知る
転職活動では自分と向き合い、趣味や適性についてじっくりと考えることも大切です。
「自分は何が得意なのか」を明確にすることで、転職先を絞り込みやすくなります。
また、発達障害を持っている人の中では、定型業務を得意とする人が多くいらっしゃいます。
一方で、マルチタスクを苦手とする方が多い傾向にあります。
本記事の「【症状別】発達障害での仕事の選び方」では、症状別に向いている仕事をご紹介していますので、気になる方は先に読み進めてくださいね。
できるだけ自分が得意とすることの中から、その特徴を活かせる職種を見つけていきましょう。
⑤発達障害者向けの転職支援を受ける
発達障害者向けの転職支援は様々あります。
転職支援を利用すれば「求人情報の提案」や「職業相談」などの、転職活動のサポートを受けることができます。
転職支援には、以下の通り様々な種類があります。
- ハローワークにおける職業相談・職業紹介
- 若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム
- 地域障害職業センターにおける職種リハビリテーション
- ジョブコーチによる人的支援
- 転職サイト・転職エージェントによる転職サポート
(参考:厚生労働省|発達障障害者の就労支援)
転職支援は、転職の準備から転職後の支援まで様々です。
例えば転職サイトや転職エージェントでは、症状に応じた仕事紹介なども受けられるため、転職後でもストレスフリーな労働環境を実現することができるでしょう。
転職サイトの特徴が気になる方は、「4.転職エージェント利用のメリット・デメリット」にて解説しますので、先に読み進めてくださいね。
不安要素を補ってくれる施策ばかりですので、自分に合った支援策をぜひ有効活用しましょう。
2.発達障害者の転職状況
ここからは、実際にどれほどの人が発達障害と付き合いながら転職を行ったのかを確認していきます。
具体的に転職状況を知ることで、転職のイメージもしやすくなります。
ここでご紹介する転職状況は、以下の通りです。
分からないことから来る不安を少しづつ取り除いていくことで、円滑な転職活動につなげることができるでしょう。
障害者の雇用状況は増加傾向にある
実は、障害者の雇用状況は増加傾向にあり、発達障害を持っている人の転職環境は徐々に整いつつあります。
厚生労働省による「障害者雇用の状況等」によると、過去10年間を見ても就職件数は年々増加していると公表しています。
また、民間企業の障害者雇用率の割合も、徐々に引き上げられています。
2.0%とされていた法定雇用率も、2021年までに2.3%に引き上げられることが決定しており、さらなる転職環境の整備が期待できます。
発達障害と付き合っていくことは、容易なことではありません。
しかし状況は少しずつ改善されています。
さまざまな支援も活用しながら、自分の目指すキャリアを手にしていきましょう。
転職に成功している人の事例
実際の転職を成功させることができた人の事例についても紹介していきます。
転職エージェントの「dodaチャレンジ」では、生涯を抱えている方の転職サポートが充実しています。
また様々な症状や年齢における支援実績がとても高いです。
(参考:dodaチャレンジ|精神障害・発達障害の方の転職支援)
症状別で見ると、「発達」が23.4%、「気分(うつ病)」が23.8%、「不安(神経症)」が8.5%と、様々な方が転職を成功されています。
年齢は、20代~60代までと幅広く、利用満足度は98%とかなり高めです。
転職によって「仕事環境が楽になった」という声もあります。
独り言の多い発達障害の方。時々大声をだしたりして前の職場では嫌がられていました。しかし機械音の大きい工場に転職されてからは周囲の音にかき消されるため好きなだけ独り言が言えるようになりました。マッチング成功。
— ハピネス (@LagunaRoom) September 15, 2019
職場環境を変えることで負担を減らすことができたり、自分らしく働ける場所を手に入れることができたりします。
転職の流れ
ここでは、転職の流れについて見ていきましょう。
一般的な転職の流れは、以下の通りです。
- 登録
- アドバイザーとの面談
- カウンセリングをもとにした求人の選定
- 応募
- 採用
- 就職
まず登録をすることで転職に必要な情報を、転職サイトやハローワークに伝えることが必要となります。
登録した情報をもとに、担当のアドバイザーとのやり取りを通して求人が決定。
その後、転職に関するサポートを受けながら本格的に転職活動を進めていきます。
一般的な転職活動と大枠は一緒ですが、支援などが充実しているためより安心して活動を進めていけるでしょう。
転職を頻繁に繰り返す傾向がある
発達障害を抱えている人の中には、転職を繰り返す方も多くいらっしゃいます。
業務内容が自分に合わなかったり、人間関係に疲れてしまったりと、転職する理由は様々です。
転職を繰り返すことは、新しい環境に適応しなければならないため、心身共に負担がかかることでもあります。
そのため、ひとりで悩まずに転職支援先のキャリアカウンセラーに、正直に相談してみることも大切なこと。
信頼できる人と共に考えていくことは、適切な選択をするうえで大切な判断材料の1つとなるはずです。
3.発達障害の症状別に見る仕事の選び方
これまでは発達障害と共に転職を成功させていくための情報について、ご紹介しました。
ここからは、症状に焦点を当てて仕事の選び方を確認していきましょう。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合
まずADHDの方の場合について確認していきましょう。
ADHDの方に向いている仕事は、以下の通りです。
- 自分の興味を発揮できる仕事
- 専門分野を活かせる仕事
- マルチタスクを避けられる仕事
- 納期が細かく定められていない仕事
- 出勤時間が細かく定められていない仕事
ADHDの方は、興味のある事に対する集中力が長けているので、「研究者」や「プログラマー」「カメラマン」などの専門分野に特化した仕事が向いています。
好きな分野や特技を理解し自己分析することで、自分に合った転職が行えるようになるでしょう。
ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)の場合
ASDの方の特徴は、コミュニケーション上で症状が表れやすいことがあります。
言葉の意味をそのまま受け取ってしまう傾向にあるため、会話の中で生まれる僅かなニュアンスで受け取り方が異なり、理解が難しくなってしまうのです。
そのため、できるだけコミュニケーションにおけるズレの少ない環境が必要になります。
以下の職種は、ASDの方に向いている可能性が高いのでぜひ参考にしてみてください。
- マニュアルが整備されている仕事
- 論理性かつ豊富な知識力で対応できる仕事
- 視覚情報を重要とする仕事
マニュアルに沿って業務を行うなどの場合、上手くいくケースが多いです。
定型業務でありながらも、企業の中で重要な役割を担っている部署も多く存在します。
自分に合っている職種は必ず見つかりますので、じっくりと考えてみてくださいね。
4.転職エージェント利用のメリット・デメリット
発達障害を考慮した転職をするために、転職エージェントを利用する人は増えています。
しかし利用する前はわからないことだらけで、不安に感じますよね。
ここで転職エージェント利用におけるメリットとデメリットについて紹介していきます。
転職エージェント利用のメリット
転職エージェントは登録情報やカウンセリングを通して、症状に応じた求人の紹介を行ってくれます可能としています。
いざ転職活動を進めて、採用されたとしても、継続して勤務できるかが大きな問題となるでしょう。
そこで転職エージェントの膨大なデータベースと、キャリアアドバイザーの指導を有効活用することで、適切な転職先を一緒に探してもらえます。
また転職エージェント側から企業側に、業務内容についての交渉もおこなわれるので、無理のない労働実現に尽力してくれるのです。
特に障害者支援に特化した転職エージェントでは、企業側の需要と障害者側の適性を把握し、事前に双方の希望に沿ったマッチングを可能としています。
通常の転職活動では、大きな壁となりがちな問題を解決してくれるのです。
転職エージェント利用のデメリット
転職エージェントのデメリットは、地方求人において充実していない点です。
都市圏の求人に強く、大手企業の案件も多く取り扱っているメリットがありますが、地元での就職を検討しているなど地方での転職には向いていない傾向があります。
特に障害者向けの求人のほとんどが首都圏に集中していることから、地方で仕事を探す場合に不便になる可能性が高くなってしまうのです。
働く場所にこだわりがある場合は、希望に添えない場面が出てきてしまうでしょう。
また転職エージェントに紹介された求人が自分に合っていないことも十分に考えられますので、複数のエージェントを併用して見極めることも重要になります。
5.発達障害でも安心の転職エージェント3選
ここでは、障害者採用実績の高い転職エージェントをご紹介します。
転職エージェントによって特徴が異なるので、自分に合ったサービスをぜひ利用されてみてください。
症状に合わせて丁寧な転職サポートが受けられる「dodaチャレンジ」
転職エージェントとして知られている「doda」の障害者支援に特化した「dodaチャレンジ」。
本記事でも「転職に成功している人の事例」の中で、dodaチャレンジの障害者支援の実績が高いことをご紹介しました。
症状に応じて適したマネジメントを可能としていることから、より安心した転職活動を行っていけます。
キャリアアドバイザーのカウンセリングを利用することによって、企業との円滑なやり取りが実現され、充実した転職環境を提供してくれるでしょう。
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障害者採用支援に高い実績を持つ「シゴトライ」
うつ症状を始めとした、障害を持つ人に対するアプローチに長けている「シゴトライ」。
ストレスマネジメントに関して、独自にノウハウを積んでいることから精神的なケアも含めて転職を進めていけます。
こちらは、シゴトライの障害者採用実績です。
(参考:シゴトライ|転職実績)
発達障害者の転職実績は、全体の15%と代2番目に多い実績です。
年齢は20代~40代と幅広く対応しています。
ひとりひとりの悩みに焦点を当てて、適切な転職サポートを受けることができますので、ぜひ利用されてみてください。
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症状や認知特性に合わせて個別支援を行う「リドアーズ」
統合失調症を中心とした症状に特化して転職支援を行っている「リドアーズ」。
自身の適性に向き合うことから、実践的なトレーニングまでを行ってもらえます。
転職に役立つスキルはもちろんのこと、働き始めてから自己管理をする方法についても同時に身に付けられるでしょう。
障害者支援に特化しているエージェントならではの企業ネットワークも有効活用して、よりよい転職につなげていきましょう。
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まとめ
本記事では、成功させるポイントを以下の通りご紹介しています。
- 労働時間は、出退勤時間に縛られない「裁量労働制」や「フレックス制」などの自由な働き方がおすすめ
- 発達障害の理解のある転職先を選択することが大切
- 障害者の転職率は年々増加傾向にある
- 障害者枠は転職を進める1つの手段
- 症状に合わせた求人を探したい人は、転職相談が受けられる転職エージェントの利用がおすすめ
ご紹介した転職エージェントは、以下の3つです。
自分に合った転職サービスを利用し、転職活動を進めていくことで就職に近づくことができるでしょう。
現に転職に成功している人も多数存在します。
本記事で紹介したことを参考にしながら、焦らずに1つ1つ転職活動を進めていきましょう。
【参考サイト】
- 発達障害者の就労上の困難性と具体的対策 ─ASD 者を中心に
- MSDマニュアル プロフェッショナル版|学習障害および発達障害
- dodaチャレンジ|転職支援サービスについて
- 文部科学省|特別支援教育について
- atGP|発達障害の方でも向いている・できる仕事について解説!