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「拘泥」は、「こうでい」と読み、「必要以上にこだわり、周りが見えなくなること」を意味します。
「拘泥」は聞きなれない言葉ですね。しかし、ビジネスの場などあらたまった状況で使いこなせれば、相手に賢い印象を与えられるでしょう。
そこで今回は、「拘泥」の意味や使い方をわかりやすく解説します。完璧に理解して、使いこなせるようになりましょう。
1.「拘泥」の読み方と意味
まず「拘泥」の読み方と意味を説明します。
拘泥
読み:こうでい
意味:必要以上に気にして、とらわれること。こだわること。
「拘泥」は「こうでい」と読みます。「くでい」は誤りなので注意しましょう。
「拘泥」は、「必要以上に気にして、こだわること」を言います。特に「小さいことに必要以上にこだわり、融通が利かない」といった様子を指すことも多いです。
1-1.「拘泥」の語源
「拘泥」の「拘」「泥」と言う字には両方とも「1つのことにとらわれる」と言う意味があります。
「拘」は、「とらえる、かかわる」と読みます。「拘る」と書いて「こだわる」とよむため、「一つのことにとらわれる」ことを意味するのです。
「泥」も「どろ」と読みますが、実はもう一つ「なずむ」という読み方があるのです。
「なずむ」には「物事がとどこおる」と言う意味を始めとして、「そのことに心をとらわれる」「執着する」と言う意味を持っています。
要するに、「拘泥」は同じ意味の言葉を重ねて意味を強調した言葉です。
2.「拘泥」の使い方
「拘泥」の意味と成り立ちがこれで分かりましたね。
さて、「拘泥」はどのようにして使うのでしょうか?
2-1.前提:「拘泥」は誉め言葉では使わない
まず前提として、「拘泥」は「こだわりすぎてよくない」というネガティブなニュアンスのみで用います。
よって、「こだわる」と同じ感覚で使ってしまっては失礼にあたります。
褒め言葉として「品質に拘泥した一品」「拘泥が感じられる」のように使うのは誤りです。
2-2.「拘泥」の使い方
「拘泥」は「拘泥する」のように、主に動詞形で「こだわる」という意味で用います。
「拘泥しない」「拘泥せず」のように否定形で使うことで、「こだわらない」という意味としても用います。
「拘泥」はビジネスシーンやビジネス文書用いるとスマートな印象を与え、好感が持てます。反面、硬い言葉のため会話では耳にしません。
「拘泥する」以外には「拘泥る(こだわ-る)」のようにも用います。
「こだわる」「拘る(こだわ-る)」とも読みは同じです。よって、「拘泥る」と書いた場合には「拘泥」と同じように「こだわり過ぎてよくない」という意味になります。
加えて、名詞形で「拘泥」のようにも用います。「こだわること」のように動作自体を意味する言葉です。
ただし、「拘泥る」や名詞形での「拘泥」は、ビジネスシーンや日常会話ではめったに用いられないと言っていいでしょう。夏目漱石など昔の文学で用いられるぐらいです。
3.「拘泥」の例文
「拘泥」は「こだわり過ぎてよくない」を意味する言葉で、「拘泥する」のように主に動詞形で用いることは分かりました。
ここでは、「拘泥」の実際の使い方を例文で見ていきます。
3-1.「拘泥する」の例文
最初は、「拘泥する」のように動詞形で用いた場合の例文です。
- 今の彼らは強さに拘泥している。
- 君は成績に拘泥しすぎている。もっと先輩後輩と会話を広げるべきだ。
- 過去に拘泥しており、未来を変えようとしなかった。
- 一つの意見に拘泥して、他の意見に耳を貸さない。
- 小さなことに拘泥するのはよくないよ。
このように、「拘泥」は「何か一つのことにこだわって、周りが見えなくなる」と言う意味で用いられます。
3-2.「拘泥しない」の例文
次に、「拘泥しない」のように否定形で用いた場合の例文です。
- 彼は拘泥しない性格で、あの事件の後もいつも通りの態度で振舞っていた。
- 形式に拘泥しない自由な作風が特徴だ。
- 過去に拘泥せず、前を向きましょうよ。
- 彼の不正を皆が批判する中、私は拘泥せず仕事の続きをする。
- 誰だって失敗はしますから、拘泥しないようにしましょう。
これらの例文では、「物事にとらわれない」というプラスなニュアンスとしても用いられます。
「拘泥」はプラスなニュアンスを持ちません。だからこそ、ポジティブなニュアンスが強まるのです。
3-3.「拘泥る」「拘泥(名詞)」の例文
最後に、名詞形での「拘泥」と「拘泥る」の例文を見ていきます。
- 私の態度にまるで拘泥る様子を見せなかった。
- 面子だの立場だの、つまらないことに拘泥る。
- 逃した好機に拘泥る姿勢。
- なぜそれに拘泥るのか気になるが、本人に聞かないと分からない。
- 拘泥の念を抱く。
ここでは「こだわる」として使っていましたが、「拘泥る」を使う場面はなかなか見かけません。普通に「こだわる」を使ったほうが意味は通じるでしょう。
名詞形で「拘泥」を使うなら「拘泥の念」のように用います。
しかし、言葉遣いとしては余りに堅く、日常会話はもちろんビジネスシーンでも見かけない言葉です。使い道は公的機関が発表するスピーチや文書に限定されます。
4.「拘泥」の類語
「拘泥」には、「執着」「執心」「固執」など、多くの類語があります。
「拘泥」に比べれば聞きなれた言葉ばかりです。しかし、これらの言葉の意味はは微妙に異なっています。
意味の異なる類語を使いこなせれば、あなたの会話には知性を感じさせるものになります。
「拘泥」の類語一覧
どの類語も、ほぼ頭に「固」があることから、「意見を聞かない」「周りを顧みない」というニュアンスが伝わってきますね。
また、どの類語も堅いニュアンスのため、ビジネスなどあらたまった場で用いるのが適切です。
反面、会話では「こだわる」「とらわれる」を使う方が無難だと言えるでしょう。
では、類語の使い分けを、一つづつ見ていきましょう。
執着:プラスなニュアンスでも用いる以外は変わらない
「拘泥」の類義語として、「執着」は代表的です。では、「拘泥」との違いは何でしょうか?
- 拘泥:「こだわりを持ってやり抜く」と言ういい意味で使うのは誤り
- 執着:「こだわりを持ってやり抜く」と言ういい意味で使うこともまれにある
「執着」は「心がとらわれること」全般を指しています。
基本的にネガティブな表現として用いますが、まれに「こだわり抜いて物事を成し遂げる」というプラスなニュアンスでも用いることがあります。
ただし、基本的には悪いニュアンスで用いる事を覚えておきましょう。
「囚われて、離れられない心」を指して「執着心」のようにも使います。
固い印象があり、主にビジネスシーンやニュース記事などでも用いられる言葉です。
例文で使い方を見ていきましょう。
- 彼女はこの恋に執着しているにちがいない。
- どんなに生に執着しても、いずれ人は死ぬものだ。
- そこまでして課長の座に執着する必要があるのだろうか。
執心:「まだ手にしていないこと」にこだわる
「執心」は、「ある物事に強く心を惹かれること」を指します。
「拘泥」との違いは以下の通りです。
- 拘泥・執着:心を囚われ、周りが見えなくなる
- 執心:心を囚われ、周りが見えなくなる対象が「まだ手に入っていないもの」
「執心」は、「執着」とほぼ同じような意味で用いられます。
「拘泥」「執着」との違いは、「まだ手に入っていないもの」にとらわれることを指すことです。
もしかすると、頭に「ご」をつけた「ご執心」の方がなじみが深いでしょうか。
この場合、「特定の異性などに心惹かれていること」をからかうニュアンスの言葉になります。
例文で使い方を見てみましょう。
- 彼は金儲けに執心している。
- アイツは社長秘書のAにご執心だ。
固執:使い道は自分の考えや役職に限定
「固執」は、「自分の意見を曲げない」という意味になります。
余談ですが、「固執」はかつては「こしゅう」と呼んでいました。しかし、「こしつ」という読みが浸透していたため、正式に「固執」が認められたのです。
「拘泥」との違いは以下の通りです。
- 拘泥・執着:心を囚われ、周りが見えなくなる
- 固執:特に「自分の考えや意見・役職など」に限定した「心を捕らわれ、周りが見えなくなる」
「固執」は「拘泥」「執着」と比べて、地位や役職にしがみつく・過去にとらわれて、心と行動に自由がなくなることというニュアンスが強いです。
「固執」は、一般的には書き言葉で用いられます。
話し言葉より格式ばった丁寧な印象があり、ビジネスシーンで用いれば印象がいいですね。
例文は以下の通りです。
- 彼女は社長秘書の座に固執している。
- 権力に固執した結果が、一族の破滅だ。
- 彼は持論に固執し、扱いづらい。
固着:「同じ場所にとどまり、進歩を止める」ことを指す
「固着」は、本来は「しっかりとくっつくこと」を意味しています。
それが転じて、「行動やエネルギーの対象が同じところに留まり、それ以降の発達が妨げられる」という意味でも使うのです。
「拘泥」との違いは以下の通りです。
- 拘泥:心を囚われ、周りが見えなくなる
- 固着:同じ場所に留まり、進歩が止まる
「拘泥」との違いは、「拘泥」が「心をとらわれる」と言う意味に対して、「 固着」は「変化が止まる」ことに意味が限定されていることです。
「同じ場所にとどまる」と言う意味での「固着」は、心理学でも用いられる言葉です。
用いられる場面はビジネスシーンでも少ないですが、心理問題を取り扱った難しめの論文や記事ではたまに用いられます。
例文で使い方を見てみましょう。
- 接着剤で固着して取れない。
- 代々住んでいる場所に固着する。
かかずらう:「拘泥」と同様に使える
「かかずらう」は、元々は「面倒ごとに関わり合いになって、離れられなくなる」ことを言います。
「かかずらう」と「拘泥」には意味の違いはなく、ほぼ同じように用いることができます。
一見簡単そうにも見えますが、会話では用いられていません。使いどころはニュース記事などあらたまった場に限定されているでしょう。
例文で使い方を見てみましょう。
- いつまでもつまらないことにかかずらう奴だ。
- 名目にかかずらわないことだな。
- 小さいことにかかずらわって大局を逃す。
5.「拘泥」の対義語
「拘泥」の理解を深めるために、対義語にも触れておきましょう。
「拘泥」の対義語には、「没却」があります。
ここでは、「拘泥」の対義語「没却」を紹介します。
5-1.「没却」:「忘れ去る」と言う意味の仏教用語
「没却」の意味は以下の通りです。
没却
読み:ぼっきゃく・もっきゃく
意味:すっかり忘れ去って、無視してしまうこと。念頭に置かないこと。
「没却」は元々、仏教で用いられる用語です。意味は「考えや関心などを忘れ去り、無視してしまうこと」をいいます。
「頑なにこだわり、周りを顧みない」という意味の「拘泥」とは正反対の言葉だと言っていいでしょう。
ただし、「没却」は会話でもビジネスシーンでも用いられません。
必要以上にこだわり、周りが見えていない人や組織などに対して、「没却した方がいいよ」「没却すべきである」と言うのは違和感があります。
加えて、必要以上のこだわりを持たない人に対して「拘泥しない、没却した人だ」という言葉は誉め言葉としてもおかしいでしょう。
例文は以下の通りです。
- 自己を没却する
- 趣味を没却する
- 没却して省みない
6.「拘泥」の英語表現
最後は「拘泥」の英語表現を見ていきましょう。
「拘泥」は英語では以下のように表現します。
- Stick〈to〉
意味:こだわる・粘着する
- be a stickler 〈for〉
意味:拘泥する
- be wedded 〈to〉
意味:執着して・傾倒して・没頭して
- 【格式張った表現】adhere〈to〉
意味:固着する・こびりつく・拘泥する
- Keep〈to〉
意味:~から離れない、~を固く守る
「拘泥する」の英語表現には、「stick to」「be a stickler for」が適切です。
「stick to」には「しっかりと貼りつく」と言う意味が転じて「こだわる」「拘泥する」と言う意味になります。ただし、プラスな意味も含めるので、意味は「こだわる」に近いでしょう。
「stickler」は「~にうるさい」と言う意味があります。それが転じることで「~に拘泥する」と言う意味になるのです。
プラスなニュアンスはほぼなく、「拘泥」に近い意味で用いることができますね。
少し格式ばった表現ですが、「adhere to~」も「拘泥する」を意味します。名詞形で「adherence」と表現することも可能です。
ただし、プラスなニュアンスも含めるためやはり「こだわる」にも近いです。
さらに、執着・傾倒・没頭と言う意味で「be wedded to」も用います。
「keep to」も用いますが、「計画や取り決めに従う」と言う意味合いが強く「拘泥」「執着」ほど重いニュアンスはありません。
- stick to certain routine.
意味:決まったやり方に拘泥する。
- He is a stickler for trivialities.
意味:彼は些細なことに拘泥する。
- adhere to nothing
意味:何事にも拘泥しない(こだわらない)
- He is wedded to his beliefs.
意味:彼は自分の理想に拘泥している。
- keep to the rule.
意味:規則に従う
まとめ
「拘泥」は「こうでい」と読み、「物事に囚われ、周りが見えなくなる」という意味です。
類語は「執着」「執心」「固執」「固着」「かかずらう」など、いずれも日常会話で耳にすることは少なく、主にビジネスなどあらたまった場で用られます。
一見難しい言葉ですが、読んで使いこなせるようになれば表現の幅が広がりますよ。