最終更新日:2020/06/07
「自負(じふ)」とは「 自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思う」気持ちを意味する言葉です。
本記事では「自負」の正しい意味と使い方や、類語や英語表現を紹介しています。
漢字の「負」が使われているとは言え、決して悪い意味の言葉ではないのです。
「自負」の使い方を知ることで、実力に沿った自信や誇りに基づく自己PRが今以上にできるようになりますよ。
1.「自負(じふ)」の意味とは?
意味は、自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思うこと
自負
読み方:じふ
意味:自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思うこと
「自負(じふ)」の意味とは「 自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思うこと」です。
自身が身に付けている経験測による「勘」やスキル、才能や環境など「自身の裏打ちされた誇り」を強調したい時に使います。
「自負」は悪い意味ではない
「自負」には、マイナスの印象がある「負」が使われているので「悪い意味の言葉?」と捉えがちですがそんなことはありません。
「自分の才能や仕事に自信を持つ」と、むしろ「正」の意味合いが強い言葉です。
その「自負」を漢字に分けて更に意味をみてみましょう。
- 「自」:自ら、自分
- 「負」:(唯一無二のものを)背負う、また「頼る、頼む」も含まれる。
この2つの漢字の意味を繋げる「 自分の唯一無二のものを背負う」となります。
多くの場合「自分の唯一無二のもの」は先の「自身の裏打ちされた誇り」とされ、転じて「自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思うこと」の意味に解釈さ今に至るのです。
決して「自負」そのものに悪い意味はありません。
1−2.「自負心」とは「誇りに思う心」
「自負」はよく聞く熟語に「自負心(じふしん)」があります。
この「自負心」とは「自負」の意味そのままに 「自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思う心」を意味する言葉です。
例えば次のような使い方があります。
<例文>
スポーツにおいて絶対に自負心が強い子供に育てたい。
「自負」と「自負心」に大きな意味の違いはありませんが、「自信や誇りを持った心」と表現する時には「自負」に「心」をつけて「自負心」と使いましょう。
2.「自負」の使い方と例文
「自負」は「自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思うこと」を意味があることがわかりましたね。
ここからは使い方についてみていきましょう。
2−1.自信を表す時、アピールするときに「自負」を使う
「自負」の使い方は 「自負しております」「自負があります」「自負の念を抱いております」などと言って使います。
「いる」や「ある」「抱く」と一緒に使うことで、「自分の才能や仕事に自信をもっていますよ・ありますよ」「自信を抱いていますよ!」と伝えることができるのです。
「自負」を使うことで相手に「この点においては誰にも負けない」といった強くてポジティブな印象さえも感じさせます。
直に「自分の才能や仕事に自信を持っている」とは言わずに「自分で言うのも恐縮ですが…」など、何気なく謙虚にアピールできるので、「自負」は便利な使い方ができるのです。
- 自負しております
- 自負がある
- 自負する
- 自負を持つ
- 自負の念を抱く など
自信を表す時や、アピールする時に「自負」は使っていきましょう。
2−2.「自負」の具体的な例文
<例文>
- サークルやクラブでは部長だったこともあり、私はコミュニケーション・スキルにおいては絶対的に自負しております。
(私はコミュニケーション・スキルにおいては絶対的に自信や誇りをもっております) - 「社内ではWebプログラミング・スキルにおいて自負がある」とBさんは言っていた。
(「社内ではWebプログラミング・スキルにおいて自信や誇りがある」とBさんは言っていた。) - 自分自身「営業のプロである」と自負する。
(自分自身「営業のプロである」と、自信をもっている。) - 「この商品には他社の追随を許さない高性能」という自負を持つ。
(「この商品には他社の追随を許さない高性能」という自信と誇りを持っている。) - A主任は「現場管理能力に自負の念を抱いている」と彼自身が言っていたらしい。
(A主任は「現場管理能力に自信と誇りの念を抱いている」と彼自身が言っていたらしい。
このように使うことで「何かに対して自信があること」を端的に伝えることができます。
2-3.「自負しております」は、営業や就活時の自己PRに最適
また「自負しております」の一言だけで、 「傲慢」にならずに自信があり誇りを持っていることを相手に伝えることが可能です。
どれ程に自信があっても「絶対に自信があります!」と主張続けると、どうしてもゴリ押しの印象を相手に持たれてしまいます。
それを「自負しております」に変えるだけで柔らかくて強い印象になり、「傲慢」が薄れ「謙虚」なスタンスをPRすることができるのです。
「自負」は営業や就活の自己PRに最適な言葉になります。
<例文>
私自身、マネージメント・スキルには自負しております。(なので御社の職種に見合った仕事ができます)
このように「○○には自負しております」と使うことで、だから「あなたの会社の○○の役に立てますよ」ということを伝えられます。
営業や就活の際の自己PRに十分使える言葉だということを知っておきましょう。
2−4.「自負」の使い過ぎは、傲慢に思われる可能性があるので注意
「自負」はポジティブで良い言葉で使えることを説明してきましたが、ただ、悪い意味がないからと「自分の実力は自負してます!」と使い過ぎるのは、やめておきましょう。
「自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思うこと」の意味がある「自負」の多用は、 相手によっては「傲慢」と解釈される可能性があります。
人によっては「自信満々で自慢げなやつ」と捉えられることもあるのです。
悪い意味の言葉ではないだけに「自負」の使い方は注意が必要です。
2-5.「手落ちがあったと自負する」は誤用表現
「手落ちがあったと自負する」は、よく使われる表現方法ですが、この表現は実は誤用です。
まずは「手落ち」の意味をみてみましょう。
手落ち
読み:ておち
- 手続きや仕事等で不備や欠点がある
「手落ち」は「手続きや仕事等で不備や欠点がある」というネガティブな意味がある言葉です。
一方の「自負」は「自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思う」というポジティブな意味があります。
つまり「手落ちがあったと自負する」の意味をそのまま別の意味に置き換えると、 「手続きや仕事等で不備や欠点があることに自信を持ち、誇りに思う」となるのです。
仕事をミスしていることに自信があるって、違和感ですよね。
だから、「手落ちがあったと自負する」は「自負」の誤用表現とされているのです。使わないようにしましょう。
3.「自負」の類語表現
ここでは「自負」の以下の5個の類語表現を紹介します。
- 誇り(ほこり)
意味⇒自らそれを名誉とする感情 - 自信(じしん)
意味⇒自身の才能や価値を信ずる - 自慢(じまん)
意味⇒自身のことや関係のあることを、他人に誇る - プライド
意味⇒自尊心 ※誇りと同義 - 優越感(ゆうえつかん)
意味⇒自身が他人より優れているという感情。
それぞれの類語の例文は次の通りです。
<「自負」の類義語を使った例文>
- 誇り(ほこり)
例文 ⇒上司でもあるDさんを誇りに思うのも当たり前だ。
言い換え表現 ⇒上司でもあるDさんを自負するのも当たり前だ。 - 自信(じしん)
例文 ⇒ あの時のイベントの盛況ぶりは自信がついた。
言い換え表現 ⇒ あの時のイベントの盛況ぶりは自負できる。 - 自慢(じまん)
例文 ⇒ 確かにEさんのあの画像加工スキルがあれば自慢できる。
言い換え表現 ⇒ 確かにEさんのあの画像加工スキルがあれば自負できる。 - プライド
例文 ⇒ あのプロジェクト進行についてはプライドしかない。
言い換え表現 ⇒ あのプロジェクト進行については自負しかない。 - 優越感(ゆうえつかん)
例文 ⇒ 他のチームと比べ 締切りを前倒しできたことに優越感を覚える。
言い換え表現 ⇒ 他のチームと比べ 締切りを前倒しできたことを自負する。
いずれの類語も 「誇り」や「自信」について言及していることが特徴です。
また使い方によっては悪い意味にもなる点も「自負」と似ています。
4.「自負」の対義語表現
ここでは「自負」の5個の対義語表現を紹介します。
それぞれの対義語の意味と例文は次の通りです。
<「自負」の対義語とその例文>
- 劣等感を拗らせてコンプレックスへと悪化する。
- Aさん、そこまで自身を卑下する必要があるのかな?
- 言うほど自信がないからつい謙遜してしまう。
- ここまで動いても改善されないとは、自嘲するしかない。
- どれだけ褒めても卑屈になってしまうのは、性分としか言いようがない。
それぞれ「自身がない」「自身を下げる」「控えめに動く」など、 「おとなしい」印象がある意味が多い対義語群です。
また、それこそ「負」の意味を持つ対義語が多いことも特徴的ですね。
4-1.自負自賛(じふじさん)は対義語ではないが「うぬぼれ」を表す言葉
「自負」を使った四字熟語に「自負自賛(じふじさん)」という以下の意味をもった言葉があります。
「自負」の意味の「誇りがある、自身を持っている」のではなく、 逆に意味として「思い込み」が含まれるので、悪い意味に使われることが多い四字熟語なのです。
<例文>
彼の発言は、口を開けば自負自賛ばかりで気分が悪くなる。
5.「自負」の英語表現
最後に「自負」の3個の英語表現を紹介します。
それぞれ説明します。
5-1.take pride in
「take pride in」とは「 誇りに思う」を意味する英語慣用句です。
「pride」は「誇り」を意味し「take 〜 in」は様々な意味がありますが、この場では「〜に思う」を指します。
意味を繋げると「誇りに思う」となり転じて「自負する」と解釈されるのです。
<例文>
I to take pride in something of myself.
意味 ⇒ 自分自身の誇りに自負する。
5-2.feel proud that ~
「feel proud that~」とは「 ~を自負する」を意味する英語慣用句です。
「proud」は「誇らしげ」を意味し、「feel」は「(身体で)感じる」を指します。
「that~」は「その~」を意味し、それぞれの意味を繋げると「その~を誇らしげに感じる」となり、転じて「~を自負する」となるのです。
<例文>
I feel proud that I can work to be with him too.
意味 ⇒ 私も彼と一緒に働くことを自負に思います。
5-3.flatter myself
「flatter myself」とは「 自身を自負する」を意味する英語慣用句です。
「flatter」は「お世辞を言う」など様々な意味がありますが、この場では「得意になる」を指し、「myself」は「自分自身」を意味します。
意味を繋げると「自分自身に得意になる」となり、転じて「自身を自負する」と解釈されるのです。
この慣用句は自己PRをする時に使うと良いでしょう。
<例文>
I flatter myself of communication skills.
意味 ⇒ 私はコミュニケーション能力には自負がある。
まとめ
「自負(じふ)」とは「 自分の才能や仕事に自信を持ち、誇りに思うこと」を意味します。
漢字の「負」が入っているので悪い意味の言葉に解釈しがちですが、実は自己PRに最適な言葉であることを学びました。
自信持って正々堂々と自身の仕事や行動を「自負」できるように、社会人らしく自身のスキルアップに努めましょう。