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地域医療に貢献できることに加え、薬剤師としてのスキルアップにもつながる「かかりつけ薬剤師」。
高齢化が進む現代社会では、かかりつけ薬剤師の活躍が求められています。
かかりつけ薬剤師にチャレンジしたいという方は増えていますが、「デメリットもあるのでは？」と不安に感じますよね。
実際に「かかりつけ薬剤師には24時間対応が必要「トラブル対応が大変」などのデメリットがあるので、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
そこで本記事では、かかりつけ薬剤師のデメリットや向いている人などについて解説します。
本記事を読めば、「かかりつけ薬剤師」を目指すべきかどうか決断できるはずですよ。
１．かかりつけ薬剤師とは？
「かかりつけ薬剤師」という言葉は聞いたことがあるものの、実際にどのような薬剤師かわからないという方もいますよね。
かかりつけ薬剤師は、一人の患者の薬管理を継続して行う薬剤師であり、かかりつけ薬剤師になるには、規定の要件を満たす必要があります。
ここでは、かかりつけ薬剤師の役割や要件などについてご紹介します。
一人の患者の薬管理を継続して行う薬剤師のこと
かかりつけ薬剤師とは、患者から指名を受け、患者一人ひとりの薬管理を継続して行う薬剤師のこと。
かかりつけ薬剤師が患者の薬を一元管理することにより、薬の重複投与や飲み合わせ、服薬状況をしっかりと確認できます。
また、「副作用の確認をすること」「正しい情報を伝えて、患者が服薬中断しないよう促すこと」もかかりつけ薬剤師の役割です。
高齢化が進み、医療費の削減が重要視されている日本においては、今後かかりつけ薬剤師のニーズが高まっていくと考えられています。
（参考：かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書｜厚生労働省）
かかりつけ薬剤師の要件
かかりつけ薬剤師になるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があること
- かかりつけ薬剤師指導料を算定する薬局に週32時間以上勤務かつ1年以上在籍していること
※2018年9月末までは「半年以上」在籍で可- 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得していること
- 医療にかかわる地域活動の取り組みに参画していること
かかりつけ薬剤師になるためには、複数の要件を満たす必要があるので、すぐにかかりつけ薬剤師になることはできません。
「これからかかりつけ薬剤師になりたい」と考えているのであれば、計画性を持って準備をする必要があります。
詳しくは、記事後半の「５．かかりつけ薬剤師を目指す具体的な方法」で解説しているので、参考にしてみてください。
かかりつけ薬剤師のメリット
かかりつけ薬剤師になると、患者側・薬局側・薬剤師側それぞれにメリットがあります。
以下にかかりつけ薬剤師のメリットをまとめたので、チェックしてみてください。
| 患者側のメリット |
|
|---|---|
| 薬局側のメリット |
|
| 薬剤師側のメリット |
|
患者側は薬に関する総合的なサポートを受けられること、薬局側は売上アップにつながるなどがメリットとしてあります。
患者側・薬局側それぞれにメリットがあるため、かかりつけ薬剤師の育成に力を入れている薬局も多いです。
また、薬剤師がかかりつけ薬剤師になるメリットについて詳しくは、記事中盤の「４．デメリットだけではない！かかりつけ薬剤師の3つのメリット」でご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
２．かかりつけ薬剤師のデメリット
「かかりつけ薬剤師に興味があるけれど、デメリットもあるのでは？」と不安に感じる方もいらっしゃいますよね。
実際に、かかりつけ薬剤師にはいくつかのデメリットがあります。
かかりつけ薬剤師になって後悔しないためにも、あらかじめ以下のデメリットを把握しておきましょう。
デメリット１．プライベートが犠牲になりやすい
かかりつけ薬剤師になると、勤務時間外の対応が発生し、プライベートが犠牲になりやすいです。
かかりつけ薬剤師は、特定の患者の専属薬剤師となり、連絡があった場合、原則として24時間対応しなければならないためです。
薬局によっては、当番制としているケースもありますが、基本的には1人で特定の患者を対応します。
そのため「緊急性が低い相談がひっきりなしにくる」「プライベートも患者の対応に追われて休む時間がない」と、困るケースも少なくありません。
かかりつけ薬剤師は24時間対応を求められるので、ある程度プライベートが犠牲になることを覚悟しておく必要があるでしょう。
デメリット２．ノルマが課せられることもある
薬局によっては、かかりつけ薬剤師にノルマが課せられているところもあります。
かかりつけ薬剤師は、会社の売り上げアップにつながるので、ノルマ制にして確実に売り上げを上げようとする薬局があるのです。
たとえば、「かかりつけ薬剤師の同意書を100件取る」といったノルマが課せられ、負担に感じる薬剤師も少なくありません。
しかし、ノルマを達成することを目的として、無理にかかりつけ薬剤師になったとしても、十分に役割を果たすことはできません。
患者から信頼されて指名を受け、はじめてかかりつけ薬剤師になるというのが本来の姿です。
かかりつけ薬剤師になる際は、経営者側の考えやノルマの有無についても把握しておく必要があるでしょう。
デメリット３．患者への責任が重い
かかりつけ薬剤師になると、関係が密になる分、責任が重くなります。
一人の患者の専属薬剤師となり、薬管理を継続して行う際、患者の健康状態に関わる責任ある業務が発生するためです。
具体的には、「患者の服薬情報の把握」「重複投与や相互作用の確認」「医療機関への情報提供」などの業務が発生し、患者の薬物治療に深く関与することとなります。
かかりつけ薬剤師になることで、責任が大きくなり負担に感じる薬剤師は少なくないでしょう。
デメリット４．通常より接客に時間がかかってしまう
かかりつけ薬剤師になると、通常よりも接客に時間がかかり、負担に感じる薬剤師が多いです。
かかりつけ薬剤師は、残薬調整や自宅での薬の管理など、細かい部分にまで関与する必要があるため、どうしても接客に時間がかかります。
「残薬調整する際、残数を数えるのに莫大な時間がかかった」「自宅での内服状況を把握するための面談に時間がかかった」など、接客に負担を感じるケースも少なくありません。
また、接客に時間がかかる分、その他の業務がたまってしまうこともあるようです。
かかりつけ薬剤師になる際は、業務や接客の負担が大きくなる可能性についても、考慮しておいたほうが良いでしょう。
３．デメリットだけではない！かかりつけ薬剤師の3つのメリット
これまで、かかりつけ薬剤師のデメリットを中心に紹介してきましたが、かかりつけ薬剤師には他にはないメリットも存在します。
かかりつけ薬剤師になることを視野に入れているのであれば、デメリット・メリット両方を把握した上で「自分に向いているのか」判断しましょう。
ここでは、「かかりつけ薬剤師のメリット」をご紹介します。
メリット１．キャリアアップにつながる
かかりつけ薬剤師になることは、キャリアアップにつながります。
かかりつけ薬剤師には、定められた要件がありますが、それをクリアすることが、薬剤師としてのスキルアップ・実績となるのです。
さらに、かかりつけ薬剤師になると、会社の売り上げアップにもつながるので、評価が高くなります。
「かかりつけ薬剤師としての実績が評価され、昇給・昇格した」というケースもあります。
キャリアアップしたい方は、かかりつけ薬剤師を目指すこともひとつの手段といえるでしょう。
メリット２．異動の可能性が低い
かかりつけ薬剤師は、異動の可能性が低いポジションです。
これは、かかりつけ薬剤師に「同じ薬局に週32時間以上勤務かつ1年以上在籍していること」という要件があるため。（参考：薬剤師の転職実態調査－VOL4.かかりつけ薬剤師編｜薬キャリ）
異動があると、かかりつけ薬剤師としての要件を満たせなくなってしまったり、受け持ち患者の引継ぎが発生するため、その他の薬剤師よりも異動の可能性が低いのです。
実際に、「全国転勤のある調剤薬局に勤めているが、かかりつけ薬剤師として地元でずっと勤務できている」というケースもあります。
子育て中の方や、地元を離れたくない方にとって「異動や転勤の可能性が少ないこと」は大きなメリットといえるでしょう。
メリット３．収入アップの可能性が高い
かかりつけ薬剤師は、収入アップの可能性が高いです。
薬局側としては、かかりつけ薬剤師が増えると「かかりつけ薬剤師指導料」を算定できるので、売り上げアップにつながります。
そのため、その他の薬剤師よりかかりつけ薬剤師の給与を高く設定している薬局も多いのです。
▼かかりつけ薬剤師の求人例
（引用：かかりつけ薬剤師の求人検索結果｜ファルマスタッフ|2020年11月27日時点
※求人情報を一部抜粋）
▼一般薬剤師の求人例
（引用：調剤薬局/正社員の求人検索結果｜ファルマスタッフ|2020年11月27日時点
※求人情報を一部抜粋）
収入アップを狙う場合は、かかりつけ薬剤師になることも視野に入れてみてはいかがでしょうか？
かかりつけ薬剤師指導料とは？
「かかりつけ薬剤師」が、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる指導料のことを指します。
メリット４．患者対応への意識が高まる
かかりつけ薬剤師になると、患者対応への意識が高まり、業務へのモチベーションがアップすることが多いです。
患者の専属薬剤師として、服用薬剤の飲み合わせや自宅での薬の管理をサポートする責任を感じ、意識が高まるためです。
「患者の内服状況をコミュニケーションの中で知ろうとするようになった」「複数の医療機関からの処方薬を丁寧にチェックするようになった」と患者対応に関する意識の変化を感じる薬剤師は多くいます。
患者対応への意識が高まることは、薬剤師としての成長にもつながります。
薬剤師として今より成長したいのであれば、かかりつけ薬剤師を目指すこともおすすめですよ。
４．かかりつけ薬剤師に向いているのはこんな人
ここまで、かかりつけ薬剤師のメリット・デメリットを説明しました。
一長一短があるので「かかりつけ薬剤師になるべきか迷ってしまう」という方も多いでしょう。
そこで、ここではメリット・デメリットを踏まえた上で、どのような人がかかりつけ薬剤師に向いているのかまとめました。
| 向いている人 |
|
|---|---|
| 向いていない人 |
|
やりがいが大きい「かかりつけ薬剤師」ですが、業務に関しては負担が大きくなる可能性が高いです。
場合によっては、プライベートを犠牲にしなければならない場面もあるので「プライベートと仕事をしっかり区別したい」という方には、あまりおすすめできません。
だだ、かかりつけ薬剤師になることで、仕事への意識が向上したり、年収アップの可能性があることは事実。
「薬剤師としてステップアップしたい」と感じている方は、ぜひかかりつけ薬剤師を目指してみてはいかがでしょうか？
５．かかりつけ薬剤師を目指す具体的な方法
記事をご覧の方のなかには、「かかりつけ薬剤師になろう」という思いが強くなった方もいらっしゃるでしょう。
では、かかりつけ薬剤師になるにはどうすれば良いのでしょうか？
結論からお伝えすると、かかりつけ薬剤師になるには以下の要件を満たしている必要があります。
- 保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があること
- かかりつけ薬剤師指導料を算定する薬局に週32時間以上勤務かつ1年以上在籍していること
※2018年9月末までは「半年以上」在籍で可- 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得していること
- 医療にかかわる地域活動の取り組みに参画していること
かかりつけ薬剤師になるためには、実務経験や地域活動への参加が必須。
ここからは、かかりつけ薬剤師になるための要件についてさらに詳しく解説していきます。
研修認定薬剤師の認定を取得する
かかりつけ薬剤師になるためには、研修認定薬剤師の認定を取得する必要があります。
「研修認定薬剤師」とは、研修実績を元に、薬剤師が自己研鑽していることを証明する資格のこと。
| 認定条件 | 研修会や学会などで所定の単位（新規申請40単位、更新申請30単位）を取得する ※研修会や学会への参加が難しい場合は、インターネットを利用したe-ラーニングを利用することも可能 |
|---|---|
| 費用 | 10,000円程度 |
研修認定薬剤師になることで、かかりつけ薬剤師として業務を行う際に役立つ疾患や新薬の知識など、必要な知識を習得できます。
かかりつけ薬剤師を目指すのであれば、早めに「研修認定薬剤師」の認定を取得する計画を立てましょう。
医療関連の地域活動・取り組みに参加する
医療関連の地域活動へ参加することも、かかりつけ薬剤師の要件です。
かかりつけ薬剤師の主な役割は、地域医療に貢献することであるため、地域との積極的な交流が求められるのです。
地域活動の例としては「地域行政が主催する講演会」「子どもへの薬の適性使用を教育する講義」などがあげられます。
大手薬局などでは、地域活動に力を入れているケースも多いです。
地域への理解を深めるためにも、ぜひ積極的に地域活動に参加してみてください。
かかりつけ薬剤師を推奨している調剤薬局へ転職する
スムーズにかかりつけ薬剤師になりたいのであれば、かかりつけ薬剤師を推奨している調剤薬局へ転職するのがおすすめです。
かかりつけ薬剤師になるには、複数の要件があるので、会社の協力が必要になるのです。
また、かかりつけ薬剤師として活躍できるよう、研修やフォローを行ってくれる調剤薬局もあります。
「疾患や治療薬についての研修があり役立った」「地域活動への参加をフォローしてくれた」など、サポートが充実していると非常に助かります。
なお、現職がかかりつけ薬剤師の育成に積極的ではない場合は、転職も視野に入れると良いでしょう。
６．かかりつけ薬剤師の求人探しにおすすめの転職サイト
現職がかかりつけ薬剤師の推進に積極的ではなく、かかりつけ薬剤師になる要件を満たすのが難しい場合、転職を検討することも手段。
かかりつけ薬剤師になれる求人を見つけるためには、「薬剤師に特化した転職サイト」を活用することをおすすめします。
転職サイトを利用すれば、募集要項だけでは分からない内部の事情をキャッチすることが可能。
かかりつけ薬剤師をフォローしてくれる体制が整った求人を効率的に見つけられますよ。
ここでは、おすすめの転職サイトを3社ご紹介しますので、ぜひ活用してみてください。
本記事で紹介する3社は「薬剤師転職サイトおすすめランキング！職場別・雇用形態別」から、さらに厳選した転職サイトです。
そのほかの転職サイトもチェックしたい方は、ぜひ上記の記事もご覧になってみてください。
有資格者にスキルアップを相談したいなら「ファルマスタッフ」
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まとめ
かかりつけ薬剤師のデメリットや、かかりつけ薬剤師になる方法などについて解説しました。
「かかりつけ薬剤師として働きたい」と考えているのであれば、以下のデメリットをしっかりと意識し「自分に向いているのか」判断しましょう。
- 患者との関係が密になり負担を感じやすい
- プライベートが犠牲になりやすい
- ノルマが課せられることもある
- 患者への責任が重い
- 通常より接客に時間がかかってしまう
また、かかりつけ薬剤師になれる求人を見つけるためには、求人紹介等のサポートを受けられる「薬剤師専門の転職サイト」の利用がおすすめです。
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