最終更新日:2020/06/09
「衒い」は「てらい」と読み、「 ことさらに才能や知識をひけらかす。実際以上によく見せかける」という意味があります。
「衒いのない性格」など、相手の性格を指すときに使われます。
この記事では、「衒い」の意味や使い方から、さらには「衒い」の類義語や英語表現について、徹底解説します!
1.「衒い」の意味とは?
ことさらに才能や知識をひけらかす。実際以上によく見せかける。
衒い
読み方:てらい
- ことさらに才能や知識をひけらかす。実際以上によく見せかける。
- 誇る。みせびらか。
本来こちらは「衒う」という動詞がもつ意味になります。
ですが、「衒う」という動詞が「動詞の活用」により「衒い」に変化しているだけなので、 「衒い」でも意味自体に変わりはありません。
2.「衒い」の使い方・例文
自分の実力以上に見せる時に使用する
「衒い」の使い方としては、下記のような表現があります。
- 「魅力のある性格を衒い、人から笑われる」
- 「正義を衒いすぎ、周囲に嫌がられる」
このように、自分の実力以上に見せる時に「衒い」はよく使われます。
「衒い」の例文
「衒い」の使い方がわかってきたところで、さらに「衒い」の例文を見ていきましょう。
<例文>
- 衒いなく愛と平和を歌う。
- 何の気負いも衒いもなく演説を始めた。
- 衒いなくストレートな言葉をかけられる。
- 衒いのない言葉が綴られた日記を発見した。
「衒い」は、「実際以上によく見せかける」という意味だから、悪い意味で使われることが多いと思われたかもしれません。
しかし、例文のように「衒いのない」という表現にすることで、 「謙虚な」「素直な」というポジティブな意味合いでも使うことができるんです。
ここからは、「衒いのない」という表現について、さらに詳しく見て行きましょう。
「衒いのない」とは?
「衒い」が最も使われる文章としては「衒いのない性格」「衒いない笑顔」などの「衒いのない○○」です。
「衒いのない」は「才能や知識をひけらかさない」という否定になり、 「謙虚な」「素直な」「偉ぶっていない」「飾り気のない」などと言った言葉と置き換えることができます。
「衒いのない性格」「衒いない笑顔」を別の言葉に置き換えると下記のようになります。
- 衒いのない性格 ⇒ 謙虚で素直な性格
- 衒いのない笑顔 ⇒ 飾り気のない笑顔
「衒いなく行動する」もよく使われますが、こちらも「〜なく」という否定が入っているので、前述したように「偉そうにせず行動する」などと置き換えることができるのです。
3.「衒い」と「外連(けれん)」との違いは?
内面に対してか、外面に対してかが違う
ここからは、「衒い」と「外連」との違いを見ていきましょう。
「衒い」と「外連」は似た意味を持っている為、使い方が間違われやすい単語です。
「外連」は「けれん」と読み、「 見た目本位の奇抜さを狙った演出」という意味があります。
違いを理解する為に、「衒い」と「外連」の2つを比較していきましょう。
衒い | ①ことさらに才能や知識をひけらかす。実際以上によく見せかける。 ②誇る。みせびらかす |
外連 | ①見た目本位の奇抜さを狙った演出 ②ごまかし、はったり |
「衒い」は、才能や知識など 「内面」に対して、はったりをかましたり、見せびらかしたりする様子を指します。
反対に「外連」は、見た目本位という通り 「外面」に対してはったりをかましたり、演出したりする様子を指します。
例えば「あの人ははったりばかりだ」という文章を、「衒い」または「外連」に置き換える場合、それが「内面」か「外面」のどちらに語らているかで変わってきます。
才能や知識などに見せびらかしている場合、「あの人は衒いばかりだ」になり、見た目を取り繕っている場合、「あの人は外連ばかりだ」になります。
どちらにしろ、実を伴わず、ごまかしやはったりで使う言葉なので、あまり使いたくない言葉です。
4.「衒い」の類義語
次は「衒い」とほぼ同じ意味を持つ類義語についてみていきましょう。
「衒い」と使っても、伝わらない可能性がある為、他の言い方を知っておくと便利です。
「衒い」の類義語には以下のようなものがあります。
- 見栄張り(みえはり)
- 見識張る(けんしきばる)
- 自己顕示(じこけんじ)
- 鼻に掛ける(はなにかける)
- 器量自慢(きりょうじまん)
「衒い」はあまり使わずとも、類義語はよく見る表現も多いですね。
順番に解説していきます。
4ー1.見栄張り
「見栄張り」には、「 自分をよく見せようとして飾る様子」という意味があります。
「衒い」よりも、日常的に使われる言葉ですね。
<例文>
夫は見栄っ張りで、飲みに行くと周囲に奢り出す。
4ー2.見識張る(けんしきばる)
「見識張る」には、「 いかにも見識があるように振る舞う、気くらいの高い態度をとる様」という意味があります。
「見識」とは、「すぐれた考え・意見」を指すので「そんなに優れた考えがないのに、あるように振る舞う様」というわけですね。
<例文>
彼はワインに対して見識張るが、ワインを飲まない私には正しいのかもわからない。
4ー3.自己顕示
「自己顕示」には、「 自分の存在を必要以上に他人に目立つようにすること」という意味があります。
「自己顕示欲が強い」という表現で多く使われ、あまり良い意味では使われていません。
<例文>
彼女はかなり自己顕示が強く、いつも部長に意見を言っている。
4ー4.鼻に掛ける
「鼻に掛ける」には、「 自慢する、得意がる」という意味があります。
この言葉は、中国人が初めて西洋人を見た時に、その鼻の高さに驚き、また西洋人が傲慢で威張っていることから、「鼻が高い人種」=「威張り、傲慢」という所から生まれました。
<例文>
あいつは成績が良いのを鼻に掛ける。
4ー5.器量自慢(きりょうじまん)
「器量自慢」には、「 才能を自ら誇ること」という意味があります。
「器量」が良いことはめでたいことですが、それを「自慢」するために、嫌味や悪い表現になるのです。
<例文>
器量自慢ばかりされてうんざりだ。
5.「衒い」の英語表記
「衒い」は英語で「pretension」
「pretension」は、「てらい、仰々しさ、気取り」という意味を持ち、日本語の「衒い」そのままの意味です。
しかしながら、やや形式ばった表現であり、日常的にはあまり使われることのない言葉と言えるでしょう。
「見せびらかす、よく見せる」という意味の「show off」
「show off」は、「見せびらかす、よく見せる」という意味の動詞として使われ、「衒い」の「ひけらかす」というニュアンスを含んでいます。
日常的にもビジネスシーンでも使える便利な表現です。
<例文>
- I think she just simply wants to show off about it.
(彼女は単純にそれをひけらかしたいのだと思います。)
- He often shows off his knowledge.
(彼はよく知識をひけらかしている。)
「衒いのない」は「modest(謙虚な)」「unaffected(気取らない)」で置き換える
「衒いのない」という表現を英語で表したい場合は、「謙虚な」「気取らない」といった意味をもつ言葉に置き換えましょう。
以下の例文を参考にしてくださいね。
<例文>
- He is a modest young man.
(彼は衒いのない青年だ。)
- We like him very much as he is simple and unaffected.
(私達は彼の衒いのないところがとても気に入っている。)
まとめ
「衒い」は「ことさらに才能や知識をひけらかす。実際以上によく見せかける」という意味です。
だから、「衒いのない性格」と言われたことがある人は、一瞬「悪口?」と思ったかもしれません。
しかし、「衒いのない性格ね」と言われたら「気取ってない性格ね」ということになるので、褒められていると言って良いでしょう。
そのまま「衒い」なく、人生を過ごしてくださいね。