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「掌握」のもともとの意味は「手につかむこと」「手中におさめること」から、転じて「物事を自分の意のままにすること」となりました。
「掌握」はビジネスや恋愛などで、相手の「心を掴む」といった意味で使われますが、 誤解されやすい言葉といえます。
本記事では、「掌握」の意味や使い方の注意点、さらには類語や便利な置き換え用例も紹介しています。
「掌握」を正しく使っていきましょう。
1.「掌握」の意味:物事を意のままにすること
掌握
読み方:しょうあく
意味:物事(相手や組織・集団)を自分の意のままにすること
「手中におさめる」の意から転じて、 「物事(相手や組織・集団)を自分の意のままにすること」が「掌握」の基本的な意味となっています。
「自分の意のままにすること」は悪い意味ではなく、「掌握」はビジネスの場でも問題なく使用できる言葉です。
特に個人に対し「掌握」を使う場合は、ずる賢い企図や悪意での「意のままにする」行為に捉えられやすいので使い方には注意が必要です。
1-1.「掌握」の由来
掌握の「掌」は「手のひら」のことで、「握」は「握ること」を指します。
手のひらをグーパーグーパーすることを「掌握運動」と呼ぶことからもわかるように、 「掌握」のもともとの意味は、「手につかむこと、手中におさめること」です。
2.「掌握」の使い方と例文
日常生活において「掌握」を使用する機会は少ないですが、ビジネスの場においては使用することが多々あります。
間違った使い方をして恥をかかないよう、ここでは正しい使い方について解説します。
「掌握」の使い方は以下の2つです。
- 「心を掴む」の意味で使う場合
- 「支配する」の意味で使う場合
それではそれぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.「掌握」を「心を掴む」の意味で使う場合
「掌握」はその掌握する対象により、微妙に意味合いが違います。
人間個人を対象(相手)にした場合に使われる「掌握」は、「相手の心を掴み、相手を自分の意のままにする」意味です。
この”自分の意のまま”は、心理状態を操作できるレベルまで深く入り込む(マインドコントロールや洗脳)ことまでも含みます。
そのため、不用意に「掌握」を使うと、本人にずる賢い企図や悪意あってのネガティブな言動と捉えられやすいのです。
AさんがBさんを掌握する
意味:AさんがBさんの心を掴んで、BさんがAさんの意のままの状態になる
「AさんがBさんを掌握する」は、「AさんがBさんの心を掴んで、BさんがAさんの意のままの状態になる」ことといえます。
この「意のまま」の部分をポジティブに解釈すると「AさんがBさんの心を掴んで、BさんがAさんに心を開く」といってもよいでしょう。
「掌握」を「心を掴む」の意味で使う場合の例文を、以下にあげますので、参考にしてください。
<例文>
- チームの次期監督には、人の心を掌握するような人になってもらいたい。
- 先代の社長のお人柄に、心を掌握された社員は大勢いました。
- 私もいつかは○○さんのように、部下を掌握できる上司になりたい。
- 目が合ってすかさずアタックするのが、女心を掌握するポイントのひとつだ。
「人心掌握」とは
人心掌握
読み方:じんしんしょうあく
意味:相手の心を意のままに操ること。相手のこころを自分の思い通りの方向に誘導すること。
「心を掴む」意味での「掌握」を使った熟語としては、「人心掌握」が一般的です。
「相手の心を意のままに操ること、自分が意図した方向へと相手を誘導し、心をうまくその方向へ導くこと」を意味します。
「人心掌握」は「掌握」よりも、「相手が自分の意のままになる」という結果へ導く本人の意図が強い言い方です。
恋愛やビジネス(就職活動など)では、「人心掌握術」といったタイトルのノウハウ本も多くみられます。
「人心掌握」の例文をみて用例を確認しておきましょう。
<例文>
- 社長の人心掌握あってこそ、会社の株式が公開できたといえましょう。
- 人心掌握に長けている彼女は、まわりの人を惹きつける。
- 人を動かすリーダシップを発揮するため、心理学から人心掌握のポイントを学ぶ。
2-2.「掌握」を「支配する」の意味で使う場合
組織・集団を対象にした場合に使われる「掌握」は、「支配する、支配下に置く、傘下に置く」の意味となります。
対象となる組織・集団(会社)を「掌握」する手段であげられるのが、「子会社化」「吸収合併」などです。
「掌握」を「支配する」の意味で使う場合の例文をみておきましょう。
<例文>
- 政権を掌握するための手段として、あの国は戦争を引き起こした。
- A社は、B社を掌握するため、B社を完全子会社化した。
- 根性論とスパルタ式の指導法でチームを掌握し、金メダルをとれた時代もあった。
続いては「掌握」の間違った使い方について解説します。
3.「掌握」の間違った使い方に注意
ここまで、対象が相手個人の場合は「心を掴む」の意、対象が組織・集団の場合は「支配する」の意味で使われると解説してきました。
しかし、その2つの主体と対象の境目はあいまいで、「掌握」の誤解されやすい(間違った)使い方もみうけられます。
「掌握」の使い方で、注意すべきポイントは以下の2点です。
- 「掌握」は自分のことには使わない
- 「掌握」は受動態で使わない
それでは、1つずつみていきましょう。
注意点1.「掌握」は自分のことに使わない
自分が誰かの心をしっかりつかんだという状況を表すときに「私は○○さんの心を掌握している」と表現することは文法的に間違いではありません。
ただし、 自分が人の心を掴んでいるという状況の説明に、「掌握」を使うと誤解を招く恐れがあります。
それは「掌握」という言葉に、”ずる賢い企図や悪意に基づく、相手を支配するといった術”と感じられる可能性があるためです。
こういった誤解を避けるためには「〇〇さんは、心を開き私によくついてきてくれる」といった使い方がおすすめとなります。
×「私は、〇〇さんの心を掌握してる。」
言い換え(例):「○○さんは、心を開き私によくついてきてくれる。」
注意点2.「掌握」は受動態で使わない
自分が誰かに掌握されているという状態を表すときに「掌握」を使うと、誤解のもととなり、間違った使い方といえます。
例えば、先方に掌握されているとして、「私は、〇〇様に掌握されています。」と伝えたとします。
すると、先方は「支配したり操ろうとする意図はないのに」と捉え、心境を害する可能性があるのです。
×「私は、〇〇様に(心を)掌握されています。」
言い換え(例):「私は、○○様にすっかり心を掴まれております。」
言い換え(例):「〇〇さんのお人柄に、私はすっかり心を開いております。」
4.「掌握」の類語・同義語表現と使い分け
「掌握」とその類語・同義語には以下のものがあります。
- 把握する
- 牛耳る
- 操る
- 傘下に収める、支配下に置く
それぞれの語の「掌握」との違いに触れながら解説していきます。
4-1.「掌握する」と「把握する 」の違い
握るという「握」の字をつかった熟語として「把握」があります。
「掌握」と「把握」とを混同して使っている方もいるかもしれませんので、ここでその違いを明確にしておきましょう。
「把握」は、「しっかり掴む」「相手を理解する」意味で、「掌握」にある「自分の意のままにする」という意味は含まれていません。
「把握」を使った例文をみてみましょう。
<例文>
- 〇〇さんは、私の心を掌握するつもりでしょうが、まだ把握もできていないようです。
- その会社の状況を把握した上で、子会社化するかどうかを吟味する。
4-2.「掌握する」と「牛耳る」の違い
「牛耳る」とは、「団体や組織の盟主となる。団体や組織を支配し、思いのままに動かす」という意味を持つ言葉です。
「団体や組織を支配する」といった意味での使い方では、「掌握する」と「牛耳る」は同意といえます。
ただし、牛耳るには「相手(個人)の心を掴んで・・・」の意味はありません。
「牛耳る」を使った例文をみてみましょう。
<例文>
- その国を牛耳るための手段として、あの国は戦争を引き起こした。
- A社は、B社を牛耳る立場になるために、B社を完全子会社化した。
4-3.「掌握する」と「操る」の違い
「操る」には、 「自分は表に立たず、陰から人を使って自分の思う通りにさせる」「陰で糸を引く」という意味があります。
「掌握」の意味である「自分の意のままにする」という点では同じですが、「心を掴む」という意味合いはありません。
「操る」を使った例文をみてみましょう。
<例文>
〇〇さんは、私を操るつもりでしょうが、まだ心の把握もできていないようです。
4-4.「掌握する」と「傘下に収める、 支配下に置く 」の違い
対象が 組織・集団の場合の「支配する」という意味で、「掌握する」と「傘下に収める」「支配下に置く」は同義と言えるでしょう。
「傘下に収める」「支配下に置く」を使った例文をみてみましょう。
<例文>
- その国を支配下に置くための手段として、あの国は戦争を引き起こした。
- A社は、B社を完全子会社化して傘下に収めた。
5.「掌握」の英語表現
最後に英語表現について解説します。
掌握の英語表現については以下のようなものがあります。
- win
- seize control of ~
- hold
それぞれ異なったニュアンスをもった英語表現なので、使う場面に適したものを使いましょう。
5-1.win
「人々の心を掴み、自分の意のままにする)」という人心掌握の英語表現としては、「勝利する」意味の「win」が使われます。
「win」には勝利するのほかに、次のような意味もあります。
- 〈地位・契約・議席などを〉獲得する
- 〈人気・愛情・友人などを〉勝ち得る
- 〈支持・信頼などを〉得る
「掌握」「人心掌握」の意味で、「win」を使った例文を次にあげます。
<例文>
- He was good at winning the hearts and minds of the people.(彼は民衆の心を掌握することに長けていた。)
- He finally won over the people.(彼はついに国民を掌握した。)
5-2.seize control of ~
<例文>
We seize control of the capital city by force.(武力をもって、その首都を掌握する)
5-3.hold
支配する対象組織が会社の場合は、「hold」が「掌握」に近い英語表現です。
「hold」には握る以外にも、以下のような意味があります。
- 〈場所を〉占拠する
- 〈領土などを〉守る,支配する
- 〈役職などを〉占める
支配する対象が会社の場合の「hold」を使った例文を次に挙げます。
<例文>
- We hold all interest in the company (我々がその会社の全株式を保有している)
- Holding company(持ち株会社)
まとめ
「物事(人や組織・集団)を自分の意のままにすること」を意味する「掌握」。
ビジネスでは企業間の関係では、「子会社化する」「傘下に収める」の意などで肯定的な用語としても使用されています。
ただし、個人を相手に「掌握」を使う場合は、その特殊性を理解して、誤解されない用法が求めらます。
パワハラ、セクハラ、ジェンダーハラスメントなど、政治家やスポーツ団体の長の発言が取り沙汰される昨今です。
部下・組織を上手にマネジメントする方法として「掌握」を使うのなら、「嫌がらせ!」「ハラスメント!」と誤解されないよう、正しく使っていきましょう。