最終更新日:2020/05/19
お取り計らいいただき、誠にありがとうございます。
「お取り計らい」には 「事が上手く運ぶよう対処すること、適切に取り扱うこと」という意味があります。
ビジネスシーンでは頻繁に耳にする言葉なので、正しい意味を理解し目上の人にも失礼のないように使用したいですね。
そこで今回は「お取り計らい」の意味、使い方、類語表現、英語表現を詳しく解説していきます。
1.「お取り計らい」の意味
意味は、事が上手く運ぶように対処すること
お取り計らい
読み:おとりはからい
事が上手く運ぶよう対処すること、適切に取り扱うこと
「お取り計らい」は、 「取り計らい」に丁寧語の「お」が付いた形の敬語表現です。
「お取り計らい」の「計らい」には、以下のような意味があります。
【計らい】⇒対処、配慮、分別
「計らい」を「取る=自ら身に持つ」行為が「取り計らい」なので、「配慮して上手く行くように行動すること」という意味合いです。
2.「お取り計らい」の使い方
「お取り計らい」はビジネスなどで、以下のシーンにおいて使われます。
- 感謝やお礼を伝える時
- 依頼やお願いをする時
それでは、それぞれの場面ごとに「お取り計らい」の使い方を説明します。
2-1.感謝やお礼を伝える場面での「お取り計らい」
相手の厚意に対して感謝を伝える時には、以下のようなフレーズで「お取り計らい」が使われます。
- お取り計らいくださり、ありがとうございます
- お取り計らいいただき、感謝申し上げます
これらの「お取り計らい」は、相手が 「物事が上手く進むように対処してくれた」ことに対する「配慮」や「気遣い」という意味合いです。
「お取り計らいくださる」と「お取り計らいいただく」は、どちらも相手に敬意を示した敬語表現ですが、以下の違いがあります。
くださる | いただく | |
敬語 | 「与える、くれる」の尊敬語 | 「もらう」の謙譲語 |
主語 | 相手 | 自分 |
「くださる」は、相手が自分に何かをしてくれた時に使う尊敬語です。
一方「いただく」は、自分が主語になって相手から何かをもらった時に使う謙譲語です。
感謝を述べる場合には、どちらを使ったからと言って失礼になることはありません。
しかし、相手が進んで行ってくれた厚意などには「お取り計らいくださり」と、尊敬語の「くださる」を使うと良いでしょう。
感謝を伝える場面での「お取り計らい」の使い方を、以下の例文で確認してみましょう。
<例文>
- 親切にお取り計らいくださり、ありがとうございます。
- 今回は急な依頼にもかからわず、お取り計らいいただきまして、誠に感謝しております。
2-2.依頼する場面での「お取り計らい」
何かを相手に依頼する時には、以下のようなフレーズで「お取り計らい」を使います。
- お取り計らいのほど、よろしくお願い致します
- お取り計らいくださいますよう、お願い申し上げます
- お取り計らい賜(たまわ)りますよう、お願い致します
依頼する時は、 「これからお願いすることが、上手く行くように対処してください」という意味合いです。
取引先などへの依頼やお願いの際には、以下の言葉を付け加えると更に丁寧な表現になります。
相手に依頼を行う時の「お取り計らい」は、以下の例文のように使います。
<例文>
- お手数をおかけしますが、お取り計らいのほどよろしくお願い致します。
- 恐れ入りますが、お取り計らいくださいますよう、何卒お願い申し上げます。
- 恐縮ではございますが、お取り計らい賜りますよう、お願い致します。
2-3.目上の人への使い方
「お取り計らい」は、感謝を伝える時には相手の「行動に対する配慮や気遣い」の意味で使います。
そのため目上の人にも、失礼なく使うことができます。
一方、依頼する場面では指図した印象を与えてしまうことがあるので、注意が必要です。
本来は、目上の人に対して依頼をする場面においても「お取り計らい」という言葉は正しい使い方です。
しかし、「上手く事を運んでください」のように指図したような印象を受ける人もいるので、使わない方が良い場合もあります。
目上の人に依頼をしたい場合には、 「協力」「何卒」などを使って以下の例文のように言い変えると良いでしょう。
<例文>
- お手数をおかけしますが、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
- 恐縮ではありますが、何卒よろしくお願い致します。
3.「お取り計らい」の類語
「お取り計らい」の類語表現には、以下のような言葉があります。
- お気遣い(おきづかい)
- お心遣い(おこころづかい)
- ご配慮(ごはいりょ)
- ご高配(ごこうはい)
それでは、それぞれの類語について以下で詳しく確認してみましょう。
3-1.お気遣い(おきづかい)
「お気遣い」は、 「相手が配慮してくれる心、考慮してくれる気持ち」を指します。
「お取り計らい」と「お気遣い」には、以下のような違いがあります。
お取り計らい | お気遣い | |
意味 | 事が上手く運ぶよう対処すること | 相手が配慮してくれる気持ち |
使う場面 | 感謝や依頼 | 基本的に感謝のみ |
「お取り計らい」は、依頼をする時にも使える表現です。
一方「お気遣い」は「相手の気持ちや心」を指す言葉です。
「お気遣いよろしくお願いします」と言う場合は「配慮してくださいね」という意味になります。
ビジネスシーンで相手に直接依頼する場面では、失礼な表現になるため使いません。
ただし公共で不特定多数の人に禁煙を呼び掛けたりする際には、「お気遣いのほど、よろしくお願い申し上げます」というフレーズで使われます。
では「お気遣い」を使った例文を、以下で見てみましょう。
<例文>
- この度はお気遣いいただき、誠にありがとうございます。
- 多くの人が使う場所です、ゴミの持ち帰りになど、お気遣いのほどよろしくお願い致します。
3-2.お心遣い(おこころづかい)
「お心遣い」は、 「気を配ること、配慮」という意味です。
「お気遣い」と「お心遣い」は混同されて使われることが多いですが、以下のような違いがあります。
お取り計らい | お気遣い | お心遣い | |
対象 | 気持ちや行動 |
気持ちや心 | (お気遣いの心から出た) 行動 |
「お気遣い」が相手が行おうとしている厚意の気持ちや心を指すのに対し、「お心遣い」は相手が実際に行ってくれた行動を指します。
以下の例文を参考に、「お気遣い」と「お心遣い」の意味合いの違いを確認してみましょう。
<例文>
- お気遣いくださいまして、ありがとうございます。お蔭様で、体調も良くなりました。
- 結婚式の際には、お心遣いをいただきまして、誠にありがとうございました。
3-3.ご配慮(ごはいりょ)
「ご配慮」は、 「気配り、心を配ること」という意味です。
「ご配慮」も「お気遣い」と同様、相手の気持ちや心を指す言葉ですが、以下のような違いがあります。
お取り計らい | お気遣い | ご配慮 | |
意味 | 事が上手く運ぶよう対処する | 相手が配慮してくれる気持ち | 気配り、心を配ること |
焦点 | 相手のことを思いやる気持ち | 相手のことを心配する気持ち | 相手のことを想いやる気持ち |
「お気遣い」は「ご配慮」に比べると、「心配」する気持ちが大きくなり、以下の例文のように使い分けます。
<例文>
- 入院をしていたさいには、お気遣いいただき嬉しかったです。
- 夜中の騒音はご配慮いただきますよう、よろしくお願い致します。
3-4.ご高配(ごこうはい)
「ご高配」には 「気配り、気遣い」という意味があり、ビジネスなどで使われるフォーマルな言葉です。
「ご配慮」と同じ意味として使いますが、以下のような違いがあります。
取り計らい | 配慮 | 高配 | |
対象 | 相手の気配り、対処に対して | 相手や自分の気配りに対して | 相手の気配りに対して |
「配慮」は相手からの厚意に使う他、「配慮が足りず、申し訳ありませんでした」のように自分の気配りに対しても使います。
一方「高配」は、相手の気配りに対してのみ使う言葉です。
では以下の例文で、「配慮」と「高配」の使い方を見てみましょう。
4.「お取り計らい」の英語表現
ビジネスなどのフォーマルシーンで「お取り計らい」を使いたい時は、 「arrangement」を使います。
【arrangement】⇒準備、お膳立て、配置
物事を上手く進めるために相手がしてくれた対処や配慮というのは、1つではないはずなので以下の例文のように、「arrangements」と複数形にします。
<例文>
- Thank you so much for your arrangements.
(お取り計らいいただきまして、誠にありがとうございます。) - I would appreciate your arrangements.
(お取り計らいいただきますよう、よろしくお願いいたします。)
また、日常的にカジュアルに「取り計らい」を使いたい場合は 「thoughtful」や 「kindness」が使えます。
- thoughtful ⇒思いやりのある
- kindness ⇒親切
では、それぞれの単語を用いた例文を以下で見てみましょう。
<例文>
- That was very thoughtful. Thank you so much.
(素晴らしい取り計らいだったよ。ありがとう。) - I appreciate your kindness.
(お取り計らいに感謝します。)
まとめ
「お取り計らい」は、 「事が上手く運ぶよう対処すること、適切に取り扱うこと」という意味です。
ビジネスシーンでは、感謝を伝えたり依頼をしたい場面で用いられます。
目上の人に感謝を伝える時に、「お取り計らい」を使うのはOKです。
しかし、何かを依頼したい場面で「お取り計らい」が使いにくい場合には、「ご協力お願いします」や「何卒よろしくお願い申し上げます」などに言い換えて使いましょう。