最終更新日:2021/02/13
「監査法人から転職すべきかどうか迷っている」という方も多いですよね。
公認会計士として監査法人で働いていることは、一般企業で働くより恵まれた環境と言えるでしょう。
しかし、 公認会計士資格を活かせば、監査業務以外にも可能性はたくさんあります。
では、監査法人から転職を検討する場合、どのような転職先があり、どのようにキャリア形成をすべきでしょうか。
今回は、監査法人から転職すべきかどうかを検討中のあなたに、転職を検討するに当たって知っておくべきことをご紹介していきます。
本記事を読んだ上で、転職すべきかどうか考えてみてくださいね。
また、転職だけでなく色々な視点でキャリア形成を検討するヒントになれば幸いです。
1.監査法人から転職を検討する前に行うこと
漠然と転職活動を始めてしまうと、効率的に転職を進めることができません。
転職活動を効率的に進めるためには、まず以下の3点を確認しましょう。
詳しく解説していきます。
なぜ転職したいのか転職する理由を明確にする
どんな仕事であっても、転職を検討する際に最も大事なことは、 なぜ転職したいと考えているのかを明確にすることです。
以下のような理由で「監査法人から転職したい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
- 公認会計士資格を使って財務・会計のコンサルタントとして大きな仕事に挑戦したいため、監査だけではない、コンサルとしての知識や経験を得たい。
- 将来的には税務分野を武器に独立も視野に入れているため、税務分野の知識・経験を積むため税理士法人へ転職して知識と人脈を作りたい。
転職理由が明確で、かつ、最終的なゴールである将来のキャリア像が明確であるかは、仕事のモチベーションにもつながります。
また、転職理由や将来像は、転職先の企業で活躍できる人材であるかどうかを企業側が見極める材料ともなります。
漠然と「転職がしたい」という理由では、意欲的に働く人材としてアピールすることは難しくなるので、注意してください。
将来どうなりたいのか
転職する理由と同時に大事になるのが、仕事を通じて目指すべき自分のゴール、つまり、自身のキャリアの将来像です。
何をするにもゴール設定が不明瞭だと、目指すべき先がわからず、モチベーションが上がりません。
また、転職先企業に対して「転職をしてどうなりたいのか」をしっかりと伝えることは、自己アピールをする上で重要です。
したがって、監査法人から転職をし将来どんなキャリアを形成していきたいのか、これから先どのように資格を活かして貢献していきたいのか、一度冷静に見直してみましょう。
キャリアの棚卸し
転職理由を明確にし、将来の自身のキャリアを明確にしたら、現状を振り返りましょう。
キャリアを棚卸しすることでこれまでの自分の経験を振り返り、 現在の立ち位置を明確にできます。
棚卸しする際には、具体的に次のようなことを紙に書き出しながら整理することで、客観的に自分のキャリアを整理することができます。
- 社会人として学んだこと
- 現在所属している監査法人の規模
- 監査法人で経験した業務
- 現在の1日の仕事の流れ
- 会社に求められている役割
2.監査法人から考えられる転職先・進路
次に、監査法人から考えられる 転職先・進路について具体的にご紹介していきます。
監査法人から考えられる転職先・進路は主に次のような就業先が一般的です。
転職先 | 転職の難易度 |
一般事業会社 | 低難易度 |
コンサルティングファーム | 中難易度 |
大手監査法人 | 高難易度 |
会計事務所 | 低難易度 |
独立開業 | 高難易度 |
それぞれについて、以下で詳しくご紹介します。
一般事業会社
一般事業会社では、高度な会計知識に基いた決算業務やIR部門、経営企画部門での活躍が期待されます。
昨今のグローバル化の流れを受け、各企業の財務諸表のIFRS(国際財務報告基準)と同様の基準にしようとする企業が増えていますが、 高度な知識をもつ人材が不足している状況にもあります。
一般事業会社へ転職を検討する際には、IFRS(国際財務報告基準)に対する深い理解があれば、十分なポジションでの転職が可能となるでしょう。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームは、以下3つの分野に分けられます。
- 財務・会計系コンサルティングファーム
- 税理士法人系コンサルティングファーム
- 金融系コンサルティングファーム
それぞれについて解説していきます。
財務・会計系コンサルティングファーム
財務・会計系コンサルティングファームでは、大手企業から中小企業、零細企業にわたり、 会計の面から攻めの経営アドバイスを求められます。
M&Aにおける戦略アドバイスや企業のCFOとして財務面から経営企画に携わるなど、業務は多岐に渡ります。
会計の専門家として高度な知識が求められますが、その後のキャリアパスとしては大きな経験となるでしょう。
他のコンサルティングファームと比較すると、監査法人での経験を活かしやすい分野です。
税理士法人系コンサルティングファーム
将来的に税務をメイン業務として独立を考えている場合、税理士法人系のコンサルティングファームへの転職は将来へのキャリアパスとしておすすめです。
税理士法人への転職で1番のデメリットは、年収が大幅に下がる可能性が高いということです。
監査法人の中でも大手のbig4(あずさ、トーマツ、新日本、PwCあらた)系の税理士法人以外の税理士法人の場合は、将来のためのスキルアップ、キャリアパスと割り切って転職を決める必要があります。
なお、公認会計士は従来、資格を取得することで無条件で税理士登録ができました。
しかし、平成29年の法改正により税法に関する研修を終了することが税理士登録の要件となっていますので、注意が必要です。
税理士登路にあたっては、税理士試験合格者と同等のレベルを要求されており、これまでの考査の合格基準に高いレベルでの税法の知識が要求されるようになっています。
終了考査の合格者が減少するようになっているため、税理士登録の難易度は上がっていると考えるべきでしょう。
金融系コンサルティングファーム
金融系コンサルティングファームでは、資金運用、投資などの資金戦略を検討し、企業の資金調達をスムーズに行えるようにすることがメインの業務となります。
企業の資金戦略を検討するにあたっては、企業経営に関する知識や会計、法務に関する高度な知識が要求されます。
金融系コンサルティングファームでの経験は、 金融系シンクタンクや事業会社のCFOとして活かすことができるでしょう。
求められるスキルは高く、企業のグローバル化の流れを踏まえれば英語力などのスキルも必要となるため、転職難易度は高いといえます。
大手監査法人
大手の監査法人へ転職する大きなメリットは高待遇と仕事の大きさです。
大手監査法人として有名なのは、「あずさ」、「トーマツ」、「新日本」、「PwCあらた」のいわゆるBig4と呼ばれる監査法人です。
ただし、転職のハードルは高く、判断される指標として「学歴」も重視されます。
学歴に自信があれば、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
会計事務所
会計事務所といっても、大手から零細規模まで幅広い規模の事務所があります。
また、ニーズの多様化により求められるスキルは高度化、複雑化しています。
監査法人では経験できない会計コンサルティングとしての役割を経験できるため、将来的に独立を視野に入れている場合には貴重な経験ができるでしょう。
監査法人で培ったスキルを活かせるという意味では転職難易度は低いかもしれませんが、事務所の規模に応じて求められるニーズは異なってきます。
独立開業
いきなり独立開業してしまうのも一つの選択肢。
ただし、戦略なしに資格だけを武器として独立開業することはかなりリスクが大きいので注意が必要です。
監査法人にいるメリットを活かし、 将来の独立開業を視野に入れて人脈や資金を蓄えておき、そこで得た人脈や資金を活用して独立開業することがリスクを抑えたやり方になるでしょう。
3.監査法人の転職市場について
ここまで、転職に必要な準備や監査法人からの具体的な転職先などについて解説してきました。
では、監査法人の転職市場全体はどのようになっているのでしょうか。
ここからは、監査法人の転職市場についてチェックしていきます。
これまでの監査法人の転職市場
監査法人の採用人数は2007年にピークを迎え、その後2016年まで減少を続けています。
また、公認会計士の合格者も2007年には4,000人を超えていましたが、2018年には約1,200人程度と減少しています(参考:ジャスネットキャリア)。
監査業務の厳格化や会計処理の複雑化などにより 公認会計士の人材が多く求められる中、合格者が少ないため、売手市場が続いています。
今後の監査法人の転職市場
監査法人に限らず、今後の労働市場を見据える上では、AIの台頭や業務の自動化などが進むことで単純な作業はどんどん減っていくことになるでしょう。
そのため、監査法人などの会計業界においても、単純な記帳しかできない人材はあまり必要とされません。
今後は 専門家としての知識を備えつつ、AIなどに代替されない高度なスキル(対人スキルや課題を仮定するスキル)が求められていくでしょう。
4.監査法人から転職する際に活用したい転職サービス
転職には、転職に特化したサービスや転職のプロが存在します。
忙しい監査業務をこなしながら転職活動を1人で進めることは、あまり効率的とはいえません。
そこで活用して欲しい以下のサービスをご紹介します。
- 転職エージェント
- 転職サイト
以下では、おすすめの転職エージェントと転職サイトについてご紹介していきます。
転職エージェントの特徴
転職エージェントは、プロによるあなただけの転職支援をマンツーマンで実施してくれるサービスです。
カウンセリングなども実施しつつ、あなたにピッタリの求人情報を紹介してれます。
無料で登録できるので、転職時には有効に活用すると効率よく転職活動を進められるでしょう。
たくさんの求人情報をチェックしたいなら「マイナビエージェント」
(引用:マイナビエージェント)
マイナビエージェントは、国内トップクラスの転職支援実績を誇る「マイナビ」が提供するエージェントサービス。
大手監査法人や税理士法人、会計事務所などの求人情報を多数取り扱っています。
「コンサルタント/監査法人/士業関連」の求人数は、公開求人・非公開求人あわせて2,000件以上にのぼります(2019年10月時点)。
監査法人から転職する場合、様々な求人情報を提供してくれるでしょう。
運営会社 | 株式会社マイナビ |
---|---|
公開求人数 | 約22,500件 (2021年2月時点) |
非公開求人数 |
約14,800件 (2021年2月時点) |
対応地域 | 全国+海外 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://mynavi-agent.jp/ |
詳しい解説は以下を確認してください。 「登録前に確認!マイナビエージェントの悪い評判と利用前の全注意点」 |
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転職サイトの特徴
転職サイトは転職エージェントとは違い、様々な求人サイトの中から自分で検索、閲覧し、比較検討したうえで応募することとなります。
今すぐ手軽に転職活動を始めるなら、転職サイトが向いているといえます。
キャリアアップ・年収アップを狙うなら「ビズリーチ」
(引用:ビズリーチ)
ビズリーチでは、ヘッドハンティング型の転職サービスを提供しています。
優秀なヘッドハンターが在籍しており、求職者がスカウトを受け取る『受け身の体制』で転職を進めることができます。
また、スカウトを待つだけでなく、自ら求人を探すことも可能。
公認会計士向けの求人数を多く扱っており、監査法人で培った経験を活かせる求人情報も多数扱っています。
「財務・会計コンサルタント」の求人は、2,000件以上(2019年10月時点)。
高年収の求人も充実しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
運営会社 | 株式会社ビズリーチ |
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公開求人数 | 約48,200件 (2021年2月時点) |
非公開求人数 |
非公開 |
対応地域 | 全国+海外 |
料金 | 登録無料(一部有料3,278円〜5,478円) |
公式サイト | https://www.bizreach.jp/ |
詳しい解説は以下を確認してください。 「ビズリーチって実際どう?気になる悪い評判と注意点を解説」 |
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まとめ
監査法人からの転職を検討するうえでのポイントは以下のとおりです。
<監査法人からの転職で重要なポイント>
- 転職する理由を明確にしキャリアの棚卸しを行う
- 会計士資格を活かした自分の将来像に合った転職先を検討する
- 会計士の転職市場は売手市場が続いているが、自分の強みを持つことが大事
- 転職する際は転職エージェントや転職サイトを有効に活用す
転職は人生において大きな決断とリスクを伴うものです。
転職活動を行う際には、 しっかりとした準備と目的が非常に大事です。
また、監査法人から転職したい場合は、手厚い転職サポートを受けられる以下のようなサービスを利用しましょう。
<監査法人からの転職におすすめのサービス>
- たくさんの求人情報をチェックしたいならマイナビエージェント
- キャリアアップ・年収アップを狙うならビズリーチ
今回は、監査法人からの転職という視点でご紹介してきました。
転職活動をしようか迷っている、または、転職すべきかどうか迷っているのであれば、一度しっかり目的と手段を振り返ってみてください。
転職以外にも解決できる手段が見つかるかもしれません。